梨好きの人には溜まらない、日本国内で唯一の梨の博物館「なしっこ館(鳥取二十世紀梨記念館)」が鳥取県にあります。
ここでは、梨の食べ比べや多様な梨の品種、梨の歴史について大人も子供の楽しく学べますね。
特に梨の巨木は圧巻ですので、お見逃しなく。
まさに梨のパラダイスと呼んで差し支えないほど館内には、日本だけでなく世界の梨も展示されており、梨に関するありとあらゆる情報が集まっていました。
本記事では、梨好きの人そうでない人にも楽しめる「なしっこ館」の魅力を紹介します。
なしっこ館(鳥取二十世紀梨記念館)とは
なしっこ館は、鳥取県倉吉市にあり、正式名称「鳥取二十世紀梨記念館」と言います。梨をテーマにした博物館として日本唯一ですね。
倉吉パークスクエア内の施設の一つとして「なしっこ館」はあるため、直ぐ近くには、文化ホールや温水プール、屋外遊具などが揃っています。
中へ入ってみると、その天上の高さにビックリ!
天井までの高さは、なんと42mもあり、骨格は木造だそうです。
いきなりインパクトがありますが、驚いてばかりもいられませんので、なしっこ館の入口へ向かいましょう。
なしっこ館では、日本を含む世界の梨の情報を始め、梨の栽培技術や農具、梨のガーデンなど見所満載です。
また、小さな子供たちが遊べる遊具も館内にありました。
一人でもカップルでも家族連れでも楽しく見学できますので、倉吉市へ訪れた際には、立ち寄ってみては如何でしょうか。
なしっこ館は、2001年(平成13年)4月にオープンし、それ以降、地元の人たちに親しまれています。
尚、平成29年度の年間来場者数は、約12万3,000人でした。
【周辺の見どころ】
なしっこ館周辺の見所を下記記事で紹介します。合わせて訪れてみませんか。
梨の食べ比べにチャレンジ
このなしっこ館へ訪れたら是非チャレンジして欲しいのが、梨の食べ比べです。一年中美味しい梨3品種を食べれますね。食べ比べは、もちろん無料なのでご安心を。(笑)
時期によって旬な梨と入れ替えるそうなので、色々な梨を楽しめるのは嬉しい限りです。
私が訪れた日に出された梨がこちら。
品種は「愛宕(あたご)」「王秋(おうしゅう)」「新雪(しんせつ)」です。
不勉強ながら愛宕以外は、知らない品種のため、食べてみるのが楽しみ!
梨は食べやすいようにカットされており、カップの中にそれぞれの品種が2切れずつ、積まれていました。
残念ながら一人が試食できるのは、1日1カップだそうです。これは仕方がないですね。
試食してみた結果、香りや甘み、食感の違いに驚きました。
恐らく多くの人が「同じ梨でも、品種によりこんなにも違いがハッキリする物なのか」とビックリすることは間違いないでしょう。
個人的には「王秋(おうしゅう)」が気に入ったため、王秋について職員へ尋ねてみると、高い人気を誇る梨で、二十世紀梨と中国梨を交配させた品種を更に「新雪」と交配させて生まれた品種だと言うことが分かりました。
う~ん、それにしても新しい品種を作るのも大変ですね。
ちなみ私が普段食べる梨は「二十世紀梨」なのですが、「王秋」へ浮気しそうです。(笑)
圧巻!梨の巨木を見学しよう
館内の中央ホールには、なしっこ館のシンボルになっている二十世紀梨の巨木が見て取れます。
巨木の隣りには、マスコットキャラクターの「ナッシー」がいました。
梨の妖精と言えば、千葉県船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」が有名ですが、こちらは「ふなっしー」よりも早い2010年にデビュー。
一部では「ふなっしーのパクリでは?」と言われており、全くお気の毒ですね。
なしっこ館へ訪れた記念に、ナッシーと一緒に記念撮影をしてみては如何でしょうか。
尚、梨の巨木を様々な角度で見てみると、その圧倒的な存在感が本当に凄い!
すでに樹齢70年以上の古木であり、この1本の木から、かつては4,000個の梨が取れてたそうです。
通常の梨の木では700個程度取れるので、その差約5.7倍もあり、スケールが違いすぎます。
こちらは、下から覗いた梨の巨木ですが、根っ子までバッチシ確認できました。
このような梨の巨木なんて、まず見かける機会はないので、じっくり見学していきましょう。
【巨木の紹介】
旅の道中では、様々な巨木を目撃したりしますので、下記記事で紹介します。
多種多様な梨の品種、梨について学ぶ
なしっこ館では、梨について学べるブースが充実しています。
こちらのブースでは、日本と世界の梨のレプリカを計70種類も展示していました。
一つ一つケースに梨が入れらており、色や形、皮質などが違った梨が沢山あることに驚くでしょう。
知っていますか。中国が世界No.1の梨の生産量を誇り、他国と比べて圧倒的な開きがあります。
2018年の調査では、世界の梨の生産量は、23,734千トンだそうで、その内67.7%が中国産。
日本は僅か1.1%だそうです。
それでも25.9万トンの生産量を立派ではないでしょうか。
また、日本人は余り果物を食べないそうです。
個人的に果物は大好きですが、毎日食べるには、お財布が厳しいですね。(笑)
その昔、日本では果物が献上品になる程の高級食品だったため、今でこそ庶民でも買えますが、まだまだ他国と比べてお高くつきます。
梨のアートギャラリーで梨に関わる物語を拝見
梨をテーマにした物語を和紙人形で紹介しているコーナーがありました。
「美女がもらった香梨の木」など7点の梨に関する物語が展示されており、あらすじを読んでいると、物語の世界へ引き込まれそうですね。
また、鳥取県出身の女性作家「尾崎翠(おさき みどり)」さんの「新秋名果」という詩が展示されています。
この詩の中では「なしのみ」が「ありのみ」と表現されいることに注目して下さい。
ナシは「無し」に通じると考えられており、財や運を無くすと言われていたりします。
しかし、家を建てる際、梨を建材の一部に使用すると、盗難や災害が無くなるとも言われていますね。
言葉で縁起をかつぐことは良くある事なので、「なしのみ」を「ありのみ」と言い変えて用いたのでしょう。
【博物館の紹介】
なしっこ館のような博物館へ訪れると、今まで知らなかった事を知れる喜びがありますね。下記記事では、そんな博物館を紹介します。
バーチャル梨園、梨作りに挑戦
なしっこ館にあったバーチャル梨園では、梨の栽培方法について学べました。
クイズ形式になっており、それぞれの工程で3つの回答から答えを選択する方式です。
全問正解すると「成績表」が発行されます。
こちらが結果発表。6問中5問が正解で惜しくも全問正解を逃してしまいました。
何度でもチャレンジできますので、全問正解を目指してみましょう。
二十世紀梨の栽培ジオラマを見よう
梨の栽培について、土壌管理から出荷までの1年を通して紹介するジオラマがありました。
このジオラマは、妙にリアルに感じましたが、そう感じるには理由があります。
それは、実在する鳥取県湯梨浜町山田谷(ゆりはまちょうやまだだに)の梨団地をモデルに再現しているからです。
尚、ジオラマ内を走るカメラで、梨園や選果場などで行われている作業をモニターで見られます。
時間の概念もあるようで、夜になれば暗くなり、朝や昼になれば陽光の当たり方が異なるため、様々な梨庭園の表情が見られて面白いですね。
【ジオラマの見物】
旅の道中で立ち寄った観光スポットでは、色々なジオラマを見かけましたので、下記記事で紹介します。
梨栽培の歴史に触れる
梨栽培の歩みを紹介する「資料展示室」では、梨栽培に使われていた古い農機具が展示されています。
展示品は、鳥取県内の梨農家で実際に使われていた物です。
大正時代から現在に至るまで、梨作りに欠かせない機械や道具は、見応えがあります。
尚、これらの展示品は、2015年に「鳥取の二十世紀梨栽培用具」として、国登録有形民俗文化財に指定されました。
こちらは、木箱で出荷販売していた時に貼っていたシール。随分色々な種類があるのに時代を感じますね。
「映像情報学習室」では、鳥取県が誇る梨作り名人8名が、良い梨を作る秘訣についてビデオで紹介しています。
気になった方は是非、ビデオを視聴してみましょう。
また、梨産地として鳥取県の礎を築いた人物について、パネルで詳しく紹介されており、梨作りの技術を開発した先人達の血のにじむような努力と産地の発展について分かりました。
ロボットによる芝居、二十世紀梨ものがたり劇場
館内には、他のブースと明らかに毛色が違っている「二十世紀梨ものがたり劇場」があります。
こちらのブースは、昭和初期の梨農家をイメージしたもの。
ロボットの農家夫婦により、鳥取県が二十世紀梨の一大産地になるまでについて語ります。
二十世紀梨栽培は「黒斑病(こくはんびょう)」との戦いであり、明治末期からまん延し始めた黒斑病により、収穫が全く出来なった梨園もあったそうです。
官民一体となり、防除方法の研究を重ね、黒斑病にうち勝ちます。
また、黒斑病だけでなく、天災や戦争などの受難が続きますが、それらを乗り越えて今の二十世紀梨の発展につながっていくのです。
尚、上映中に撮影するのは禁止なので注意しましょう。
上映は30分おきに上演され、1回の上演時間は約10分です。最初の上映は、9:10から開始され、最終は16:40分になります。尚、上映時間前に館内放送されますので、お見逃しなく。
梨ガーデンで梨の木を見学
屋外にある「梨ガーデン」では、オオナシやヤマナシなど様々な品種の梨が栽培されています。
梨の木は、放っておくと真っ直ぐ上へ成長することを知っていますか。
そうなると、収穫も大変そう。
そこで、若木の段階から枝が横に伸びるように「カズラ枝」と呼ばれる技法が採用されています。
この技法は、大正から昭和時代にかけて活躍した鳥取県の技術者である高田豊四郎(たかたとよしろう)さんが開発しました。
こちらの写真を見て下さい。蔓(かずら)のようにスルスル伸びた枝が見事です。
この一枝から40~60個の実をつけるそうですね。
個人的に面白いと思ったのは、こちらの梨の木。
何と1本の木に、四ヶ所で接ぎ木(赤いテープの所)がされており、4種類の梨が実ります。
その品種が「愛宕、王秋、親雪、晩三吉(おくさんきち)」です。
これらの中で3品種は、くしくも食べ比べした物でした。
機会があれば、「晩三吉」も食べてみたいですね。
【庭園・公園の紹介】
梨ガーデンのようにそれほど広さはなくても、よく手入れがされた庭園を散策するのは気持ちが良い物ですね。下記記事では、そんな手入れが良い庭園や公園を紹介します。
クイズラリーと梨のお土産
館内に入って直ぐの所に、クイズラリーコーナーがあります。
全問正解者の中から毎月30名に、鳥取産の梨やお菓子をプレゼント。
館内の各展示や紹介パネルをくまなく探せば、答えは見つかるそうなので、奮って参加してみて下さい。
また、館内の入口前には、梨に関わる土産物がズラリと並んでいます。
生梨はもとより、ラスクやケーキ、プリン、ジュース、ジャムなど梨にこだわったお菓子が勢ぞろい。
全国発送も行っていますので、大切な人へ「鳥取の味覚」を贈るのも喜ばれるのではないでしょうか。
なしっこ館の基本情報とアクセス
住所 | 鳥取県倉吉市駄経寺町198番地4 倉吉パークスクエア内 |
電話番号 | 0858-23-1174 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:40まで) |
定休日 | 毎月第1・3・5月曜日(祝日または振替休日の場合は休日でない翌日) 年末年始(12/29~1/3) |
入館料 | 大人300円 小中学生150円 団体割引、障害者割引あり |
【アクセス】
- JR倉吉駅からタクシーで約10分
- JR倉吉駅バスターミナルから西倉吉、生田車庫、広瀬行き(2番のりば)から乗車
- 倉吉パークスクエア経由の場合は、「倉吉パークスクエア」で下車し直ぐ(バスの乗車時間約12分)
- 倉吉パークスクエア経由以外の場合は、「倉吉パークスクエア北口」で下車し、徒歩約5分(バスの乗車時間約9分)
- 蒜山ICから車で約50分
なしっこ館の駐車場
なしっこ館がある敷地内には、広い無料駐車場があります。(普通車825台、バス13台)
まとめ
なしっこ館を訪れ、梨に対する並ならぬ「愛」を感じました。
梨だけをここまで掘り下げた博物館は、世界中探してもここだけと思わせる程の充実ぶり。
一人で行っても楽しめますが、カップルやファミリーで訪れても楽しめますね。
梨の食べ比べを始め、日本や世界中の梨について知ることができ、梨好きには堪らないスポットです。
例え梨好きでなくても、十分楽しめますので、倉吉市へ訪れた際には、足を運んでみては如何でしょうか。