
世界の三大スポーツといえば「ワールドカップサッカー、オリンピック、ツール・ド・フランス」が挙げられます。
これからも分かるように、自転車競技(ロードレース)のツール・ド・フランスは世界で認められたメジャースポーツですね。
しかし、日本では一般的に知っている人が少ないといえるだろう。たとえ名前は知っていても、具体的には知らない人も多いと思う。普段からロードバイクに乗っている人でも、ロードレースについてくわしく知らない人がいるというのだから、その認知度は低すぎませんかね。
マイナーな訳には、それなりの理由があると思い色々と考えてみました。
本記事では、日本で自転車競技(ロードレース)がいつまでもマイナーな理由を考察します。
ロードレースの本場はヨーロッパ

自転車競技(ロードレース)の起源を紐解くと19世紀中頃といわれており、1896年に開催された第1回オリンピック(アテネ)から正式種目として採用されました。
それから100年以上が経過する中で色々と洗練されていき、フランスやイタリア、ベルギー、オランダなどヨーロッパでは、プロからアマチュアまで様々なレースが行われ今に至ります。
特にベルギーでは、国内で最も盛んなスポーツとして国技になっている。なんと5万人以上の人が、プロとして活躍しているのだから凄くないですか。
それに比べて日本では、2020年時点でロードレースの競技ライセンス保持者数は、約6,000人しかいません。
日本のメジャースポーツといえば「野球」です。子供の頃から野球で遊び、やがて野球少年はプロを目指したりする。そしてメジャーリーグを夢見る人も多いだろう。
ロードバイクと共に過ごしてきた人たちがプロ選手になると、ヨーロッパのチームに所属してヨーロッパの舞台で戦うことを夢見ていると思います。
ロードレースは経済に与える影響が大きい

ツール・ド・フランスは、最高峰のロードレースであり、主にフランス国内を中心にして毎年7月に開催されます。
世界約190ヶ国で放送されるほどの大規模なスポーツですね。視聴者数は実に約35億人というのだから、その人気の高さが凄すぎる。つまり、多くの人たちにとって大変魅力的なスポーツだと思われています。
また、これほどの人数が興味をもつのだから、経済に与える影響は凄まじいものになる。1年で約200億円以上の売上を誇るそうなので、今後もますます盛り上がるでしょう。

その他のロードレースには、イタリアで5月に開催される「ジロ・デ・イタリア」や、スペインで9月に開催される「ブエルタ・ア・エスパーニャ」などがある。もちろん日本でも「宇都宮ジャパンカップロードレース」が開催されています。
近年ではアメリカを始め、アジアやオセアニア地域でもロードレースの数が増えていて活気づいていますね。ロードレース自体が経済に与える影響が大きいだけでなく、公道を走るレースである以上、観光資源のPRにも適したスポーツともいえるだろう。
そう考えると、世界中でロードレースが盛んな理由には納得感があります。
日本ではロードレースがマイナーな理由

日本では、1962年に全日本ロードレースが初めて開催されましたが、あれから60年以上も経過しているのも関わらず、いまだにマイナースポーツの位置づけです。
世界中で人気の高いロードレースが、なぜ日本ではいつまでもマイナースポーツから脱却できないのか不思議に思いませんか。
そこで、その理由を色々と考察した結果を以下にまとめました。
- 自転車は主に日常の移動手段
- 日本は圧倒的な車文化
- 国土の約75%が山地を占めている
- ギャンブル?というイメージがある
それぞれについて説明します。
自転車は主に日常の移動手段

私たち日本人にとって、代表的な自転車といえば「ママチャリ」ですね。
少し古いデータですが、2016年時点で自転車の保有率は約7,200万台もあり、だいたい2人に1人は自転車を所有していることがわかっています。
自転車の種類には、ママチャリやクロスバイク、ローバイクなど多岐にわたりますが、その中でもママチャリの使用率は段違いだ。とある調査では70.4%というのだから圧倒的ですね。

そもそもママチャリは、買い物や通勤通学など日常の足として使う移動手段です。そのため、ママチャリから自転車のレースという発想そのものを思いつかないだろうな。
一方、ヨーロッパではスポーツ向けの自転車が多く、日常的に子供の頃から毎日のようにレースで使用しているため、ロードレースは身近な存在ですね。
【ママチャリに関する話】
ママチャリに関する様々な役立つ話を、下記記事で紹介します。
日本は圧倒的な車文化

ヨーロッパで自転車は、車が普及する前からスポーツとして盛んであったため、日本とは自転車文化の土台が違いすぎます。
日本に自転車が登場するのは、明治時代にヨーロッパから輸入されたのが最初ですね。同じ時代に車も登場しており、国内で製造されていきました。その後、1960年代のモータリゼーションの到来をきっかけに車文化が根付いた次第です。
特に1964年の東京五輪前後に車の保有台数が飛躍的にアップしています。1956年から1964年の8年間は、前年比115%以上という数値からみても驚異的なことが良く分かるだろう。
近年、車離れの声が聞こえていますが、それでも2024年9月時点で車の保有数は、約8千万を越えているのだから凄くないですか。
「車 > バイク > 自転車」という考えの人が多く、自転車は車やバイクが持てない人が持つ乗り物だと思っている人も一定数はいるでしょうね。先ほども触れましたが、大半の人は、自転車というのは手軽に近所を移動する乗り物だとしか認識していません。

今でこそクロスバイクやロードバイクなどスポーツ向けの自転車の人気が高まっており、趣味として楽しんでいる人が増えました。
また、自転車は健康によい乗り物としても注目されていたり、サイクルイベントが盛んに行われていますが、まだまだ趣味の域は出ていないでしょう。
【サイクルイベントに関する話】
ロードレースはサイクルイベントの一つですね。サイクルイベントは、色々な種類がある。気になるイベントがあるのならば参加してみよう。下記記事では、サイクルイベントに関する様々な話を紹介します。
国土の約75%が山地を占めている

日本は海に囲まれた島国であり、国内の大半は山ばかりです。
そうなると必然的に坂道が多い傾向となるため、自転車にとっては厳しい環境となっています。
日本の総人口は、2023年時点で約1.2億人と多く、大半は平地部の住みやすい場所へ集中しているものだ。そのため、近所を移動するには自転車でもかまいませんが、遠出する際には峠を越える機会が多いだろう。
そうなると自転車の構造上、人力で峠を越えるのは苦行ですね。そもそもママチャリでは、10km以上走るのも大変といえます。

近年、電動アシスト自転車やE-Bikeの登場で坂道でも軽快に走れるようになりましたが、それでも峠や山道を自転車で積極的に上りたいとは思わない人が多いでしょう。
これらのことを踏まえると、一般的に自転車はママチャリというイメージが強い日本人にとっては、たとえロードバイクでもレースを行なうのに適した場所ではないと考えている人が、それなりに多いのだろうと思います。
【E-Bikeに関する話】
E-Bikeに関する様々な役立つ話を、下記記事で紹介します。
ギャンブル?というイメージがある

私たち日本人は、自転車のレースというと「競輪」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
競輪はたしかに自転車競技ですが、ギャンブルも含まれる公営競技ですね。
公営競技といえば、競輪だけでなく競馬・競艇・オートレースがあり、総じてレースの着順を観客が予想して、その結果から金銭の授受が発生する仕組みとなっている。
そのため、競輪はギャンブルというイメージが強く、良く知らない人にはロードレースも同じように考えている人もそれなりに多いと思います。
ロードレースと競輪は、全く異なるスポーツです。ロードレースは、公道を舞台にした競技であり、個人競技なのですが実際は各チームが自分のチームの中でエースを勝利するために戦略を駆使しながら戦う団体競技。そもそも扱う自転車の車種そのものが、全然違います。
それにロードレースには、ギャンブル的なシステムは存在しません。イメージが先行することで、間違っているのであれば悲しいですね。
ロードレースの認知度を上げる方法

ロードレースの主な観戦方法は、現地へ赴くかテレビ観戦するのが一般的です。
しかし、現状では残念ながらどちらもそれほど多くありません。現在、ロードレースの中継を手掛けているのは、スポーツ専門チャンネルの「J SPORTS」ぐらいではないだろうか。
また、YouTube動画(J SPORTS サイクルロードレースなど)でも視聴できます。
近年、卓球界に多くのスター選手が現れて、卓球の大会がテレビ放送される機会が増えましたが、同じような状態にならなければロードレースの魅力を大勢の人へ伝わるのは難しいだろうな。
そのためにも圧倒的なスター性のある日本人選手が現れて、様々なロードレースで旋風を巻き起こすような活躍をすれば、定期的にテレビ放送される機会が高ったり、国内のネットニュースなどで大々的に取り上げられる可能性が高いです。
そうすれば、ロードレースの認知度が広まり、1人でも多くのファンが獲得できると思います。
まとめ

本記事では、日本で自転車競技(ロードレース)がいつまでもマイナーな理由を説明しました。
最後にもう一度、マイナーな理由を以下にまとめます。
- 自転車は主に日常の移動手段
- 日本は圧倒的な車文化
- 国土の約75%が山地を占めている
- ギャンブル?というイメージがある
世界では様々なロードレースが開催されており、プロからアマチュアまで多くの人たちが参加しています。また、観光資源のPRに適したスポーツコンテンツとしても人気が高いですね。
日本ではそもそもロードバイクの趣味人口が、100万人にも満たないといわれているのだからメジャースポーツを目指すのは厳しいだろう。
それに本記事で挙げた理由は、どれもが一朝一夕で改善するのは難しすぎる。特に国土の約75%が山地を占めているのは改善のしようがない。
しかし、反対にいえば伸びしろはあるとも思います。なので少しずつでも良いので、ロードレースが今以上に日の目を見るようになっていけば嬉しいですね。