今年(2024年)の春に訪れた、香川県の北西部にある荘内半島(しょうないはんとう)へ再びやってまいりました。
前回は浦島太郎伝説の残る伝承地へ訪れながら、荘内半島一周サイクリングを実施しましたが、タイミングが合わず丸山島と紫雲出山(しうでやま)には行けませんでしたね。(前回の自転車旅の様子は、こちらの記事で紹介)
特に紫雲出山は、桜の名所として世界的に名をはせており、紫陽花の名所としても有名ですね。それにヒルクライムスポットとしてサイクリストに認知されています。
一方、丸山島では、トンボロ現象で海中から歩道が浮かび上がらなければ渡れないので、干潮のタイミングの見極めが必要ですよ。
本記事では、これらのタイミングが合うとある初夏の日に、荘内半島を自転車で巡った様子をお届けします。
宅間駅から荘内半島へ向かう
いつものように電車輪行を行ない、JR宅間駅へ到着しました。本日は青空が広がる良い天気。これは、紫雲出山の眺望に期待ができるというものですね。
けれど、天気予報では、午後からだんだんと曇りになってくるみたいなので、そこだけが心配だ。
テキパキと自転車の準備を整え、紫雲出山へ向けて走り出します。
宅間駅から丸亀詫間豊浜線(県道21号)を西へ向けて走ると、高瀬川に架かる宅間大橋へ到着。そこには、カメに乗った浦島太郎の像がお出迎えしてくれました。
うむ、今年の春にも訪れたばかりなので、久しぶり感はないかな。けれど、ついまじまじ見てしまうのは、どうしてでしょうかね。(笑)
前回は、時計回りに荘内半島を一周するために、丸亀詫間豊浜線を走り西海岸へ向けて突き進みましたが、本日は東海岸側の県道232号を走り、まずは詫間町大浜地区を目指します。
道はほぼ平坦路のため、快調に疾走していると、周りの風景は次々に変わっていく。宅間市街地の風景、工場が連なる風景、瀬戸内海が広がる風景など。
めまぐるしい変化に心が躍るというものだ。そうこうしている内に大浜地区へ到着。何だかあっという間でしたね。
その後、荘内半島を横断するショートカットコースへ入る。
その道中で見つけたのが、荘内浦島郵便局。入口前には、カメに乗った浦島太郎の石像がありました。おっ、この石像を見るのは初めて。浦島太郎が凄く若く見えるのは、私だけだろうか。(笑)
壁には魚や海藻などが描かれており、竜宮城のある海底のイメージ。さすがは浦島太郎ゆかりの地だな。こういうのは大好きですね。
大浜地区を東海岸から西海岸へ向けて横断しましたが、距離は約1.5kmほどしかなく、平坦路だったこともあり、気付いていたら半島の西海岸へ到着していました。
その後、大浜仁尾線(県道234号)を南下して、鴨之越(かものこし)地区へ向かいます。
しばらくすると、鴨之越のバス停が見えてきた。
バス停近くにある細い道から海岸へ向けて下り、鴨之越集落へ入る。
しばらくすると、目の前には丸山島が現れました。
さて、干潮予定時刻より1.5時間ほど早いけど、丸山島へ渡る道ができているのかドキドキしながら鴨之越海岸へ向かった次第です。
【荘内半島周辺の見どころを紹介】
荘内半島周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
海中より歩道が出現、丸山島へ渡ろう
鴨之越海岸へ到着すると、海中から歩道が浮かび上がっており、丸山島につながっているのを目撃しました。思わず「よし、よし、よし!」と声を上げて、ガッツポーズ。
予想はしていましたが、実際に自分の目で確かめると嬉しいものだ。
干潮のピークに達していないためか、まだ多少水浸しなところもある歩道ですけど、気を付けて歩けば問題ありません。
おっ、そうだ、海岸辺りは滑ることを思い出し、腰を低くし重心をおとす。そっと歩きながら海中から現れた歩道へ向かいました。
少し歩けば滑りやすい場所を通過するので、その後は普通に歩いても大丈夫ですよ。コンクリートで造られた歩道の周囲には、干上がって浮き出た石ころがたくさんある。
この上を歩いて大丈夫そうですが、まだ完全に浮かび上がっていない状態なので、素直にコンクリート部を歩き丸山島へ向かいます。
少し離れたところには、砂浜が浮き上がっていましたが、一部はまだ海中に沈んだままでしたね。
実は、トンボロ現象で2つの歩道(砂浜とコンクリート歩道)が現れる場所というのは、全国的にみても珍しいですよ。
コンクリートでできた歩道を歩いていると、数十匹のフナムシがうようよ動いているではないですか。虫が苦手な人は、砂浜を歩くのをおすすめします。
しばらくして無事、丸山島へ到着。おっ、あれは浦島太郎の像ですね。鴨之越は、浦島太郎がカメを助けた場所として伝わっている浦島太郎の伝承地の一つ。
この鴨之越から北へ行くと、太郎の生誕地である生里(なまり)地区へ辿り着き、箱地区に向かえば、浦島母子のお墓があります。荘内半島の至るどころに、太郎の伝承地があるのは面白いですね。
堤防の上から太郎が見つめる先には、奇岩が見えていい感じ。まさに特等席ともいえるぞ。
丸山島には、浦島太郎を祀る浦島神社があるので、もちろん参拝しました。
その隣には、小さな祠の竜王宮を発見。その他には、特にめぼしいものはありませんね。
しばらく丸山島で過ごしながら、浦島太郎に思いを馳せていました。
【カメラに関する話】
旅の思い出にカメラ撮影を楽しみましょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
紫雲出山の山頂へ向けてヒルクライム
丸山島を後にして、鴨之越集落を抜けると大浜仁尾線(県道234号)へ合流。そのまま道なりに北上して、紫雲出山へ向かいます。
鴨之越のバス停から紫雲出山の入口までは、約2.5kmほど。後半上り基調になりますが、それほどたいした勾配ではありません。
大浜仁尾線を疾走していると、左手側に先ほど訪れた丸山島が見えてきました。なので、思わず愛車と記念撮影。うん、海岸から丸山島へ向けて歩道がつながっているのが遠目でも分かりますね。
道なりに進んでいると、沿岸には「紫雲出山登山口 900m」と書かれた案内標識を発見。
テンションが上がってきた。この標識が見えてきたら、紫雲出山の入口まであと少し。
前回は通行止めのため、ヒルクライムができませんでしたが、すでに通行止めは解除されているのは確認済み。山頂から望む風景が実に楽しみですね。
道中で見つけたカラフルなベンチ。春に訪れた時にはありませんでしたが、いい場所にあるじゃないですか。バックに見えるのは丸山島です。
自転車のギアを落とし、軽やかにペダルを回していると、紫雲出山の入口へ到着。
周囲には、竜宮城をイメージした公衆トイレがある。
紫雲出山の山頂までトイレ休憩できる場所はないので、こちらの公衆トイレで用を足しておこう。
さて、準備を整えると本日のメインイベントのお時間だ。
よいよ紫雲出山の山頂めがけてヒルクライムを開始します。
サイコンの温度計を見ると、30度を超えている。う~む、どうりで暑いはずだ。熱中症には気を付けなければ。
序盤の勾配は4~5%ほどかな。それほど大したことはありませんが、この先勾配が上がってくるので油断せずにいこう。
紫雲出山の平均勾配は7%、最大勾配は12%?だろう。10%を越える区間は何度かありますが、距離が短いので意外に上りやすかったという印象です。
入口から山頂の駐車場までは約3.5kmほど。自転車旅の道中でヒルクライムを行なう際には、絶対に無理をしないのが大事ですね。
道中には、こちらのような日陰区間が途中に何度もあるのは嬉しいかな。夏場にはクールダウンができて助かります。
おっ、これは凄いカーブだな。実は、紫雲出山には多くのつづら折りがあり、ブラインドカーブが多い。そのため、先が見えずらいポイントが多々ありますね。
特に帰路のダウンヒルはスピードの出しすぎに要注意ですよ。それに紫陽花シーズンということもあり、それなりに車の交通量が多かったかな。
うろ覚えですが、頂上の駐車場へ到着するまでに、車を10~20台ほどは見かけたと思います。
道が開けてくると、遠くには瀬戸内ブルーが見えてきてテンションが上がる、上がる。
ん、これは四国の道の立て札ではないですか。ということで、近くに紫雲出山の登山道を発見。麓から登って車道に出る訳ですね。ここからは、車道を歩いて山頂へ向かうみたい。
マイペースで山頂を目指す。く~、日陰区間が嬉しすぎるぞ。
そうこうしている内に山頂の駐車場へ到着。お疲れさまでした。
その後、紫雲出山の3つの展望台から瀬戸内海の多島美を眺めたり、アジサイロードで色とりどりの紫陽花を堪能しました。紫雲出山については、こちらの記事でくわしく紹介します。
紫雲出山の帰路は、お待ちかねのダウンヒルだ。スピードの出しすぎには気を付けよう。
下っている最中に初めて気づいたのですが、最大勾配16%や12%の標識がありました。
上っている最中では、これらの標識は反対向きになっていたため、気付きませんでしたが、体感的に考えても16%があるとは思えなかったな。
おそらく短距離すぎて、気付かなかったのでしょうね。
多度津町へ向かう道中にて
その後、紫雲出山まで来た道を引き返し、詫間町の市街地へ到着。
天気は晴れのまま。空に流れる雲の様子からして、あと1~2時間ぐらいは晴れてくれそう。気温は高くなってきましたが、暑さにも少しは慣れてきたので、当初の予定通り丸亀市へ向かいます。
まずは、丸亀市のお隣の多度津町へレッツゴー。
さぬき浜街道(県道21号)を疾走していると、左手側には海に浮かぶ小さな島が見えてきました。この島には、津嶋神社が鎮座しており、海に向かって延びる参道が印象的。
しばらく道なりに進んでいると、おや、サイコンに表示された自分の今いる位置が海岸線を離れているぞ。
それを見て、おそらく「GPSの受信がおかしくなったに違いない」と思いましたね。
サイコンの再起動を使用かと思いましたが、目の前にトンネルが見えてきたので、「トンネルに入ればGPSは遮断されるので、トンネルを抜けた時に再度接続されて位置情報が正しく修正されるだろう」と考えました。
ふ~、トンネル内は涼しくて気持ちがいい~。自転車のスピードを落とし、ゆっくりトンネル内を進みます。
トンネルを抜け出すと、サイコンの位置情報に変わりがない。ど・う・い・う・こ・と?
右手側にはのどかな風景が広がる。
左手側を眺めると、遠くには海が見えるではないですか。この時になって、サイコンが正しく自分が間違っていることに気が付きました。
なんであの時、GPSの受信がおかしくなったと思ったのか、数分前の自分を叱りたい。
気が付けばその後の行動は早いですよ。急いで海岸線のルートをサイコンで確認し、もともと予定していたコースに合流した次第です。
後日調べて分かったのですが、どうやら同じ県道21号線でも途中からさぬき浜街道ではなく、丸亀宅間豊浜線を走っていたようだ。
どちらの道でも詫間町へ辿り着けるので問題はないのですが、海岸線を走っていたのには理由があります。それは、多度津町にある近代化産業遺産「多度津港 旧外港東防波堤」を見たかったからですね。
さぬき浜街道へ合流後、そのまま道なりに疾走し、多度津港へ辿り着きました。
多度津町で史跡を見て回り帰路に付く
多度津港は、明治時代までは県内最大の港でした。北前船の停泊港だったり、こんぴら詣りの参拝客が利用したりするため栄えていたそうです。
1911年(明治44年)にこの港を拡張してできたのが、今の旧外港東防波堤ですよ。
花崗岩で作られた防波堤は、100年以上経過したものとは思えないほど、しっかりしている。
この防波堤は約200mほど続いており、先端には小さな白い灯台がありますね。海を隔てた先に見える、クレーンが立ち並ぶ姿は実に壮観だ。
しばらく防波堤でのんびり過ごした後で、次に向かったのはJR多度津駅。
この多度津駅の駅前には、四国鉄道発祥の地の碑として蒸気機関車の動輪が設置されています。
1889年(明治22年)に讃岐鉄道が、丸亀〜多度津〜琴平間の15.5kmを開通させたことから始まったそうな。なるほど、なるほど。
また、駅舎南側の線路沿いには珍しい給水塔を発見。この給水塔は見るからに歴史を感じるレンガ造り。何だか威厳を感じるぞ。
1913年(大正2年)に建てられたものなんだとか。この給水塔は、国の登録有形文化財ですよ。
駅舎北側へ向かうと、蒸気機関車がありました。これは当時の輸送手段の最先端であった「ハチロク(8620形)」ですね。
うん、良いものが見られてホクホク顔で、いざ丸亀市へ向けて出発。
丸亀市へ入ったところまでは青空でしたが、次第に空は雲に覆われてしまい曇り空に。
しばらくすると、丸亀城へ到着しました。丸亀市のシンボルといえば、やはり丸亀城ですね。このお城をバックに愛車と記念撮影。
その後、JR丸亀駅へ向かい帰路に付きました。
【丸亀市とその周辺の見どころを紹介】
旅先で訪れた丸亀市とその周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
まとめ
本日の自転車旅にて、私が荘内半島で見て回りたいところはコンプリートできました。
荘内半島は、アップダウンはありますが、瀬戸内海の絶景ロードが続く道。紫雲出山というヒルクライムスポットも完備しており、サイクリストにとって嬉しい場所ですね。
紫雲出山の山頂からは、瀬戸内海の見事な多島美を堪能できる。それがヒルクライムに対するご褒美ですよ。
訪れた時期が紫陽花シーズンのほぼ見頃だったためか、車の交通量がそれなりにありました。また、つづら折りの影響でブラインドカーブが多く、見通しが悪いところが多かったかな。
なので、帰路のダウンヒル時は注意しないと本当に危ないといえます。
紫雲出山から南東へ約14kmほど離れた場所には、天空の鳥居(高屋神社 本宮)がありますので、紫雲出山と合わせて1日でヒルクライムを行なうのも楽しそうですね。