タヌキの伝説が多い徳島県。その中でも圧倒的な知名度を誇るのが「金長狸(きんちょうだぬき)」です。
ジブリアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」にも登場したタヌキなので、知っている人も多いだろう。この金長狸をご祭神として祀っている金長神社が、小松島市にあります。
また、金長神社の周辺にある小松島ステーションパークには、世界一大きな狸の銅像があり、子供だけでなく大人も喜びそうな仕掛けがあるのに注目したい。
かつて話題となった「金長だぬき郵便局」も近くにあるので合わせて足を運んでみましょう。
本記事では、金長神社の魅力と小松島ステーションパークの大ダヌキについて紹介します。
金長神社とは
金長神社は、徳島県小松島市中田町に鎮座しており、1959年(昭和31年)に創建された比較的新しい神社です。
映画会社(新興キネマ)の作品「阿波狸合戦」が、成功をおさめたお礼に寄付した資金によって建てられました。そのため、宗教法人ではありません。
冒頭で触れた通り、ご祭神は金長大明神(金長狸)。地元では「金長さん」の名前で親しまれています。ご利益には、商売繁盛・開運などで注目を集めるパワースポットだ。
実際、「阿波狸合戦」が空前の大ヒットとなり、倒産寸前だった会社が持ち直した話は有名ですよ。
また、金長神社の北側に見える山の上には金長神社本宮があり、両方参拝することで「金を長く持ち続けられる」という。まさに金運UPにつながるご利益といえるでしょうね。
金長さんは、世のため人のためになる願いになるほど叶えてくれるといわれています。
【周辺の見どころ】
金長神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
阿波の狸合戦で金長狸が大活躍
阿波の狸合戦とは、天保年間に起こった狸同士の合戦であり、金長狸は主人公にあたります。
染物屋「大和屋」を営む梅山茂右衛門(うめやま もえもん)に命を助けられた金長は、そのご恩に報いため大和屋に住み着きました。そして、狸の神通力を使ってお店を大繁盛させた次第です。
その後、金長は津田の六右衛門(ろくえもん)狸に弟子入りをして、すぐに頭角を表します。その様子に六右衛門は、金長のことを自分の後継ぎと考えていたのですが、そもそも金長は修行を終えると大和屋へ戻るつもりだったという。
金長をこのまま帰すのに危険を感じた六右衛門は、60匹の仲間をひき連れて闇討ちを行なった結果、金長の一の子分「藤ノ木寺の鷹」が金長をかばって討ち死にするという結末を迎えました。
怒り心頭の金長は、仲間を集め六右衛門討伐の兵を挙げる。これが世にいう「阿波の狸合戦」の始まりです。
こうして、3日3晩続いた激しい攻防の末についに金長は、六右衛門を討ち取りました。
しかし、この戦いで致命傷を負った金長は大和屋へ戻り、茂右衛門に今まで世話になった礼を伝え、静かに息を引き取った次第です。
茂右衛門は金長の生き様に感動して、自ら京都へ赴き正一位を得ました。そして、金長を正一位金長大明神として屋敷に祠を建てて、末永く祀ったと伝わっています。
タヌキだらけの境内を歩く
金長神社の入口となる鳥居前には、可愛らしい小さなタヌキがお出迎えしてくれます。
これは、狛犬ならぬ狛狸といったところかな。手に持った「ようこそ」の石碑が良い感じですよ。
では、お言葉に甘えて鳥居をくぐりぬくと、直ぐに拝殿前へ到着。
金長神社の境内はこじんまりとしており、ゆっくり見て回ったとしても5~10分もあれば一通り見て回れます。
小さな窓からお賽銭を入れて参拝しよう。
窓から中を覗いてみると、たくさんのお酒やたぬき饅頭などのお供え物がみえました。
これには金長さんも嬉しいのではないでしょうかね。
拝殿の周囲には、おなじみの信楽焼の狸の置物がいっぱい。それ以外にもおまわりさんのタヌキがいるぞ。
こちらのつぶらな瞳の子ダヌキ、可愛すぎる♪
間違ってもお持ち帰りしないように。(笑)
おっ、この貫禄は・・・絶対に金長さんだろう。
威厳を感じる面構えが実に似合っています。
そういえば、鳥居前には顔出しパネルがあったな。
招き猫ならぬ招き狸のデザインと、手描き感満載のデザインのパネルがありました。
記念撮影にどうぞ。おそらく、顔出しパネルのデザインは、一定期間経つと変更しているのではないだろうか。そんな感じがしますね。
これらの顔出しパネルの隣には、インパクト抜群のタヌキの置物がある。
ひょうきんなお顔をよく見ると、目口が空洞になっているではないですか。これって身に付けられるのかな。(本当にできるのかは分かりません。)
私が訪れた日は、隣のグランドが再開発の真っ最中。
かつて神社取り壊しの話がありましたが、「金長神社を守る会」の皆さんを始めとする多くの人たちの支援の下、存続できて本当に良かったです。
【神社仏閣の紹介】
徳島県内で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
ジブリアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」に登場
金長神社は、1994年に上映したスタジオジブリの名作アニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」に登場しています。
作中で描かれた金長神社のイラストが境内に飾られているので見物していこう。
そもそも金長狸は、阿波の狸の総大将であり、四国の三名狸に数えられている存在だ。義理を重んじて報恩感謝の念が強い。
アニメ映画では、東京の狸を助けるために四国の長老として登場しました。
ちなみに、三名狸の残り2つは、愛媛県の山口霊神社に祀られる「隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)」と香川県の屋島寺で祀られる「太三郎(たさぶろう)狸」です。
小松島ステーションパークの大ダヌキに注目
金長神社から南へ約800mほど離れたところには、小松島ステーションパークがあります。
ここは、旧国鉄時代の小松島駅舎を再現したSL記念広場と大きなたぬき像がそびえ立つたぬき広場があるので、金長神社と一緒に足を運びたい公園ですね。
特にたぬき広場に注目したい。というのも高さ5m、胴まわり5mもある大ダヌキは、それだけで見ごたえがあります。
実はこの大ダヌキには面白い仕掛けがあるぞ。このタヌキの前で手を叩くと、なんと高さ10mの人工滝がドゴォーと流れ出す。面白いでしょ。
私が訪れた日は多くのファミリーがいることもあって、子供たちが手を叩いて滝が流れる様子にはしゃぎまくっていました。その姿が実に微笑ましく、印象に残っています。
また、SL記念広場側の公衆電話のそばにある郵便ポストが面白い。このポストの上には、金長たぬき像がチョコンと乗っているぞ。
大ダヌキと比べてその表情は険しく、野性味たっぷりの雰囲気が対照的でした。
その他にも公園周りの歩道には、小さな白いタヌキの行列を発見。お祭りの恰好をして躍っているのでお見逃しなく。
普通に歩いていると低い位置にあるので、見過ごす恐れがあるかも。足元に気を付いて歩いてみて下さいね。
【公園の紹介】
旅先で訪れた公園を、下記記事で紹介します。
タヌキの名前の付いた郵便局
徳島県ではタヌキにまつわる民話や伝説が多くあり、生活の一部として大きな存在になっています。
そのような土地柄のため、タヌキの名前を冠した郵便局があってもそれほど不思議ではないと思う。
かつては小松島新港郵便局という名前でしたが、1998年(平成10年)に「金長だぬき郵便局」に変更されました。
実は、これが全国の郵便局で初めて動物の名前が付いた実例だそうですよ。当時は話題になったので、覚えている人もいるのではないでしょうかね。
外観はどこにでもあるような郵便局ですが、入口前に信楽焼の狸の置物が置いているのがチャームポイント。
ハガキに金長さんの可愛らしい風景印を押してくれるので、立ち寄ってみよう。
金長神社の基本情報とアクセス
住所 | 徳島県小松島市中田町脇谷 小松島市営グラウンド横 |
【アクセス】
- JR南小松島駅から徒歩約20分
- 徳島自動車道「徳島IC」から車で約40分
金長神社の駐車場
金長神社には、神社専用の駐車場がないため、参拝者は神社近くの広場や市営グラウンド内の通行の邪魔にならないところに駐車すること。
グラウンド外での路上駐車は禁止です。
まとめ
古くから狸の民話が多く残されている徳島の中でもひと際有名な存在が金長狸です。
金長狸を祀る金長神社へ足を運び、タヌキだらけの境内を歩きながら阿波狸合戦に思いを馳せてみよう。
今回紹介した金長神社以外にも、県内の様々な場所に狸の祠が祀られており、その数は600~700もあるというのだから凄いものだ。
すべて見て回るのは時間的に厳しいので、阿波狸合戦で活躍した金長の軍師や旗本などを祀った場所だけでも機会があれば巡ってみたいですね。