自転車の運転中に、取り締まり対象となる「危険行為」を犯すと、警察官から渡される物があります。
危険行為の程度によって、手渡される物が違ってきますが、その中の1つにはレッドカードがありますね。
地域によっては、レッドカードをイエローカードと呼ぶところもありますが、どちらも同じ物。これらのカードを渡されても、まだ警告段階ですが、警告だからといって無視しないで下さいね。
また、レッドカードと違って、悪質な危険行為を犯してしまえば、赤切符を渡されますよ。レッドカードと赤切符、言葉から同じような気配が漂ってきますが、全くの別物です。
赤切符を渡されてしまうと、前科がつくかも知れません。
本記事では、レッドカードと赤切符について説明しますので、その違いが分かるようになります。
レッドカード(自転車指導警告カード)とは
レッドカードやイエローカードの名前を聞くと、サッカーを連想される方も多いと思います。
自転車で危険行為を行えば、これらのカードが警察官より渡されることがありますが、サッカーと違って何枚もらおうが、ペナルティー(罰金や罰則)はありません。
レッドーカードが持つ言葉のイメージから、一発退場(この場合は運転停止)になるかも知れないと思っていた方、そんなことはないので、ご安心して下さい。
レッドカードやイエローカードの呼び方は通称であって、「自転車指導警告カード」が正式です。
この正式名称から分かるように、カードを渡されても、まだ警告段階ですよ。
レッドカードは、警察官などに危険運転が発見された場合に渡されます。
手続きとしては、現場で警告を受けた後で、どんな違反行為をしたのかチェックが入った自転車指導警告カードを渡されるだけです。
その他に何も特に指摘することがなければ、その場で終了ですよ。
警察署に記録が残るのは避けられませんが、前科がつくこともなく、記録に残ったからといって特に不利益はないと思いますね。
おそらく、今後違反を繰り返したり、何か犯罪を犯したり巻き込まれたりした場合に、参考にされる程度ではないでしょうか。
そもそも自転車指導警告カードについて、以下の内容が気になる方が多いのでは。
- 自転車指導警告カードが切られるケース
- 自転車指導警告カードの効力
- 自転車指導警告カードが切られる対象年齢
それぞれについて説明します。
余りにも悪質な危険行為を行ってしまえば、警告を飛び越えて、罰則がある「赤切符」が渡されることも。
また、レッドカード(又はイエローカード)に留まる違反であったとしても、反抗的な態度ばかりとっていれば、「赤切符」へ昇格したりしますね。
自転車指導警告カードが切られるケース
警察官から自転車指導警告カードが渡されるのは、以下の15種類の「危険行為」を行なった場合です。
- 信号無視
- 通行禁止違反(通行止め、進入禁止区域を通行した場合)
- 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
- 通行区分違反(左側通行など道路の決められた所を通行していない)
- 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
- 遮断踏切立入り
- 交差点での安全進行義務違反など(進入時の安全進行など)
- 交差点での優先車妨害など(右折・左折・直進時の優先順を妨害した場合)
- 環状交差点での安全進行義務違反など
- 指定場所一時不停止など(標識無視などの違反行為)
- 歩道通行時の通行方法違反(歩行者優先を無視した違反行為)
- 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 酒酔い運転
- 安全運転義務違反(2人乗り、並走、傘さし、ながらスマホ、イヤホンなど)
- 妨害運転(あおり運転)
地域によっては、多少の違いがありますね。
【自転車ヘルメットに関する話】
2023年4月より、自転車に乗る際は、ヘルメットを着用する努力義務が課さられました。今は努力義務ですが、数年後には義務となり、自転車指導警告カードが切られる対象になるかもしれません。下記記事では、自転車のヘルメットに関する話を紹介します。
自転車指導警告カードの効力
先ほども触れましたが、自転車指導警告カードを受け取ったからといって、特に罰金や罰則はありません。
講習を受けなければならないとか、当然前科がつくこともないです。
当然、検察所や裁判所へ出頭を促されたり、会社や学校にも連絡がいかないですね。
けれど、警察官によっては、その自転車が盗難車かどうかを照合されたりしますよ。
危険行為を犯した違反者に対して、注意を促して、交通ルールやマナーを再認識してもらうために行っています。
【自転車の盗難に関する話】
自転車の盗難に関する話を、下記記事で紹介します。
自転車指導警告カードが切られる対象年齢
自転車指導警告カードによる取り締まりの対象年齢は、14歳以上となります。
なので、子供のいるご家庭では、お子さんが一人で自転車に乗るようになって来たら、しっかり自転車の交通ルールを教えましょう。
残念ながら我が国では、自転車の運転免許制度はありませんので、子供の内に親がしっかり教えなければ、小さい内から学ぶ機会が少ないです。
赤切符とは
これまで自転車のマナーについては、度々問題視されており、一向になくならない危険行為に対して、2022年10月31日より、取り締まりが強化されました。
それに伴い刑事罰となる「赤切符」が渡されるようになったのです。
自転車は、車両の仲間なのに、そもそも今まで何も罰則がなかったことの方が不思議ですね。
赤切符が切られるのは、さきほど説明した「自転車指導警告カードが切られるケース」と同じですよ。ただし、警察官に悪質と判断された場合に限ります。
特に、以下の4項目については、特に取り締まりが強化されていますね。(くわしくは後述します)
- 信号無視
- 指定場所一時不停止など
- 通行区分違反
- 歩行者用道路における車両の義務違反
なので、いままで自転車指導警告カードで収まっていたケースでも、いきなり赤切符が切られたりしますよ。
その他にも、以下のような行為を行えば赤切符を渡されるかも。(個人的な見解です)
- 客観的に誰から見ても危険な違反行為と判断できる
- 自転車の停止を求められているのに逃走した
- 注意や警告に対して反抗的な態度をとる
- 違反行為を止めるようにいわれているのに無視した
- 事情聴取に応じない
違反を犯した場合は、素直に過ちを認めて反省しましょう。
取り締まりが強化された内容
自転車が守るべき信号機は、基本的に車用の信号機です。歩行者用の信号機ではないですよ。
まず、ここを完全に理解していなければ、赤切符の餌食になりますね。
そこで、赤切符が切られる可能性が高い流れを以下に挙げます。
心当たりがある方も多いのでは。もし、そうであるならば気を付けて下さいね。
特にスクランブル式の交差点や学校近くの交差点では、上記のような信号機が多いです。
自転車を運転する人の中には、歩行者の延長線と思っている方が少なくありません。
そのため、一時停止の警告がある交差点や踏切で、停止せずそのまま運転してしまうことも。
実はこれアウトです。自転車は軽車両。軽車両なので、歩行者目線の感覚で運転しては絶対にダメですね。
また、未だに多いのが、自転車の右側通行。常に左側通行するのが面倒くさいというのは、気持ち的に分かるのですが、車のドライバーからすると非常に危ない行為です。
自転車は、車道を左側で走る乗り物という意識を決して忘れないようにしましょう。
自転車で歩道を通過する際は、歩行者が優先になります。
自転車が歩道を通過する場合は、徐行するか自転車から降りて歩かなければいけないので、通常のスピードで走っていれば赤切符が切られることも。
また、歩行者に向けて邪魔だという理由で、ベルをならすのも違反行為となる。
これらの行為は、取り締まりが強化されているので、違反すれば赤切符を切られる可能性が高いです。
赤切符を切られると「前科」がつく場合がある
赤切符を受け取れば、刑事罰が科せられます。
そのため、警察の指定する裁判所や検察所などへ出頭しなければなりません。
その流れは、以下の通りです。
- 赤切符を警察官から渡される
- 交通警察官室や検察庁、裁判所の交通分室などへ出頭が命じられる
- 被疑者の立場で取調べを受ける
- 検察官が刑罰を科すかどうか判断する
- 略式起訴されると、罰金などの刑罰が科せられる
一般的に起訴手続きを簡略化した「略式起訴」という方法が取られます。この略式起訴で、検察官から罰金刑などの刑罰が科せられると「前科」がつきますね。
もし、検察官が処罰する必要なしと判断したならば「起訴猶予」となり、前科がつくことはありません。
尚、赤切符の受け取りが1回目の場合では、罰金は発生しても執行猶予(3年)がつくことが多い。執行猶予以内に、もう1度赤切符を受け取ってしまえば、今度こそ前科が付く可能性が高くなります。
赤切符により科せられる罰則
交通違反の内容によって、罰則はかわります。
そこで、主な違反内容の罰則について、下表にまとめました。
違反内容 | 罰則 |
---|---|
酒酔い運転 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
信号無視 | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
一時不停止 | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
歩道上での歩行者の通行の妨げ | 2万円以下の罰金又は科料 |
右側通行 | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
無灯火 | 5万円以下の罰金 |
二人乗り | 2万円以下の罰金又は科料 |
歩道の通行 | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
並進 | 2万円以下の罰金又は科料 |
自転車運転者講習の受講
赤切符や危険行為が原因で交通事故が、3年間の内に合わせて2回以上ある場合は、自転車運転者講習を受ける義務が発生します。
その際、公安委員会より受講命令が出されますよ。もし、講習を受けなければ、5万円以下の罰金が科せられます。
受講命令書が交付されてから、3ヶ月以内に警察本部などの会場で講習を受けなくてはいけません。受講時間は3時間。受講料は6,000円になります。
講習内容には、学んだことに対する小テストや感想文もあるそうなので、結構濃密な時間を過ごすことが予想できますね。
覚悟を決めて、真摯に講習を受けましょう。
まとめ
本記事では、レッドカード(自転車指導警告カード)と赤切符について説明しました。
両方の内容を知れば、この2つが全くの別物がだということが分かりますね。
最期に、本記事で説明した内容を、以下にまとめます。
- 自転車指導警告カード
- 通称として、レッドカードやイエローカードと呼ばれる
- 違反行為に対して警告を促すものなので、特に罰金などの刑罰はない(何枚貰っても罰則なし)
- 警察に記録として残る
- 取り締まりの対象年齢は14歳以上
- 赤切符
- 取り締まった時の態度などを含めて、違反行為が悪質と判断された場合に発行される
- 略式起訴で、検察官から罰金刑などの刑罰が科せられると「前科」がつく
- 検察官が処罰する必要なしと判断したならば「起訴猶予」となり、前科がつくことはない
- 赤切符や危険行為が原因で交通事故が、3年間の内に合わせて2回以上ある場合は、自転車運転者講習を受けなければならない
赤切符を受け取ってしまうと、裁判所や検察庁などへ出頭命令が出されたりして「前科」がつくことがあります。そうなると、その後の人生に様々な影響が付きまといますね。
このようなカードが渡されるのは、客観的に見て、私たちが危険行為を犯しているためです。
素直に反省して、同じ過ちを繰り返さないようにしましょう。