御三戸嶽(みみどだけ)を知っていますか。
名前は聞いたことが有る人や全く知らない人もそれなりにいるでしょう。
かくゆう私も実際に御三戸嶽を目撃するまで、その存在を知りませんでした。
御三戸嶽は、愛媛県に流れる面河川(おもごかわ)に浮かぶ軍艦の形をした巨大な奇岩です。
一度その姿を目にしたら、恐らくもう二度と忘れることが無いほど圧倒的な迫力がありますね。
本記事では、自然の造形美があふれる御三戸嶽について紹介します。
御三戸嶽とは
御三戸嶽(みみどだけ)は、愛媛県上浮穴郡久万高原町に位置し、久万川と面河川の合流地点にそびえ立つ絶壁の石灰岩のことです。
太陽光の反射が岩肌に映り、変化することから「七面鳥岩」とも呼ばれています。
また、その姿が軍艦に似ていることから「軍艦岩」の愛称がありますね。
高さ37m、最大幅137m、長さ237mもある巨岩のひときわ目を引く造形美には、圧倒的な迫力を醸し出しています。
1971年(昭和46年)に愛媛県の名勝に指定されました。
【奇岩・奇峰の紹介】
旅先では御三戸嶽のような奇岩を見れる機会がありますので、私が目撃したことがある奇岩や奇峰を下記記事で紹介します。
圧倒的な存在感、面河川に浮かぶ御三戸嶽
御三戸嶽についてインターネットの画像や写真などで見た人もいるでしょうが、はっきり言って実物は、写真や画像で見た物とは比べ物にもならない迫力があります。
特に事前情報を全く持っていない状態で、この御三戸嶽に出会ったら、そのインパクトは相当な物。(私がそうでした。)
例えその存在を知っていたとしても、実際に目の当たりにすれば、かなりの衝撃を受けるでしょう。
こちらの写真に写っている御三戸嶽とその周辺にある建物を見比べて見て下さい。
いかに御三戸嶽の巨大さが分かりますね。
こちらが御三戸嶽を横から見た景色です。絶壁の状態が良くわかります。
頭上をアップしてみると、たくさんの老松が生えていますね。周辺の落葉樹との見事な調和もグッドです。
まるで軍艦の艦首(先頭部分)のように見える御三戸嶽。軍艦岩の愛称にも納得です。
御三戸嶽は、土佐や南予から石鎚山へ登山する途中に位置しており、1905年(明治38年)頃から杣川村(現在の久万高原町の一地区)の渋草尋常小学校校長であった石丸富太郎氏が面河渓(おもごけい)を宣伝した際、面河渓の玄関口となったため知れ渡りました。
周辺にある久万高原町役場美川支所などに車を駐車し、河原へ降りて下から眺めれば、更に迫力がある。
また、国道33号線上にある美川大橋には歩道がありますので、そこから眺めて見ることをお勧めします。
この御三戸嶽がいつ頃から誕生したかは分かりませんが、風や川の水により浸食されてできたことから長い年月が経っていることは分かりますね。
周辺には、縄文時代の早期から後期にわたる複合遺跡である「上黒岩岩陰遺跡(かみくろいわいわかげいせき)」が高さ30mの石灰岩が露出した岩陰で見つかっています。
この事から縄文時代には、既に広い河原にそそり立っていた奇岩があったとしても何もおかしくはありません。
おそらく、御三戸嶽は縄文時代には崇拝されていたのではないでしょうか。
縄文時代には、地面に穴を掘ってからその下に死者を葬るという、集石土壙墓が登場します。
その墓穴を覆った土の上に小石などの岩石を乗せることで、祖先の眠っている場所がわかるようにしたのでしょう。
お墓は死者の心を鎮め、その心を祖先の霊に転化させて、子孫を守護する存在に導く施設と言う考えがあります。
岩石を一種の墓標としたことで、その岩石は祖先の霊と交流できる場所と言う意味合いがありますね。
これは、まさに信仰の要素を帯びます。
すると、自然が生み出した巨石を見た人たちは一体何を思うでしょうか。
恐らく「あれだけ巨大な岩の下に眠っているのは神様に違いない」と考えたとしても何も不思議ではありません。
尚、上黒岩岩陰遺跡の近くには、御三戸嶽を磐座(いわくら)とし、遥拝所として設けられた御三戸神社があります。
磐座(いわくら)とは、信仰の対象となる岩のことだよ。
久万高原町へ訪れる機会があれば、御三戸嶽を見学することをお勧めします。
神々しいまでの存在感がある御三戸嶽と清流の美しいコントラストは、いつまでも記憶に残り続けるでしょう。
【悠久の時で造られた物】
御三戸嶽のように悠久の時間の中で造られていく物が、自然界にはたくさんありますので、下記記事で紹介します。
軍艦岩を見て種田山頭火が詠んだ俳句
山頭火(さんとうか)の名前で知られている日本の自由律俳句の俳人「種田 山頭火(たねだ さんとうか)」は、日本各地を放浪しながら1万2,000余りの句を詠んでいます。
俳句は通常、五・七・五のリズムに季語を含み作者の心情などを詠む物ですが、自由律俳句はこのリズムや季語にとらわれず、その自由な表現方法から作者の心情や自然の姿などをよりストレートに表していますね。
山頭火の代表的な句について以下に挙げます。きっと聞いたことがある人も多いでしょう。
山頭火の代表的な句
- あるけばかつこういそげばかつこう
- この旅、果もない旅のつくつくぼうし
- 霧島は霧にかくれて赤とんぼ
- こころすなほに御飯がふいた
- まつすぐな道でさみしい
1939年(昭和14年)11月20日、山頭火は久万の地(今の久万高原町)にやってきて「岩が大きな岩がいちめんの蔦紅葉」の句を詠みました。
山頭火が詠んだこの句の句碑が、久万高原町役場美川支所に設置されています。
御三戸嶽周辺で川遊びする場合の注意点
御三戸嶽は、久万川と面河川の合流地点にあたるため、川の流れがどのようになるのか予測がつきません。
急に深くなったり、流れが速くなったりするところがありますので、十分に注意しましょう。
尚、岸から離れ過ぎないようにして下さい。
また、1人で川に入るのは危険です。
特に小さな子供をお連れの場合は、安全のため必ず一緒に行動しましょう。
ライフジャケットを着用すると安全性が高まるよ。子供にはライフジャケットを必ず着用させよう。
近くには無料の御三戸嶽遊園地キャンプ場がありますので活用すると良いでしょう。
御三戸嶽の周辺にある「道の駅みかわ」
御三戸嶽が良く見える美川大橋から西へ約650mほど進めば「道の駅みかわ」があります。
この道の駅では、新鮮な野菜を始め、美川茶や美川そうめんなど地元の特産品や、お土産などを販売しています。
また、ミニコンビニ(ヤマザキYショップ)も入り、お弁当やパン、ジュース、お酒、食料品、雑貨なども販売していました。
また、食堂もあるため、休憩場所として重宝しますね。
ちなみに私はここで鶏唐揚げ定食を美味しく頂きました。(嬉)
道の駅みかわ
- 住所 愛媛県上浮穴郡久万高原町上黒岩2840
- 電話番号 0892-56-0330
- 定休日 年末年始(12/31~1/2)
- 営業時間
- Yショップ・売店 7:00~18:00
- ふるさと市 8:00~17:00
- レストラン 11:00~14:00(オーダーストップ)
- レストラン終了後、土日のみカフェ営業 15:00~17:00
【道の駅の紹介】
旅の道中では、道の駅へ良く立ち寄ります。それぞれの道の駅には個性があり面白いですね。旅先で立ち寄った道の駅を紹介します。
【番外編】御三戸嶽のファーストコンタクト
私がまだ御三戸嶽の存在を知らなくて、高知県の仁淀川町から愛媛県松山市へ向けて国道33号線を自転車で走っていた時の話をしましょう。
国道33号線沿いにあった「ヒメシャラ休憩所」で一時的にトイレ休憩を取った後で、再出発しました。
横目にエメラルドグリーンに流れる面河川を眺めながら、快調に自転車のペダルを漕いで走っていきます。
面河川の川面には、大小様々な奇岩が浮かび上がり、目を楽しませてくれますね。
しばらく進み続けていると吊り橋が見えてきました。
吊り橋を渡ろうと思い、橋の入口へ近づきますが、残念ながら入口は柵で閉ざされており、中へ入れません。
この時、橋の下に見える川面を見てみると、川底までしっかりと透けて見える透明度に興奮しました。(笑)
後から調べてわかったのですが、この橋は沢渡橋と言い1967年2月に開通しましたが、現在では老朽化のため通行止めになっています。
また、この橋の近くには車も通行可能な沢渡大橋が出来たため、この橋の役目はすでに終わっているようでした。
その後、道なりに進んでいると「道の駅みかわ」まで残り2kmと書かれた看板が表れます。
「よし、ここで昼食にしよう。」そのように考えながら、意気揚々とペダルを回し続け、先へ進んでいると、突然目の前にそれが現れたのです。
なんと、巨大な岩が面河川にそびえ立っています。
「すげぇ!!!!!」思わず大きな声を出して驚きました。
それほど、インパクトがあったのです。
自転車を止めて、沿岸からこの巨大岩をまじまじと見続けました。
この時、この巨大岩の正体はわかっていませんでしたが、「道の駅みかわ」にあった観光案内板を見て正体を知ることができた次第です。
これが私と御三戸嶽のファーストコンタクトですね。
いきなり眼前にこのような巨大な存在が現れたら本当にビックリします。
例え事前にその存在を知っていたとしてもかなり驚くでしょう。
御三戸嶽は何も語りませんが、多くの人の来訪を待ち望んでいるのではないでしょうか。
面河川にポツンとそびえ立つ姿を見て、そんな風に感じました。
【自転車旅の魅力】
自転車旅を続けていると御三戸嶽のような突然の発見があり面白いですね。そこで、自転車旅の魅力について下記記事でお伝えします。
御三戸嶽の基本情報とアクセス
住所 | 愛媛県上浮穴郡久万高原町仕出 |
電話番号 | 0892-21-1192(久万高原町観光協会) |
【アクセス】
- 松山ICから車で約45分
- JR松山駅からJR四国バス(久万高原線の久万高原行き)に乗って久万高原町へ向かい、久万高原町のコミュニティバスに乗り換え後、御三戸のバス停で下車し徒歩1分
御三戸嶽の駐車場
久万高原町役場 美川支所の隣りに無料駐車場があります。(車:約20台)
まとめ
御三戸嶽は、高さ37m、最大幅137m、長さ237mもあるビックサイズの奇岩であり、その形状から軍艦岩とも呼ばれています。
道路を走っている最中に、このような巨大な物が目の前に飛び込んできたらビックリしますね。
御三戸嶽の周辺では、川遊びをすることができますが、川の流れがどのようになるのか予測がつかなく、流れが速くなったり、深いところもありますので、細心の注意を払いましょう。
久万高原町へ訪れる機会があれば、御三戸嶽へ訪れて、その存在感を感じてみませんか。