2億年前から姿を変えず、今も生き続けている「生きる化石」と呼ばれるカブトガニ。
岡山県笠岡市には、このカブトガニをテーマにした世界で唯一の博物館「カブトガニ博物館」があることをご存じでしょうか。
実際にこの博物館を訪れてみて、カブトガニの不思議さについて学びました。
本記事では、カブトガニ博物館で紹介しているカブトガニの不思議な生態について紹介します。
カブトガニ博物館とは
カブトガニ博物館では、国が指定している天然記念物「カブトガニ」の保護や研究に取り組んでいます。
この博物館では、様々な形でカブトガニの生態について紹介しており、「カブトガニの外部・内部のコーナー」や「生きている化石コーナー」、「進化のジオラマコーナー」などカブトガニの貴重性や現在の状況などについて楽しく学ぶことができますね。
上空からこの博物館を見てみると、まるでカブトガニに見えるようになっており、カブトガニに対する「愛」を感じずにいられません。
カブトガニ博物館は、世界で唯一のカブトガニについて学べる博物館であり、カブトガニの魅力に溢れています。
私が今まで訪れた施設では、以下の水族館でカブトガニを目撃しました。
【周辺の見どころ】
カブトガニ博物館周辺の周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
世界で唯一、笠岡市のカブトガニ博物館で楽しく学ぶ
博物館へ入ろう
カブトガニ博物館は、岡山県の西端に位置する笠岡市にある観光スポットです。
先ほどもお話しましたが、カブトガニ博物館の外観はカブトガニの形をしており、尻尾の部分に入口があります。
その入口の前には、何やら不思議なオブジェがありました。
初めこのオブジェを見てもさっぱり意味がわかりませんでしたが、台座に掘られていた説明文を読むと、どうやら「宇宙の永遠の広がりと太古からの悠久の時間」を表している作品だそうです。
悠久の時間とは、まさにカブトガニに通ずる物がありますね。
館内へ入って始めに目撃したのは、カブトガニがイラストされたマンホールです。
このマンホールは、実際に笠岡市内で目撃できます。
ちなみに私が笠岡市内で目撃した時は、デザインは同じでしたが色は付いていませんでした。
受付前にあるこの模型では、赤ランプの上で手を叩くとチューブが緑色に変わります。
館内見学で訪れていた小学生の集団の内、数人がこの模型の前に立ち、手を叩いてランプの色を変えて遊んでいるのを見て、微笑ましかったです。
尚、コロナ渦の影響で注意事項として、人との間はカブトガニのオス4匹分離れましょう。(笑)
尚、オスの全長は約50cmなので、4匹で約2mほどのソーシャルディスタンスを保てます。
【博物館の紹介】
旅先では博物館を訪れて知らないことを楽しく学ぶのは面白いですね。下記記事では、そんな博物館を紹介します。
水槽の中のカブトガニをジックリ観察
館内にある水槽の中でカブトガニを観察できます。
水槽の中をよく見てみると、2匹のカブトガニがつがいになって泳いでいるのを見かけました。
実はこれ、カブトガニの習性なのです。
オスとメスがつがいとなって行動を共にする行為を「抱合」と呼んでいます。
メスの後ろにオスがくっついて、行動の指示はオスが出しているそうです。
こんな事を聞くと、メスはオスの言いなりなんて「なんか、おかしい!」と義憤にかられますね。
しかし、餌を食べるのはメスが先で、オスはメスがお腹がいっぱいになった後で、残り物を食べるのですから、なんだかお互い様のような気がしてきました。(笑)
こちらはオスとメスで抱合の交渉中なのでしょうか。
もちろん独りで泳いているカブトガニもいます。良いつがいが見つかると良いですね。
カブトガニは、名前から想像するとカニの一種と思っている人も多いのではないでしょうか。
実はカブトガニは、カニとは全く関係なく生物学上、クモやサソリが含まれる鋏角類に分類されています。
カブトガニの外見は、背面全体が広く背甲で覆われおり、脚などの付属肢はすべてその下に隠れていて通常は見えません。
また、後方に伸びる長い尻尾が特徴的です。
カブトガニは、その姿から「ドンガメ」や「マンゴエイ」と呼ばれていたりするよ。
日本でカブトガニが生息しているところは、瀬戸内海一帯と北九州の一部のみです。
カブトガニは、どこの海でも生きられる生物ではなく、波の穏やかな浅海に広大な干潟と砂浜が必要になります。
カブトガニにとって、砂浜は産卵場となり、干潟は幼生の育成場所だよ。
カブトガニは脱皮して成長を繰り返す
カブトガニは何度も脱皮を繰り返して、成長していきます。
脱皮のペースはほぼ1年で1回であり、15年かけて成体になりますね。
15歳までは、全てメスに近い形をしていますが、15歳ぐらいからオスの特徴が現れてきます。
寿命は推定ですが、25歳まで生きるそうです。
脱皮をする度に前の体より、1.3~1.4倍ほど大きくなっていきます。
ここでなぜ、小さなカブトガニから大きなカブトガニが出ていくるのか不思議に思いませんか。
これには秘密があって、新しい殻は元の殻の中に折りたたまれて収納されているのです。
そして、抜け出るときに殻が膨らんで形が整っていくと言う訳ですね。
まさに生命の神秘を感じる出来事です。
カブトガニ博物館では、幼生から成体になるまでの経緯を標本で説明しており、カブトガニの成長過程が良く学べました。
知ってビックリ!薬剤の原材料として利用されるカブトガニ
カブトガニは、医学の分野で活躍していることをご存じでしょうか。
それは、カブトガニの血液を使って人間にとって有害な内毒素を抑える研究が進められています。
カブトガニの血液は、体外に流れ出すと固まってしまう性質があり、これは海水中にある細菌の毒素から身を守るために作用していると考えられているのです。
なんと、エイズウィルスから免疫細胞を守る成分も発見されているそうで、ますますカブトガニの血液の研究は重要ですね。
館内には、カブトガニの血液から製造した検出試験薬が並べられていました。
カブトガニの血液は青色だそうです。
血液は、鉄分が酸化して赤く見えることが多いですが、カブトガニは銅を含む色素を持っているため、それが酸化することで青色に見えます。
私は現代医学の発展にカブトガニが貢献している事実について、全く知らなかっため物凄くビックリしました。
楽しく学べる数々の展示品
まず紹介するのは、カブトガニ博物館のマスコットキャラクターです。
父親のカブニ、母親のカブミ、子供たちはそれぞれ「カブキ」と「カブノ」の4匹家族ですね。
カブトガニ博物館を大いに盛り上げていきましょう。
お次は、ムカシオオホオジロザメの顎の標本です。
物凄く大きな顎で、人間なんて一飲みで食べられてしまいそうですね。
水泳中に絶対に会いたくないです。
こちらは、シーラカンスの模型です。
シーラカンスはカブトガニ同様、太古からほとんど形態が変わっていないため「生きた化石」と呼ばれていますね。
館内では、アンモナイトの化石や太古の魚などの骨格標本を見てまわれます。
こちらの写真は、太古の昔に生息していた大型の魚、ダンクルオステウス(上)とパキリゾドゥス(下)です。
太古の昔は、恐竜を始め本当に大型の生き物が多いですね。
カブトガニの操り人形がありました。
手前に合ったレバーで操作すると、手足がグイーン、グイーンと動きます。
館内中央には、カブトガニシアターがあり、ここでは恐竜がいた時代からカブトガニのいる現代までを探索船に乗った気分で楽しく学べますね。
館内見学で疲れた後は、休憩室でちょっと一休み。
室内には、カブトガニ博物館が歩んできた30年間の活動記録写真が展示されていました。
【展示品あれこれ】
旅の道中では、博物館だけでなく道端に展示されている様々なアート作品を目撃したりしますので、下記記事で紹介します。
カブトガニだけじゃない、太古に生きた恐竜たちも学べる
カブトガニ博物館は、カブトガニだけでなく、恐竜についても学ぶことができます。
リアルに作られた恐竜を見ていると、こんな恐竜がもし現代にも生息していて、地上を走っていることを想像すると怖くなりました。
そんな風に想像していた時に、突然目の前の恐竜がビシと動いたのです。不意打ちだったためビックリしましたね。(笑)
また、様々な恐竜の骨格標本も展示されているため、見応えがあります。
こちらの写真はイグアノドンの頭部です。本当に大きな頭ですね。
カブトガニと同じ時代を生きていた恐竜たちですが、既に全ての恐竜は絶滅しており、恐竜時代から姿を変えず現代まで生き続けているカブトガニのスゴサが際立ちます。
カブトガニの飼育
建屋から中庭へ出ると、カブトガニの産卵池と飼育池がありました。
池の中を覗いてみましたが、残念なことに全くわかりません。(泣)
きっと時期が合っていないのでしょう。
仕方がないので諦めて、展示飼育室へ入ります。
室内では、カブトガニの飼育について録画が流れており、少しの間、録画を見て学習しました。
【特別展示】鎧に包まれた生き物たち
私がカブトガニ博物館を訪れた日は、2021年の特別展示として「鎧につつまれたいきもの展」が開催されていました。
カブトガニ博物館では、定期的に特別展示のイベントを開催しています。
鎧に包まれた生き物と言えば「カニ」を想像しますね。
室内へ入ってみると、やはりいましたタカアシガニです。
日本近海の深海に生息するカニで、長い脚が特徴的ですね。
タカアシガニは、カニの中では古い種に分類され、「生きている化石」と呼ばれています。
室内中央には、鎧をまとった大きな魚がドーンと展示されていました。
この魚は、ケファラスピスと言ってデボン紀前期の海で繁栄した魚類だそうです。
頭部が1枚の骨の板で覆われていたことから「頭甲類」と呼ばれています。
まさしく甲冑とまとった魚ですね。
その他にも様々な動物や昆虫が展示されていましたが、私の一押しはこちら、ヘラクレスオオカブトです。本物が展示されていました。
ヘラクレスオオカブトは世界最大のカブトムシで、長い角がカッコイイですね。
ヘラクレスオオカブトの殻は、日中は太陽光によって黄色に変化し、夜は湿度に反応して黒色になるよ。
その他にも本物の世界最重量のエレファスゾウカブトやスマトラ島に生息している9.9cmの大きさがあるヒラタクワガタがいて大変驚きました。
特別展示で珍しい生き物たちに会えてラッキーでした。
また、次回の特別展示に期待します。
笠岡市のカブトガニに対する取り組み
岡山県笠岡市の神島水道一帯は、日本全国で唯一のカブトガニの繁殖地となっています。
カブトガニはかつて、魚を取る網を破るため漁業を営む人たちから邪魔ものとされ、多くのカブトガニが殺処分されました。
笠岡市には約10万匹いたとされているカブトガニは、1985年(昭和60年)から急激にその数を減らし、今では国に保護される生き物になっています。
カブトガニは、学術的に大変貴重な生き物であり、多くの人がカブトガニの絶滅を防ぐため声を挙げた経緯があるよ。
官民一体となった水質改善や保護活動などの地道な運動が実を結び、徐々にではありますが、カブトガニの生息数が増加しているそうです。
しかし、まだまだ保護が必要な段階であるため、現在も様々な取り組みを行なっています。
カブトガニの繁殖地として、笠岡湾の干潟では市民の協力のもと、海辺の清掃などを行なっています。
多くのカブトガニが繁殖できる環境には、綺麗な干潟が必要不可欠であるため、ゴミを捨てるなどあってはなりません。
また、「カブトガニ保護啓発運動」が行われている笠岡市では、カブトガニ繁殖地での潮干狩りは禁止になっていますので、気を付けて下さい。
人の手がかからなくても自然にカブトガニが繁殖できる時代が再び訪れるよう協力しましょう。
カブトガニ博物館の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県笠岡市横島1946-2 |
電話番号 | 0865-67-2477 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日または振替休日の時はその翌日)、祝日の翌日、 年末年始(12月29日~1月3日まで) |
入館料 | 一般520円、高校生310円、市外の小中学生210円 ※団体割引あり |
- 休館日の補足説明として、3月25日~4月10日、4月27日~5月10日、7月15日~8月31日の期間中は無休です。
- 入館料は以下に該当する場合、無料になります。
- 市内在住の小中学生(受付で「笠岡っ子無料パスポート」を見せること)
- 高梁川流域パスポートを持つ小学生(土日祝のみ有効)
- 65歳以上の高齢者
- 心身障害者とその介護者
- 入館料は20名以上の団体であった場合、料金は一人当たり一般で420円、高校生で260円、市外の小中学生で150円になります。
【アクセス】
- JR笠岡駅からバスで15分。「カブトガニ博物館前」で下車して徒歩3分。
- 笠岡ICから車で25分
カブトガニ博物館の駐車場
カブトガニ博物館へ向かう時に通過する恐竜公園の入口前に無料駐車場があります。(普通車100台、バスも駐車できます)
まとめ
カブトガニ博物館を見てまわり、カブトガニの貴重性について今まで以上に学ぶことができました。
カブトガニが生息するためには、綺麗な自然環境を整えなければならなく、私たち一人一人が自然環境の大切さを十分に認識しなければなりません。
カブトガニ博物館へ訪れて、カブトガニの驚くべき生態に触れてみて下さい。
太古から続く生命の神秘について学ぶことができます。
【サイクリストの管理人からの一言】
カブトガニのオスとメスのように常に行動を共にしていては、結婚後もロードバイクの趣味を継続できるか不安を覚えませんか。下記記事ではそんな不安に対してお伝えします。