
西日本の最高峰「石鎚山(いしづちさん)」。日本七霊山の一つに数えられる霊峰であり、石鎚神社ではこの山を御神体としてお祀りします。
石鎚神社とは、山頂の頂上社、中腹の成就社と土小屋遥拝殿、そして山麓に鎮座する本社(口之宮本社)の総称のこと。中でも「口之宮本社(くちのみやほんしゃ)」は、国道11号線沿いに建つためアクセスがしやすくて、一般の参拝や祈願の拠点になっています。
朱色と白を基調とした厳かな本殿や修験道の歴史を色濃く残す神門などの社殿群を見て回ろう。また、高台に建つため、西条市郊外や瀬戸内海を一望できるビュースポットですよ。
きれいに手入れされた境内をゆっくりと歩き、荘厳な空気感と共に心が洗わるような心地よさをぜひ感じて下さいね。
本記事では、四国屈指のパワースポットに数えられる「石鎚神社(口之宮本社)」を紹介します。
目次
石鎚神社(口之宮本社)のご祭神・ご利益・所要時間

石鎚神社の創建は、飛鳥時代(685年)までさかのぼります。標高約1,982mの石鎚山は、古来から霊山として崇められており、日本独自の山岳信仰である修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)により開山されたことが始まりです。
この山を管理する寺院として前神寺が信仰の中心でしたが、明治時代の神仏分離令により前神寺は一時廃寺となりました。その結果、境内や機能が石鎚神社(口之宮本社)となり今に至ります。
ちなみに、明治11年に口之宮本社から北東へ約500mほど離れた場所で前神寺が再興。現在は四国八十八箇所霊場の第64番札所として、お遍路さんや参拝者で賑わっていますね。

口之宮本社のご祭神は「石鎚毘古神(いしづちひこのかみ)」です。こちらの神様は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の間に2番目に生まれた神様なんだとか。日本神話の最高神・ 天照大御神のお兄さんに当たります。
諸願成就の神様で知られていますが、特に家内安全・厄除開運・当病平癒のご利益を期待できるとのこと。
所要時間は、境内は結構な広さがあるので、ゆっくり歩いて一通り見て回ると約60~90分ほどかかります。
【周辺の見どころ】
石鎚神社(口之宮本社)周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
一の鳥居と二の鳥居の対比が面白い

口之宮本社の最寄り駅はJR石鎚山駅です。こちらの駅から南へ約2分ほど歩くと国道11号線に合流し、西条市西田の交差点南には、朱塗りの一の鳥居がそびえ立ちます。
この鳥居は、比較的新しく1994年6月に建立されました。遠目でも分かるほど、鮮やかで車が通れるほどの大きさがあるのでインパクトが抜群ですね。
それに神聖な気配を放っており、これから神域へ向かうことに対する緊張感から身が引き締まる思いがしました。この鳥居をくぐり抜け、約180mほど道なりに南下すると、「二の鳥居」が見えてきます。
道中には、西条市の名水・名木50選に選ばれた「西田のむく」があるので見物していこう。


こちらが、その椋の木。樹高は不明ですがパッと見た感じだと約15mぐらい。樹齢は約400年もあり、地域のシンボルとして大切にされています。道路脇にひっそりと佇んでいるので、巨樹や名木巡りが好きな人はお見逃しなく。

こちらが「ニの鳥居」です。一の鳥居とは打って変わって派手さはなく、趣きを感じました。長い年月にかけて風雪に耐えてきた石肌は、独特の味わいと深い歴史を感じさせます。より深い神域へ導く象徴のような存在ですね。
この鳥居の手前には、正面に「石鎚神社」と刻まれた社号標があります。
立派な巨大な天狗像が立つ「神門」

ニの鳥居の奥を少し歩くと、どっしりとした重厚感のある「神門」が見えきます。この神門は二層構造の楼門であり、2006年に建立されました。周囲の緑豊かな大樹と調和している景観が良いですね。
神門とは神社にある門の総称のこと。特に左右に弓矢や剣を持った武人姿の像(随神像)が安置された門は、随神門とも呼ばれており、神社巡りをしているとそれなりに見かける機会が多いです。
そのため物珍しさは感じませんが、こちらの門に安置されている存在を知ると驚くだろうな。実は、霊峰・石鎚山の修験道にちなみ「大天狗像」と「小天狗像」が安置されています。


どうですが、どちらの天狗も迫力があるでしょ。それにその優しい眼差しが目を引き、思わず見入ってしまうかも。(私がそうでした)
霊峰・石鎚山には日本八大天狗の一つに数えられる強力な大天狗「法起坊(ほうきぼう)」が住む伝承があり、石鎚山全体の守護神という。圧倒的な法力・神通力の持ち主で、妖怪や魔怪の類をも服従させるそうですよ。

また、神門に施された龍の彫刻は、今にも天に昇るような躍動感を感じます。彫刻だけでなく、神門全体を隅々までしっかりと見物して下さいね。山岳信仰の総本宮らしく厳かであり、そしてどこか温かみを感じました。

ちなみに、門の裏側には随神像も安置されていますが、天狗たちのインパクトが大きくて、個人的にはあまり記憶に残りませんでしたね。私と同じように感じる人は、少なくないと思います。
境内を奥まで歩いて「祓戸」へ

神門をくぐり参道を歩いていると、直ぐに見えてくるのがヒノキの御神木です。参道中央に凛と佇み、多くの参拝者を出迎えてくれますね。
清々しい香りを放ち、心を和ませてくれる存在に思わず足が止まるだろう。ということで、パシリと一枚撮りました。このヒノキは、西条市の天然記念物に指定されています。
本殿へお詣りする前に足を運んでおきたいのが「祓戸(はらえど)」です。祓戸とは、心身の穢れを落として清める場所のこと。なので、本殿より先にここでお参りするのが好ましい。
神門をくぐり抜け、参道に沿って奥まで歩いて行くと祓戸へ辿り着けます。



しばらく歩くと、正面に元禊場(みそぎば)が見えてきて、突き当りを右側へ折れた先にある石段を上ると、本殿へ向かいます。
この元禊場へ到着したら、振り返って下さい。すると、右手側に小さな石が敷き詰められた一角に気が付くだろう。それが祓戸です。

祓戸では、祓戸大神(はらえどのおおかみ)が祀られています。祓戸は全ての神社にある訳ではなく、比較的格式の高い古社や大きな神社に多い。
たとえば、出雲大社(島根県)や春日大社(奈良県)、安芸の厳島神社(広島県)などに設けられています。
格式が高くても必ずしも祓戸がある訳ではなく、手水舎や神事の形式で代行されることもあるので、神社へ出かける前には、事前に祓戸の有無を確認しておくと安心ですね。

こちらの小さな滝が流れている場所が元禊場(みそぎば)です。龍の口からは、水がドバドバと流れ落ちており、かつてここで禊(みそぎ)が行なわれていました。
そのような背景があるため、より強い神聖さを感じさせます。ちなみに、現在は別の場所で更衣室完備の新しい禊場が整備済みですよ。
元禊場の脇に祀られているのは、神変大菩薩(役行者)。そもそも禊場は、身を清める場所なので、こちらでも参拝していくのが良いと思います。

祓戸から西へ向けて歩き、祖霊殿や綜合摂社前を通り抜けた先に本殿があるのですが、それなりの長さがある石段を何度も上るので歩くのに不安がある人は辛いかも。

本殿横には砂利が敷かれた小さな駐車スペースがあるので、足の悪い方や体調がすぐれない方は、そこまで車で移動した方が良いですね。
お正月や神社の行事がある時期など一般車両が通行できない場合があるようなので、利用する際には神社へ確認すると安心感があると思います。
美しい権現造りの「本殿」

本殿は、美しい朱塗りの柱と複雑な屋根の造りが特徴的であり、華やかで重厚な建築美に驚かされます。比較的新しい社殿に見えるのは、1967年に再建された後で、2015年に大規模な改修された影響だろう。
山岳信仰の神社なのに、山(石鎚山)を背にしていないのは珍しい。東向きに建てられています。もともとは石鎚山の別当寺であった「前神寺」の里宮でした。地形の条件や当時の伽藍の配置(東向きや南向きなど)によって決められた名残りのようです。


それに大きな庇があるのが良いかも。このおかげで、参拝者が雨風を避けてお詣りできます。また、屋根瓦に目を向けると、円の中に「石」の文字を入れた「丸に石(まるにいし)」の神紋が見て取れますね。
石鎚神社での正式な参拝作法は、「二礼、二拍手、心中祈願、二拍手、二礼」とのこと。一般的な二礼二拍手一礼と少し違いますが、せっかくなので正式な方法でお詣りしよう。ちなみに二礼二拍手一礼でお詣りしても特に問題はありません。

こちらは本殿前にある「打ち出の小槌」。大・中・小など大きさや重さが異なる小槌があるので、ぜひ手に持ってみよう。そして、自分の体の悪い所を小槌で撫でて健康を祈って下さいね。
また、小槌を振ることで願いが叶うと言われています。ちなみに、どの大きさでもご利益は同じなので、自分に合うものを選びましょう。
【神社仏閣の紹介(その1)】
愛媛県で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
瀬戸内海と西条市郊外を一望できる展望スペース

本殿が建つ場所は、展望スペースも兼ねており、解放感が半端ないですね。それに高台にあるため、視界が開けており、遠くには瀬戸内海が広がります。
また、のどかな田園と西条市郊外の町並みが織りなす景観がGood。見る方角を変えると、遠くに西条市街が見えてくる。自然の静けさと人間の営みを同時に感じさせる風景ですよ。



緑豊かな田んぼや畑が織りなす景色は、日常の忙しさを忘れさせ、深いリラックス感を与えてくれます。さらに遠くに市街地が見えることで、自然と人間社会のつながりを象徴しているように感じました。
また、時間の流れの対比が面白い。のんびりと感じさせる田園風景と、ビルがそびえ建つ市街地の活気あふれる様子を見比べてみよう。一つの視野の中で異なる時間軸が存在しています。
祖先の霊を祀る「祖霊殿」

祖霊殿(それいでん)では、開山の祖・役小角をはじめ、歴代の神官や宗教指導者、先達などの御霊をお祀りします。
境内の階下にひっそりと佇んでいて、その外観には、落ち着いた木の風合いと共に深い歴史を感じました。今を生きる私たちにとって、過去と現在をつなぎ、石鎚神社の長い歴史を伝えてくれる存在ですね。
そのような場所のため、本殿参拝後に足を運び、ご挨拶を忘れないように。ちなみに、一般的な神社の参拝順序は「祓戸 → 拝殿・本殿 → 祖霊殿」です。

また、参拝者の祈願や感謝が込められた絵馬や、しゃもじが奉納されています。色あせた絵馬から歴史の重みを感じさせる独特の雰囲気を感じました。長い歴史を今に伝える貴重な資料なのでお見逃しなく。
毎月15日には命日祭が開催されており、故人を偲び祈りや供養を捧げています。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
「御神水所」とご神水カフェ

祖霊殿から左奥へ歩くと「御神水所」が見えてきます。ここでは、石鎚山から流れ出る良質な水(御神水)を持ち帰ることができる。なので、必要に応じてペットボトルを持参しておきましょう。
その場で柄杓などを使って御神水をそのまま飲めますが、生水なので安全面を考慮すると一度煮沸すると安心感があります。

御神水所にあった説明書きによれば、御神水の中に茶色い固まりがあったりするそうですが、それは水の成分(鉄分)の固まりなんだそうな。衛生上問題ないそうですよ。
また、御神水の中に「硬貨を投げ入れないで下さい」とのこと。硬貨の金属成分(銅やニッケルなど)が水に溶け出すと、水質に悪影響を与えてしまうので、気を付けて下さいね。


「生水は飲みたくない!」けどすぐに御神水を飲みたいと思っているあなたへ朗報です。実は、石鎚神社会館では境内で湧き出る御神水を入れたコーヒーを飲めます。
1杯200円でセルフ式コーヒーサービスを提供しており、コーヒーの他にもカフェラテやカフェチョコ、ココアなども楽しめるのでどれを選ぶかはお好みで。私はコーヒーを選びましたね。
かすかですが鉄分のような風味があるような気がしますが、すっきりとした美味しさに満足しました。(鉄分の風味は、プラシーボ効果かも知れません)
石段には本物の「鎖場の鎖」が使われている

本殿へ続く石段を上っていると、真ん中の手すりが「鎖」になっていて雰囲気が出ています。
実はこの鎖は、石鎚山の山頂付近にある実際の「鎖場」で使用されていた本物の鎖なんですって。石段を上った先にある石柱には「三之鎖掛替付」の文字が刻まれていてビックリしました。

古くから修行の場と知られる石鎚山の表参道には、4つの鎖場があり、その中で最も勾配が急で険しいのが三の鎖がある場所です。鎖は68mと長く、その鎖を使ってほぼ垂直に近い絶壁を登ります。
本社の石段に掛けられた鎖を通じて、その雰囲気を感じ取って下さいね。
「石鎚山遙拝殿」でも石鎚山を拝もう

霊峰・石鎚山の山頂には、頂上社(奥宮)が建ちます。石鎚山の標高は1,982mもあり、頂上社へのお詣りが難しい方も多いだろう。
そこで、麓にある本社にて石鎚山へ向かって祈りを捧げられる場所として「石鎚山遙拝殿」があります。
その奥には鳥居が見えていて、山中へ続いているようです。おそらく昔は、ここから石鎚山へ登っていたのだろう。今も使えるのかは分かりませんが・・・
ちなみに、本社から20㎞ほど離れた場所には、石鎚登山ロープウェイの乗り場があります。このロープウェイに乗り、山頂成就駅を降りた先で徒歩と観光リフトを乗り継ぐことで、標高1,450mに鎮座する成就社(中宮)の近くまで移動できるとのこと。成就社ルートは、頂上社へ向かう表参道です。
三倍のご利益を授かれる摂社「三倍神社」

緑豊かな木々に囲まれた静寂な境内の一角には、三倍神社(さんばいじんじゃ)が鎮座します。名前からして、気になる存在だろう。
主祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りし、相殿に言代主神(ことしろぬしのかみ)と伊藤八郎平霊(いとうはちろうへいれい)を祀っています。
商売繁盛や金運向上、開運招福などのご利益があり、特に仕事運や勝負運のご利益を授かりたい方にピッタリ。「三倍のご利益」を授かれるとは魅力的ですね。
「何に対して三倍なのか?」といった疑問はナッシング。ただ大きなご利益が期待できるで良いではないですか。

ご利益もそうですが、個人的に気に入ったのは、こちらの狛犬です。どうですか、可愛らしいでしょ。思わずパシリと一枚撮ってしまいました♪
愛嬌のあるお顔立ちが実に良し。どこかユーモラスな仕草も素敵です。周囲の雰囲気と相まって癒される狛犬ですね。
「厳島社」の池で恋ダンスが見られるかも?

厳島社では、広島県の厳島神社の御分霊である宗像三女神をお祀りします。周囲の池の中には、優雅に泳ぐニシキゴイがいるので注目して下さい。
金色のコイを見つけると「金運が上がる」という噂があります。また、コイのエサ(100円)が売られているので、エサやりも楽しめますね。
実は、このコイたちには凄い秘密があるとのこと。私はそのことを後から知って、思わず「なに~~!!!」と叫びそうになりました。

このコイたちにエサをあげると「恋ダンス」が見られるそうですよ。恋ダンスとは、鯉たちがクルクルと回り輪になる珍しい集団行動のこと。2016年秋にコイが奉納されてからこの動きが現れたそうで、事前に知っていれば、絶対に見ていたのに~~。
調べてみると、気温が変わりやすい4月末頃から6月頃、10月頃に見られる機会が多いそうですね。必ずしも見られるとは限らないので、見られた方はラッキーだと思います。
【神社仏閣の紹介(その3)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
石鎚神社(口之宮本社)基本情報とアクセス
| 住所 | 愛媛県西条市西田甲797 |
| 電話番号 | 0897-55-4044 |
【アクセス】
- JR石鎚山駅から徒歩約10分
- 松山自動車道「いよ西条IC」から車で約15分
石鎚神社(口之宮本社)の駐車場
石鎚神社(口之宮本社)には、無料駐車場が複数あります。(普通車約350台)
特に社務所下にある第1駐車場と、神門横にある第2駐車場は台数が多く確保されているので便利。個人的には、第2駐車場へとめて、神門を歩いてくぐり本殿へ向かうのをおすすめします。
まとめ

西日本の最高峰・石鎚山を御神体する「石鎚神社」。石鎚神社は四社の総称ですが、中心的役割を持つのは「口之宮本社」です。
境内をゆっくり歩きながら、荘厳な空気感と共に心が洗わるような心地よさを感じよう。まさに「聖地」という言葉がピッタリな場所ですよ。石鎚山信仰の中心地であり、その圧倒的な自然環境からパワースポットにもなっています。
国道11号線沿いに建つためアクセスの良さも魅力的。愛媛県西条市へ訪れた際には、石鎚神社(口之宮本社)へ参拝し、霊峰のパワーを身近に感じて下さいね。


