兵庫県加東市を流れる加古川中流には、川底が連続して起伏している場所があり、奇岩・怪岩で一面が満たされています。
また、岩に囲まれた川の流れは、激しい激流となり、轟音を響かせていますね。
その場所こそが「闘竜灘(とうりゅうなだ)」です。
激しい川の流れが、まるで岩を乗り越えて飛び跳ねて戦う竜に見えることからその名が付いたという。
その風景を眺めていると、まさにその名の通りだと感心しました。
本記事では、兵庫県が誇る名勝の一つ「闘竜灘」について紹介します。
自然が造った名勝「闘竜灘」とは
闘竜灘(とうりゅうなだ)は、兵庫県加東市滝野町上滝野の加古川中流にある名勝です。
加古川の河底一面には、流紋岩質凝灰岩が広がり、奇岩・怪岩を形造っています。
更にその地形から、豪快な落水の景色が四季折々楽しめますね。見るだけでなく、実際に起伏に富んだ奇岩の上を散策できることが素晴らしい。
また、闘竜灘では、全国に先駆けて毎年5/1にアユ漁が解禁されます。かつて加古川を遡上する「飛びアユ」の名所として知られており、毎年多くの釣り人が足を運ぶという。
注目は解禁にあわせた2万匹のアユの放流。これは釣り好きの方には、堪らないですね。
豊かな自然が織りなす、人を惹きつける魅力的な景観であるため、「ひょうごの景観ビュースポット150選」に選ばれています。
【ひょうごの景観ビュースポット150選の紹介】
「ひょうごの景観ビュースポット150選」に選ばれている観光スポットを下記記事で紹介します。
轟音響くインパクト抜群な闘竜灘の眺め
闘竜灘の近くにある広場からは、闘竜灘を見下ろすことが出来るビュースポットがあります。
この広場には、サイクルスタンドが常備されているようで、自転車の駐輪にも困りません。
また、徒歩1~2分程度のところには、駐車場が整備されていますね。
広場から眺めた闘竜灘の景色がこちら。
その圧倒的な景色から、思わず「うぉー!」と声を上げてしまいました。
写真では伝わりずらいかも知れませんが、川の流れの速さにビックリ。
見てる分には素晴らしいですが、川の中へ入って遊ぶ(特に子供)のはお勧めできません。
掲示板が立てられており、急な増水に対して注意喚起がされていました。
尚、この掲示板に記載されている内容は、以下の通り。
十分に注意を払い、闘竜灘を見学して下さい。
闘竜灘を眺めていると、岩々に挟まれた地形が、川の水の流れを狭めており、激流となっていることが分かります。
「ゴー!」と鳴り響く激流の音が、耳に心地よい。
これはずっと聞いていたいかも。
直ぐ近くには、料理旅館「滝寺荘」があるので、食事や宿泊もできるのは嬉しいですね。
滝寺荘では、アユ料理が楽しめるそうです。
広場に設置しているこちらの像に注目。
彼は阿江与助(あえ よすけ)氏です。「加古川舟運開発の祖」と呼ばれています。
闘竜灘を語るには、彼の存在を忘れてはいけません。
豊臣氏の代官・生駒玄蕃に命じられ阿江氏は、加古川の岩を削り取り、浅瀬に水路を掘って船が通れるよう尽力を尽くしました。
また、激しい流れに耐える高瀬舟も作ったと言われています。
こうして出来上がった舟道は、1594年(文禄3年)以来、320年に渡り使われ続けました。
当初は、闘竜灘で荷物を載せた舟ではどうしても越えることが出来ない所もあり、荷物の積み下ろしを行う必要があったそうです。
そのため、周辺の川岸には、舟問屋・宿屋などが建ち並んでいたという。
1872年(明治5年)には、船の運航の中でも最大の難所と言われたところに「堀割水路」を造りました。
長さ180m、幅8m、深さ4mの小さな水路ですね。
小さな水路ですが、これを大規模な土木機械を使わず造るとなると、想像を絶するほど大変だったことが伺い知れます。
1913年(大正2年)に播州鉄道が開通すると、荷物の運送は鉄道に取って代わり、高瀬舟はその役割を終えました。
闘竜灘を見下ろす阿江与助の像は、今何を思っているのでしょうか。
闘竜灘からは、朱色の歩道橋が見えます。
この歩道橋にも是非足を運んでみて下さい。
この歩道橋からも闘竜灘を一望できますよ。
その景色がこちら。
辺り一面に広がる奇岩が素晴らしい。
この歩道橋の中央部には、「夏の陽」というブロンズ像が設置されていました。
ある夏の日に、闘竜灘で遊んだ少年少女(兄妹?)の楽しかった思い出を表現しているのでしょうか。
ブロンズ像から、そんなことを感じ取れました。
また、欄干にはアユのデザインが施されており、闘竜灘を遡上するアユの姿を思い浮かべてしまいますね。
【名勝の紹介】
旅先では、闘竜灘のような名勝に訪れる機会は多いです。下記記事では、旅で訪れた名勝を紹介します。
闘竜灘を歩く、岩石の上から見る迫力にビックリ
闘竜灘は見るだけでなく、実際に岩石の上を歩いてみましょう。
広場から坂道が下っており、水路の間には、コンクリート製の橋が架かっていました。
橋を渡り終えると、そこには起伏の富んだ岩石が辺り一面に。
まさに「岩・岩・岩」しかありません。(笑)
そんな景色を見ていると、再びテンションが急上昇!
普段このような所で歩く機会がないため、実に面白い。
岩石の上はゴツゴツしているので、スニーカーや運動靴でないと歩きにくいです。
ハイヒールで歩くと転ぶかも知れないので、絶対に止めた方が良いですね。
岩石をよく見てみると、表面に穴が空いている所を度々見かけます。
この穴は、甌穴です。
甌穴とは、岩石の上にできた窪みに小石が入り、水の流れで小石が回転し削られて出来た穴ですよ。
うっかり穴の中に足が入ると、転倒して危ないかも。
気を付けて歩きましょう。
尚、橋を渡る手前には、ベンチがあるので、遊び疲れたら休憩すると良いです。
橋を渡って少し離れた場所には、小さな塔のような物がありました。
これも自然に出来た物なのかな?
そうであれば、なぜこの場所のみ、このように突起しているのか不思議でなりません。
激流で音が響く所もあれば、穏やかで静寂に包まれている場所もある。
動と静が同一する場所。
そんな不思議な景色を堪能できるのが、闘竜灘の魅力の一つではないでしょうか。
【奇岩・怪岩の紹介】
旅を続けていると、闘竜灘のような沢山の奇岩を見たり、仰ぎ見るような巨大な大岩を見かけることも。下記記事では、そのような大岩を紹介します。
闘竜灘の正門?「闘竜すくえあ」と広場
闘竜灘の近くにある広場では、こちらのような門のモニュメント「闘竜すくえあ」があります。
その佇まいから、まるで闘竜灘の正門のようですね。
ひょっとすると、この門をくぐって闘竜灘へ降りるのが正式なお作法なのかも知れません。(そんなことありえないか。)
こちらが広場の様子。
奥の木々の裏側に見える建物は、料理旅館「滝寺荘」です。
門以外にもモダンな形をしたモニュメントが見て取れます。
また、腰掛けられる岩も多いですよ。
こちらの石碑には「世界に一つ!加東遺産 闘竜灘と鮎漁」の文字が。
加東遺産とは、初めて聞く言葉だけど、未来に残すべき存在だと言うことはヒシヒシ伝わりました。
この石碑の裏側には、小さな社の水神社があります。
お詣りしていきましょう。
尚、水神社の石灯籠は、宝暦年間の建立だそうです。
広場には様々な面白い物を見つけましたが、その中の1つがこちら。
「なべなべそこぬけ」は、古来から伝えられている伝承遊びですね。
かつて闘竜灘の周辺で暮らしていた小さな子供たちも遊んでいたのでしょうか。
そして見逃してはならないのが、こちらの道標。
広場と第2駐車場の間にある道に建てられており、加東市指定文化財に指定されているという。
銘文から1682年(天和2年)に上滝野の人々によって建てられたそうで、道標としては、加古川流域で最古の物だそうです。
闘竜灘はアユ釣りの名所
闘竜灘では、毎年全国に先駆けて、5/1にアユ釣りが解禁されます。毎年楽しみに待ち望む、釣りファンの方も多いでしょう。
また、伝統漁法の筧漁(かけいりょう)も始まるという。筧漁とは、筧(木樋)によって流水を引き込んで滝を作り、この滝を昇ろうとするアユを仕掛けの穴へ落とし込む漁法ですね。
闘竜灘の地形とアユの習性を利用したものであり、江戸時代から継承されているとか。聞くところによると、江戸時代では、姫路藩主に初物のアユを献上していたそうな。
それほど、闘竜灘はアユ釣りに適した場所であり、上物が釣れる場所だと分かります。
近年、天然のアユが遡上しなくなって減少してきているため、地元の漁協が稚魚を放流している。その数は、なんと2万匹。釣り人ならば、思わずテンションが上がるのも無理はありません。
闘竜灘の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県加東市上滝野283 |
電話番号 | 0795-48-0995(加東市観光協会) |
【アクセス】
- JR滝駅から徒歩約5分
- 中国自動車道「滝野社IC」から車で約5分
闘竜灘の駐車場
闘竜灘には、2つの無料駐車場があります。
第1駐車場は、闘竜灘から少し離れていますが、徒歩2~3分ほどで闘竜灘の広場へ辿り着きます。
普通車は約22台程度、駐車できそうです。
第2駐車場の方が、闘竜灘の広場の近くにあります。
徒歩1~2分程度なので、どちらの駐車場を使ったとしても、歩く距離はそれほど違いはありません。
尚、第2駐車場では、普通車が約30台ほど駐車できそうです。
まとめ
闘竜灘は、激流と奇岩が織りなす見事な景色を楽しめる名勝です。
全国的にはそれほど知名度が高くはありませんが、足を運ぶ価値は十分にある場所ですね。
自然が長い時を経て造り上げた景観と、昔の人たちが知恵と努力の末、造り上げた水路が良くマッチしており、1つの良い絵画を見ている感じがします。
加東市へ訪れる機会があれば、是非訪れてみては如何でしょうか。
【周辺の見どころ】
闘竜灘周辺の見どころを、下記記事で紹介します。