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旅の体験談

香川県で知られる二大名園の一つ「中津万象園」の見どころ

中津万象園の景色

香川県の二大名園と言えば栗林公園(りつりんこうえん)と中津万象園(なかづばんしょうえん)ですね。

中津万象園は、近江の琵琶湖と近江八景を模して造られた美麗な庭園であり、千代の傘松や石投げ地蔵尊、観潮楼など見所満載です。

園内をゆっくり歩きながら、かつての主であった京極家の人々が慣れ親しんだ景色を眺めてみましょう。

本記事では、中津万象園を散策しながら見どころについて紹介します。

本記事は、以下に該当する人向けです。

  • 大名庭園に興味がある
  • 美しい庭園を散策してみたい
  • 中津万象園について見どころを知りたい

中津万象園とは

中津万象園

中津万象園(なかづばんしょうえん)は、近江八景をなぞらえて配置された島々を橋で結んだ池泉回遊式の大名庭園です。

15,000坪の園内には、約1,500本にも上る松を植え、庭の中心には近江の琵琶湖を模した八景池を置いています。

丸亀二代目藩主の京極高豊(きょうごくたかとよ)候により、丸亀藩中津別館として築庭しました。

そのため、江戸時代には、中津別館や中津御茶所とも呼ばれていたそうです。

「万象園」の名称は、「素軒の号」で書家として活躍していた長州藩士の野村素軒(のむら もとすけ)が茶屋の額に「万象園」と書いたことが由来ですね。

香川県内では、栗林公園と共に残る名園であり、園内には市指定文化財の茶亭と母屋があります。

また、南側には樹齢600年に及ぶ美しい枝ぶりが見事な大傘松は実に見応えがありますね。

中津万象園の全体図と所用時間

中津万象園の全体図
中津万象園の全体図

こちらが中津万象園の全体図になります。中津万象園は、1周約1kmほどの日本庭園なので、ゆっくり散策して見て周りましょう。

この全体図を見て分かるように、観光コースは大きく分けて、外周一周を周る「椿コース」と池に浮かんだ島の中を歩く「松コース」がありますね。これらのコースについては、園内の受付で頂くパンフレットに記載されていました。

どちらのコースで歩いても1周約30分ほどですので、散策するにはちょうど良い時間ではないでしょうか。そのため、所要時間は松コースと椿コースを合わせて約1時間ほどみておこう。

中津万象園を散策時の注意点

中津万象園は、良く手入れがされていますので、気持ち良く散策できますね。

しかし、所々で注意するところがあります。

例えば島へ渡るには、こちらのような周りの景観にマッチした日本庭園で良くみかける橋がありますが、欄干がないため足を踏み外すと池へ落ちてしまう可能性がありますね。

池に浮かぶ石橋
水連橋です

また、こちらの池の中に浮かんでいる足場ですが、「滑りやすい」と注意書きがありましたので気を付けましょう。

滑りやすい橋

園内の一部には、こちらのハゼの木が植えられており、ハゼはウルシ科なので肌が直接触れるとかぶれてしまうかも知れません。

ハゼの木
ハゼ

このハゼの根元には「この木にさわると、かぶれる人がいます」と注意書きがありました。

ハゼの木の注意書き

尚、私が散策中に見つけたハゼは1本だけです。(他にも植えられているかも知れませんね。)

ゆっくり周りを見渡していれば、注意すべきポイントは自ずと分かりますので、散策を楽しみましょう。

中津万象園の見どころ

庭園を一望できる美しい朱色の邀月橋

邀月橋の入口
邀月橋

中津万象園の受付を済ませた後で、通路を抜けて庭園へ向かうと、一番初めに目にする橋が邀月橋(ようげつばし)です。

邀月橋は、中津万象園内で最大の橋であり、唯一「八景池」の島々を繋いでいません。

全長は30mもあり、園内で一番目を引く朱色の美しい橋ですね。

その色鮮やさは、緑多い園内において良いアクセントになっています。

中津万象園の景色
邀月橋

この橋の名前には「邀」と言う漢字が使われていますが、この漢字は「招く」と言う意味を持っているため、この橋から見事な月を招くことができると言われていますね。

この橋の中央へ立てば、園内が一望できるビュースポットを提供してくれます。

中秋の名月(月見の宴)ではこの橋から美しい月が望めるよ。

邀月橋から見た景色

こちらが橋から見た景色です。その美しさに思わず「素晴らしい!」と声が出てしまいました。

こちらが反対側の景色です。池の奥には丸亀美術館が見て取れますね。

邀月橋から見た景色

急いで橋を渡らずに、橋の上からじっくり庭園を眺めてみましょう。

【景観が素晴らしい橋】

日本庭園の橋に限らず、普段の生活で使用している橋にも美しい景観な物がありますね。そんな橋を下記記事で紹介します。

名松100選の一つ「千代の傘松」

千代の傘松
千代の傘松

中津万象園で見逃せないのが「日本名松100選」にも選ばれている「千代の傘松」(大傘松)です。

樹齢600年と言われており、近江から移植した松を300年かけて傘型に仕立てた物だとか。

職人の凄まじい芸術へのこだわりに頭が下がる思いです。

1本の松の木が直径15cmにわたり大きく傘を広げており、刈り込みの際には、30人の庭師が必要とされています。

実に見応えのある松の木に感服しました。

千代の傘松の根本

こちらが千代の傘松の根本です。どっしりと根差した太い幹を見ていると生命力の強さを感じます。

この素晴らしい「千代の傘松」が更に成長し、樹齢1,000年になった姿を思い浮かべ、自然に口元がにやけてしまいました。(笑)

石を投げて願を叶える「石投げ地蔵」

石投げ地蔵
石投げ地蔵

中津万象園は、京極家の人たちやその関係者のみが出入りした庭園ではありません。

身分制度のあった江戸時代に信じられない事ですが、大名の庭園へ庶民が出入りできていたそうです。

それは、庶民がこの庭園の西端にある「石投げ地蔵尊」へ参拝することを当時の殿様が認めていました。

それにしても随分理解ある殿様だったみたいですね。

また、参拝方法も実にユニークです。

白い石に願い事を書いて、お地蔵様へ向けて投げ入れると、長寿や豊作、子作りなど十種の福徳があるとされています。

このような参拝方法は、日本広しとは言えこの「石投げ地蔵尊」のみです。

間違ってもお地蔵様へ石をぶつけないよう注意しましょう。

石をぶつけた不届き物には、どんな仏罰が下るのか想像だにできませんね。

昔からこの地にあって霊験あらたかなお地蔵様として、漁師や農民、商品などの信仰を集めていたよ。天保年間の台風で海にお地蔵様が沈んでしまったそうなので、現在のお地蔵様は復元した物だね。

白い石

尚、白い石はお地蔵様の近くで売られていました。

この白い石に願いを書いて、「石投げ地蔵尊」へ願いをかけてみませんか。

【神社仏閣の紹介(その1)】

旅先では神社仏閣へ良く立ち寄り参拝していきますね。下記記事では、観光地内で祀られている神社仏閣について紹介します。

母屋(茶室)と観潮楼

先ほど触れた「千代の傘松」の直ぐ近くには、「母屋(茶室)」が見て取れます。

藁ぶき屋根の建物を見ていると、日本人のDNAが騒ぐ感じがしますね。(笑)

母屋(茶室)

その隣には、日本最古の煎茶室である「干潮楼(かんちょうろう)」がありました。

干潮楼は名前の通り、海の潮の満ち引きが見える茶室だったそうです。

観潮楼

また、建物の周辺には「舟付き」と呼ばれる船着き場が残っており、江戸時代に舟でこの茶室へ赴いた面影があります。

竹林に囲まれた朱色の鳥居回廊

鳥居回廊

竹林に囲まれた朱色の鳥居が連なる「鳥居回廊」の景観は見事であり、鳥居の数は100本あるそうです。

この鳥居は、1982年(昭和57年)の中津万象園の復元及び一般公開に合わせて地元有志により奉納が続けられていました。

そして、2019年(令和元年)になると、ついに100本の鳥居が奉納され今に至ります。

鳥居をくぐれば、京都の伏見稲荷のような圧巻の景色が見て取れますね。

鳥居回廊の景色

この100本の鳥居の先には、京極家が信仰していた京都伏見稲荷の伏見稲荷分社が祀られていました。

伏見稲荷分社
伏見稲荷分社

しっかり参拝しておきましょう。

こちらは外側からみた鳥居回廊です。竹林の緑に朱色の鳥居がよく映えますね。

百本鳥居と竹林

ビュースポットとしても申し分ないので、記念撮影しては如何でしょうか。

近江「八景池」の景色を見て周ろう

中津万象園の景観

中津万象園は今でこそ美しく復元され一般公開されていますが、一時は庭園の持ち主が点々と変わっていたり、南海大地震の影響を受けて荒廃していました。

しかし、1982年(昭和57年)の復元計画を経て、現在の美しい庭園に復活した次第です。

近江の琵琶湖と近江八景を模して築庭された美麗な庭園である中津万象園には、8つの島が池の上に浮かび、それらの島を6つの橋が結びつけています。

中津万象園の風景
中津万象園の景色
赤い橋

また、庭園全体は松で覆われていますが、それ以外にも桜や椿の道、菖蒲、藤棚、紫陽花、常盤露草など季節の花を楽しめますね。

桜の木

そのため、四季折々の花々が庭園をより彩り、訪れた人々は心安らぐでしょう。

更に園内では、様々な野鳥を観察できました。

平和の象徴である鳩がヨチヨチ歩いています。近づいても逃げないため、人に慣れているのでしょう。

庭園を歩く鳩

池をジッと見つめるカワサギを激写。直立不動の姿勢がカッコイイですね。

池を眺めるカワサギ

蓮の葉が一面に広がっています。

蓮の葉

気になったところや気に入ったところがあれば、足を止めじっくりと見学していきましょう。

近江八景になぞられた島

  1. 帆の島(矢橋帰帆)
  2. 雁の島(堅田落雁)
  3. 雪の島(比良暮雪)
  4. 雨の島(唐崎夜雨)
  5. 鐘の島(三井晩鐘)
  6. 青嵐の島(粟津晴嵐)
  7. 月の島(石山秋月)
  8. 夕映えの島(勢田夕照)

※カッコ内は近江八景

【大名庭園と城下町】

中津万象園のような大名庭園は日本全国に点在していますね。また、大名庭園と城下町が近くにあったりするところもありますので、下記記事で紹介します。

なぜ、中津万象園が造られたのか

京極家

なぜ京極高豊候が万象園を作った理由については、文献に残っておらず不明です。

当時の高松藩の記録によれば、民の不作による困窮生活を救うため、公共事業として栗林公園を造ったとありますので、同時期に造られた中津万象園も丸亀の民を救う公共事業であった可能性が高いと思われます。

もしかしたら公共事業だけではなく、京極高豊候は、きっと先祖の思いを汲み取り、京極家の故郷を形として残したのではないでしょうか。

大名庭園の三社詣り

中津万象園の三社詣り

中津万象園は、園内に「伏見稲荷分社、石投げ地蔵尊、弁財天」の神仏が祀られています。

弁財天は、京極家藩主が琵琶湖竹生島の弁財天を分社した物で、知恵や弁舌、福徳の美神として代々の藩主の信仰を集めていました。

弁財天
弁財天

伏見稲荷分社は、先ほど触れましたが京極家が信仰していた京都伏見稲荷の神様です。

地蔵尊は、この地に昔からあって庶民の信仰を集めていました。

中津万象園を見学しながら三社へお参りしませんか。

尚、中津万象園の受付があった館内では、三社のスタンプ御朱印がありますので、参拝した記念に押して帰りましょう。

丸亀美術館について

丸亀美術館
丸亀美術館(絵画館)

中津万象園の園内には、丸亀美術館があります。

この美術館は、絵画館・陶器館・うちわの里に分かれており、陶器館・うちわの里は無料です。

絵画館へ入るには、中津万象園とは別途有料となるため注意しましょう。

絵画館では、主にフランス自然主義絵画を代表するコロー・クールベとミレーなどのバルビゾン派の絵画を展示しています。

  • 陶器館では、今のイラクやイランを中心とした紀元前2,500年頃から13世紀頃までの彩文土器や陶器などを展示しています。
  • うちわの里では、丸亀の名産である「丸亀うちわ」が展示されています。(令和4年8月中旬まで工事予定のため入館できません。)

中津万象園の基本情報とアクセス

住所香川県丸亀市中津町25-1
電話番号0877-23-6326
営業時間9:30~17:00(最終受付 16:30)
休園日水曜、年末
入園料大人700円、子供(小中学生)300円
※障害者割引有り

丸亀美術館の入館

  • 丸亀美術館(絵画館)の営業時間及び休館日は、中津万象園と同じ
  • 入館料は、大人500円、子供(小中学生)200円
  • 「中津万象園+丸亀美術館(絵画館)」のセット料金は大人1,200円、子供(小中学生)500円

【アクセス】

  • JR丸亀駅よりタクシーで約6分
  • JR多度津駅よりタクシーで約5分
  • 坂出北ICより車で約15分
  • 善通寺ICより車で約10分

中津万象園の駐車場

中津万象園の無料駐車場は、道路を挟んで反対側にあります。(普通車100台、バス30台)

また、庭園正面入口横にも狭い駐車場がありました。

こちらは普通車が5台ほど駐車できそうです。

まとめ

石投げ地蔵の入口

中津万象園は、香川県を代表する庭園の一つです。

京極高豊候により、築園された美麗な園内をゆっくり歩いていると、気持ちが優しくなってきますね。

近江の琵琶湖と近江八景を模した池に浮かぶ島々を渡りながら、美しい日本庭園を眺めましょう。

千代の傘松や石投げ地蔵尊、観潮楼など見どころも盛り沢山です。

外周1周するには、約30分もあれば事足りますが、出来れば1時間から1時間30分ほどかけて、じっくり見て周ることをお勧めします。



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この記事を書いた人

年齢:40代。
職業:旅人兼ブロガー。

私にとって自転車旅が一番の楽しみであり、知らない土地、景色、一期一会の出会いなど様々な体験をしました。当ブログでは、自転車旅などを通じて体験した事や訪れた絶景・観光スポットについて紹介します。また、自転車全般に役立つ情報を発信しています。

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