今回の旅の舞台は、瀬戸内7海道の1つ「さざなみ海道」です。
広島県三原市から呉市へ向けて、瀬戸内海沿岸を自転車で疾走しました。
いつもの自転車旅では、その土地で観光することに時間をかけるのですが、今回はどちらかというとロングライドがメイン。
たまには、私が若かりし時に行なっていた旅のスタイル(ロングライド)も良いものです。
そんな気持ちで始めた自転車旅でしたが、旅に出れば色々と目に付くもの。思わず立ち止まり見学してしまうのは、今の私ならではでしょう。(笑)
本記事では、さざなみ海道を走りながら様々な場所へ訪れた自転車旅の様子をお届けします。
旅立ちの朝、マリンロードを散策
本日の旅のスタートは、三原駅前にある「三原ステーションホテル」です。
前日に宿泊したホテルですね。旅立つ前に少し周辺を散策してみましょう。
実はホテル前にある通路は、マリンロードと呼ばれている商店街。
マリンロードの名前の通り、海にある船の係留柱に見立てた鉄柱が道沿いにズラリと並んでおり、その上には、タコが載っていますよ。その姿が実にユーモラスです。
1つ1つ違った表情をしており、見ているだけでも楽しいですね。
たとえば、こちらの「怒りダコ」。
目を見開き、いかにも「私、怒っているんです!」といった表情。額に浮かぶ怒りのマークが激怒の印。スミを吐かれる前に退散しましょう。(笑)
こちらは、笑いダコですね。
ニコニコ顔は、見ているだけで幸せになれるかも。笑うタコには福来たる。(違うか)
その他にも「元気ダコ・恋人ダコ・困りダコ」などこのようなタコシリーズが10体ほど並んでいます。
これらは、三原観光協会の50周年記念に設置されたとか。タコは三原市の特産品。「タコの町」として紹介されることが多いといいますよ。
面白いタコたちを眺め終えた後は、自転車にまたがり、ゆっくりとペダルを回します。
よいよ本日の旅の開始です。
【自転車旅の様子】
前回旅した「さざなみ海道」と前日に旅した福山市から三原市までの自転車旅について、下記記事で紹介します。また、さざなみ海道をサイクリングしながら立ち寄りたい見所も紹介しますね。
三原市須波の海中に建つ朱色の鳥居
残念ながら本日の天気は曇り。ドンヨリ雲が空を覆っています。
こういう天気の日は、いまいちテンションが上がらない。
せっかくのさざなみ海道、できれば晴天の日に走りたかった。グチってもしょうがないので、気持ちを入れ替え、国道185号を疾走していきますよ。
さざなみ海道では、この国道185号を走るのがメインですね。国道を走るため、車の交通量はそれなりに多いです。
しかし、整備されたアスファルトの上を走るのは、快調そのもの。グングン自転車のスピードが加速します。
そんな調子で走っていると、海中に建つ鳥居を目撃。
瀬戸内海沿岸を旅していると、たまにこのような鳥居をお目にしますね。
その代表的なものと言えば、やはり世界遺産であり日本三景の1つに数えられている国宝・厳島神社の大鳥居でしょう。
それと比べるとスケールが小さいですが、それでも海中に建つ鳥居には、何か特別感を感じられずに入られません。
贅沢をいえば満潮時に見たかったかも・・・
国道をはさんだ向こう側には、稲荷神社が見えるので、その神社に縁があるものだと思われます。
聞いた話ですと、この海中鳥居はご来光の名所なんだとか。
運がよければ神秘的な海霧が立ち込める中、鳥居の向こう側にご来光が拝めるそうです。
く~、見てみたいですね。
【神社に関する面白い話】
神社へお詣りに行かれる際、ためになる面白い話を下記記事で紹介します。
すなみ海浜公園の「SUNAMI」ロゴ
海中鳥居から約3km程度進めば、広い公園が見えてきました。
その公園が、こちらの「すなみ海浜公園」です。
すなみ海浜公園は、園内に海水浴場だけでなく、プールやレストランもそろっている大きな公園ですよ。
海も砂浜もきれいなビーチなのですが、あいにくの曇天。その魅力が半減していますね。
それでも綺麗なことには変わりないので、海をゆっくり通り過ぎていく船舶を眺めながら、少し休憩を取りました。
私がこの公園に訪れた理由が、こちらの「SUNAMI」ロゴのモニュメントです。
サイクリストならば、見逃せないのではないでしょうか。
愛車(自転車)と共にパシリと1枚撮ってみました。
このようなロゴのモニュメントは、意外に多く、旅を続けていると至るどころで見かけたりするものです。
まぁ、見かける度に記念写真を撮るのが私にとって儀式みたいになっているかな。私以外にもそんな人がいても可笑しくないかも。
それほどロゴのモニュメントには、謎の魅力があると思っていますよ。
「安芸の小京都」竹原へ向かう道中にて
すなみ海浜公園を後して、快調に自転車を走らせます。
道なりに進んで行くと、竹原市へ入りました。
竹原市のカントリーサインは「竹と趣のある家屋」ですね。まさに竹原らしいと言えますよ。
竹原市の市街地までは、まだまだ距離がありますが、この調子で走っていけば、昼頃には竹原市街へ辿り着きそう。お昼はそこで食べようかな。
そんなことを考えていると、沿岸に「エデンの海」と書かれた大きな看板が目に飛び込んできました。
「エ・デ・ン」なんだか惹かれる言葉です。こうなると、立ち寄らない訳には行かないでしょう。(笑)
こちらが「エデンの海」の名を持つパーキングエリアですよ。
小高い丘のようになっており、丘の上には展望台がありますね。
うん、綺麗で穏やかな瀬戸内海が見渡せます。惜しむらくは晴れていれば、かなりの絶景だったでしょう。
ちなみに、このエデンの海は、作家・若杉慧(わかすぎ けい)の青春小説「エデンの海」に登場しており、映画の撮影場所になったそうです。
小説「エデンの海」は3回も映画化されたそうで、このパーキングエリアの近くにある旧制広島県立忠海高等女学校(現・忠海高校)が小説の舞台になっています。
私はこの小説について知らなかったのですが、調べてみると、東京から赴任してきた若き生物教師と女子生徒たちの青春物語。
ただの青春ものではないようで、同性愛やエロティシズム有り、嫉妬や対立などを含め、高等女学校の内面をリアルに描いているという。
うん、個人的にはあまり興味が湧かないな。好きな人にはハマるジャンルですね。
そんな事情を知らなくても、エデンの海の景色は、とても静かで穏やかです。まったりするのに丁度良いですね。
さざなみ海道をサイクリングするならば、立ち寄ってみても良いパーキングエリアだと思います。
実は、エデンの海に到着する少し前から、天気が少しずつですが回復してきました。
エデンの海を後にして、「この調子で晴れてくれよ!」という、そんな祈りに近い気持ちを込めながら、自転車のペダルを回していた次第です。
竹原の古い町並みを散策
たけはら町並み保存地区まで残り4kmまできました。
ここまで来たならば、あと少しで到着です。私の祈りが通じたのか天気も次第に回復してきました。(嬉)
そうなると、テンションも自然にあがるもの。意気揚々と1年ぶりの竹原市へ向かいます。
竹原市は「安芸の小京都」と呼ばれる古い町並みが残っており、整然と並んでいる町並みはとても綺麗ですよ。
日本全国を旅していれば、町並み保存地区へ訪れることが多いですが、そのほとんどが城下町か商家町ですね。
しかし、竹原は唯一の製塩町なので大変珍しい。それに、私が好きなアニメの「たまゆら」の舞台となった町です。
なので、まずは竹原駅へ行くのが私にとってはマスト。
駅前にある「おかえりなさい」の文字を観なければ、竹原観光は始められません。(そんな訳あるか、あくまで私だけのルールですよ)
この言葉を見ると、何だかジーンときませんか。
また、周辺にあった観光協会の看板が何気に新しくなっていました。
去年(2021年)来た時は、結構古くなっていたので良かった良かった。
商店街の一角には、ももねこ神社がありますよ。
たまゆらに登場した「ももねこ様」が御神体になっています。ハロウィン仕様のももねこ様も可愛いですね。
商店街を抜けて、町並み保存地区へ向かいました。
古い町並みをゆっくり歩いていると、ノスタルジーを感じます。
この竹原市の町並みを一望できるスポットとして有名なのが「西方寺・普明閣」です。
初めて竹原市へ訪れる方にもお勧めできるビュースポットですよ。
西方寺へ向かう長い階段。これがいい。(たまゆらファンならば良く分かるかも)
こちらが普明閣。
普明閣の中へ上がって。眼下の景色を楽しみましょう。うん、相変わらず素晴らしい景色ですね。
竹原にきてこの景色を見ないのは、もったいないです。
また、こちらの大きな木造建築「旧日の丸写真館」は、たまゆらファンならば絶対に見逃せないでしょう。
たとえ、たまゆらファンでなくても、珍しい外観のため立ち寄ることをお勧めします。
昼食は、お好み焼き屋の「ほり川」へ行きました。
ここは、たまゆらで登場するお好み焼き店「ほぼろ」のモデルになったお店。
うん、あまりの美味しさに無言で食べ続けます。
本当に美味しい物を食べるときは、人は無言になるものですよ。(嬉)
お腹を満たしたことで、よいよ呉市へ向けて進みましょう。
防波堤の貨物船「武智丸」に出会う
せっかく晴れてきたと思っていたのですが、いつの間にか再び曇ってきました。
本日の天気は実に忙しくて読めません。雨が降らないだけでもマシなので、ありがたいですが・・・
そうこうしている内に呉市へ入ります。
快調にマイペースで自転車のペダルを回しながら、安浦漁港へ向かいました。
この安浦漁港では、珍しいコンクリート製の貨物船が見れますよ。
貨物船といっても今は稼働しているものではなく、なんと防波堤として使われているのです。
その景色がこちら。確かに船形をした防波堤ですね。何気にこんなの初めて見ました。
このコンクリート製の貨物船は、武智丸(たけちまる)という名前で呼ばれていました。
この船ができた経緯は、太平洋戦争中の物資不足の中、窮余の策で誕生したそうですよ。
当時、戦時標準船E型に準じてコンクリート船として竣工しており、同型艦は4隻のみ。その内現存する2隻が、安浦漁港にあります。
1945年(昭和20年)9月の枕崎台風で三津口湾は甚大な被害を被り、その打開策として武智丸の堤防化がなされました。
それにしても、武智丸を防波堤にするという発想そのものが凄い。まさに柔軟な考えなので、見習いたいものです。
残念ながら武智丸へは近づけず。
なので埠頭で愛車(自転車)と共に写真を1枚撮った次第です。
呉市街へ入る、「戦艦大和の錨」の見学
安浦漁港を後にして、呉市の市街地を目指しますよ。
珍しいコンクリート製の貨物船が見れてテンションが上がっている中、そんな私の気持ちに応えてくれたのか、青空が広がってきました。
もう少し早く晴れてくれたら良かったのに・・・人は現金な生き物ですよ。
呉市街へ入る前には、こちらの休山トンネルがあります。
個人的には、今まで出会ってきたトンネルの中ではNo.1だと思っているかな。
その理由は、歩道の幅が広く快適に自転車も走れるだけでなく、車道と歩道が完全に分離されているからです。
車道と歩道の間には、透明板により遮られており、安全面だけでなく、閉塞感や圧迫感が緩和される効果が期待できますね。
全国全てのトンネルは、この休山トンネルを見習ってもらいたい。(本気の願い)
このようなトンネルが普及すれば、トンネル内を走る恐怖に怯えることもなくなります。本当に自転車で歩道の無い、長いトンネル内を走るのは、逃げ場がないので怖いのです。
呉市街へ入り、最初に訪れたのは蔵本通りにある「芸術の広場」。
お洒落なレンガの歩道が整備された中には、花や水、木洩れなどバランスよく配置された落ち着いた雰囲気の広場があります。
幻想的な冬のイルミネーションで知られていますが、私のお目当ては、戦艦大和の錨です。
といっても本物ではなく、実物大のモニュメントですけど。
それにしても大きい。全高5.472m、全幅2.834mもあり、重量は15tもあるという。
戦艦大和自体が極秘裏に開発されていたため、戦後アメリカ軍の進駐時に多くの資料が焼却されました。
そのため、どのような主錨であったのか本当のところは謎ですね。
錨の形自体は、海軍の規格の図面があったため合っているようですが、その大きさは12t説や15t説があるみたい。
15t説で再現された「戦艦大和の錨」は、見物ですよ。
その後、芸術通りを散策しながら沢山の彫刻を見学した後で、入船山記念館へ赴き、旧呉鎮守府司令長官官舎を見学し終えて、アレイからすこじまへ向かいました。
【呉市の観光スポット】
呉市の観光スポットを下記記事で紹介します。
「アレイからすこじま」から見る夕景
アレイからすこじまでは、呉湾に浮かぶ海上自衛隊の潜水艦や護衛艦を眺めることができます。
まさに呉ならではの景色ですね。かつて日本海軍の一大拠点であった呉市。
現代でも多くの艦船が見て取れます。その中でもやはり潜水艦は特別でしょう。
普段は海中に潜んでいるので、海上で停泊でもしていない限り見る機会は皆無ですね。
そういうことなので、夕方までアレイからすこじまを散策しながら過ごしていました。
こちらが潜水艦です。この独特のシルエットが何ともいえない。
護衛艦もいますよ。その隣には潜水艦が寄り添っています。
当然、愛車(自転車)と共に撮影するのを忘れるはずがありません。(笑)
まさに本日の旅のハイライトに相応しい。
呉市へきたら、潜水艦と夕景のコラボを是非楽しんで下さい。よい思い出になります。
こうして、本日の旅は終わりを告げたのです。
まとめ
絶景ロード「さざなみ海道」を1年ぶりにサイクリングしました。
去年(2021年)は、夏の暑い日で晴天の中を走っていたため、非常に疲れたのを覚えています。
今年(2022年)は、秋になって走ったのですが、気温的には問題なく常に快適な状態でしたね。
旅立ち当初は、天候に恵まれなかったのが残念でしたが、呉市へ到着した頃には、ほぼ快晴ですよ。
「終わりよければ全て良し!」の言葉があるように、旅の最後は、潜水艦と夕景の景色で締められたので良い1日を過ごせました。