
広島県尾道市に属する因島には、多島美が織りなす瀬戸内海の大パノラマを楽しめる「白滝山(しらたきやま)」があります。
しまなみ海道を通る際には、ぜひ立ち寄りたい絶景スポットですね。それに白滝山は、決して高い山ではないため、駐車場からちょっとしたハイキング気分で登山を楽しめる。
また、登頂を終えた後は、表情豊かな五百羅漢がお出迎えしてくるのも面白い。その他にも恋が成就するパワースポット「恋し岩」は見逃せません。
本記事では、尾道・因島の観光スポットである「白滝山」の魅力を紹介します。
白滝山とはどんなところ

白滝山は、しまなみ海道の途中にある因島の北部に位置する標高227mの低山です。
もともとは、修験者修行の地でした。戦国時代には、因島を拠点とした村上水軍の6代当主・村上吉充(むらかみ よしみつ)が、見張りどころとしてた山頂に観音堂を建立したといわれています。
山頂までは、舗装された石段による登山道が整備されており、お子様連れやカップルでも気軽に登れるほどですよ。ハイキングにも持ってこいのスポットですね。
山頂へ到着すると、五百羅漢像が立ち並ぶと共に、周囲には視界をさえぎるものが何もなし。360度、瀬戸内海が織りなす大パノラマを堪能できます。さらに瀬戸内海に沈む夕陽が美しいスポットとしても有名。
離島にある名山として「しま山100選」に選ばれています。
【周辺の見どころ】
白滝山周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
駐車場から登山して白滝山の頂上へ

白滝フラワーラインと呼ばれるクネクネと曲がる山道を進んで行くと、最終的には白滝フラワーライン駐車場へ辿り着きます。
この駐車場はそれほど広くはなく、普通車が約10台ほどしか停められないですね。また、片隅にはサイクルスタンドを見つけました。
東屋もあるので、自転車で来られた人は登山する前に、一休みしていくのが良いかも。

この駐車場から山頂までは、距離にして約220mほど。歩いて約10分ぐらいかかります。登山道の入口前には、杖が用意されているので、必要に応じて借りていきたい。
たとえ杖がなくても表参道を歩けば、手すりがある区間がそれなりに長いので安心感があるかな。
ちなみに私は杖をお借りしました。個人的には、山道を登る時にはできるだけ杖を活用しています。杖の有り無しにより、登りやすさの難易度が全然違っているのを感じる今日この頃です。
スムーズに歩くたためには、動きやすい服装で普段から履き慣れている歩きやすいスニーカーや運動靴を履いておこう。さすがにハイヒールでは、危なすぎます。

しばらく階段を上っていると、広い場所へ辿り着く。そして、左右に道が分かれていました。
左手側には、山頂付近に白滝山観音堂と休憩展望台が見える。そのまま休憩展望台を目指して登って下さいね。ちなみに右手側へ向かうと、表参道駐車場へ辿り着きます。

休憩展望台へ向けて登っていくと、しばらくして表参道と裏参道の分岐点が見えてきた。どちらからでも山頂へ登れるのでお好みで。私は往路は表参道を使い、復路は裏参道を使いました。
表参道の方が、手すりのある石段がずっと続くので歩きやすかったです。一方、裏参道では、磨崖仏や奇岩を楽しめます。(くわしくは後で紹介)
分岐点からどちらの参道を歩いても、頂上まで残り100mですよ。

表参道に続く石段には、手すりがずっと続くのがありがたい。行政の皆さんグッジョブです。
手すりがあると段差を越える時に楽だし、転倒を防ぐ効果も期待できる。そのため、助かる人も多いだろうな。難しいとは思いますが、全ての山道とは、こうありたいものです。

先ほどの分岐点から少し表参道を登ったところには、裏参道へ抜けれる道を見つけました。
すぐ近くの地面には、「塩竈さん」と書かれた小さな立ち札があるのがよい目印となっています。


ということで、少しだけ寄り道。抜け道へ入ると、そこには慈母観音像を直ぐに見つけました。しかし、塩竈さんが見つからない。
周辺をウロウロしていると、漢文が掘られた碑を発見。その漢文をよく見ると「塩竈」の文字が掘られているではないですか。おそらく、これが塩竈さんの碑ではないでしょうか。
周囲には特に案内板がないので、その正体は分からずじまいです。

再び表参道へ戻り道なりに歩くこと数分後、ハッキリと休憩展望台が見えてきた。ここまでくると、山頂まであと少し。
ここまで登るのに疲れている人は、あと一息で休憩できるので頑張ろう。最後の力を振り絞って下さい。

あれ~、階段の前に小さな石像がポツンと立っているぞ。近づいてみると、これは「膝の羅鑑像」というそうです。
この像の膝を撫でると、症状がやわらぐそうな。ありがたや、ありがたや。
長く歩くと膝が痛くなる人や、サイクリストの皆さんも撫でてみてはいかがですか。(もちろん私は膝を撫でました。)

そして、ついに山門が見えてきた。小さいながらも風格を感じてしまう。
「千里の道も一歩から」という言葉があるように、一歩一歩石段を上っていれば、確実に山頂へ辿り着けますので、最後まで頑張りましょう。
表参道と裏参道の分岐点からの眺望

表参道と裏参道の分岐点へ到着したら、一度立ち止まってみよう。そして、ゆっくりと振り返ってみて下さい。
そこからは、真っすぐな参道の向こう側に、瀬戸内海の多島美が広がっています。
頂上から同じ方向を見ると、五百羅漢像が並んでいるので、また違った雰囲気を楽しめる。どちらも素晴らしい景観には違いありませんが、人によっては好みが分かれると思います。
また、山道を登るほど高度は高くなり、より遠くを見渡せるので、時々立ち止まっては眼下の景色を楽しんで下さいね。
裏参道には奇岩が多い

表参道と違って裏参道には、多くの奇岩が見て取れます。そのため、表参道とはまた違った雰囲気を楽しめる。
なので、往路と復路で分けて表参道と裏参道を歩くのがおすすめです。
奇岩の中には、名前が付いている岩もあるので注目しよう。


かえる岩は、手前側の岩がカエルの横顔に見える。奥にある岩は、正面を向いたカエルかな?
うさぎ岩を見ていると、頭を下げてエサを食べているウサギを思い浮かべました。ウサギにしては頭が大きすぎますが、それは言わぬが花ですよ。

その他には、子授観音の磨崖仏を発見。
案内板によると、観音様の後ろにみえるカメの中には、様々なご利益がつまっているそうな。特に子授けのご利益があるというので、気になる方は触れてみてはいかがですか。
境内に並ぶ表情豊かな五百羅漢像

山門をくぐり抜けた先の一帯には、たくさんの石仏がズラリと並んでいます。これらの石仏は、江戸時代後期に作られた「五百羅漢像」ですね。
五百羅漢とは、仏陀(釈迦)に付き添った500人の弟子のこと。または、仏陀の入滅後に経典編纂に集まったとされる500人の弟子のことなんだとか。
白滝山では、五百羅漢と呼ばれてはいますが、実際は大小約700体の石仏がお出迎えしてくれます。
これらの五百羅漢像は、重井の豪商・柏原伝六とその弟子たちが作ったそうな。柏原伝六は、神道・儒教・仏教・基督教の四大宗教の共通理念を基にして「一観教」を開いた人物であり、白滝山の山上に清浄世界を表現しようとしました。

こちらは、東側にある十大弟子の石仏です。台座には碑文が刻まれており、要約すると「いつでも人の立場を考えて、人のために努力することが最高の徳」とのこと。
さすがはお釈迦様の金言だなと感心しました。柏原氏もこの教えを熱心に学び、人にもよく伝えていたそうです。

ざっと石仏たちを眺めるのではなくて、表情を一つ一つじっくりと見てみよう。
優しい表情や笑った顔、険しい顔など個性豊かな表情が多く、見ていて飽きません。また、石仏は高い場所に配置されていたり、さりげない場所にいたりするので、お見逃しなく。
これらの石仏には、「自分とよく似た顔の石仏がある」といわれているぞ。家族や友人たちと一緒に、お互いの顔に似た石仏を探し当てるのも楽しそうですね。
長い年月を経て、雨風にさらされながらも自然と一体化するよう並んだ石仏たちは、独特の雰囲気を醸し出しています。
開放感が凄い、山頂にある「白滝山展望台」のパノラマ絶景

五百羅漢像を眺めながら、奥へ向かって歩いて行くと展望台があります。
こちらの展望台では、圧巻の景色を楽しめる。特に眼下に視界をさえぎるものが何もないため、開放感が半端ないですよ。
360度グルリと回りながら、空・海・島・田園が織りなす自然の大パノラマを堪能して下さいね。

こちらは、石仏が立ち並ぶ方角からの景色。どうですか、このような景色はここだけしか見られないだろうな。
石仏が見つめる方向には、瀬戸内海に細島や小細島などたくさん島が浮かんでおり、その大小さまざまな島々が織りなす景観が感動的です。
夕暮れに訪れて、瀬戸内海に沈む夕日を眺めたり、日の出前に足を運べばご来光を楽しめます。

北側へ目を向けると、山間の合間から道路が続いており、その先に見える白い因島大橋が印象的。
この因島大橋の奥に見える島が向島ですよ。尾道方面から因島大橋を渡って、白滝山へ訪れたのであれば、思い入れもひとしおでしょう。

また、南側へ目を向ければ、田園風景が広がっています。山頂からでは、建物や田畑がミニチュアに見えるのが面白いかな。
こちらの写真では分かりずらいですが、実際には遠くに因島と生口島をつなぐ、真っ白な生口橋が見えるのも良い感じですね。
大正期・昭和期の歌人であった吉井勇は、この山頂から見た風景を「白滝の山に登れば眼路広し、島あれば海、海あれば島」という歌を詠んで表しました。
白滝山展望台から見渡す瀬戸内海の景色は、まさに登山者にとっては、極楽浄土といっても差し支えないと思います。
白滝山観音堂と休憩展望台、そしてゴリラ岩

山門をくぐって左手側へ向かうと、白滝山観音堂と休憩展望台があります。
白滝山観音堂を建立した村上吉充は、1555年に起きた厳島の戦いにて毛利氏を支援して、陶晴賢(すえ はるかた)軍を破ったことで知られている武将です。戦国時代ファンであれば、その名を知っている人は多いと思う。
周囲に目を向けると、「上」を丸で囲った村上水軍の紋が描かれたのぼり旗を発見。このような演出は嬉しいですね。

こちらは白滝山観音堂。村上水軍の助けた山伏たちの頭目であった常楽院静金(じょうこん)が、堂主を務めました。
また、境内には十字架観音や多宝塔、観音像が安置されています。
それに聞くところによると、マリア観音像もあるという。残念ながらどれか分かりませんでした。


休憩展望台では、片隅に用意されたゴザを自由にお借りできるので、ゴザの上に座りながら登山の疲れを癒しましょう。
そして、眼下の景色を楽しんで下さいね。そうそう、この展望台は靴のままで上がらないように。土足禁止ですよ。
尚、使用したゴザは、折りたたんで縛ってから元の場所に戻すこと。

また、石仏が並ぶ白滝山展望台へ向かう道中には、足元に小さな立札がある場所があります。この立札には「ゴリラ岩」と書かれており、何やら面白そう。
この場所から前方を眺めると、白滝山展望台から少し離れたところに大きな巨石が見えるではないですか。

たしかに「ゴリラ」といわれると、似ているかも。いや、ゴリラの横顔にそっくりすぎる!
面長であごが長めで、鼻が低い。それに突き出た唇がいかにもゴリラそのものだ。
一度そのように認識してしまうと、もうゴリラ以外には見えません。(笑)
【神社仏閣の紹介】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
「恋し岩」は恋が成就するパワースポット

観音堂の裏手側へ向かうと、ひときわ変わった形の自然石があります。それが「恋し岩」ですね。
この恋し岩には、愛し合う二人が死に別れる悲しい恋の物語が伝わっていました。
その物語については割愛しますが、恋し岩には不思議なパワーがあるようで、離れ離れになっていても出先から無事に帰ってきて、平穏に暮らせるといわれているそうです。
このことから、この石に触れて心をこめて願えば、素敵なお相手が見つかり恋が叶うといわれています。

恋し岩の表面をジッと見つめてみよう。何か見えてきませんか。
案内板によると、愛し合う二人の寄り添う姿がみえるという。残念ながら私には、そんな風にみえませんでした。
もしそのように見えるのであれば、素敵なお相手が見つかる日が近いのかも知れませんね。
【恋人の聖地の紹介】
恋人と一緒に訪れたい場所といえば「恋人の聖地」ではないでしょうか。そこで、旅先で訪れた「恋人の聖地」を下記記事で紹介します。
白滝山の基本情報とアクセス
住所 | 広島県尾道市因島重井町 |
電話番号 | 0845-25-0016(因島白滝公園保勝会・重井公民館) |
【アクセス】
- しまなみ海道「因島北IC」から車で約10分
- しまなみ海道「因島南IC」から車で約15分
白滝山の駐車場
白滝山へ向かうにあたり、2つの無料駐車場から登山できます。
- 八合目にある「白滝フラワーライン駐車場(普通車 約10台)」から山頂まで徒歩約10分
- 「表参道駐車場」から山頂まで徒歩約30分
まとめ

白滝山は、しまなみ海道を通過する際にふらっと気軽に立ち寄れる絶景スポットです。
アクセスが良く、時間制限がないため入場も自由。八合目にある駐車場から山頂を目指せば、それほど辛く感じることもなく、登山ができるのも魅力的ですね。
表情豊かで個性的な五百羅漢像の中から、自分と似たお顔を探すのも楽しいし、恋愛に悩んでいるのであれば、恋し岩に触れて願ってみてはいかがですか。
そして、何といっても雄大な瀬戸内海の風景が感動的です。季節によっては、幻想的な雲海が見られるかも。山頂の展望台から空・海・島・田園が織りなすパノラマ絶景を堪能して下さいね。