旅好きの人には、経験があると思いますが、ある日突然、天啓のような閃きで旅へ出かけることがありますね。
そんな閃きが浮かんできた昼下がり、私は「よし、宮島へ行こう!」と思い立ち、2泊3日の自転車旅が始まりました。
今回の旅では「岩国・宮島・とびしま海道」を巡ります。「そこは宮島だけでいいのでは?」と思ったあなた。せっかく宮島へ行くならば、その周辺も合わせて訪れたいと思うのが人情じゃないですか。
という訳で旅の計画を立て、旅の開始となるJR新岩国駅へ向かった次第です。1日目は、岩国市で錦帯橋や岩国城、岩国白蛇神社などを見て回り、宮島では厳島神社や大願寺を訪れました。
本記事では、山口県岩国市から宮島のある広島県廿日市(はつかいち)市までの自転車旅の様子をお届けします。
新岩国駅から旅立つ
日本には、47つの都道府県がありますが、それぞれの県ごとに特色がありますね。
その中には、その県へ辿り着くと、すぐに「あっ、○○○県に入った!」と分かりやす目印のようなものがあったりする。
本日の旅の舞台となる山口県は、とても分かりやすい目印がある県の1つです。
いつものように電車輪行にてJR新岩国駅へ到着すると、早速、錦帯橋へ向けて出発しました。
駅近く道には「よう、おいでました。山口へ」と書かれた看板がありましたが、私がいう分かりやすい目印とはこれではありません。
その正体は、ズバリ黄色いガードレールだ!!
山口県を旅していると、至るどころで見かけます。もちろん普通の白いガードレールもありますが、視認性がよいことから、景観整備の一環として黄色いガードレールを整備したという。ちなみに、黄色い理由は、山口県の特産である夏ミカンから採用しました。
他県人からしてみると、何気にテンションがあがる要素かな。(私だけじゃないと信じたい。)
そんな調子で、自転車を走らせ、清流・錦川沿いの道を突き進む。錦川へ目を向ければ、川面に陽光が反射し、キラキラ見える。穏やかな川の流れは、今の私の心境を物語ります。
自然哲学について考えていれば、目の前には通行止めのお知らせが・・・ご丁寧にバリケードまで築かれている。ナンテコッタイ。
旅を続けていれば、よく遭遇する工事中の道。きちんと道を整備していただくおかげで、私たちは、その恩恵を受けているのだから、文句を言うのお門違い。そんなことは良く理解しているのだけど、感情がそれを許さない!
うん、人間はやっぱり難しいと考える今日この頃です。
仕方がないので国道2号へ合流し、その後、藤生停車場錦帯橋線(県道112号)へ進むと、特徴的なアーチが見えてきた。
そこからはあっという間に錦帯橋へ到着しました。
【輪行に関する話】
輪行により自転車の行動範囲は広がりますね。下記記事では、輪行に関する話を紹介します。
岩国のシンボル・錦帯橋と岩国城を満喫
河川敷の無料駐車場へ自転車を止めて、いざ錦帯橋へ向かいます。錦帯橋はいわずと知れた、山口県有数の観光スポットとして全国に知られていますね。
私も過去に何度も訪れている場所ですよ。たとえば、周防大島のサイクルイベントなどへ参加する際、錦帯橋へ立ち寄りました。
料金所で「錦帯橋+ロープウェイ(往復)+岩国城」のセット券を購入し、美しい五連アーチが印象的な木造橋を1歩1歩ゆっくり進む。橋の上から見渡せる、清流・錦川が織りなす景色が素晴らしい。
全長約200mの錦帯橋を渡り、向こう岸へ到着すると、目の間には吉香公園 (きっこうこうえん) の入口が見えてきます。
この公園内にロープウェイがあるので、そちらへ向かった次第です。尚、吉香公園は色々見るべきところが多いので、後で紹介しますね。
ロープウェイに乗って約3分ほどで、標高約200mの城山(横山)山頂へ到着。ここから登山の開始だ。といっても、約8分ほどの軽いハイキングだと思ってよい。
岩国城へは、「広い道」と「山道」の2つの道がある。金の斧銀の斧のお話と違って、どちらを通過しても問題はありません。
ちなみに、広い道は名前のお通り道幅が広く、アスファルトなので歩きやすい。山道は言葉通りかな。
いざ、山道を歩いて岩国城へ向かうと、石垣があったりして、これぞ山城という雰囲気を十分味わえる。
しばらく歩くと、岩国城の天守閣が見えてきました。
天守閣は4重6階の造りで、中へ入ると刀剣や書画などを見学できます。また、最上階は展望室になっており、眼下には岩国市街を一望できますね。
もちろん、錦帯橋の五連アーチを真上からバッチリ見れるのでお見逃しなく。(展望室には双眼鏡が設置されているよ。)
尚、錦帯橋と岩国城については、下記関連記事でくわしく紹介します。
岩国シロヘビの館で遊ぼう
ロープウェイを使用して麓へ移動し、吉香公園へ戻ると、ロープウェイ乗り場の目の前に見える「岩国シロヘビの館」へ足を運びました。
そこは、天然記念物の「岩国のシロヘビ」を鑑賞できる場所。ということで、早速館内へ入ります。
最初に入ったブースは、昔から岩国にまつわる白蛇の伝承を、資料やパネル、映像を使って紹介していました。
おっ、町民が白蛇と出会う場面だ。それにしてもリアル人形ですね。
白蛇は神様の使いとして、昔から岩国では大事に保護しています。
そして何より目玉となるのは、白蛇の展示室でしょうね。
白蛇が住みやすいように、ガラスケースの中は、自然に近い環境を再現しており、温度調整もバッチリ。そのため、1年中鑑賞できますよ。
個人的にはヘビは苦手なのですが、白蛇には愛嬌を感じるかな。なので、ジッと見ていても平気です。
また、白蛇の骨格・内臓が理解できる模型があったり、白蛇に関することをクイズゲームで面白く学べます。
ちなみに、こちらはレバーで白蛇を操作して、制限時間内に何個エサを捕獲できるのか競うゲーム機。ということで、レッツチャレンジ。
これは・・・自分の思うように白蛇を動かせない。操作には慣れが必要ですね。うん、結果ですか?すべてのエサを捕獲できませんでしたが、辛勝としよう。(決して負けてないよ!)
こちらは、グッズコーナーで見つけた「招福シロヘビ」。なんと、首元に脱皮が入っているという。金運アップが期待できるかも。
岩国シロヘビの館では、楽しく遊びながら白蛇の鑑賞ができて、面白かったですね。
吉香公園でゆるりと過ごす
吉香公園は敷地が広く、園内には見どころが多いです。柏原美術館や岩国高校記念館、岩国徴古館などがあるので、1日中楽しめます。
もともとは、山口県立岩国高等学校の敷地で、その跡地を整備して造られた大公園ですよ。日本歴史公園百選に選ばれています。
柏原美術館前では、面白い自動車を発見しましたので紹介しよう。
それがこちらの「木炭自動車」。見るからにレトロ感がにじみ出ていてよいかな。この車は、戦中戦後に活躍していました。
注目すべきなのは、車体後部にあるボイラーです。あまりの珍しさに、私なんてまじまじと見物していましたね。(笑)
実はこのボイラーで木炭を燃やし、ガスを発生させてエンジンへ送り込み、ピストンを動かす仕組みなんだとか。ナンバーを取得済みなので、公道を走れるそうですよ。
2005年に地元の麻里布モーター株式会社のオーナーが復元製作し、岩国市に寄贈しました。
中央には、大噴水が見て取れる。放水時は、水が大きくアーチ状を連ねてすこぶる景観がよいですね。
園内では芝生や木陰、ベンチで休憩しながら、思い思い過ごす人々を横目で眺めながら散策していると、興味深いものを見つけました。
それがこちらの実験橋。簡単にいえば、将来の錦帯橋の橋板加工を活かすための実験を行っている。
なるほど面白いですね。実際橋を渡ってみても、普通の橋としか思えない。まぁ、何も違和感を感じさせないのが大事なんだろうな。
ということで、ささやかながら実験に協力してみました。(笑)
岩国城主、吉川家を祀る「吉香神社」へ参拝した後で、佐々木屋小次郎商店へ立ち寄り、ソフトクリームを食べる。うん、美味しい。
園内では、名前に「武蔵」と「小次郎」の名前がついているソフトクリーム店があり、剣をソフトクリームに変えて、平和的にバトルを繰り広げているのかも知れないですね。
ちなみに、「日本一ソフトクリームむさし」は「ナニコレ珍百景」にも登場し、2023年の時点で200種類のソフトクリームがあります。
どちらの店もバラエティー豊富なソフトクリームを取りそろえており、美味しいですよ。
こうして、しばらくの間、吉香公園でのんびり過ごしていました。
【公園の紹介】
旅先で訪れた様々な公園を、下記記事で紹介します。
アクシデントは突然に起こるもの
さて、吉香公園を後にして、次に向かうのは岩国白蛇神社です。
錦川沿いの道を自転車で走らせていたのですが、しばらくしてサイクルコンピュータ(略:サイコン)で表示される地図が全く動いていないことに気が付きました。
なので、サイコンの電源を切って再び起動しなおすと、なぜかコースを選ぶたびに、途中で再起動がかかり使い物になりません。そういえば、昔に同じような現象で悩んだ記憶があることを思い出す。
う~む、これは参った。地図が使えないとなると、どこをどう走ればよいのか土地勘がないので全く分かりません。旅慣れしてなければ、パニックとまではいいませんが、不安にさいなむ状態になるものですね。けれど、こんなことでは私は全く動じない。
地図が使えなくても、土地勘がなくても、宮島までは辿り着く自信がある。なぜなら、国道へ合流した後で、青看板が指し示す方向へ向かえばよいからだ。そうなると、岩国白蛇神社へ行くのは諦めるのが無難ですが、まだ時間に余裕があるので諦めないですよ。
ということで、聞き込み調査の開始です。サイコンの地図とGPSだけが使えない状態なので、今いる位置もよく分かりませんが、歩く人を見つけては声をかけていきました。
そんな調子で有力な情報を聞いては、先へ進んでいくと、3~4人目ぐらいで岩国白蛇神社までの具体的なルートをゲット。聞いた話通りに進んでいけば、目印となるファミマを発見。
その裏側には、目的地の岩国白蛇神社が見て取れます。そして「よっしゃ!」の声とともに思わずガッツポーズ!!
嬉しさのあまり、ファミマ前でロードバイクと記念撮影。普段はあまりコンビニ前で、記念撮影はしないのですが、これも時間が経てば良い思い出になるでしょうね。
こうして、無事に岩国白蛇神社へ到着。話を聞いてくれた皆さんありがとうございました。
やはり地元のことは、地元の人に聞くのが一番分かりやすいですね。
【自転車旅に役立つアイテムの紹介】
自転車旅に役立つ便利なアイテムを、下記記事で紹介します。
岩国白蛇神社へお詣り
駐車場へ自転車を停めると、階段を上り岩国白蛇神社へ向かいました。
岩国白蛇神社は、平成時代の2012年に建てられた比較的新しい神社です。境内はこじんまりしていますが、手水舎や灯籠には、白蛇がデザインされており、見ているだけも金運UPの予感がする。
拝殿へ参拝後、ゆっくり境内を見て回っても10~15分あれば十分ですね。
隣接する「白蛇資料館」では、本物の白蛇を鑑賞できますので、足を運ばないなんて選択肢は私の中にはありません。
ということで、「岩国シロヘビの館」同様に神様の使いである白蛇様を鑑賞。ありがたや、ありがたや。
ちなみに、こちらの観察室も、ガラス張りになっており、温度調整が適切にされていますので、一年中鑑賞できます。
こうして、再び「岩国のシロヘビ」に出会った後で、よいよ宮島へ向けて走り始めました。
尚、岩国白蛇神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
いざ、宮島へ
国道2号へ合流すると、そのまま道なりに北上を続けました。
しばらくすると、広島県の西端・大竹市へ入りますが、どこにも立ち寄らずスルーすることに。今の私には宮島しか見えていません。
それに、サイコンのGPSが使えない状態での寄り道は、道に迷うリスクが高まりますね。
自転車のギアを上げてスピードアップ。心の中ではアブの雄叫びを上げている。今の私は泉田塔一郎。私自身が筋肉になるのだ。ワハハハハ!
そんな調子で走っていれば、海に浮かぶ神様の島「宮島」が見えてきた。「やった!」と声を出し、さらにテンションが上がります。こうなると誰も私を止められないし、止まる必要もない。
あっという間に、宮島口旅客ターミナルへ到着しました。
本日はフェリー乗り場周辺にあるホテルに宿泊するので、フェリーに乗る前にチェックイン。自転車と荷物をおいて、フェリに乗船し宮島観光としゃれ込むよ。
船上から見る、厳島神社の大鳥居に大興奮!
2022年12月に完了した「令和の大改修」を経て、鮮やかさが蘇り、より存在感を示しています。
宮島へ上陸後、向かうは厳島神社ですね。まずは商店街や海岸線を歩いて、大鳥居の近くまで行きますよ。
宮島では至るどころで、シカを見かけるので、どうしても足取りが鈍くなる。シカが可愛いから仕方がないかな。
そんなシカたちの真っすぐな眼差しを振り切って、御笠浜(みかさのはま)へ辿り着く。ここは、大鳥居が良く映えるフォトスポットです。
いろんな角度からカメラ撮影を楽しんだのは、言うまでもありません。
その後、厳島神社へ参拝し、隣接する大願寺も一緒に参拝しました。参拝中に夕方となっており、オレンジ色に染まる社殿や大鳥居はより神秘性が増します。
宮島で夕景を楽しんだ後は、宮島桟橋から本土へ向けてフェリーで移動。船上から見たライトアップされた大鳥居は幻想的でしたね。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
尚、厳島神社と大願寺については、下記関連記事でくわしく紹介します。
まとめ
山口広島自転車旅の1日目は、主に岩国観光に時間を費やし、満足度の高い旅ができました。錦帯橋・岩国城・吉香公園・岩国シロヘビの館は、近くにまとまっているので一緒に足を運ぶのをおすすめします。
旅の道中では、サイコンでコースを選択するたびに再起度を繰り返すアクシデントに見舞われましたが、そこは旅の経験値が豊富な私のこと、何事もなく乗り切れましたね。
もしサイコンとスマホの両方で、自転車のルート確認ができるようにしていれば、サイコンが故障しても、スマホで代替え可能なので、不安がある方はそのような対応をしておいた方がよいでしょう。
明日は再び宮島へ渡り、本日あまりできなかった宮島の町歩きや、弥山(みせん)へ登ります。
さて、2日目はどんな冒険ができるのか、楽しみですね。