広島県の瀬戸内海沿岸に位置する竹原市。
古くは、室町時代から瀬戸内の交通要衝として知られてきました。
この竹原市には、江戸時代後期の雰囲気を残す「町並み保存地区」があり、多くの由緒ある寺院が残っています。
また、江戸時代の栄華を物語る屋敷が多数残っており、見学する事ができますね。
竹原の町並みをゆっくり歩いていると、ノスタルジーの魅力を感じられずにいられません。
本記事では、「安芸の小京都」と呼ばれる竹原市の魅力について紹介します。
竹原市の町並み保存地区の歴史
竹原市の町並み保存地区は、1540年(天文9年)に現在の町並み保存地区がある場所に港町を築いた事が始まりとされています。
当時は、現在の竹原市の中心部は海だったそうです。
江戸時代に入ると、海を埋め立て新しく田畑が造られますが、塩気が強く田畑に適していない事がわかりました。
そこで、当時竹原を訪れていた播磨国赤穂の商人の助言を聞き入れて「入浜式塩田」として開発される事になったそうです。
造られた竹原塩田は、大成功を収めたそうだよ。
一部の商人たちは、塩田経営や酒造業、廻船業などの多角経営化に成功して、広い敷地に本瓦葺・漆喰塗籠の屋敷を築き、現在に見られるような重厚な街並みが形成されていきました。
近代化に伴い、生産性の悪い塩田の再開発が行われ、町の中心になっていくと、町並み保存地区は往時の姿のまま現在まで残り、1982年(昭和57年)に国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されたのです。
【古い町並みの紹介】
旅先では、竹原市のような町並み保存地区を訪れたりしますので、下記記事で紹介します。
竹原市の町並み保存地区をゆっくり歩いて観光しよう
本町通りを歩いて観光する
「安芸の小京都」と呼ばれる竹原市。
竹原市の中で、最も観光地として名高いのは、町並み保存地区でしょう。
日本全国にはたくさんの町並み保存地区があり、ほとんどが城下町や商家町などですが、唯一製塩町なのは竹原だけです。
2021年8月2日時点で、日本にある重要伝統的建造物群保存地区は、104市町村で126地区あるよ。
この町並み保存地区を本町通りを中心に散策してみました。
石畳が敷かれた本町通りを歩いていると、お屋敷が見えてきます。
このお屋敷は「旧松阪家」の住宅で、塩田や廻船業などの多角経営を営んでいた豪商の住宅です。
江戸末期の建築物を1879年(明治12年)に、全面的に改築され現在に残っています。
この町並み保存地区には、「日本ウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝の生家があり、憧憬の広場には竹鶴政孝と妻リアの銅像が建てられていました。
竹鶴政孝が残した功績は今も世界中で称えられています。
2014年にテレビ放映されたNHK連続テレビ小説「マッサン」では、主人公のモデルとして取り上げられたので知っている人も多いと思います。
本町通りを少し離れて、竹原市の町並みを一望できるスポット「西方寺・普明閣」へ立ち寄ってみましょう。
京都の清水寺を模して建てられたという特徴的な建物です。
この普明閣の中へ入り、眼下を見下ろすと、竹原市の市街地が一望できます。
その光景に思わず「おー」と声が漏れてしまい、しばらく竹原市の町並みを眺めていました。
再び本町通りへ戻り、散策を続けます。
散策の途中で見つけけた「まちなみ竹工房」では、竹工芸の販売や竹細工作りを体験できるそうです。
また、この竹工房の裏側には、修景広場があり、竹を眺めながらゆったりと休憩ができます。
本町通りには、心温まる古い町並みが続き、ノスタルジーを感じますね。
本町通りは南北にほぼまっすぐに続いており、距離にして約350mほどしかありません。
ゆっくり歩いていても、数分あれば歩ききれる距離です。
本町通りから建物を挟んで反対側には、中ノ小路や阿波屋小路などが続いています。
それらの道を散策しながら、町並み保存地区を漫喫していました。
至るどころで竹が利用されています。
これは竹で作った檻かな?
古民家をリノベーションして営業しているNIPPONIAブランドのホテル・レストランがありました。
町並み保存地区を少し離れてみると、大きな木造建築の「旧日の丸写真館」を発見します。
この写真館は、竹原市を舞台にしたテレビアニメ「たまゆら」で一躍有名になり、たまゆらファンなら絶対に立ち寄りたいところです。
散策につかれたら、旧日の丸写真館の手前の橋を渡ったところにある広場(酔景の小庭)で、ベンチに座って柳や川の流れを見ながらゆったりとくつろぎましょう。(広場には飲み物の自動販売機や公衆トイレがあります)
町並み保存地区にある以下4つの施設へ立ち寄りましたので、それぞれについてお話します。
- 旧松坂家住宅
- 旧森川家住宅
- 旧光本家住宅
- 竹原市歴史民俗資料館
尚、竹原市観光協会より各住宅や資料館内の写真撮影と撮った写真をブログへ公開する事は了承を頂いています。(場所によっては写真撮影がNGのところもあります)
【旅に役立つアイテムやサービスの紹介】
旅先で役立つ様々なアイテムやサービスを、下記記事で紹介します。
旧松阪家の住宅を見学
塩田や廻船業などの多角経営を営んでいた豪商の旧松坂家住宅は、竹原市重要文化財へ指定されています。
波打つ大屋根や塗り籠めたひし形格子が特徴的な建物です。
ハート形の透かしは猪目模様と呼ばれ、日本古来の文様です。山伏の魔除けとも言われていますね。
この格子は、大波の上を小鳥が飛んでいるのをイメージしているのでしょうか。
町並み保存地区の町家では、町家ごとに格子の意匠にこだわっています。
切り絵のような羽目板や紋様付きの横格子など、バラエティーに富んでいますね。
これらの格子を「竹原格子」と呼んでいて、一軒一軒の違いを見て歩くのも楽しいです。
旧松坂家住宅の中へ入ってみましょう。
豪商の家でしたので、家の中はかなり広いです。
蓄音機を見かけました。当時はきっと高かったでしょうね。
伊万里焼の便器です。初めて見ました。(笑)
中庭はそこそこ広く、軽い運動ならば十分にできそうです。
1879年(明治12年)に、改築された松坂家の住宅ですが、当時の当主であった松坂昭二は、書画や儒学に親しんだ文化人であったため、随所に中国風の装飾が見受けられます。
旧松坂家住宅
- 住所 広島県竹原市本町3丁目9-22
- 電話番号 0846-22-5474
- 営業時間 10:00~16:00(入館は15:30まで)
- 休館日 水曜日(祝日除く)、年末年始(12/27~1/3)
- 入館料 19歳以上300円、18歳以下は無料。(竹原市在住の75歳以上も無料)
旧森川家の住宅へ行こう
旧森川家住宅は、旧竹原町長を務めた森川八郎の邸宅であり、竹原市重要文化財に指定されています。
旧森川家住宅の中へ入ってみましょう。
旧森川家住宅は、1913年(大正2年)に旧竹原塩田1番浜の一角を埋めて築かれました。
この邸宅には、森川八郎が政治の師匠と仰いだ政治家である望月圭介が使った座敷があります。
中庭に生える木々の新緑がまぶしいですね。
長い渡り廊下に少し驚きます。
ここで食事をしていたのでしょうか。
個人的にお気に入り(その1)
個人的にお気に入り(その2)、ワンポイントマークが良いですね。
手毬が似合う豪邸です。
敷地内には、主屋の他に離れ座敷や茶室、土蔵、隠居部屋など大正時代の建物が立ち並びます。
一通り見てまわった頃には、大正期の豪邸の佇まいを感じる事ができました。
旧森川家住宅
- 住所 広島県竹原市中央3丁目16-33
- 電話番号 0846-22-8118
- 営業時間 10:00~16:00(入館は15:30まで)
- 休館日 水曜日(祝日を除く)、年始年末(12/27~1/3)
- 入館料 19歳以上400円、18歳以下無料。(竹原市在住の75歳以上は無料)
旧光本家を訪れて
国の重要文化財に指定されている復古館頼家住宅の離れとして、大正時代に建てられたのが旧光本家です。
復古館とは一体となった土塀をくぐり、中へ入ります。
復古館頼家住宅は、後年光本家が居住しましたが、後に竹原市へ寄贈されました。
座敷からは小さな庭を眺める事ができます。
また、敷地内にある土蔵は、竹原市ゆかりの陶芸家である今井政之氏の展示館になっています。(展示館内は、写真撮影NGなので注意して下さい。)
展示館の中へ入って陶芸作品を見させて頂きましたが、魚をモチーフにした作品がたくさん並べられており、興味深く見学できました。
旧光本家住宅
- 住所 広島県竹原市本町3丁目7-4
- 電話番号 0846-22-3934
- 営業時間 10:00~16:00(入館は15:30まで)
- 休館日 火・水・木曜日(祝日は除く)、年末年始(12/27~1/3)
- 入館料 19歳以上は300円。18歳以下は無料。(竹原市在住の75歳以上は無料)
竹原市歴史民俗資料館へ立ち寄る
竹原市歴史民俗資料館は、町並み保存地区では珍しい洋館の建物です。
1929年(昭和4年)に町立竹原書院図書館として建設され、現在は竹原の歴史や文化を紹介する資料館として公開されています。
早速、中へ入ってみましょう。
竹原で盛んであった製塩業や酒造業などの資料を展示しています。
また、竹原市内の遺跡から出土された遺物なども展示していました。
個人的には、可愛い竹細工の作品がGoodです。(笑)
〇の中に上のマークが付いている笠は、村上水軍ゆかりの物ですね。
竹原市歴史民俗資料館は図書館として建設された訳ですが、江戸時代には図書館の名前の由来となった学問所「竹原書院」が建っていたそうです。
竹原市歴史民俗資料館
- 住所 広島県竹原市本町3丁目11-16
- 電話番号 0846-22-5186
- 営業時間 10:00~16:00(入館は15:30まで)
- 休館日 火曜日(祝日は除く)、年末年始(12/27~1/3)
- 入館料 19歳以上は200円。18歳以下は無料。(竹原市在住の75歳以上は無料)
【資料館・博物館の紹介】
旅を続けていると、竹原市歴史民俗資料館にような資料館や博物館を訪れることは良くありますので、下記記事で紹介します。
竹原市の町並み保存地区の基本情報とアクセス
住所 | 広島県竹原市本町三丁目 ほか |
電話番号 | 0846-22-4331(竹原市観光協会) |
町並み散策の観光ガイド
- 申し込み先は「たけはら観光ガイド会」(道の駅たけはら内)で行います。第3水曜日が休館日であり、電話番号は0846-22-7730です。
- ガイドの所要時間は90分~120分
- 料金はガイド1名に付き2,000円
- 1名のガイドに付き30名までご案内が可能(2日前までに予約のこと)
町並み周遊券について
町並み周遊券を購入すると、通常料金より安く関連施設の入館ができます。
- 対象施設は、旧松阪家住宅、旧森川家住宅、旧光本家住宅、竹原市歴史民俗資料館の4つです。
- 周遊券の購入場所は、上記4つの施設及び「道の駅たけはら(2階)」になります。
- 周遊券の料金は900円(通常は4つの施設を全て入館すると1,200円)
【アクセス】
- JR竹原駅から徒歩で約15分
- 河内ICから車で約20分
竹原市の町並み保存地区の駐車場
「道の駅たけはら」に無料の駐車場があります。(普通車48台、大型バス4台)
また、「道の駅たけはら」から240m離れたところに、土日祝日限定の無料駐車場があり、100台ほど駐車できます。(10:00~17:00まで利用可能)
町並み保存地区の周辺には有料駐車場もあります。
駐車場名 | 収容台数 | 料金 | 備考 |
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新町市営駐車場 | 47台 | 1時間100円(1日あたり上限600円) | 平地(自走式) 24時間営業 |
「安芸の小京都」と呼ばれる竹原市を漫喫しよう
広島県竹原市の「町並み保存地区」を歩いてみて、情緒あふれる雰囲気にとても満足しました。
竹原市は年間100万の観光客が訪れる観光都市でもあります。(2020年は、コロナの影響で観光客は約61万人でした)
町並み保存地区以外にもウサギ島として有名な大久野島も竹原市に含まれており、機会があれば是非、竹原市へ訪れてみて下さい。
歴史ある古い町並みを漫喫できる「町並み保存地区」をゆっくりと時間をかけて観光してみましょう。
ー 広島県竹原市の観光(後編)へ続く ー