兵庫県豊岡市に壮大な大地の歴史を物語る公園があることをご存じですか。
その公園は、玄武洞公園と呼ばれ、大量の石柱が様々な角度で立ち並んでいる奇勝が見られます。
その景色を目の当たりにすると、大自然の驚異と偉大さに感服せざるを得ません。
また、この公園の直ぐ近くには、玄武洞について学べる玄武洞ミュージアムもありますので、合わせて訪れてみましょう。
本記事では、国指定天然記念物に指定されており、山陰海岸ジオパーク屈指の景勝地の玄武洞公園について紹介します。
柱状節理が織りなす玄武洞公園とは
玄武洞公園では、玄武岩が織りなす「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」の石柱が、古代建造物のように規則正しく並んでおり、見る物に凄いインパクトを与えます。
まさに大自然が生み出した芸銃品といって過言ではありません。
石柱の断面は、6角形で亀甲の形をしていることから、「玄武洞」と江戸時代後期に命名されました。
また、玄武岩の名称は、1884年(明治17年)に東京大学の地質学者・小藤文次郎氏が玄武洞の名にちなんで命名した歴史があります。
この公園の近くには、有名な城崎温泉があるため、そこから気軽に立ち寄れるのも嬉しいですね。
古くから玄武洞の存在は景勝地として知られており、1931年(昭和6年)に国の天然記念物に指定されました。
尚、この公園には5つの洞窟が見られ、それぞれ「玄武洞、青龍洞、白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞」と呼ばれています。
名前から分かるように中国の神話で語られる四神の名前を持っており、神聖さが感じられるパワースポットです。
こちらは「玄武岩の玄さん」で、兵庫県豊岡市のマスコットキャラクター。
週末などに訪れると、玄武洞で出会える日もあるので、一緒に記念撮影をしてもらっては如何でしょうか。
【パワースポットの紹介】
玄武洞や青龍洞などで大地のパワーを授かってみましょう。運気の向上につながるかも。下記記事では、旅先で訪れたパワースポットを紹介します。
玄武洞駅から玄武洞公園へ渡し船で行く方法
玄武洞公園の最寄り駅は、この公園の名前を冠した玄武洞駅です。
しかし、地図を見てみるとすぐ分かるのですが、玄武洞駅から円山川を挟んで向こう岸に玄武洞公園があります。
玄武洞駅の一つ北側にある城崎温泉駅の近くには、円山川に橋が架かっており、この橋を渡って向こう岸へ向かえますが、玄武洞駅へ下車したならば渡し船を利用しましょう。
駅から少し歩くと、渡し船の案内板がありました。
目の前には、横断歩道があり、その向こう側には、堤防が見て取れます。
堤防へ上る階段前には、再度渡し船の案内板が設置されており、この辺りから乗り込むことが分かった次第です。
案内板には、渡し船の電話番号が記されており、この電話番号にかけると渡し船が対岸から来てくれるみたいですね。
私は自転車で来ていたため、渡し船を利用しようか迷いました。
そこで、玄武洞ミュージアムのホームページで渡し船について確認してみると、自転車を乗せることについては何も記載されていなかったため、恐らくNGだと判断し断念。
これは仕方がないですね。
こちらは、堤防の上から眺めた円山川の景色です。
向こう岸には、玄武洞や玄武洞ミュージアムがみえました。
渡し船は、玄武洞ミュージアムと玄武洞駅をつなぐために利用されています。
玄武洞ミュージアムから直ぐ近くにある玄武洞公園へ歩いて行きましょう。
渡し船(玄武洞ミュージアムと玄武洞駅をつなぐ)
- 電話番号 0796-23-3821(玄武洞ミュージアム)
- 営業時間 9:00~17:00
- 乗船定員 9名(最小1名)
- 所要時間 約7分
- 料金
- 大人 片道400円、往復700円
- 子供 片道250円、往復400円
- 幼児 片道150円、往復200円(0歳児を除く未就学児)
玄武洞公園のマップ
先ほども触れましたが玄武洞公園には、5つの洞窟を見学できます。
メインとなるのは、玄武洞と青龍洞ですね。
その他には白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞がありますが、玄武洞や青龍洞と比べると、少し小ぶりです。
見学に時間が取れない方は、玄武洞と青龍洞だけでも十分満足できるはず。
中央広場から真っ直ぐ歩けば、直ぐに玄武洞へ辿り着けます。
【公園の紹介】
玄武洞公園のように自然を利用して公園を整備していたりしますね。そんな公園で過しているとリフレッシュが図れるでしょう。下記記事では、旅先で訪れたそんな公園を紹介します。
悠久の歴史を体感できる玄武洞公園を歩いて回る
約160万年前の火山活動よりできた「玄武洞」
玄武洞を始めとする、玄武洞公園で見られる景色は、今からおよそ160万年前の火山活動によって流れ出たマグマが冷え固まって出来た物です。
マグマが少しずつ冷え固まっていく過程で、表面は収縮し六角柱の形に割れ目が生まれます。
その割れ目は冷え具合に合わせて、規則正しく内部へ伸びていき、今見られる景観に成長していきました。
その結果が、大自然が造り上げた不思議な景観となり、実に見応えがあります。
先ほども触れましたが、このような石の柱は、柱状節理と呼ばれ、福井県の有名観光スポットである東尋坊やイギリスの世界遺産であるジャイアンツ・コーズウェーと同じですね。
尚、玄武洞などの洞窟は、江戸時代に採掘によってできました。
初めて採掘した後で、柱状節理の不思議な景色を見た当時の人たちもきっと驚いたでしょう。
ちなみに玄武洞の名付け親は、江戸時代の儒学者である柴野栗山(しばの りつざん)氏です。
中国の四神である玄武にちなんだと言われています。
玄武岩は切り出しやすいため、豊岡市内では、石垣や庭石・護岸工事などに多く使われており、見かけることも多いかも。
例えば、城崎温泉街を流れる大谿川(おおたにがわ)は、柳と石垣により大変風情を感じますが、この石垣に玄武岩が使われているのです。
また、鉄分を多く含む玄武岩は、漬け物石としても最適であり、代々家で大切に使い続けられているとか。
そう言うことを聞くと、手頃な玄武岩を一つ持ち帰ろうかと思ったりしますが、今は天然記念物なので、玄武岩の持ち帰りは駄目ですよ。(笑)
【悠久の年月が造りし物】
玄武洞のように悠久の年月が造り上げた自然の観光スポットを、下記記事で紹介します。
玄武洞で地磁気の逆転現象を発見
地球上には、至るどころで玄武岩があるため、それほど珍しい鉱石ではありません。
しかし、玄武洞の玄武岩は、他の地域とは異なった性質を持っているのです。
その性質がきっかけとなり、地磁気の逆転現象が世界で初めて提唱された経緯があります。
そもそも地球全体が、大きな磁石のように双極子磁場があり、北側がN極、南側がS極ですね。
この地球が帯びる磁気(地磁気)の向きは、数万~数十万年ごとに逆転を繰り返してきました。
つまり、その昔は北側がS極だった時代があったのです。
今では知っている人も多い知識ですが、明治~昭和時代の地球物理学者である松山基範(まつやま もとのり)氏は、1920年代の早さで地磁気の逆転について実証しました。
玄武岩は、磁気を持つ珍しい岩石です。
そのため、磁石を近づけると、想像以上の力で引き寄せられます。
石言葉は「生命力を高め、魔を寄せつけない」と言われ、長い時間をかけて大自然が造り上げた玄武洞の造形美を眺めていると、何やらパワーがみなぎってきますね。
地球の大地からパワーを感じ取ってみませんか。
柱状節理が最も美しい「青龍洞」
玄武洞公園内で、最も美しい柱状節理を見せてくれるのが青龍洞です。
青龍洞は、玄武洞に次いで園内で2番目に大きな洞窟であり、その迫力は玄武洞に負ける物ではありません。
龍が昇る姿に似ているように見える節理の眺めは、その名に恥じない素晴らしさです。
洞の下には池があり、陽光の当たり具合では、節理を水面に映し出してくれるでしょう。
水面に揺らいで見える、青龍洞の姿は幻想的ですね。
また、池の中央には、小さな石塔が建っており、小石を投げて上にのせられたならば、願いが叶うと言われています。
この青龍洞も玄武洞と同じく、国の天然記念物に指定されているのもうなずけますね。
「白虎洞」「南朱雀洞」「北朱雀洞」の紹介
玄武洞公園内には、各洞窟を結ぶように遊歩道が整備されていました。
玄武洞があった所から5分もかからず、次々に別の洞窟へ移動できます。
青龍洞へ向かう反対側にある道では、「白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞」がありました。
まずは、白虎洞を紹介します。
白虎洞では、水平方向に伸びた柱状節理の断面を間近で見られます。
その姿が虎の背中に似ているため、白虎洞の名前もうなずけるでしょう。
玄武洞の垂直方向に伸びた節理と比べてみると、白虎洞の節理は細いですね。
一般的に柱状節理はゆっくり冷えた所が太くなるので、この付近は速くマグマが冷えたことが分かります。
また、ハートの形をした玄武岩の断面もあり、恋愛成就を叶えてくれると言う。
恋愛に悩んでいるならば、探してみては如何でしょうか。
白虎洞から更に奥へ歩くと、南朱雀洞・北朱雀洞がある広場へ辿り着きました。
南朱雀洞では、時間帯にもよりますが、陽光が池の水に反射し美しく煌(きら)めきます。
その姿がまるで、朱雀が地面に降りてきて休んでいるように感じられますね。
洞脇の岩石には節理が見られず、ごつごつとしていることから、ここが溶岩流の先端に当たる部分なのでしょう。
北朱雀洞では、まるで今にも朱雀が大きく羽ばたいて飛んだ行きそうな姿が見て取れました。
自然が造り上げた造形美の美しさには脱帽です。
白虎洞や南朱雀洞、北朱雀洞は、玄武洞や青龍洞と比べると少し小さ目ですが、玄武洞や青龍洞とは違った魅力を感じますので、時間があれば合わせて訪れることをお勧めします。
玄武洞ミュージアムの紹介
玄武洞ミュージアムは、玄武洞公園の直ぐ目の前にあるので合わせて訪れると良いでしょう。
玄武洞を紹介しているだけでなく、世界中から集められた鉱物・化石、宝石などを常時2,500点以上展示しています。
また、ここでしか見られない貴重な石もあるとか。
自分の目で是非確かめてみて下さい。
館内へ入ってみて、いきなり実物大の大きさであるゾウの全身骨格標本のレプリカが目の前に飛び込んできました。
これには驚きましたね。(笑)
その他にも沢山の展示物があり、見て回るのが面白かったです。
例えば、こちらの岩石では、表面をハンマーで軽く叩くと、音が鳴り演奏ができました。(嬉)
また、花や風景画に見える奇石も珍しく見応えがあります。
特にこちらの根尾谷(岐阜県)の菊花石は美しく、驚嘆した次第です。
その他には、国の伝統的工芸品に指定されている「豊岡杞柳細工」も見逃せません。
館内では、かご編み体験や石のアクセサリー作りの体験もできますので、興味がある方は参加してみては如何でしょうか。
また、豊岡市の市街地へ訪れ、カバンストリートでショッピングとしゃれ込みましょう。
館内では、玄武岩を始め様々な鉱物の学習もできますよ。
更に、ミュージアムショップやカフェが併設されていますので、ゆっくり過ごすことができます。
大人から子供まで楽しめるミュージアムになっていますので、是非足を運んでみて下さい。
玄武洞ミュージアム
- 住所 兵庫県豊岡市赤石1362
- 電話番号 0796-23-3821
- 営業時間 9:00~17:00
- 定休日 年末年始。詳しくは玄武洞ミュージアムの公式ホームページで確認して下さい。
- 料金
- 大人(中学生以上)800円
- 子供(小学生)500円
- 幼児(4歳以上未就学)400円 幼児のみの入館不可
- 団体割引き、障害者割引き、年間パスポート有り
- 無料駐車場有り(普通車70台、バス5台)
【博物館の紹介】
旅先で玄武洞ミュージアムのような博物館へ訪れると、初めて知る事や興味深い事に触れたりできて面白いですね。下記記事では、そんな博物館を紹介します。
玄武洞公園の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県豊岡市赤石1347 |
電話番号 | 0796-22-8111(豊岡観光協会) |
【アクセス】
- JR玄武洞駅から渡し船で約7分
- JR豊岡駅からタクシーで約15分
- JR城崎温泉駅からタクシーで約10分
玄武洞公園の駐車場
玄武洞公園前には、無料駐車場があります。(普通車70台)
まとめ
玄武洞公園では、大自然が造り出した柱状節理の石柱が織りなす景色を堪能できます。
見た目のインパクトは抜群であり、その不思議な景観は、いつまでも記憶に残り続けるでしょう。
園内はそれほど大きくはないため、所要時間として30~60分ほど見ていれば大丈夫です。
玄武洞公園は、世界に誇るべき景勝地なので、豊岡市へ訪れる機会があれば、是非足を運ぶことをお勧めします。