「近江八幡の水郷と八幡堀(はちまんぼり)」は、国の重要文化的景観の第1号に選ばれた話を知っていますか。
そのため、近江八幡の観光では、外せない観光スポットの1つでしょう。日本一遅い乗り物と言われている手漕ぎの和舟(願成就の船)に揺られながら、船上から眺める四季折々の美しい自然や町並みは、とても風情を感じます。
特に桜シーズンが素晴らしく、まるで時代劇の世界に入ったかのような景色は、感動ものですよ。
本記事では、映画のロケや結婚式にも人気の高い「願成就の船」に揺られながら、八幡堀めぐりの魅力を紹介します。
時代劇の世界を満喫する「八幡堀めぐり」とは
八幡堀めぐりとは、八幡堀を和舟にのって巡る近江観光の名所です。
八幡堀は、滋賀県近江八幡市にある全長6km・幅15mに及ぶ人工水路であり、安土桃山時代に造られました。豊臣秀次が八幡山城を築城した際、城下町と琵琶湖をつなぐために整備した次第です。
この八幡堀により、近江八幡は商業都市として繁栄を築き、江戸時代には現代でも通じる「三方よし」の近江商人を輩出します。
ちなみに、三方よしとは「売り手よし・買い手よし・世間よし」のこと。つまり、売り手、買い手、世間の3つすべてにとって良い商売を心掛けるべきという教えですね。
八幡堀の堀沿いには、豪商たちの白壁土蔵や旧家が立ち並び、大変な賑わいを見せていましたが、時代の流れと共に交通は陸路に取って変わりました。
1965年(昭和40年)頃には、ヘドロが溜まる無残な姿に。そのため、埋め立てて駐車場を造る計画があったとか。この時立ち上がったのが青年会議所と多くの市民たちです。
そして、今では市民の憩いの場や観光地になっている。また、「るろうに剣心」「暴れん坊将軍」「鬼平犯科帳」など数多くの江戸を舞台にした時代劇のロケ地としても有名。
船上から美しい自然とともに石垣や白壁の蔵が並ぶ風情を楽しみましょう。
【周辺の見所】
八幡堀周辺の見所を下記記事で紹介します。
乗舟チケットの購入と集合場所
八幡堀めぐりの乗り場は2箇所あり、船の種類も違っています。
1つは手漕ぎの舟で、もう1つはモーター船ですね。それぞれの良さがあるので、どちらにするかはお好みで。私は「日本一遅い乗り物」というフレーズに惹かれたため、手漕ぎの舟を選びました。
手漕ぎの舟の乗舟チケットは、明治橋から少し歩いたところにある「ほのぼの館ギャラリースペース新町浜」で購入できます。
混んでいる可能性があるので、あらかじめ予約しておくのが確実です。チケットを購入すると、ポチ袋をもらえる。このポチ袋の中身と使い方については、後で説明しますね。
ほのぼの館ギャラリースペース新町浜では、地元の工芸品や近隣の作家の作品を展示販売しているので、見ているだけでも楽しいですが、気に入った物があればお土産に如何ですか。
乗船時間が来るまでは、八幡堀周辺を散策するのがお勧めです。そして、乗船10分前には、このほのぼの館へ集合しましょう。船頭が乗り場まで案内してくれます。
ちなみにモーター舟の方は、かわらミュージアム前に乗り場がありますね。実はモーター船の方が、少し航路が長いそうです。
ほのぼの館ギャラリースペース新町浜
- 住所 滋賀県近江八幡市大杉町30-1
- 電話番号 0748-36-5115
- 営業時間 10:00~16:00(土・日曜、祝日は~17:00)
- 休業日 水曜日、年末年始
- 料金(手漕ぎの和舟)
- 大人(中学生以上)1,000円
- 小人(小学生)500円
- 小学生未満は無料
- 無料駐車場あり(普通車3台)
【魅力①】昔ながらの手漕ぎ舟「願成就の舟」
八幡堀めぐりで乗船する、昔ながらの手漕ぎ舟を「願成就の舟」と呼んでいます。
この呼名は、船のルートに起因しているとか。ルートは、新町浜から幸円橋までのお堀巡りを行う。幸円橋の近くには、豊臣秀次ゆかりの願成就寺があり、新町浜にある「お願い地蔵さま」までつないでいるため、「願成就の舟」という呼び名も納得です。
乗り場のすぐ近くには、幅の広い石段がありますね。船の荷揚げ場として用いられていました。時代劇で見た方も多いかも。
使われている和舟は6人乗りと4人乗りがあります。1度に出発できる人数は最大12名、最小2名ですよ。つまり、2名以上になるまで出発しません。
尚、和船に乗る際は、バランスに気を付けて。乗員同士でバランスを取り合うよう気を配りましょう。そして、約35分の舟旅を、船頭の案内に耳を傾けながら、ゆらり揺られて、のんびり楽しんで下さいね。
結婚式の際には、嫁入り舟として使えます。興味のある方は、実際に申し込んでみては如何でしょうか。
【船旅の紹介】
旅先では、遊覧船などでクルージングを漫喫することも。下記記事では、そんな船旅を紹介します。
【魅力②】情緒あふれる水郷の風景
八幡掘めぐりは、四季折々の美しい風景と石垣や白壁の蔵が織りなす情緒あふれる景色を楽しめます。
春は桜、夏は柳、秋は紅葉、冬には雪景色と季節によって、違った表情をみせますよ。
私が訪れたのは桜シーズン真っ盛り。八幡掘の周辺には、ピンク色の花が咲き誇り、多くの観光客で賑わっていました。
特に白雲橋辺りの景色が素晴らしい。船上からだけでなく、白雲橋から八幡掘を眺めてみるのもお勧めします。また、明治橋辺りは、昔ながらの商家や白漆喰・黒板塀の蔵屋敷が立ち並んでおり、見応え抜群ですね。
手漕ぎ和舟ですので、船頭が一本の櫓(ろ)を使って漕いでいる。ギーコギーコと手漕ぎのリズムが心地よく、船の揺れと相まってウトウトすることも。なので、美しい景色を見逃さないように気を付けましょう。
江戸時代のような雰囲気を味わいながら、舟はゆっくり八幡掘を移動します。
まずは、乗り場から白雲橋のある東方向へ進み、この橋前でUターン。そして西方向へ進む。その後、明治橋の下をくぐり抜けた後、幸円橋前まで進み、その橋前で再びUターンして、乗り場へ戻りますよ。
船上から眺めた八幡掘の景色を、ダイジェストで紹介します。
また、町並みを築いている1つ1つの建物が実に赴きがあるので、お見逃しなく。
当たり前ですが、他の舟とすれ違うこともありますよ。皆さん良い笑顔です。
こちらは、幸円橋。ここまで来ると、船旅も終了に近づきます。
周りの景色を楽しんでいると、約35分の船旅もあっという間に終わりますね。和舟に乗ること自体が非日常の体験であり、歴史が感じられることで、より非日常感が深まります。
更に周りの美しい景観が、より八幡掘の魅力を引き立たせていました。
尚、船頭の話の中で、下水道の紹介があったので、少し調べてみることに。建造当初から、堀には「背割り」と呼ばれる排水路による下水システムがあったそうです。
大平洋戦争後まもなくまでは、150隻の船が行き来しており、水運業者などが堀に溜まった汚泥を、定期的に水底をさらって取り除いていました。しかし、昭和時代の後半には、八幡掘は運河の機能を失い、川底にはヘドロがうず高く積み重なると、ひどり悪臭を放つようになる。これは大問題ですよ。
先ほども触れましたが、その後、多くの市民の協力の下、今の綺麗な八幡掘に復活を遂げた次第です。こうして、近江八幡の観光には欠かせない名所として、今に至ります。
【古い町並みの紹介】
旅先では、古い町並み観光を良く行うので、下記記事で紹介します。
八幡掘沿いを散策するのもおすすめ
舟旅だけでなく、八幡掘沿いをぶらぶら散歩するのもお勧めです。堀沿いに立ち並ぶ木々の木漏れ日が気持ち良いですよ。
石畳の道を歩きながら、見る景色はどれもが絵になります。特にお勧めしたいのが、白雲橋からの眺め。
水面のさざ波に光がきらめく様は実によく、情緒あふれる景色は素晴らしい。それに、行き交う和船は本当に絵になる。尚、橋の上は普通に車などが通過するので、気を付けて眺めましょう。
近くには、「八幡堀石畳の小路」と呼ばれる小さなショッピングモールがありますよ。
アクセサリーや和雑貨の店、カフェなどが入っていてるので、足を運ばれてみては如何でしょうか。
お願い地蔵さまへお参り
「願成就の舟」の乗船チケットを購入した際に頂くポチ袋の中には、5円玉が入っています。
この5円玉は、お願い地蔵さまの祈願に使ってみては如何ですか。お願い地蔵さまは、新町通りの一角に安置されており、ほのぼの館ギャラリースペース新町浜から約100mほど離れています。
直ぐ近くには、日本料理「喜兵衛」がありますので、分かりやすいですよ。
お願い地蔵さまに何を願うかは人それぞれ。旅の安全を願えば、心穏やかに近江八幡観光を楽しめるかも知れません。
【神社仏閣の紹介】
旅先では、様々な神社仏閣へ訪れますので、下記記事で紹介します。
八幡堀のアクセス
- JR近江八幡駅から近江鉄道バス長命寺行きへ乗って「新町」で下車後、徒歩約3分(バスの乗車時間は約6分)
- 名神高速道路「竜王IC」より車で約25分
八幡堀の駐車場
八幡堀周辺には、無料で使える「日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)前駐車場」と「八幡公園駐車場」があります。特に日牟禮八幡宮前駐車場は、立地がよく非常に便利。日牟禮八幡宮の参拝と合わせて利用しましょう。
また、少し離れますが、近江八幡の町並み観光に便利な有料の「市営小幡観光駐車場」などが利用できます。
まとめ
近江八幡の観光では、外さない名所が八幡掘です。そこを和舟でめぐる「八幡掘めぐり」では、四季折々の美しい自然やレトロな町並みと相まって、ともて風情を感じます。
また、時代劇のロケ地によく利用されており、時代劇ファンならば、堪りません。
たとえ時代劇ファンでなくても、まるで江戸時代にタイムスリップしたように感じる。風情と歴史が調和した魅力あふれる「八幡掘めぐり」を楽しみましょう。