地元の人たちに「椿神社」や「椿さん」と呼ばれ親しまれている伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)。
四国を始め、日本全国から崇敬を寄せられている神社です。
都道府県名で神名を使用している日本で唯一の神社であり、商売繁盛や縁起開運のご利益があるパワースポット。
足を運び是非、そのパワーを授かってみませんか。
「伊予路に春を呼ぶ祭り」として知られる四国一の大祭「椿まつり」へ参加して、春の到来を心待ちにしましょう。
また、この神社の大鳥居の中には、ナニコレ珍百景で紹介された珍スポットもあるのでお見逃しなく。
本記事では、椿神社(伊豫豆比古命神社)の見どころと、珍スポットを紹介します。
御神名が県名の椿神社(伊豫豆比古命神社)とは
椿神社の正式名称は、先ほども触れましたが「伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)」です。
その歴史は古く、孝霊天皇の御代(紀元前290年~215年在位)まで遡ります。
2012年(平成24年)には、御鎮座2,300年祭が行われました。
江戸時代には、松山藩主・久松家(松平家)から篤い崇敬を受けており、今なお地元住民に親しまれています。
通称の「椿神社」の由来については色々と諸説があり、以下の2つの諸説が最も有力です。
- 古代は神社周辺が海であり、海を表す「津」の脇の神社と言うことから、つわき神社が椿と転訛(てんか)した
- 椿が自生しているため、自然に「椿神社」と呼ばれるようになった
ちなみに椿は、松山市の県花ですね。
拝殿にも椿の彫り物が見て取れます。
毎年旧暦の正月7日~9日に行われる「椿まつり」が大層賑やかで、約500mの県道に約800店舗の屋台が並ぶという。
期間中には、数十万人の参拝客が訪れ、開運縁起・商売繁盛などを祈願するそうですよ。
尚、商売繁昌や縁起開運以外にも必勝祈願・大漁満足・合格祈願・学業成就・五穀豊穣・家運隆昌・子育て・子授けなど様々なご利益がある。
ここまでご利益の幅が広いとは、流石は四国最大の都市「松山市」のパワースポットですね。
御祭神は、4柱で男女ペアになっています。
ここで注目してもらいたのが、愛比売命です。
愛媛県という県名は、御祭神の愛比売命が元になりました。
このように御神名が県名になっているのは、全国でも愛媛だけ。
その他の御祭神にも愛媛の旧名である「伊予(いよ)」が入っている。
ここまで神様の名前が元になっている神社は、他に類を見ないのではないでしょうか。
【周辺の見どころ】
椿神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
椿神社の正しい参拝方法
椿神社へ参拝する際、知っておいて欲しいのが正しく参拝する順番です。
恐らく意識していなければ、境内に入った後、階段を上った先に見える拝殿にそのまま参拝するでしょう。
別にそれが間違っている訳ではありませんが、実にもったいない。
正しい参拝方法で祈願すれば、もっと神様に誠意が伝わるはずです。
その方法とは、以下の手順で行います。
奏者社は、御本殿へ向かう階段を上った先にあり、御本殿の手前にありますが、小さな社なので見逃さないように。
伝説によると、この地の先住民の代表者であった潮鳴栲綱翁(しおなるたぐつなのおきな)という神様が、船に乗ってこの地へ訪れた伊豫豆比古命と伊豫豆比売命をお迎えになったと言われています。
奏者社では、この潮鳴栲綱翁を祀っており、万事取り次ぎを頂ける神様だという。
あまり知られてはいないようですが、この古事に基づいて参拝をしてみましょう。
【神社仏閣の紹介(その1)】
旅で訪れた神社仏閣の中には、特別な参拝方法があったりしました。下記記事では、そんな神社仏閣を紹介します。
椿神社の見所を紹介
椿神社の境内の広さは、狭すぎもせず広すぎもせず、丁度いいぐらいですね。
そのため、色々見て回ったとしても所用時間は、30~60分ほどです。
主な見所は、以下の7つ。(境内社は除きます)
- 拝殿・回廊
- 朱塗りの大鳥居
- 楼門(隋神門)
- 楠の御神木
- 可愛いお姫様がいる手水舎
- 祓岩
- 俳句の石碑
これらの見所を1つ1つ紹介します。
拝殿・回廊
荘厳な佇まいを見せている立派な拝殿。
授与所とくっついた造りは、珍しいですね。
授与所前には、お守りなどの授与品が沢山並んでいますし、御朱印も頂ける。
拝殿で注目したいのは、こちらの扁額です。
「延喜式内伊豫豆比古命神社」と書かれており、両サイドには鳳凰の彫刻がありますよ。
このことから、927年に編纂された延喜式神名帳に記載されていることが分かります。(いわゆる式内社のこと)
また、拝殿の天井には、椿の絵柄が見て取れる。
拝殿で参拝した後は、両隣りにある回廊の入口へ行ってみましょう。
この回廊は絵馬殿も兼ねており、干支の絵馬などが奉納されていますので見応え抜群です。
回廊の天井には、灯籠が並んでおり、厳かな雰囲気を醸し出していました。
回廊は2重の構造をしており、内側の回廊を奥まで進んだ社殿内庭神苑には「潮鳴石(しおなるのいし)」があるという。
この石にお米を供え、歯が痛む時に供えた米を噛めば、自然に痛みが止まるそうです。
まさに不思議な力が働くヒーリングスポットですね。
内側の回廊はいつも開いている訳ではないよ。閉まっていることもあるね。(祭日や休日、年末などに開いている)
回廊には、絵馬だけでなく、冨久椿と呼ばれる笑顔が可愛い巫女さんをモチーフにしたお守りが並んでいました。
尚、回廊の内側では、本殿も見えますよ。
ゆっくり回廊を歩きながら、見て回りましょう。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅の道中で参拝した神社仏閣を下記記事で紹介します。
朱塗りの大鳥居
境内の入口には、朱色に塗られたインパクト抜群の鳥居があります。
尚、この鳥居以外にも、神社から少し離れた場所(県道190号上)に2つの巨大な大鳥居(東の大鳥居、西の大鳥居)があるよ。
私は自転車でこの県道190号を走っていたら、いきなり目の前に巨大な鳥居を目撃して思わず「おー、すごい!」と声が漏れました。(笑)
特に西の大鳥居は、極めて珍しいのでお見逃しなく。(くわしい話は後述します。)
楼門(隋神門)
朱色の鳥居をくぐり抜けた先には、立派な楼門があります。
門の左右には、随神像が安置されていました。
注連縄(しめなわ)が見られる立派な外観は、実に見応えがありますが、天上に注目して下さい。
美しい椿の彫刻が沢山並び、一つ一つデザインが違っている。
彩色こそないですが、非常に凝った造りですね。
うん、一つ一つ見比べてみると面白いかも。
楠の御神木
楼門の隣りには、楠の御神木があります。
この楠には「お紅さん」という女の狸の神様が住んでいるという。
お紅さんについては、どんな神様なのか不明だそうです。
楠の根本は空洞になっており、そっと覗いてみましょう。
お紅さんが、ひょっこり顔を出してくれると嬉しいですね。
可愛いお姫様がいる手水舎
神社の手水舎では、よく龍の彫刻(吐水龍)が見られます。
椿神社では2箇所に手水舎があり、1つは吐水龍ですが、もう1つがお姫様。
お姫様は、目立たたないように隠れているので、よく目を凝らして見てみましょう。
すると、愛媛県の民芸品「姫だるま」のような、丸っこい可愛いお姫様が姿を表してくれます。
その愛らしい姿を見続けていれば、心穏やかに過せそうですね。
祓岩
祓岩(はらいいわ)は、境内社の勝軍八幡神社の奥にひっそりした場所にありますよ。
授与して頂く「厄玉」(初穂料:500円)を祓岩に叩きつけて割り、身に降りかかった穢れを祓い清めます。
案内板にお作法が書かれていますので、是非チャレンジしてみて下さい。
俳句の石碑
俳句の里・松山は、正岡子規を生んだお膝元。
そのためか、境内には多くの句碑が見られました。
こちらは、楠の御神木前にあった正岡子規の句碑。
達筆すぎて私は読めませんでしたが、「賽銭の ひびきに落る 椿かな」と刻まれている。
境内を歩き回り、様々な俳句に触れてみては如何でしょうか。
椿神社の境内社
境内には、本社とは別に祀られている境内社があります。
その数は4つあり、以下の神社ですね。
- 勝軍八幡神社
- 児守神社
- 御倉神社
- 奏者社
それぞれについて、紹介していきます。(「奏者社」については、先ほど触れたので割愛)
是非、足を運び参拝しましょう。
【神社仏閣の紹介(その3)】
旅の道中で参拝した神社仏閣の中には、絶景が見られる所がありました。下記記事では、絶景を楽しめる神社仏閣を紹介します。
勝軍八幡神社
勝軍(かちいくさ)八幡神社の御祭神は、誉田別命(ほんだわけのみこと)、天照大日霊命(あまてらすおおひるめのみこと)です。
かつてモンゴル帝国が日本に攻めてきた元寇において、伊予国から防人(さきもり)として出兵した河野一族が戦勝を記念して建立したという。
「勝軍さん」と呼ばれており、必勝祈願・合格祈願・学業成就の御利益があります。
受験や就職など、ここ1番の戦いに赴く時に参拝してみては如何でしょうか。
児守神社
児守神社の御祭神は、木花開耶姫命(このはさくやのひめのみこと)と天之水分命(あめのみくまりのみこと)です。
水を司る2柱を祀り、子育てや子授りのご利益があります。
そのため、子供を授かりたい夫婦や子育て中の夫婦は、是非足を運んでみては如何でしょうか。
初宮参りの際には、よだれ掛けを奉納する習慣がありますよ。
御倉神社
御倉(みくら)神社の御祭神は、宇迦之御霊神(うがのみたまのかみ)です。
稲の精霊の神であり、居相の里の神として崇められています。
五穀豊穣・商売繁盛・家運隆昌のご利益がありますよ。
特に商売をされている方は、参拝してみると良いでしょう。
珍スポット、マンションの壁にめり込む?鳥居
県道190号を跨るようにそびえ立つ、高さ13mもある椿神社の大鳥居。
東西に1つづつありますが、西の大鳥居が大変珍しい。
あまりの珍しさに、ナニコレ珍百景にも登場したという。
何が珍しいかと言うと、まるで鳥居の端がマンションの壁にめり込んでいるように見える。
一瞬ギョとしてしまう光景ですが、実際はめりこんでいません。
こちらの写真を見れば、その理由が分かります。
マンションの壁が凹んでいて、そこに鳥居の笠木(最上部の横架材)の一部が入っているのです。
窓から手を伸ばせば、簡単に鳥居に触れてしまえそう。(ご利益がありそうですね。)
もともとは、今ほど鳥居に接近する予定ではなかったそうで、マンションの建設の過程でどうしても変更しなければならない理由があり、最終的に今の形となった。
変更理由は不明ですが、鳥居を傷付けないように考えた結果、ぶつかりそうな部屋の窓部分だけは、約1~2m内側へ凹ませた「入り窓」にしたそうです。
マンションを建てる際、かなりの苦労が見て取れますね。
椿神社(伊豫豆比古命神社)の基本情報とアクセス
住所 | 愛媛県松山市居相2丁目2-1 |
電話番号 | 089-956-0321 |
授与所の時間 | 8:30~17:30 |
【アクセス】
- JR市坪駅から徒歩約25分
- 伊予鉄松山市駅から伊予鉄バス砥部線に乗車して「椿前」バス停で下車後、徒歩約5分
- 松山自動車道「井門IC」から車で約5分
椿神社(伊豫豆比古命神社)の駐車場
椿神社には、無料駐車場が楼門前と拝殿の裏側から少し離れた奥の方にあります。(合わせて普通車200台ほど)
まとめ
椿神社(伊豫豆比古命神社)は、都道府県名に御神名(愛比売命)を使用している唯一の神社です。
商売繁昌や縁起開運を始め、必勝祈願・大漁満足・合格祈願・学業成就・五穀豊穣・家運隆昌・子育て・子授けなど様々ご御利益を授かります。
松山市へ訪れる機会があれば、見所も多く、珍スポットもある椿神社へ足を運んでみては如何でしょうか。
お詣りすることで、きっと、あなたにとって良きご縁を引き寄せるでしょう。