ジャパンレッド発祥の地・吹屋へ再び訪れます。前回は、吹屋の町並み自体がまさかの道路工事で、全面通行止めという結末を迎えたのは記憶に新しい。(そのときの自転車旅の記事はこちら)
ということで、リベンジライドを行なった次第です。
前回の反省を含め、吹屋の町並みおよび道中では、道路工事をしていないことは確認済み。電車輪行にて最寄り駅となる備中川面駅へ向かいました。
本日は、山中に佇む吹屋ふるさと村へ訪れた後、下山して高梁市のシンボル「備中松山城」へ足を運びます。
備中松山城には、猫城主・さんじゅーろーがいる。さて猫城主とのファーストコンタクトは、どうなるでしょうか。
本記事では、岡山県高梁市を巡り、総社市の備中国分寺まで自転車で旅した様子をお届けします。
備中川面駅より旅立つ
雲一つない晴天の下、暖かな日差しが満遍なく辺りに降り注いでいます。
季節は春。まさに旅をするのには、絶好の季節ですね。私を乗せた電車がゆっくり備中川面駅へ到着しました。
朝が早いためか、ホームに誰もいません。いつものように輪行袋をかつぎ、ホームから駅舎をとおり抜ける。そして、輪行袋から愛車(自転車)を取り出し、手際よくセッティングを行ないます。
私がいる場所は、岡山県高梁市。冒頭でも述べましたが、本日の最初の目的地は「吹屋ふるさと村」ですね。
備中川面駅から吹屋ふるさと村までの距離は約17kmなので、距離的には大したことはありません。準備が整ったところで、早速旅立ちますよ。
駅周辺にあった静かな住宅地を颯爽と通り抜け、高梁川沿いの道を走る。前回もそうでしたが、本日も数人の撮り鉄が群がっている。お目当ては、やはり「特急やくも」でしょう。
何にしても趣味があるのは、人生に彩りを与えてくれますね。無趣味でも悪くはないですが、あった方が断然いい。彼らを横目でチラリとみながら、そんなことを考えていました。
まずは軽くゆっくり走る。いきなり全力で走りはしない。ウォーミングアップが大事です。田井橋を通過して少し進むと、遠くに特急やくもが見えてくる。撮り鉄たちの健闘を祈ります。
しばらくして、国道180号へ合流すると、そのまま道なりに北上。すると、吹屋ふるさと村へ向かう道である高梁坂本線(県道85号)の分岐点が見えてきた。
そこから先が「ヒルクライムチャレンジシリーズ高梁吹屋ふるさと村大会」のコースですね。
さぁて、ここからが本番ですよ。
【自転車旅に欠かせないアイテム紹介】
輪行袋やボトルなど自転車旅に欠かせないアイテムは色々ありますね。下記記事では、そんなアイテムのおすすめを紹介します。
吹屋ふるさと村へ向けてヒルクライム
路面から伝わる勾配が、少しづつ上がってきているのを感じていると、沿岸にヒルクライムコースのSTARTを知らせる看板が見えてきました。
まだ備中川面駅から3kmも走っていないため、体力満タン、気力も充実しています。勾配がグッと上がりますが、フロントギアをインナーに落とし、リズミカルなペダリングに徹しますよ。
気分はプチ山王(小野田坂道)。鼻歌交じりで坂道を駆け抜ける。
暖かな気温の中、私のはく息の音のみが耳に聞こえます。静かですね。自転車を走らせていると、本当に極まれにですが、全く音がしない世界へ行けることがある。
それは体感時計で約1分にも満たない短い時間。そんな不思議な世界を私は「聖域(サンクチュアリー)」と呼んでいます。
それは偶然なのか、必然なのかは分かりませんが、現代科学では、世の中の全てが解明されているわけじゃない。そんな世界があると信じていたほうが面白いですね。
坂道を上り続けていると、記念碑がある場所へ辿り着きました。ここまできたら、吹屋ふるさと村まで残り10kmです。まだまだ全然余裕ですよ。
そして、道なり進んでいけば御葉峠のバス停へ到着。このバス停の停留所には、お地蔵様が安置されています。
快調に走り続けて、吹屋ふるさと村まで残り5km地点に到着。
初見では「もう残り5kmか、これは楽勝だな」と感じる人は多いと思う。しかし、ここで油断してはいけないことを私は知っている。
この先残り3km当たりから、このコースは本気を出してきますね。
これまで、2~4%程度の緩い斜度が多かったのですが、それが7~10%辺りを繰り返すコースとなる。そのギャップに油断していればDNFになるかも。
ヒルクライムでは事前情報が特に大事。少なくとも麓から山頂までの平均斜度と最大斜度は抑えておくように。知らずに走っていれば、あまりにもきつすぎる激坂が続くことで、心が折れてしまいます。
情報を制するものは世界を制す。現代の自転車の世界では、情報が大事ですよ。
しばらく上っていると、沿岸に「ようこそ吹屋ふるさと村へ」と書かれた大きな案内板が見えてきました。
実はここで安心してはいけません。ここから残り約1kmを上った先に吹屋ふるさと村があるからです。なので、最後まで油断せずにいこう。
今走っているところは「旧吹屋往来」と呼ばれていた旧道なんだとか。案内板のあった周辺では、わずかですが赤銅色の石州瓦の住宅が連なっている。
そんな住宅地を通り抜けると、吹屋ふるさと村まで残り1km。ラストスパートをかけます。
ハイケイデンスクライムもどきの発動です。くるくるペダルを回しながら坂道を上りきった先には、吹屋ふるさと村の入口が見えてくる。ここから先は、車両の乗り入れはNG。
なので、自転車をおりて押して歩きます。そして、少し中へ入るとヒルクライムコースのゴールへ到着しました。
そして、自転車をとめに駐車場へ向かった次第です。
【自転車旅に役立つサービス紹介】
自転車旅に役立つ便利なサービスを、下記記事で紹介します。
吹屋ふるさと村の観光
岡山県高梁市の山間にある吹屋は、江戸時代から明治時代にかけてベンガラ(弁柄)顔料と鋼生産で栄えた鉱山の町です。
ベンガラ色で統一された吹屋ふるさと村の景観は、まさしく「ジャパンレッド」の名に恥じない。
古い建屋が建ち連なる様子を眺めていると、ノスタルジーを感じます。吹屋ふるさと村は、重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、日本遺産ですね。
吹屋で生産されたベンガラは全国に流通している。伊万里焼や輪島塗など日本を代表する工芸品を鮮やかに彩ります。
後世に残したい赤い町並みを散策しながら、思い思いの時間を過ごしました。
そんな吹屋の町並みをダイジェストで紹介。
こちらは、旧片山家住宅。吹屋を代表する豪商であった片山家の住宅です。一般公開されているので、ぜひ立ち寄ってもらいたい。
近世弁柄商家の典型として高く評価されており、国の重要文化財に指定されてます。
町並みから少し離れところには、旧吹屋小学校やベンガラ館、広兼邸などの見どころも多い。
また、観光化されている吹屋ふるさと村では、食事処やカフェ、土産屋、雑貨屋、宿泊施設などもそろっている。時間に余裕があれば1泊してじっくり見て回ると良いでしょう。
城見橋公園へ向かう
吹屋ふるさと村を後にして、来た道を引きかえしました。今度は一気に下り道となるため、まるでジェットコースターのように自転車が突き進む。
周辺の山々が織りなす緑の景色。それに空気もうまい。
吹屋ふるさと村の観光帰りともあって上機嫌で、坂道を駆け抜けました。再び国道180号へ合流すると、今度は南下して高梁市街を目指します。
吹屋ふるさと村から目まぐるしく景色が切りかわる。木々に囲まれていたと思ったら、空が開けたんぼの景色が広がり、そして高梁川の雄大な景色へ辿り着く。
自転車旅では、人が営む風景・のどかな風景・美しい絶景など多くの風景に出会う。
それが魅力の1つであり、そんなまだ見ぬ風景を目にしたい、体験したい、感じとりたいため旅を続ける人は多いです。もちろん私もその1人ですよ。
高梁川沿いの道(国道180号)を爆走していると、あっという間に高梁市街へ到着しました。
さぁて、城見橋公園へ向かいましょう。実は城見橋公園は、これから向かう備中松山城の5合目。
この公園の駐車場からお城へ向かうシャトルバスが運行しています。
ちなみに、シャトルバスが運行している日は、備中松山城の登城口(登山口)となる「ふいご峠(8合目)」までの通路は一般車両は通行禁止ですね。
自転車のギアをインナーにかえて、坂道をリズミカルに駆け上る。城見橋公園へ向かう道中では、水車小屋(今は使ってないかも?)や小ぶりな滝がありました。
しばらく滝を眺めながら、マイナスイオンを感じ取ります。再び坂道を上っていると、目の前には鯉のぼりがズラリと並んでいる。
風がないため、泳いでいないのが残念だ。その鯉のぼりの奥には、橋の近くで交通整理をしている人たちを見て取れます。
その人たちを見て、城見橋公園まであと少しと判断、ペダルを回す足にも力が入るもの。
しばくして、城見橋公園の駐車場へ到着しました。
【カメラに関する話】
自転車旅に限った話ではありませんが、旅の道中では撮影する機会が多い。記憶に残したい最高の1枚を撮りたいときもあるでしょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
備中松山城で猫城主と出会う
高梁市街の北端には、臥牛山がそびえ立つ。この臥牛山は4つの峰からなっており、その中の1つ標高430mの小松山の山頂には、備中松山城が築かれています。
備中松山城は、日本三大山城の1つであり、全国で12城しかない現存天守を持っている。今の城主が猫のさんじゅーろー。備中松山城PR大使として日々活躍しています。
私は備中松山城へ過去に何度も訪れていますが、猫城主にまだ一度もあったことがない。なのでぜひ会ってみたく、備中松山城へ訪れた次第です。
城見橋公園からシャトルバスに乗り、約10分ほどでふいご峠へ到着。ここから登山の開始ですよ。
道は整備されているので歩きやすいですが、動きやすい服装に靴は、スニーカーや運動靴などがよい。ハイヒールは危ないので止めた方がいいですね。
約20分ほど山道を登っていると、見事な石垣が目の前に現れます。思わず「おー」と言葉が漏れてしまうほどの大迫力。
三の丸、二の丸を経て登ること5分ほどで本丸に到着すると、なんとお目当ての猫城主・さんじゅーろーとファーストコンタクト。
観光客に取り囲まれたその姿は、実に堂々としている。しばらくの間、さんじゅーろーを愛でながら休憩を取りました。
さんじゅーろーは、2018年(平成30年)7月に発生した西日本豪雨の後、備中松山城三の丸で保護された猫です。
この猫の影響力は凄まじく、豪雨の影響で落ち込んでいた観光客数がV字回復したという。ともて人懐っこい性格であり、その可愛さと相まって、たちまち観光客の人気物になりました。
天守をバックに、さんじゅーろーを撮影。旅の良い思い出になりますね。
その後、天守や二重櫓など様々な見どころを、観光していた次第です。
そして、ふいご峠の駐車場へ向けて下山すると、シャトルバスに乗って城見橋公園へ戻りました。
尚、備中松山城については、下記関連記事でくわしく紹介します。
レンゲ畑と五重塔
再び自転車に乗ると、高梁市街をゆっくり駆け抜けます。そして三度国道180号へ合流し、ひたすら東へ走りました。
本日の旅の締め(ゴール)は、備中国分寺の五重塔がみえるレンゲ畑。なので、備中国分寺のある総社市へ向かいます。
高梁市から総社市へつながるコースは、色々あるけれど、やはり高梁川沿いの国道180号を使うのがベストでしょう。
紅葉の名所として名高い豪渓方面を経由するコースもあるのですが、遠回りになる上、アップダウンも大きい。高梁川沿いの道ならば平坦路の上、最短距離で総社市へ辿り着く。
国道のため、車の交通量はそれなりにありますが、メリットの方が大きいかな。
しばらくすると、豪渓秦橋へ到着。この橋からは、石畳(いわだたみ)神社の御神体が見て取れる。
橋を渡り、宍粟真備線(県道278号)を進むと、高梁川にかかる総社大橋がみえてくる。この橋を渡れば、総社市街まであと少し。
そして市街地を抜けると、田園風景が広がっています。特に備中国分寺周辺は、この時期レンゲが咲き誇り、ビュースポットとして知られている。
自転車を止めて、レンゲ畑をしばらくの間、見続けていました。どれくらい経ったのでしょうか、ママチャリに乗った学生たちが、畦道を通り抜けていきます。
ふとサイクルコンピュータを確認してみれば、時刻は18時近く。もうそんなに時間が経っていたのですね。
旅のハイライトとして、備中国分寺の五重塔がみえる場所へ移動して記念撮影。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
まとめ
本日は岡山県高梁市を巡り、吹屋ふるさと村と備中松山城へ訪れました。
両方ともアクセスが決して良いわけではありませんが、魅力ある観光地であり、多くの人に足を運んでもらいたい。
ベンガラ色で統一された町並みなんて、日本中探しても吹屋ふるさと村だけでしょう。初見ならば赤い町並みに驚きますよ。備中松山城では、猫城主・さんじゅーろーに会えて癒されました。
また、機会をつくり足を運びたいですね。