
岡山県には、日本のエーゲ海と呼ばれている「牛窓の海」があります。その牛窓の海には、大小様々な島が浮かんでおり、その中の1つに「前島」がある。
前島は、牛窓町からわずか5分の船旅で向える瀬戸内の離島。なので、お手軽に非日常を漫喫できるのが良いですね。
前島のフェリー乗り場では、レンタサイクルがかりられますので、サイクリングしながら様々な見どころへ足を運んでみませんか。特に夕日スポットがおすすめです。
本記事では、サイクリングしながら、前島の見どころを紹介します。

前島を時計回りにサイクリングしたので、立ち寄った順番で見どころを紹介するよ。
夕日が美しい島「前島」とは

前島は、岡山県瀬戸内市牛窓町のすぐ沖合に位置する面積約2.42キロ平方メートルの離島です。
別名では「緑島」とも呼ばれており、美しい松林などが残る自然豊かな島であることから、島全体が国立公園になっています。
また、古名が塵輪島(ちりわじま)と呼ばれているぞ。この名前は、牛窓町に伝わる牛鬼伝説の塵輪鬼が由来なんだとか。

前島へ上陸した後は、少なくとも「丁場の跡地」と「前島展望台」の2つは足を運びたいところ。
丁場の跡地では、大坂夏の陣で跡形もなく焼けてしまった大坂城の再築のために石垣を切り出した場所なので、残石が残っているので見物していこう。
丁場の跡地から少し歩けば、島内で最も高いところに設置した前島展望台へ辿り着きます。抜群の眺望を誇る展望台なので、「牛窓新八景」や「日本の夕日100選」の1つに選ばれているビュースポットですね。
青島は、岡山県内でも有数の釣りのスポットとして知られていますので、夏には海水浴やシーカヤックなどマリンスポーツを漫喫できます。
【牛窓観光のすすめ】
前島が所属する牛窓町の観光スポットを、下記記事で紹介します。
前島のマップ・所要時間・注意事項

前島は、外周約8kmしかないため、お手軽にサイクリングができる島です。
けれど、海岸線は適度なアップダウンが続いているので、結構走りごたえがある。なめてかかっていると、足元をすくわれるかも。
島のほぼ中心部には丁場の跡地や展望台があり、そこへ向かう道中は結構な勾配があります。普段から自転車に乗らない人ならば、電動アシスト自転車を使うのが正解ですね。
特に日帰りで前島をサイクリングする際には、以下の注意点に気を付けよう。
- 島内には、コンビニなどの商店はないので、事前に補給食を用意する
- 自動販売機は、島内に数台しかないと思われる(私がサイクリングした結果の感想)
- 帰りのフェリーの出航時刻を確認しておく
所要時間は観光などを含めて2~3時間ほど。だいたい半日ほどと見て入れば、余裕を持って行動できます。
【瀬戸内海に浮かぶ島】
瀬戸内海には、前島の他に約700以上の大小様々な島が浮かんでいますね。下記記事では、旅の道中で訪れた瀬戸内海に浮かぶ島を紹介します。
前島の行き方(アクセス)

前島へ向かうには、牛窓港から出航するフェリーへ乗って移動します。
フェリーは基本的に6:00~21:00の間で、1時間に1本しか運行されていないため、出航時刻には気を付けて下さいね。(1時間に2本運行している時間帯もあり)

運賃は、船に乗った後で船員へ直接支払うシステムとなっている。
牛窓港からわずか5分足らずで前島へ到着するため、船に乗った後で、船員へ料金を支払ってりしていると、あっという間に前島へ到着します。

前島フェリーの運賃
- 旅客料金(往復):大人400円、小人200円
- 自転車込みの料金(往復):大人600円、小人400円
- 原付自転車(往復):800円
車の運賃については、前島フェリーの公式ホームページでご確認下さい。令和6年10月1日に賃金の改定があり、上記の金額になりました。
牛窓港までのアクセスは以下の通りです。
- 岡山ブルーライン「邑久IC」から車で約15分
- JR邑久駅から牛窓行きのバスに乗って「牛窓」のバス停で下車し、徒歩約1分(バスの乗車時間は約20分)
フェリー乗り場周辺のアート作品

フェリー乗り場周辺には、アート作品が展示されています。サイクリングを開始する前にぜひ見学していこう。
絵画やオブジェなど面白い作品が多いですよ。

こちらは、浮き玉を使用したアート作品です。個人的にはこのような作品は大好きですね。
浮き玉の作品を見ていると、アート島と呼ばれている直島でサイクリングしたことを思い出しました。
直島には、浮き球で作られた作品が島の至るどころにたくさん点在していましたが、私が前島でサイクリング中に発見できた作品は、フェリー乗り場周辺にあった物だけです。

また、2023年12月に堤防近くには、パブリックアート作品が誕生しました。それがこちらの「The Reflective eye」という菱形の木製オブジェクトだ。
岡山県内在住の現代美術作家である金孝妍(キム ヒヒョン)氏が作成した作品です。見る方向や時間によって見え方が違うというので、前島一周サイクリングをする前と後で見比べてみよう。
何か違った感覚が生まれるかも知れないですよ。
【アート作品の紹介】
旅の道中で目撃したアート作品を、下記記事で紹介します。
キャベツ畑が織りなす風景

キャベツ畑が一面に広がる風景というのは、不思議にテンションが上がりませんか。
「それ分かる!」と思った方は、前島がより気に入るかも。私が前島へ訪れた日は、キャベツシーズン真っ只中だったこともあり、キャベツ畑を発見するたびにテンションが上がりぱなしになりました。

瀬戸内海の絶景と広大なキャベツ畑の組合せは、実に見応えがあるぞ。
特に空とキャベツ畑のコントラストがいい感じ。このような景色を見るだけでも訪れるかいはあるといえる。

キャベツ畑に圧倒される
前島の西部には畑が多く、住宅地も多くみられます。反対に東部は自然豊かな山林ばかりですね。なので、キャベツ畑の風景に浸りたいのであれば、西部に時間をかけよう。
前島では冬季にキャベツや白菜などを栽培しており、夏季にはカボチャなどが栽培されます。
展望台へ向かう道中の景色

牛窓町の五香宮付近から前島を眺めてみると、白い灯台が見えます。それが前島の城ヶ鼻にある灯台ですね。
興味がある方は、前島へ上陸した後で立ち寄ろう。前島のフェリー乗り場から、舗装された道路に沿い、東側の城ヶ鼻を目指して約1.5kmほど歩くと辿り着きます。
私は展望台へ早く行きたかったので、今回はスルーしました。

島内はあまり広くないので、たとえ道に迷っても何とかなりそうですが、時間ロスはできるだけしたくないものですね。なので、案内板を活用していこう。
展望台へ向かう道はほぼ上りばかり。東部の海岸線は、適度なアップダウンとなっています。

道中で見つけたキツネさんからの「休んでいかれえ!」の言葉に思わず笑みが浮かびました。

上り道が続いたりしますが、所々で海の景色が眺められるため、それほど疲れは感じません。

穏やかな瀬戸内海を眺めていると心が落ち着きますね。

丁場の跡地に残る「大坂城築城残石群」

瀬戸内海の島々には、徳川家により再建された大坂城の石垣を切り出した丁場の遺跡が点在しています。その中の一つが前島ですね。
せっかく前島をサイクリングするのであれば、ぜひ足を運んでおきたい。
丁場の遺跡へ向かう遊歩道が整備されているので、遊歩道の入口前までは自転車で移動しよう。間違っても遊歩道を自転車で走らせないように。自転車が走れるような場所ではありません。

こちらが大坂城築城残石群と前島展望台へ向かう地図。地図を見て分かるように、丁場の遺跡の先に展望台があります。
この地図で説明すると、赤ラインまで自転車で走り、下側の残石群の近くで自転車を駐輪しよう。青ラインは遊歩道ですよ。徒歩で上側の残石群と前島展望台を目指して下さいね。
ちなみに、赤ラインの先に続く道は、行き止まりになっていました。

こちらは、地図で示した下側の残石群です。大きな石が一ヶ所に集まっているのは、迫力があるぞ。
見事な石が転がっています。さすがは城の石垣候補になっていた石たちですね。

こちらは遊歩道入口前にあった残石群の地図です。
この地図を見てわかるように前島では、A~D地区まで4つの丁場が確認されています。今後の調査次第では更に発見される可能性があると思う。

こちらの詳細地図により、階段を上がった途中で奥の道へ進むことがわかりました。
早速遊歩道を上って進んで行くと、約1分ほどで丁場の遺跡の入口へ到着。

巨石たちには、矢穴が一直線に入った物や大割にした物、整形後に山から引き下ろす寸前の物まで様々な形で残されているぞ。
まるで「つい最近まで作業をしていたのではないか」と思ってしまうほどリアルな情景を感じるだろう。
また、ここが丁場であることを知らなければ、「巨石信仰の儀式場所ではないか?」と勘違いしてもおかしくない。

当時の技術では、採れた石を前島から大坂まで運ぶのは大変だっただろうな。港まで運ぶだけでも一苦労ですね。

これらの残石には刻印が刻まれている物もあるので、探してみるのも面白いかな。
刻印は、当時の松江藩堀尾家や鳥取藩池田家が前島の石切り丁場へ関わっていた証拠になっています。

道中にあった橋は、橋の入口を紐で塞がれているため渡れません。
橋の向こう側にも石切り丁場の遺跡があるみたいだ。残念ですが残石見学はここまで。絶対に無理をして渡らないで下さいね。
前島展望台の絶景

先ほど紹介した大坂城築城残石群があった場所から更に上ること約4分、前島展望台へ辿り着きました。
この展望台は木造3階建てになっており、周りの山の景観に溶け込んでいるように感じます。

3階まで上ってみると「牛窓新八景」に選ばれている目印の浮き輪を発見。
私は牛窓新八景の一部しか訪れたことがないですが、機会があれば全て見て周りたいですね。(その後、全ての新八景へ訪れました。)



こちらが展望台からの景色です。前島が一望できるビュースポットになっています。
前島周辺にある黄島や黒島を始め犬島、小豆島、豊島、淡路島などが見えますね。もちろん牛窓町の町並みも見渡せます。

カメラのズーム機能で拡大した写真がこちら。前島は、牛窓町から本当に近いと感じました。
この展望台からの夕日の景色は、日本の夕日100選に選ばれており、幻想的な景色を楽しめます。
【展望台の紹介】
前島展望台のように絶景を見渡せる展望台は、日本各地に点在してますね。下記記事では、旅先で訪れた展望台を紹介します。
夕景スポットにおすすめ「夕日公園」

個人的にぜひおすすめする夕景スポットが「夕日公園」です。夕日公園は、前島の西側に位置しており、その名前の通り、夕日が綺麗に見えるビュースポットとして知られています。
「ここにベンチがあったらいいよね」そんな一言から園内には、たくさんのベンチが設けられたというのですから、地元の人たちに愛されている証拠ですよ。

園内の斜面の至るどころには、海に向けてベンチが設置されているぞ。斜面の先に一面にはキャベツ畑があるのもGood。
ベンチに座って瀬戸内海を見渡せば、黒島や中ノ小島を始め、遠くには犬島や豊島などが見えます。

特に黒島は、干潮時に全長800mの砂の道が出現して、中ノ小島と繋がるのが見物だ。
さらに「中ノ小島」とその西側へ位置する「端ノ小島」を繫ぐ砂の道も浮かび上がるのです。
これは小豆島の有名なエンジェルロードと同じ「トンボロ現象」と呼ばれる自然現象ですね。とてもロマンチックな景色なので人気が高い。

この砂の道は「黒島ヴィーナスロード」と呼ばれており、恋人たちのパワースポットになっています。
牛窓町にある「ホテルリマーニ」の桟橋から黒島へ送迎ボートが出航しています。黒島ヴィーナスロードを歩ける日は、このホテルの公式ホームページで確認して下さいね。
レンタサイクルを借りよう

前島のフェリー乗り場では、レンタサイクルが借りられます。
電動アシスト自転車ですので、坂道も楽ちんですね。My自転車を持ち込まない場合は、こちらでお借りしてサイクリングを楽しもう。
ちなみに、前島行きフェリー乗り場の目の前にある「瀬戸内市観光センター 瀬戸内きらり館」でもレンタサイクルがあります。
レンタサイクル
- 電動アシスト自転車(4時間):800円
前島の駐車場
前島のフェリー乗り場の直ぐ近くには、無料駐車場があります。
まとめ

前島は、お手軽に離島サイクリングが楽しめるスポットです。
特に夕日が綺麗に見えるスポットが多くありますので、狙ってその時間帯に訪れてみると良いでしょう。
瀬戸内海と広大なキャベツ畑を同時に間近で見られる貴重なスポットであり、大坂城築城残石群と瀬戸内海の多島美を含め十分に楽しめます。