自転車旅を続けていくに当たり、「峠」は避けては通れません。
勾配の程度の差はあれ、遠くへ移動する際には、峠を越えなければならない場面があります。
今回の旅では、愛媛県伊予市から松山市を経由して、今治市へ向かうに当たり、水ヶ峠(みずがとうげ)を越える選択を行ないました。
松山市では、当初の計画を変更して、椿神社と松山城以外にも萬翠荘、坂の上の雲ミュージアム、秋山兄弟の生家へ観光を行った次第です。
その結果、観光に時間を割きすぎたため、水ヶ峠を越える途中で日が暮れるはめに。
予定外の夜間走行になりましたが、これも自転車旅を続けていれば、十分に起こり得ることですね。
本記事では、伊予市から今治市までの自転車旅の様子をお届けします。
伊予市を旅立ち、松山市を目指す
旅のスタートは、前日宿泊したホテル「いよプリンスホテル」からです。
昨夜は、いよ温泉で旅の疲れをしっかり取れてリフレッシュできました。
ちなみに、昨日の旅の様子を下記関連記事で紹介します。
本日の天気は曇り、しだいに天気が回復する見込みという。幸先はあまり良いとは言えませんが、雨が降るよりかはましでしょう。
明日は天気が回復して晴れになる予定なので、しまなみ海道のサイクリングが楽しみです。
そのため、本日はしまなみ海道の玄関口となる今治市へ向かいます。伊予市から今治市までは、距離にして約55kmほど。
それほど大した距離でもないので、松山市で少し観光して、今治市へ向かえば夕方になる前には辿り着くだろうと、この時は安易に考えていました。
ホテル周辺の商店街をのんびり走りながら、町並み見学を行ないます。
町並みを見学していると、その土地の歴史や文化に触れたりできるので面白いですね。
そうこうしている内に、太子堂の上に安置されている金剛力士像を目撃。
力強さの中に親しみを感じる造形です。でも普段見かける金剛力士像とは何かが違う。
よく見てみると、この金剛力士像は焼き物でできていることに気が付きました。
後から調べて分かったのですが、江山焼きで作られており、大変珍しいもの。
伊予市指定文化財に指定されています。
意図せず、このような新たな発見があったりするのは、旅の醍醐味の1つですね。
商店街を抜けた後は、海岸通りへ向けて自転車を加速させました。
すると、あっという間に塩屋海岸へ到着。
工業団地の横にあるとは思えないほど、静かな海岸です。
しばらく海を眺めていましたが、あいにくの天気。晴れていれば、かなり綺麗なことが容易に想像できますね。
聞くところによると、夕日の絶景スポットだという。仕事帰りに夕日を眺めながら帰宅すれば、1日の疲れが吹き飛ぶでしょう。
塩屋海岸から東へ向けて重信川沿いを走り、県道326号へ合流後に北上すれば、松山市の市街地へ向かえますね。
途中から重信川自転車道を見つけたので、そちらへ移動します。
やはり、自転車道(サイクリングロード)は、車の心配をしなくても良いので嬉しいです。
自転車のペダルを回すスピードを緩め、再びのんびりしながら進みました。
重信川に架かる橋を越えれば、そこはもう松山市。
まずは、椿神社へ向かいましょう。
【自転車旅の様子(その1)】
私が自転車旅をした様子を下記記事で紹介します。
珍スポット、椿神社の大鳥居を見学
椿神社の正式名称は、伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)ですが、地元では親しみを込めて「椿さん・椿神社」と呼ばれ、どちらかといえば通り名の方が有名ですね。(本記事では椿神社とお呼びします。)
椿神社へ向かう県道190号には、県道を跨るようにそびえ立つ大鳥居がありました。
この大鳥居は、高さ13mもあるので見上げる程の大きさですが、大きさ以外にも凄い秘密があります。
何が凄いかというと、鳥居の直ぐそばにはマンションがあり、このマンションに鳥居の一部がめり込んで見えるのです。
一瞬ギョとしてしまう光景ですが、実際はめり込んでいないですね。
実は、マンションの建築時にぶつかりそうな部屋の窓部分だけは、約1~2m内側へ凹ませた「入り窓」にして、鳥居との接触を回避しました。
あまりの珍しさに、ナニコレ珍百景にも登場したんだとか。
窓から手を伸ばせば、簡単に鳥居に触れてしまえそうなので、ご利益がありそうですね。
椿神社へ参拝
県道190号を進んでいると、しばらくして椿神社へ到着。
早速、拝殿へ向かい参拝したのは言うまでもありません。その後、境内を散策しながら、じっくり椿神社を見学しました。
椿神社は、商売繁盛や縁起開運のご利益があるパワースポットであり、全国で唯一、県名に神様の名を使用している神社です。
椿神社のご神祭の1柱に、愛比売命(えひめのみこと)がいますが、名前から分かるように、愛媛県という県名は、ご祭神の名前が元になっています。
「伊予路に春を呼ぶ祭り」として知られる四国一の大祭「椿まつり」では、約500mの県道に約800店舗の屋台が並ぶという。期間中には、数十万人の参拝客が訪れるそうですよ。
椿神社は、拝殿・回廊、楠の御神木、可愛いお姫様がいる手水舎など見どころも盛り沢山。
時間の許す限り、色々見て回りましょう。
くわしくは、下記関連記事で紹介します。
大幅に計画変更、松山観光に力を入れる
椿神社を後にして、松山城へ向かいました。
その道中では、愛媛県庁の前を通ります。この県庁の外観は、初見では絶対に県庁には見えません。
まるで宮殿や美術館のような外観ですよ。
事前知識なしで、県庁と見破った人は大したものです。(私は美術館だと思いました。)
愛媛県庁の前を通り抜けると、坂の上の雲ミュージアム(博物館)の案内板を見つけました。
私は小説「坂の上の雲」のファンです。
当初の予定にはありませんでしたが、自然にその博物館へ向かうのは自明の理。(笑)
博物館に隣接して、フランス・ルネッサンス風の洋館である萬翠荘(ばんすいそう)があるので、合わせて足を運ぶことに。
こうして、当初の計画が狂い始めてきたのです。(旅人あるあるですね。)
そこで、まずは萬翠荘へ行ってみました。
白亜の洋館「萬翠荘」を観光しよう
こちらが萬翠荘です。写真を見て分かるようにとにかく美しい。この白亜の洋館は一見の価値があります。
往時は各界の名士が集まる社交場となったそうです。
また、皇族の方々が松山の地を訪れた時は、必ず立ち寄ったという。昭和天皇もご滞在したそうですよ。
館内にあったグラデーションが美しいステンドグラスが目を引きます。
それに、忘れてならないのは、こちらの水晶で出来た豪華なシャンデリア。
パワースポットとして人気があるとか。隅々まで見学して、萬翠荘を堪能しました。
くわしくは、下記関連記事で紹介します。
坂の上の雲ミュージアムを観光しよう
萬翠荘を後にして、次に訪れたのは、坂の上の雲ミュージアムです。
司馬遼太郎先生が、執筆した数多くの長編歴史小説の1つに「坂の上の雲」がありますが、この小説をモチーフにした博物館ですね。
この小説について簡単に説明すると、明治維新により近代国家に成長していく明治日本を描いており、日清戦争を経て、祖国の存亡をかけて大国ロシアと戦い、勝利するまでを描いてます。
特に激動の時代を生き抜いた松山出身の青年3名(秋山好古、秋山真之、正岡子規)の視点から語られるストーリがとても魅力的。
そのため、この小説のファンならば是非1度は、足を訪れたい場所。かくゆう私も昔訪れたことがあるのですが、何度でも足を運びたくなるものです。
館内は、基本的に展示品の撮影は禁止(一部は撮影OK)なので気を付けましょう。
たとえファンでなくても、令和の時代だからこそ、激動の時代を生き抜いた先人の知恵や思いに触れてみれば、すごく良い刺激を受け取れると思います。
尚、坂の上の雲ミュージアムについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
頭が良くなる噂がある「秋山兄弟の生家」へ行こう
坂の上の雲ミュージアムを見学した後は、小説「坂の上の雲」の主人公である秋山兄弟の生家へ向かいました。
こちらが、秋山兄弟の生家です。坂の上の雲ミュージアムから徒歩約5分ほどで辿りつけます。
敷地内には、秋山好古と秋山真之の銅像が立てられている。
実は、この真之の銅像に触れると頭が良くなるという噂があるという。あらゆる試験に合格するらしい。
真之は「目的に対して、細心の注意を払って準備を行ない、効率よく努力する」という人物だったので、勉学にまい進する人にとっては、あやかりたいと思うものかな。
その気持ちは、よく分かりますね。
松山城で愛媛の都市伝説?を体験
当初の計画からかなりの変更となりましたが、よいよ松山城へ向かいます。
松山城は、松山市のシンボルであり、代表的な観光スポットですね。
現存12天守の1つであり、歴史的にとても貴重。天守以外にも芸術的に美しい石垣や恋人の聖地に選ばれている「二の丸史跡庭園」など見所が多いですよ。
そして、本丸広場では、愛媛の都市伝説?を体験できます。
愛媛の都市伝説といえば、「蛇口をひねるとポンジュースが出る」というもの。
聞いたことがある方も、多いのではありませんか。
こちらがその蛇口。カップは2つから選べて、プラカップ(350円)とビアジョッキ(500円)がある。
迷わずビアジョッキを選択し、蛇口をひねると、ドバー!とポンジュースがジョッキに流れてきました。
そして、ジョッキを口に当てほとんど一気に飲み干します。
見晴らしの良い本丸広場で飲むこともあって、実に美味しい!
全くよい体験ができました。(嬉)
この体験が、本当に毎日自宅で手軽に行えるならば、かなり羨ましい。
愛媛の都市伝説を信じるか信じないかは、あなた次第です。
尚、松山城については、下記関連記事でくわしく紹介します。
大誤算!水ヶ峠を越える最中に日が暮れる
既に松山市の観光だけで、6~7時間が経過していました。つまり日中のほとんどが、松山市の観光だけに費やしたことになる。
楽しかったのでそれ自体はよかったけれど、これ以上観光すれば、今治市への到着は日没後になることは必至。
少なくとも暗くなる前までには、水ヶ峠を越えたい。今治市までの残り距離は、約40km程度なので、正直微妙なところです。
急いで自転車のペダルを回し、松山城から奥道後を目指します。
道は次第に上り坂になってきましたが、一定のペースを保ち、国道317号を爆走。
楽しくなってきますね。サイクリストは、ヒルクライムが好きな人がわりと多い。
それは、頂上まで辿り着いた時の達成感や充実感を味わいたいから。
ヒルクライムは決して嘘を付けない、自分の力が試される最高のシチュエーションです。
気分は小野田坂道。ハイケイデンスもどきでペダルを回し続けていました。(笑)
すると、いつの間にか辺りはオレンジ色に包まれることに。
まだ、水ヶ峠の頂上へ辿り着けていないので、少し焦ります。
ここで小野田坂道のように「ケイデンスをもう30回転あげます!」と宣言して実行できればカッコイイのだけど、現実にそんなことできる人はいるのかな。
しばらくして、水ヶ峠の頂上のトンネルに到着。
このトンネルをくぐり抜ければ、ほぼダウンヒルですね。
まだ辺りは若干明るいので、完全に暗くなるまでには峠越えが何とかできそうです。
トンネルを抜けて、スピードをコントロールしながら一気に下ります。
日中ならば、この時間が永遠に続いて欲しい思いますね。
それほどダウンヒルの滑空感は素晴らしいのだけど、辺りが暗くなっているのでスピードは抑え気味。
若干残念な気持ちのまま降下していると、玉川湖畔の里へ到着。
日中ならば、すぐ近くにある玉川湖へ絶対に立ち寄ったでしょう。残念ながら今回はパス。
そのまま峠を下りきり、今治市の市街地へ向かいました。
この頃には、完全に日が沈んでしまいましたが、峠を越えた安心感からか、ペースを緩めのんびり走っていた次第です。
そして本日の宿泊先へ到着。こうして今回の旅は終了しました。
【自転車旅の様子(その2)】
私が自転車旅をした様子を下記記事で紹介します。
まとめ
私が自転車で旅をする時は、大抵は日中で走れるよう計画しているのですが、さすがに計画外の観光を3件も追加すれば、予定が大幅に狂ってしまいます。
しかし、これはある意味一人旅の特権ですね。自由に時間を使えるのは、本当に素晴らしいこと。
今回は結果オーライの部分もありますが、日没になる時刻を考慮して、観光地を回る時間配分をしなかったのは反省すべきですね。
興味がある場所へ立ち寄るのは、旅人ならば当たり前のことなので、こればかりは改善できそうもありません。