高知県東部に位置する香南市から安芸市にかけて、サイクリングロードが整備されているのを知っていますか。
それが「高知安芸自動車道」です。土佐電気鉄道・安芸線の廃線跡の一部を整備して造られました。
知る人ぞ知るサイクリングロードですが、鉄道遺構や太古の地層(メランジュ)、美しい白砂青松の琴ヶ浜など見どころが多い。
特に道路に突き刺さっているように見える迫力満点の「手結港可動橋」は見ものです。
海沿いに整備されているため、潮風を感じながらサイクリングを楽しみましょう。
本記事では、サイクリングしながら足を運びたい「高知安芸自動車道」の見どころを紹介します。
高知安芸自動車道とは
高知安芸自動車道は、1924から1974年まで運行していた土佐電気鉄道・安芸線の廃線跡を活用した自転車・歩行者専用道路です。
正式名称は「一般県道高知安芸自転車動線(県道501号)」といいますね。
1985年(昭和60年)に廃線跡の一部をサイクリングロードに整備して、香南市から安芸市までの約15kmを結んでいます。
アップダウンが少なく、基本的に車は通行しないため、より快適なサイクリングを楽しめる。初心者におすすめです。
【サイクリングコースの紹介(その1)】
旅先で訪れた様々なサイクリングコースを、下記記事で紹介します。
高知安芸自動車道のコースを紹介
高知安芸自転車道では、雄大な太平洋やノスタルジーを感じる鉄道遺構、世界的に珍しい露出した混在岩の地層、現役の鉄道橋など、変化に富む風景が魅力的です。
また、コース全体を通して国道55号線が近くを通り、コースの中には並走区間も存在しています。
お遍路さんのコースとしても親しまれていて、道中にはお遍路さんの休憩所があるのは旅人として感慨深いですね。
片道15km、往復で30kmのコースなので、ママチャリで平均速度を時速10kmで走ったとしても、3時間しかかからず、お手軽に高知の自然を堪能できる。
こちらが、高知安芸自動車道のコースです。
また、コースの起点と終点は以下の通り。
- 香南市側:「道の駅やす」のすぐ近く
- 安芸市側:カリヨン広場
香南市側からスタートするならば、ヤ・シィパークに隣接してる「道の駅やす」がありますので、ここを拠点にすると便利です。
道の駅内のヤ・シィ広場では、レンタサイクルもありますので、必要に応じて活用しよう。(くわしくは後で説明)
「道の駅やす」を東へ抜けると、すぐに自転車道の入口があるので、そのまま道なりに進めばゴール近くの安芸漁港までは1本道ですよ。
実は、安芸市側のゴールは明確な目印がなくて、土佐電気鉄道安芸線の終点・安芸駅跡に造られた「カリヨン広場」がゴールといわれています。
カリヨン広場には、特産品の柚子をモチーフにした黄色い球体がチャームポイントのからくり時計があるので、チャンスがあればぜひ聞いてみよう。
残念ながら私は、そのからくり仕掛けを見ることができませんでしたが、聞くところによると、複数の鐘で童謡を奏で、黄色い球体の中からからくり人形が現れるそうですね。
- からくり仕掛けは、8:00~17:00の間で1時間毎に演奏
- 安芸市にゆかりのある弘田龍太郎氏が作曲した童謡を約50曲収録
【サイクリングコースの紹介(その2)】
旅先で訪れた様々なサイクリングコースを、下記記事で紹介します。
高知安芸自動車道の見どころを紹介
高知安芸自動車道で立ち寄りたい主な見どころを、以下にまとめました。
- ヤ・シィパーク
- 手結港可動橋
- 手結山の隧道
- 芸西村のメランジュ
- 琴ヶ浜
- 赤野自転車道休憩所
それぞれについて紹介します。
南国ムード漂う癒しの公園「ヤ・シィパーク」
ヤ・シィパークは、美しい海と南国の気候に恵まれた、県下一の規模の海水浴場を持つ複合施設です。
道の駅が隣接しており、地元の特産品やレストラン、カフェがあるので、ランチやスイーツを味わいないがらのんびり過ごそう。
また、青空の下、約530mも続く海岸沿いの遊歩道を歩きながら、最高のロケーションを楽しめます。
7月にはマリンフェスティバルYASU、8月の香南市手結盆踊り、11月の秋まつりなどイベントも盛りだくさん。お土産処、観光情報、トイレまで色々とそろっており、サイクリングを始める拠点として持ってこいですね。
園内には、こちらの津波避難タワーがあり、避難しない時は展望台として活用できます。
こちらは、タワーから眺めた景色。どうですか、いい景色でしょう。
道の駅内には、ごめん・なはり線の夜須駅があるので、電車輪行の拠点としても利用できる。利便性が高く、高知安芸自動車道のサイクリングには欠かせないスポットです。
- 住所 高知県香南市夜須町千切357-90
- 電話番号 0887-57-7122
- 営業時間 8:00~21:00(店舗により異なる)
- 定休日 元旦
- 駐車場 有料(普通車440台、大型10台)
大迫力の「手結港可動橋」と手結港の風景
高知安芸自動車道のコースから少し離れますが、ヤ・シィパークから東へ800mほど離れたところにある手結港(ていこう)の入口に架けられた「手結港可動橋」は見逃せません。
2002年に完成したこの橋は、こども番組やCMのロケ地として紹介されて注目を集めており、今や県内外から多くの人が訪れる観光スポットになっています。
船の通航のために1日6回だけ開閉される。橋の開閉時には、警報機が「カン、カン、カン!」と鳴り響き、約6分もかけてゆっくりと開閉する様子は、思わず「うぉ~」と声が漏れるほどです。
全長約32mの橋が天高くそびえ立つ姿は、まるで道路に突き刺さっているように見えるため、迫力満点ですよ。
橋のたもとには、展望台があるのでそこから迫力ある光景を目の当たりにしよう。さらに少し離れたところから、町並みに溶け込む手結港可動橋の姿をご覧あれ。
こちらは、手結港可動橋の通行可能な時間帯です。(予告なく変更することあり)
つまり、6:30・9:00・11:00・13:00・15:00・17:00に開いていた橋が閉じ始めるということ。また、8:00・10:00・12:00・14:30・16:00・18:00に閉じていた橋が開き始めます。
タイミングを狙ってぜひ足を運んで下さいね。
手結港可動橋の景観に満足して、そのまま来た道を引き返さないように。
この橋の奥には、古い石積みが残る美しい港の景観が広がっており、ノスタルジーを感じるだろう。
実は、手結港は日本最古の掘込港湾といわれる貴重な港だ。江戸時代に土佐藩二代目藩主忠義時代の家老・野中兼山が堀港として改修しました。
現代では外港も整備されているため、この石積みが残る方は、手結内港と呼ばれたりします。
レトロな手結内港に、現代的な手結港可動橋が架かるのは、景観として賛否両論があると思いますが、個人的には外港が近代的だったため、それほど大きな違和感は感じませんでしたね。
- 手結港可動橋の住所 高知県香南市夜須町手結 手結港入口
- 電話番号 0887-50-3015(香南市農林水産課)
【観光スポットになっている橋の紹介】
旅先で訪れた観光スポットになっている橋を、下記記事で紹介します。
鉄道跡を偲ばせる「手結山の隧道」
高知安芸自動車道の入口(香南市側)から約500mほど道なりに進み、手結の上り坂を登り切ったあたりで見えてくるのが「手結山第一隧道(ずいどう)」です。
このトンネルを抜けて少し進めば「手結山第二隧道」があります。
これらの隧道は、土佐電気鉄道安芸線時代からそのまま残り、鉄道ファンの間で評判の鉄道遺構なんだとか。
トンネル内は、電灯で内部を明るく照らしているため、しっかりした造りなのがよく分かる。
それに、良く見ると当時の電線を支柱などに支えていた碍子や、待避坑を塞いだような鉄板が見て取れます。この鉄板は、今でも時々整備のために取り外されるそうですよ。
たとえ鉄道ファンでなくても、かつて鉄道が通過していたこのレトロなトンネルをゆっくり走り抜けながら、当時の列車に思いを馳せてみるのも面白いでしょうね。
太古の地層が見える高知県天然記念物「芸西村のメランジュ」
西分漁港の周囲には、世界的に珍しい混在岩の地層が露出しています。
起源や時代の異なる複数の岩石が、無秩序に入り交った地層を「メランジュ」といいますが、この場所では1億3000万年前から7000万年前までにできた地層が見られるという。
こう聞くと、何だかワクワクしませんか。主な岩石群は、枕状溶岩・赤色チャート・多色凝灰岩・剪断された泥岩からなっているそうだ。
漁港の奥の方には堤防があり、小さな階段を上ると浜辺へ移動できる。その周辺には、色の違う岩石群が見られました。なるほど、たしかに一見の価値はあると思う。
その光景に、昔に仙酔島で見た「五色岩」を思い出しました。五色岩は、西日本屈指のパワースポットですよ。(五色岩については、こちらの記事で紹介。)
悠久の歴史を経て造られた芸西村のメランジュにも、何かしらのパワーが宿っているのかも知れないですね。
浜辺を散策したりしながら、芸西村のメランジュが織りなす風景を味わいましょう。
ちなみにメランジュの名前は、フランス語のメレンゲ(かきまぜる)が由来しているとか。う~む、個人的には分かりずらいかな。
- 住所 高知県安芸郡芸西村西分漁港周辺
- 電話番号 0887-33-2114(芸西村企画振興課)
日本の白砂青松100選に選ばれた「琴ヶ浜」
西は芸西村長谷寄から東は安芸市赤野川河口まで約4kmに渡って続く「琴ヶ浜」は、美しい松林と砂浜が広がっています。
波の音や風に揺れる松林の音が心地よいですね。この琴ヶ浜周辺では、松の木の間をすり抜けるようなコースとなっており、高知安芸自動車道の中でも特に爽快感を感じやすい。
また、夜になると星や月が綺麗に見えることで有名。秋には「竹灯りの宵」が開かれて、幻想的な無数の竹灯りが砂浜に並ぶといいます。
海とつながるようなウッドデッキや展望台が設置されているので、足を運んでみよう。
特に展望台のベンチには、芸西村を代表する花「ブルースター」のイメージキャラクターCOCOROちゃんが、ちょっこんと座っているぞ。可愛いですね♪
ブルースターの花言葉は「信じあう心」ですよ。ブライダルシーンや家族のメモリアルフラワーとして注目が高い。芸西村のブルースターは、ブライダル業界を中心に全国シェア90%を誇るといいます。
琴ヶ浜の駐車場へ向かうと、そこには坂本龍馬の妻「お龍」とその妹「君江」の銅像を発見。桂浜の龍馬像に向かって手を振っているのかも。
実は、龍馬の死後、お龍が妹を頼り芸西村に身を寄せていた縁があるといいますね。
トイレや自販機もあるし、フォトジェニックスポットとしても素晴らしい。
ウッドデッキなどに腰を下ろして、真っすぐな水平線を眺めながら、つかの間の休憩としゃれ込みましょう。
- 住所 高知県安芸郡芸西村和食甲1
- 電話番号 0887-33-2114(芸西村企画振興課)
【龍馬ゆかりの観光スポットを紹介】
旅先で訪れた坂本竜馬ゆかりの観光スポットを、下記記事で紹介します。
地中海を思わせる「赤野休憩所」
琴ヶ浜から東へ向けて約3kmほど進むと、赤野休憩所へ辿り着きます。
この休憩所には、地中海やギリシャで見られるような建物が太平洋をバックにして建っているのが印象的ですね。
おっ、休憩所の屋根の上を良くみると「ナス」が乗っかっているぞ。不思議に思い調べてみると、どうやら安芸市の特産がナスということでした。なるほど、なるほど。
それにしても、国道沿いにある普通の休憩所とは思えない景観ですね。琴ヶ浜を一望できる写真映えするスポットなので、スルーするのはもったいない。
普通に休憩所として使ってもよし。そうでなくても足を停めて、まるで地中海を思わせるような雰囲気をじっくり楽しみましょう。
- 住所 高知県安芸市赤野
【地中海のような景色を楽しめる観光スポット】
旅先で訪れた地中海のような景色を楽しめる観光スポットを、下記記事で紹介します。
自転車をレンタルしよう
高知安芸自動車道の区間内では、自転車をレンタルできる場所が2ヶ所あります。
それが「道の駅やす ヤ・シィ広場レンタサイクル」と「香南市サイクリングターミナル」ですね。両方とも駐車場を完備しているので、車で訪れてそこからスタートしてもOK。
レンタルする際には、両方とも乗り捨て不可なのでサイクリングを行なう時間帯に気を付けて下さい。
また、レンタルできる自転車の台数には限りがあるので、事前にレンタル可能であるのか確認しよう。
それでは、それぞれの施設を以下に紹介します。
道の駅やす(レンタサイクル) | 香南市サイクリングターミナル | |
---|---|---|
住所 電話番号 | 高知県香南市夜須町千切537-90 0887-57-7122 | 高知県香南市夜須町手結山1304 0887-55-3196 |
レンタル 時間 | 9:30~17:30 当日受付のみ・乗り捨て不可 | 8:00~17:00 当日受付のみ・乗り捨て不可 |
料金 | ・6時間以内 中学生以上:500円 小学生以下:250円 ・6時間越え 中学生以上:1,000円 小学生以下:500円 | ・6時間以内 中学生以上:500円 小学生以下:250円 ・6時間を越えて12時間以内 中学生以上:1,000円 小学生以下:500円 電動アシスト付き自転車は倍額 |
レンタル できる車種 | クロスバイク:3台 子ども用自転車:3台 電動アシスト付き自転車 (チャイルドシート付き):4台 | 子供用自転車 普通自転車 クロスバイク ロードバイク マウンテンバイク チャイルドシート付きの自転車 電動アシスト付き自転車 2人乗りタンデム自転車 |
尚、レンタルの詳細については、それぞれの公式ホームページで確認して下さいね。
まとめ
サイクリングは、風を切って走る爽快感や充実感を存分に感じるスポーツです。高知県東部へ足を運ぶ機会があれば、ぜひ高知安芸自動車道をサイクリングしてみよう。
雄大な太平洋を横目で眺めながら、自転車のペダルをゆっくり回して前へ進み、琴ヶ浜の美しい風景やノスタルジーを感じる鉄道遺構、世界的に珍しい露出した混在岩の地層など変化に富む風景を堪能して下さいね。