香川県の県庁所在地である高松市。この地には、山頂がまっ平な屋島がそびえ立っている。
屋島の名前に「島」がつくけれど、陸地とつながっている半島ですよ。
けれど昔は海に囲まれていたそうです。この屋島は、サイクリストにとってヒルクラムのメッカ。
私は高松市へ来るたびに、いつか「屋島ヒルクライムへチャレンジ」という思いを募らせていましたので、今回の自転車旅の道中で決行した次第です。
屋島山頂からは、瀬戸内海や高松市街が一望できる景色に大興奮。それに、屋嶋城跡や屋島寺、新屋島水族館など見どころも多い。
本記事では、高松駅から旅立ち、屋島ヒルクライムを堪能した後で、琴平町まで自転車で旅した様子をお届けします。
旧屋島ケーブルカーの跡地へ向かう
自転車旅を続けていく上で、大事な要素となるのが天候です。
本日は快晴。抜けるような青空の下、電車輪行で香川県高松市の玄関口となる高松駅へ到着しました。今回の旅のゴールは琴平町の琴平駅。高松駅からであれば、約30kmていどの距離しかありません。
しかし、いきなり琴平駅へ向かうのではなく、まず始めに屋島山頂へ足を運びますよ。なのでトータルの走行距離は約50kmていどになる見込み。メインは屋島観光なので、そちらに時間を使う予定です。
ロードバイクで走る準備を終えた後、早速屋島へ向けてペダルを回し始めました。
瀬戸大橋通り(県道157号)を走っていると青看板には「屋島」の文字が見えてくる。こうして目的地の表記が見えてくると、自然に嬉しくなるものです。
瀬戸大橋通りは、交通量が多く、決してサイクリングに向いているとはいえないですが、屋島へ向かう最短ルートですよ。
しばらくすると、屋島大橋へ到着。そこからは、山頂が平べったい特徴的な形をした屋島が見える。
思わず「うぉー!」と声が出てきてテンションが急上昇。はやる気持ちを抑え、最初に向かったのが旧屋島ケーブル屋島登山口駅です。
ケーブルカーは、かつて屋島山頂へ向かう唯一の移動手段だったのですが、屋島ドライブウェイ(現:屋島スカイウェイ)が開通したことで、次第に客足が遠のいたのでしょうね。
2004年に廃止となりましたが、跡地には当時のケーブルカーが保存されています。
屋島の麓へ向かっていると、ささや旅館や新馬場会堂が見えてくる。
その奥には、屋島登山口駅がありました。
ホーム内へ立ち入りながら、ケーブルカーや周りを見学。
ケーブルカーは、所どころに錆があったり、窓ガラスが割れていたりしていましたが、車内を覗いてみると、思った以上に綺麗でしたね。定期的に清掃をしているのでしょう。
ホームの奥まで立ち入れば、急斜面にレールが残っているのが分かる。
しばらくの間、このケーブルカーが運行していた当時に思いを馳せていました。
最後にケーブルカーと愛車を一緒にカメラで記念撮影。
撮影を終えると、よいよ屋島山頂へ向かいます。再び自転車を発進し、屋島山頂へ唯一つづく屋島スカイウェイへ合流。
本格的なヒルクライムの開始です。
【電車輪行に関する話】
輪行すると旅の行動範囲がかなり広がりますね。下記記事では、電車輪行に関する話と輪行袋のおすすめを紹介します。
屋島山頂へ向けてヒルクライム
屋島の麓から山頂にある駐車場までの距離は約4kmで、平均斜度が約7%もあるコースです。上り始めて直ぐに屋島神社の鳥居が見えてきました。
そこから右側へ大きくカーブしています。このカーブから始まる道こそが、最初にして最大の難関ですよ。それは、いきなり斜度10%の洗礼を受けるから。
インナーローでゆっくり走っていると、いつの間にか10%区間を脱出。10%区間の距離が長ければ、結構大変ですが、それほど長くなかったかな。
これが斜度15%以上であれば、きっと「ぜぇー、ぜぇー」と肩で息をしていましたね。こういう山では、電動アシストが付いているE-Bikeが力を発揮します。
しばらく上っていると、沿岸には源平屋島古戦場と書かれた案内板を発見。
眼下には、かつて源氏と平氏が覇を競った源平合戦の舞台が広がります。
ちなみに屋島スカイウェイでは、源平屋島古戦場と書かれた案内板が2箇所あるので、お見逃しなく。
標高が高くなるにつれ、眼下の眺望も遠くまで見渡せるようになりました。すると、瀬戸内海の多島美の風景が楽しめる。うん、これはテンションが上がりますね。
また、この屋島スカイウェイは、絶景ロードだけでなくミステリーゾーンと呼ばれる不思議な区間がある。
その区間では、上り坂なのに目の錯覚で下っているように見えるのです。このミステリーゾーンは、別名で「ミステリー坂」や「おばけ坂」、「幽霊坂」とも呼ばれていますね。
ミステリーゾーンに突入しても、残念ながら私の感覚では良く分かりませんでした。結構楽しみにしていたのでガッカリです。
この時点では、そんな風に思っていたのですが、帰路で再びこのミステリーゾーンを通過した際に、前方を走っている車が坂道を上っているように見えたのにもかかわらず、その坂道を自転車で通過すると下っているのを実感した次第です。
思わず「なるほど!これがミステリゾーンか」とビックリし、面白い体験ができました。(嬉)
屋島は観光地のため、意外に屋島スカイウェイを歩いている人をみかける。帰路ではダウンヒルになるので、注意しましょう。
自転車のペダルをゆっくり回し、黙々とヒルクライムを続ける。眼下の景色が非常によいため、何回か立ち止まり、眼下に広がる瀬戸内海の多島美の景色を楽しみました。
景色がよいと、本格的なヒルクライムでも疲れが軽減される感じがします。自転車は本当にメンタル面も大事ですよ。
ほぼ最初にある斜度10%区間を通過したら、後の上りはそれほど大したことはないと思えてしまう。斜度の数値で考えれば、決して楽な上り坂とはいえないけど、感覚的に楽な感じがしますね。
こうして、ついに山頂の駐車場へ到着しました。
屋島の観光
標高約300の屋島山頂には、屋嶋城跡や屋島寺、新屋島水族館など見どころが多いです。
また、商店街があるので、讃岐名物やカフェ、特産品、お土産なども揃っており、ヒルクライム後の休憩場所にもってこいですね。
屋島は古代から軍事上の要衝として利用されてきた歴史があります。
屋嶋城(やしまのき)の跡地が残っており、自然地形を最大限にいかした迫力ある石積みは素晴らしい。これは見逃せません。
それに四国霊場第84番札所の「屋島寺」もある。本堂に隣接する蓑山大明神には、「日本三大狸」の太三郎狸(たさぶろうたぬき)が祀られています。
太三郎狸は、ジブリアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」のキャラクター「太三朗禿狸」のモデルになっているので、知っている人もいるのではないでしょうか。
新屋島水族館では、日本国内で2館でしか見られない「アメリカマナティー」を見学できます。
水槽の中を大きな体で優雅に泳ぐ姿に思わず「おー!」と声を上げてしまいました。
その他にも熱帯地方から寒帯地方まで150種1,500匹の生き物を飼育しており、イルカーのショーも楽しめる。
尚、山頂からは至るどころで、風光明媚な瀬戸内海と高松市街を一望できますね。
「獅子の霊巌(ししのれいがん)」と呼ばれる展望スポットでは、高松市街や五色台、女木島、男木島などがよく見通せますよ。
さらに夕日や夜景スポットとして人気が高く、カップルで訪れるのにうってつけでしょう。
ちなみに、屋島登山口駅と対になる屋島山上駅の跡地が残っていました。興味がある方は、足を運ばれてみてはいかがですか。
屋島山頂には、宿泊施設もあるので、1日中楽しめる観光スポットです。
琴平町へ向かう道中にて
屋島山頂から一気に下って麓へ戻ると、屋島神社へ立ち寄りました。
長く続く階段を上った先には、神門がみえてくる。神門は閉じられており、中へは入れません。なので、神門前で参拝した後で、よいよ琴平町へ向かいます。
屋島山頂へ向けてヒルクライムを始めてから再び麓に戻ってくるまでに、既に4時間以上経過している。今の時刻は13:30頃。マイペースで走りながら、気になった所へ立ち寄ったとしても17:00までには琴平駅へ辿り着けるでしょう。
県道155号を西へ向けて走っていると新川が見えてくる。この川に架かる新川橋を通過する際には、欄干に注目して下さい。なんと馬上から弓を射る那須与一の像があるではないですか。
道路を挟んで反対側には、矢を待ち受ける扇の的と姫がいる。うん、良く分かってらっしゃる。
さすがは源平合戦に縁ある土地です。
日頃から自転車を走らせていると、色々な発見がある。もし車であれば、一瞬の内に新川橋を通り抜け、那須与一の像に気が付かなかったでしょう。
何気ない景色の中には、普段気付いていないだけで面白いものは沢山ありますね。
そんな風に風景を眺めながら、ペダルを回し続けていれば、ついに青看板に「琴平」の文字があらわれました。
その青看板を見ると琴平町の前に、綾川町へ辿り着くことが分かる。
綾川町で思い出しのたのが、コーヒーうどんの存在。久しぶりに食べたいと思い、コーヒーうどんを提供しているお店「うどん喫茶スタート」へ行くことに。
自転車のペダルを回すスピードも自然に加速するものです。(笑)
のどかな風景が流れゆきます。高松琴平線(県道282号)を西へ進んでいると、滝宮駅へ到着。
滝宮駅の外観は、個人的に可愛らしいと感じる。大正期に建てられた屋根が特徴的な木造駅舎ですよ。
滝宮駅から約500mほど離れたところにある「うどん喫茶スタート」へ到着。
無常にも営業時間外のためお店は開いていない。
うすうすそうなるかも知れないと思っていたので、それほどショックはないです。(本当ですよ。)
仕方がないと気を取り直してリスタートすれば、滝宮天満宮の前を通りかかりました。
【自転車旅の様子】
本記事のような自転車旅の様子を、下記記事で紹介します。
滝宮天満宮へお詣り
滝宮天満宮は、以前から機会があれば参拝したいと思っていた神社です。せっかくなので、参拝していきましょう。
天満宮といえば学問の神様・菅原道真公を祀っていますね。聞くところによると、受験シーズンには毎年多くの受験生が合格祈願に訪れるそうですよ。
まずは拝殿で参拝をすませます。
天満宮には「なで牛」があるはずなので探してみれば、やはりありました。
普段よく見かけるものと比べて、圧倒的に小さい。「ミニミニなで牛」というそうです。
なので、ふだんより優しく撫でてあげました。(笑)
おっ、これは何だ。トータムポール?みたい。実は「なで鷽鳥(うそどり)」ですよ。
鷽鳥といえば、「うそかえ祭」のモデルになっている鳥ですね。これを撫でると、病気災難など悪いことは全て嘘になり、幸運が訪れるかも。
一通り境内を見て回った後で、滝宮天満宮を後にしました。
ゴール・琴平駅へ到着
滝宮天満宮から琴平駅までは、残り約12km。ゆっくり走っても1時間以内に辿り着く。
なので鼻歌まじりに進んでいると、あちこちにため池が見えてきました。香川県は本当にため池が多いですね。
とあるため池には、空き缶を使った仕掛けが仕込まれている。いったい何が取れるのか気になります。
のどかな景色ばかりが続く。個人的にはこういう景色は大好きだ。
レンゲ畑を見かければ自転車を一時停車し、その景色を堪能する。
緑豊かな自然は、見ているだけでも心が穏やかになります。やはり自然の力は偉大ですね。
気分良くペダルを回していると、いつの間にか町中へ入りました。
琴平駅へ向かう前に少し寄り道。こんぴらさんの表参道を覗いていきましょう。
時刻は夕暮れ前。参道にあるお店はほぼ閉まっている。観光地あるあるですね。なので、観光地で食事をする場合は、特に営業時間に気を付けたい。
こんんぴらさんの表参道に近い、大宮橋周辺を見て回る。大宮橋から金倉川を見てみると、まる中に金文字をあしらったデザインの提灯が吊るされている。
そんな景色に少し寂しさを感じるのは、私だけでしょうか。
振り返ってみれば、増々こんぴら詣りの期待が膨らんでくる大きな鳥居があります。その奥には高灯籠が見えますね。
高灯籠へ寄り道しましょう。
現代のように交通機関が発達していない江戸時代では、基本的に徒歩でこんぴら詣りを行なっていた。当時は高い建物がなかったため、この高灯籠は遠くからよく見えていたのだろう。
実に頼もしい目印です。そして、ゴールの琴平駅へ到着。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
【こんぴら詣り】
琴平町といえば、こんぴら詣りですね。下記記事では、こんぴら詣りについて紹介します。
まとめ
高松駅から旅立ち屋島へ向かいました。屋島スカイウェイは、ほどよい距離で本格的なヒルクライムを楽しめる。
また、屋島山頂は観光地化されているので、展望スポットや商店街、屋嶋城跡、屋島寺、新屋島水族館など見どころが多く楽しめます。
今回の旅では、こんぴら詣りをしませんでしたが、またの機会に参拝したいですね。