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旅の体験談

岡山市・総社市の自然を楽しむサイクリング、城跡や龍泉寺を訪ねる

足守川沿いの道

池があるお寺や神社は、それほど珍しくありませんが、小さな池であることがほとんどです。しかし、岡山市に位置する龍泉寺では、八大龍王のご神体を祀る広大な龍王池があります。

実は龍泉寺の敷地内は、豊かな自然を満喫できる環境であり、特に龍王池はフォトスポットとしても素晴らしい。

なのでJR庭瀬駅からスタートして、龍泉寺へ向かった次第です。その道中では、庭瀬城跡と撫川城跡、雪舟生誕地公園へ足を運びました。

本記事では、岡山市・総社市の自然を楽しみながらサイクリングした様子をお届けします。

本記事は、以下に該当する人向けです。

  • 自転車旅やサイクリングが好き
  • サイクリングの道中で見聞を広めたり、様々な体験をしたい

JR庭瀬駅からスタート

JR庭瀬駅
庭瀬駅

本日のサイクリングは、町中にある庭瀬駅から始めます。庭瀬駅は、岡山駅から山陽本線で西へ向けて移動し、2番目に停まる駅ですね。

この庭瀬地区と接する撫川地区とともに、江戸時代では城下町(陣屋町)として発展しました。

そんな庭瀬の玄関口となる庭瀬駅から最終目的地である「龍泉寺」までは、町中を抜けた後で、基本的に足守川沿いの道を北上する平坦コース。最後の約1kmほどが急坂になっています。

片道だけで約15km、往復で約30kmしかない短めの距離ですが、油断はしないですよ。

というのは、雲一つない晴天なのはありがたいのですが、気温が28度ぐらいあるため、自転車で走り続けていると、さらに暑くなるので体調には気を付けたい。

庭瀬駅前
庭瀬駅前

暦ではすでに秋なのですが、全然涼しくないのは地球温暖化のせいでしょうかね。ここ近年、サイクリング日和が続く秋の期間が短くなっており、残念に思っています。

本日のサイクリングは、どちらかというと「ゆるポタ」といった方がしっくりくる。急ぐ必要は全くないので、自転車のペダルをゆっくり回して、自然を楽しみながら走ることにしました。

さて、それではサイクリングを始めましょう。

庭瀬城跡と撫川城跡の見物

庭瀬城跡前の路地
庭瀬城跡前の路地

庭瀬駅の西側は住宅街となっており、路地裏を走ること約4分ほどで辿り着いたのが庭瀬城跡です。せっかくなので見物していきます。

「えっ、始まったばかりで、全然先へ進んでいないじゃない。」そんな声が聞こえてきそうですが、興味があるものを見つけたら、立ち寄るのが私のスタイル。そういうことで、庭瀬城跡へ突入しました。

この辺りは、かつて足守川の河口に広がる沼地であったといいます。庭瀬城は典型的な沼城であり、水陸交通の要衝として重要な位置を占めていたそうです。また、天正年間には城代として毛利氏の部将が在城しており、隣接する宇喜多領の境目を守る大切なお役目がありました。

庭瀬城跡
庭瀬城跡

そんな庭瀬城は、江戸時代初頭に廃城となりましたが、その後は二之丸に庭瀬藩庁を設けて庭瀬陣屋(にわせじんや)となります。

そのため、現在でもこの当たり周辺には、水堀が張り巡らされている。Googleマップで庭瀬城跡の周辺を確認すれば、水堀の規模がよくわかります。

水堀
水堀
水堀の風景

この水堀で注目したいのが、大賀ハスですよ。大賀ハスとは、大賀一郎博士が発見した2000年以上前の古代のハスのこと。

大賀ハス
大賀ハス

日本各地へ旅をしていると、それなりに大賀ハスを見かける機会が多いので、個人的にはそこまで珍しさを感じませんが、縄文時代の遺跡で採取されたハスの実が発芽に成功したものなので、歴史ロマンを感じずにいられない特別な植物でしょう。

清山神社
清山神社

城跡の奥の広場には、清山神社が鎮座している。この清山神社一帯にかつて庭瀬陣屋が築かれていました。清山神社へ参拝した後で、次に向かったのは西に約200mほどしか離れていない撫川(なつかわ)城跡です。

う~む、これほど近くに別の城があるのを不思議に思う方も多いでしょう。実はもともと庭瀬城と撫川城は一体の城だったとか。それが色々あって、大名の庭瀬城(庭瀬陣屋)と旗本の撫川城(撫川陣屋)となりました。くわしくは割愛しますが、興味がある方は調べてみて下さい。

撫川城址公園
撫川城址公園

現在では、撫川城跡は撫川城址公園として整備されており、西半に高さ4mほどの高石垣と東半には土塁が現存しています。

撫川城跡の風景
水堀、奥には石垣がある

入口には、現存する撫川地行所総門が明治時代に今の位置に移築しました。

撫川地行所総門
撫川地行所総門

門をくぐり抜けた先には、芝生広場に木々の緑がいい感じで、とても気持ちの良い空間ですよ。

芝生広場

どこからか鳥のさえずりが聞こえてきて癒されましたね。

園内では三神社が鎮座していましたので、ここでも参拝したのは、いうまでもありません。

三神社
三神社

2つの城跡は、それほど広くはないので、30分もあれば一通り見て回れます。人によっては、物足りなさを感じるかも。けれど駅から近くて、気軽に立ち寄れる2つの城跡は、歴史ロマンを感じる場所ですね。

石垣や水堀などかつての城の遺構が残っているので、歴史好きの人におすすめです。

自然を楽しむサイクリング

住宅街
住宅街

撫川城跡を後にして、少し北上すると、県道162号(旧国道2号)へ合流。そこから約500mほど西へ進めば、足守川が見えてきました。

この足守川沿いは、車通りの少ないサイクリングに適した道です。それに平坦路が続くのも嬉しいところ。なので、自転車のペダルをゆっくり回しながら、そのまま足守川に沿って北上します。

のどかな風景
のどかな風景

周囲を眺めると、のどかな田舎の風景に心穏やかになりますね。

うん、これは葉っぱで作られた巨大な鳥かな。

葉っぱで作られた巨大な鳥
巨大な鳥?

そんな風に見えるのは、きっと私だけじゃないと思います。何気ない風景を眺めるだけでもサイクリングは楽しい。時に自転車を停車して、ゆるやかに流れる足守川を眺めたりしていました。

足守川
足守川
足守川沿いの道

周辺には、桃太郎のモデルとなった吉備津彦命(きびつひこのみこと)と古代の鬼である温羅(うら)との戦いの舞台(楯築遺跡・矢喰宮・鯉喰神社)が点々としていますね。これらも先ほど訪れた庭瀬城跡と撫川城跡同様、歴史ロマンを感じる場所ですよ。

今回は足を運びませんが、本日訪れたのは田園の中に突如現れる、こちらの惣爪塔跡(そうづめとうあと)です。

惣爪塔跡
惣爪塔跡

惣爪塔跡は、古代の寺跡を示す塔跡の心礎があります。この心礎は、長径2m、短径1.5mの花崗岩の上面に円柱孔が見て取れる。円柱孔は綺麗な真円なので、自然にできた物ではないのは明らかだ。

塔跡の心礎
塔跡の心礎

かつて、この辺りには塔が建ち、周囲には伽藍が展開されていたのでしょう。その他にも金堂や講堂などが並んでいたはずですが、今のところ塔心礎しか見つかっていません。

また、付近一帯は弥生時代の集落跡でもあり、水田の下から貝層や土器などの遺物が見つかっています。尚、惣爪塔跡は1928年(昭和3年)に国の史跡に指定されました。伽藍が営まれていた当時は、きっと華やかだったのではないでしょうかね。

田園風景
田園風景

今ではそんな面影は全く残っていませんが、田園風景を眺めながら、かつての栄華に思いを馳せていました。

惣爪塔跡を後にして、足守川を横目で眺めながら自転車を走らせていると、今度は野鳥の集団を発見。ブレーキをかけて自転車を止めた後で、バードウォッチングとしゃれ込みます。

足守川の風景
足守川の風景
野鳥の集団
野鳥の集団

カモを始めバラエティーに富んだ野鳥たち。同じ場所に一同に見かけるのは、珍しいですね。そんな感じで自然を楽しみながら走っていたので、遅々として先へ進まないのは仕方がないかな。(笑)

雪舟生誕地公園
雪舟生誕地公園

しばらくして、川沿いを離れて一面に畑が広がる道を進んでいると、雪舟生誕地公園を見つけます。「こんなところに画聖・雪舟ゆかりの場所があったかな」と気になったので、立ち寄ることにしました。

画聖・雪舟について学ぶ「雪舟生誕地公園」の施設を見学

ロードバイク

後から知ったことですが、雪舟生誕地公園は2020年11月に開園された比較的新しい公園ということ。私が知らなかったのも納得です。

雪舟の生誕600年を記念して、訪れる方の憩いと交流の場として各種施設を設けたという。

雪舟に関する生涯や功績を紹介する施設

施設の中へ入ってみると、雪舟に関する生涯や功績などがパネルで紹介していました。また、モニターを設置しており、雪舟関連の動画を上映しています。

施設内の様子

個人的に気に入ったのは、こちらのネズミのトリックアート。

ネズミのトリックアート

雪舟が宝福寺で修行中に罰で柱に縛られた際、涙でネズミを描いた話は有名ですね。(宝福寺については、こちらの記事で紹介します。)その話をカメラを通して体験できるトリックアートなんですよ。床に描いたネズミのイラストのしっぽ辺りに片足を置いて、2~3mほど離れた位置で写真を撮ってもらうのがポイントです。ぜひ雪舟になりきってみよう。

さらに枯山水の庭を、椅子に座りながら眺めて楽しめる。

枯山水の庭

うん、これは〇〇小学校シリーズのカレーだ。こういうのは好きですね。小学校時代に食べたカレーに思い出がある人は多いのではないでしょうか。

小学校シリーズのカレー
小学校シリーズのカレー

施設の周りには、芝生広場以外にも庵のような建物がある。外壁には、たくさんの風車が、時折吹いてくるそよ風によって、カラカラ回るのがよい感じ。

庵
風車

中へ入ってみれば、時代を感じる板張りの床で作られた部屋があり、中央には囲炉裏がありました。

庵の中の様子

窓のそばには、おじさんが窓から外を眺めている。初見では怪しいおじさんに見えてしまった。・・・ごめんなさい。よく見ると、雪舟の作品である「慧可断臂図(えかだんぴず)」に描かれた達磨大師じゃないですか。何だか哀愁を感じている表情にみえるのは、私だけかな。

窓から外を眺める雪舟

園内には、その他にも雪舟像が設置されています。台座を合わせ約3mの高さがあり、存在感を示している。まさに雪舟生誕地公園のシンボル的な存在でしょう。

雪舟像
雪舟像

近くには、雪舟の生誕碑もありますね。生誕碑から雪舟が吉備真備・和気清麻呂・法然・栄西と並んで吉備国五大偉人であることが分かりました。

雪舟の生誕碑
雪舟の生誕碑

また、雪舟の作品のうち「国宝」に指定されている四季山水図巻、天橋立図など6点全ての作品を、陶板画で紹介しているので、お見逃しなく。

陶板画
陶板画

雪舟に関する行事に「雪舟サミット」というものがある。このサミットを通じて、雪舟に関連のある中国地方の6市が集まり、友好の輪を広げています。この公園でも開催されたそうですよ。

こうして、見学や休憩をしながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

【カメラに関する話】

サイクリング中に立ち寄った場所で、カメラ撮影を楽しみましょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。

八大龍王のご神体を祀る龍泉寺の龍王池を訪ねる

川沿いの道

再び足守川へ合流し、そのまま北上を続けます。足守川を横目で眺めながら、自転車を走らせていると、川に架かっている橋の状態が気になりました。

こちらの橋をみて下さい。橋の幅が狭く、人ひとりが歩けるスペースしかありません。それに欄干がないですね。

足守川に架かる橋

昼間はともかく、夜で両端から人が渡っていたら、かなり危ないかも。足元を懐中電灯で照らしながら渡っていれば、前を歩く人に気づかないことは、十分に考えられます。そのような橋が数本架かっている。

そういえば、岡山市内で見かける用水路の中には、ガードレールで用水路に落ちないようにガードしていないところもある。車さえ落ちてしまうような幅の広い用水路もあり、土地勘がなければ危ないかも。まさに初見殺しですよ。そういう場所は、夜は通らないのが無難かな。

コスモス

そんなことを考えていれば、コスモスが風に揺れる景色が見えてきて癒されました。それにしても暑いので、今が秋だとは、まったく思えませんね。

おっ、よいよ龍泉寺へ向かう坂道を上りますよ。

龍泉寺へ向かう坂道

劇坂というほどでもないですが、それなりの急坂です。ずっと平坦路ばかり走ってきたので、ラスボス感がある。

急坂

しばらくすると、龍泉寺の鳥居前へ到着。このころには、けっこう汗をかいてしまいました。それでは、早速、龍泉寺の境内へ向かいましょう。

龍泉寺の鳥居

まずは拝殿で参拝した後で、龍王池へ向かいました。お寺にある池というのは、小さなものが多いですが、龍泉寺の池はものすごく広い。実は、この池は八大龍王のご神体を祀っている神聖な池ですよ。

龍王池の畔
龍王池

池の畔には朱塗り鳥居(赤鳥居)が建てられており、より神秘性を高めています。

魔王池の鳥居
赤鳥居

また、この赤鳥居はフォトスポットとしても素晴らしい。空と池のコントラストに赤い鳥居がよく映えるので、記念撮影におすすめします。

龍泉寺は龍王池を始め、福ねこ地蔵・可愛い干支の像・ユルギ岩・こい岩湿地など色々と見どころが多い。また、一般の方でも滝行へ参加できる「龍王の滝」がありますので、興味がある方は予約してみよう。

龍王の滝
龍王の滝

敷地内をゆっくり歩きながら、歴史ある建築物や豊かな自然を堪能しました。ゆったり過ごしていると、時間が経つのは早いものですね。

まだ夕暮れまでには、時間的な余裕はありましたが、帰路に付くことにします。こうして、本日のサイクリングは終わりを告げました。

尚、龍泉寺については、下記関連記事でくわしく紹介します。

まとめ

大宝塔から龍王池を眺める
高台から龍王池を眺める

本日のサイクリングは、庭瀬城跡と撫川城の見物から始まり、龍泉寺で龍王池で神秘の大自然に触れることでしめました。距離は短めですが、満足度が高めです。

ゆっくり走りながら、風景を楽しむ。そして、気になった所へ立ち寄るスタイルは、個人的にはワクワクするし、とても面白い。

同じように感じる人は、きっと多いと思う。代り映えのしないと思っていた場所も、年が経つことで色々変化していき、それが面白さや寂しさにつながることは多いですね。

また機会があれば、同じコースを走りますよ。さて、その時はどんな感想を抱くのか楽しみです。



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この記事を書いた人

年齢:40代。
職業:旅人兼ブロガー。

私にとって自転車旅が一番の楽しみであり、知らない土地、景色、一期一会の出会いなど様々な体験をしました。当ブログでは、自転車旅などを通じて体験した事や訪れた絶景・観光スポットについて紹介します。また、自転車全般に役立つ情報を発信しています。

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