兵庫県の中東部に位置する丹波篠山市へ訪れて、外せない観光地と言えば「篠山城跡」ではないでしょうか。
かつて徳川家康が築城を命じたという篠山城の跡地には、威風堂々の佇まいを見せる「篠山城大書院」があります。
また、篠山城跡周辺にある城下町では、古い町並みが残されており、多くの歴史的建造物を楽しめる。
古くから京都への交通の要所として栄えてきた歴史を感じながら、丹波篠山市の観光を楽しみましょう。
本記事では、篠山城跡と篠山城大書院、城下町(河原町妻入商家群)を中心に丹波篠山市の見どころを紹介します。
丹波篠山市の定番の観光巡り
先ほども触れましたが、丹波篠山市の定番の観光スポットとして、まずは「篠山城跡」が挙げられます。
その他には、地域の歴史や文化を学べる以下の施設がありますね。
- 篠山城大書院
- 青山歴史村・丹波篠山デカンショ館
- 武家屋敷安間家史料館
- 丹波篠山市立歴史美術館
これらの施設を2つ以上訪ねる場合、「4館共通入館券」の購入がお得です。
更に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「河原町妻入商家群(かわらまちつまいりしょうかぐん)」も見逃せない。
観光のお土産として、丹波篠山の伝統工芸品「丹波焼」は如何でしょうか。
伝統的なデザインやポップで色彩豊かなものまで、様々な作風の幅広さが特徴ですよ。
四方は山々で囲まれた美しい自然に恵まれているにも関わらず、ほど近い場所には、大阪や神戸などの都市圏もある。
豊かな農作物が育つこの地域ならではの食も楽しみましょう。
特産品には、盆地特有の気候風土が生み出した「丹波篠山黒豆」が有名だよ。
【周辺の見どころ】
丹波篠山市周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
天下普請で築かれた篠山城の跡地を散策
天下分け目の大決戦「関ヶ原の戦い」で勝利を納めた徳川家康は、合戦終了後に豊臣方についた西日本の諸大名をおせえる拠点が必要でした。
そこで目を付けたのが、篠山の地。
篠山は、京都への交通の要所として知られていたため、この地に新しく城を築いたのです。
これがいわゆる「天下普請(てんかぶしん)」と呼ばれるものですね。
こちらが、篠山城跡の入口。
城の周りにはお掘があり、ボートで遊んでいる人たちを見かけることも。
実に楽しそうですね。
石畳みの道を歩きながら、石垣に囲まれた門を通過して中へ入っていきましょう。
門を通過すると、直ぐに篠山城大書院の入口が見えてきます。
この大書院の裏手に周ると、広いスペースがありますよ。
かつて城主たちが住んでいた証が至るどころに。
今やお城の面影は復元された大書院だけですが、かつてこの場所には様々な建物があったことを示していました。
篠山城の築城は、総奉行が池田輝政、縄張りは築城の名手と謡われていた藤堂高虎が手がけという。
15ヶ国、20の大名の夫役、 総勢8万人の労力による大工事であったと伝えられています。
築城年数は、城の大きさにより異なりますが、大阪城が15年かけて築城されたに対して、篠山城はわずか6ヶ月という短期間。
どれだけの工程を短縮して、効率化したのか分かりませんが、全く凄いですね。
広場を歩いていると、青山神社を発見。
この神社では、篠山藩主青山氏の遠祖青山忠俊と第12代藩主青山忠裕がご祭神として祀られています。
毎年4月の第1第土曜日(宵宮)と日曜日(本宮)に青山神社の祭礼が行われるとか。
本宮では、春日神社へ渡御の行列があるという。
その行列は、神輿と共に鎧や薙刀を身に付けた小学生が太鼓と法螺貝の合図で闊歩するそうですよ。
うん、見てみたいかも。
奥の方へ歩いて行くと、天守台がありました。
天守閣は築城の時に建築が中止され、変わって天守台南東隅に隅櫓(すみやぐら)が建てらてたそうです。
こちらが天守台からの景色。
手前には、近隣にある小学校のグランドが見え、その奥には丹波篠山市の町が見渡せます。
こちらは、埋門跡。
歴史を感じさせる作りが良いですね。
尚、通り抜けは出来ないので気を付けましょう。
また、複数個所に井戸がありました。流石に今は使われていません。
ゆっくり篠山城跡を散策した後は、篠山城大書院の中へ入ってみましょう。
篠山城の初代城主は、松平康重です。
松平康重は、家康の実子であることから分かるように、篠山城がいかに重要な城であったのか伺い知れます。
以後、松平氏3家8代と青山氏6代といずれも徳川譜代の有力大名が城主に。
そして、篠山城は260年余の江戸幕府の体制の下、篠山藩5万石の政治・経済・文化の拠点となりました。
【お城の紹介】
旅の道中では、お城へ足を運ぶことがありますので、下記記事で紹介します。
往時の雰囲気を伝える篠山城大書院
大書院は、1609年(慶長14年)の篠山城築城とほぼ同じ時期に建てられたと言われています。
天守閣のなかった篠山城に取って、中核をなす建物でした。
その建物は、京都二条城の二の丸御殿を参考にして建てられたという。
幕藩体制が終わる約260年間に渡り、篠山藩の公式行事などに使われたそうです。
明治時代に入り、廃藩置県後の廃城令が出されることで、日本各地の数多くの城が廃城となる憂き目に合いました。
その際、篠山城の大半が取り壊される自体になりましたが、大書院の保存を願う人々の努力が叶い、唯一残されることを許されたのです。
そして、大書院は小学校や女学校、公会堂として利用されていましたが、悲劇が襲います。
それは、1944年(昭和19年)1月6日の夜に火災が発生し、大書院は焼失してしまいました。
しかし、まだ大書院の歴史は幕を閉じません。
その後、市民の熱い願いと多くの尊い寄付が集まり、2000年(平成12年)4月に再建され、かつての姿を取り戻すことができました。
実際に足を運んで間近でその姿を見て下さい。
古式の建築様式を備えていることが良く理解できると思います。
それに一大名が持つ書院としては、破格の規模と言えますね。
外観をたっぷり堪能した後は、実際に中へ入ってみましょう。
こちらは、大書院の間取り。
多くの部屋の中でも最も格式の高い部屋が「上段の間」です。
幅3.5間(6.9m)の大床、その左手に付書院、右手に違い棚、帳台構が設けられている。
このような座敷を飾る施設は、慶長年間頃のものだと言われています。
部屋の中で見て取れる、往事の雰囲気を再現させるための屏風絵が素晴らしい。
屏風絵は、江戸時代初期の狩野派絵師が描いたものを障壁画に転用しているとか。
尚、障壁画の保護のため、フレッシュ撮影は禁止なので注意するように。
この部屋では、上段に城主が座り、1段下がった次の間では家臣が控えていたと思えます。
上段の間では、多くの公式行事を行っていたのでしょう。
立入禁止になっているので、部屋の中へは入れませんが、外からじっくり見学しておきたい部屋です。
奥へ進むと「孔雀の間」へ入ります。
この部屋には、篠山城主の甲冑レプリカが飾られており、部屋の中央を見ると孔雀の掛け軸がありました。
その他の部屋も紹介すると、展示室では、青山家ゆかりの品々を展示してたり、様々な資料で篠山城の築城の様子、城下町の形成などについて学べます。
こちらは、篠山城の模型。
こういう模型を見ると全体像が良く分かり、イメージがしやすいですね。
また、「源氏の間」では、1/10スケールの大書院の模型がありました。
個人的に面白いと思ったのが「虎の間」に並べられた鎧兜のレプリカ。
戦国時代を生きた織田信長や徳川家康、伊達政宗など有名武将の鎧兜が並んでおり、戦国時代のファンならばテンションあがるかも。
徳川家康の隣りに真田信繁(真田幸村)がいるのが意味深です。(笑)
有料で甲冑の着付け体験(大人1,000円、小人500円)をしているので、旅の思い出に如何でしょうか。
【歴史ある建築物の紹介】
篠山城大書院のような歴史ある建築物が復元されたり、昔からずっと保存され大切にされている建築物は貴重ですね。下記記事では、旅先で訪れたそんな建築物を紹介します。
城下町を歩く、河原町妻入商家群の景色
5万石の城下町として栄えた篠山には、武家町や商家町が築かれました。
今も尚、往時の面影を色濃く残す古い町並みを楽しめます。
特に篠山城跡の南東に位置する河原町にある「河原町妻入商家群(かわらまちつまいりしょうかぐん)」が見所ですね。
その名前の通り、ほとんどの建物が妻入りになっていることが特徴と言えるでしょう。
この河原町妻入商家群は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
町中を歩きながら、東西約700mに建ち並ぶ、それぞれの商家を見比べて見るのも面白い。
その際、良く目につくのは2階の窓の出格子窓(でごうしまど)と虫籠窓(むしこまど)。
外壁が白漆喰の建屋が多いです。
江戸時代末期から昭和前期の町家が見て取れます。
こちらは、綿花栽培や醤油屋を営んでいた西坂家住宅、屋号は「綿屋」。
この辺りでは、最も広い規模を有するという。
江戸時代の建築で、篠山の伝統的建築物を代表する町家です。
また、篠山市指定文化財に指定されています。
こちらも同じく篠山市指定文化財に指定されている川端家住宅。
母屋などは明治前期に建てられたみたい。
内部には、桧等の超一級の材がふんだんに用いられているそうです。
また、小屋組みには、洋トラスという当時最新の技術が用いられた言われています。
町並みの散策は、興味が尽きないですね。
だからこそ、ゆっくり見て回りたいもの。
思わぬ出会いや発見に、一喜一憂するのが面白い。
こちらの建物には、鳳凰山の鉾山(ほこやま)が描かれていました。
どうやら納庫のようです。
鉾山とは、全国的に知られる京都祇園祭の鉾山と同様な山車のようなもの。
篠山春日神社の秋祭りで、古い町並みの中、優雅に巡業する鉾山は、丹波篠山の秋の風物詩となっています。
道端に大きな卵のモニュメントを発見。
このモニュメントは、一体何だろうか?
インパクトがあるので、個人的にはGood。
住宅前で見つけた吊るされた干し柿。
こう言うの見ると、生活感が感じられ暖かい気持ちなったりします。
町中に溶け込んでいるホテルがありました。
1泊してゆっくり周辺を観光してみては如何でしょうか。
【古い町並みの紹介】
河原町妻入商家群のような歴史ある古い町並みを散策するのは楽しいですね。下記記事では、旅先で訪れた見応えのある町並みを紹介します。
丹波篠山の観光スポット
篠山城跡や篠山城大書院、河原町妻入商家群について紹介してきましたが、その他の観光スポットも紹介します。
青山歴史村・丹波篠山デカンショ館
青山歴史村は、篠山藩主である青山家の別荘を活用した歴史資料館。
丹波篠山の歴史や文化、自然、特産品等を紹介しています。
特に丹波篠山デカンショ館では、日本遺産に選ばれている「デカンショ祭り」を紹介。
篠山の夏を彩る祭りの雰囲気を体験できます。
青山歴史村・丹波篠山デカンショ館
- 住所 兵庫県丹波篠山市北新町48
- 電話番号 079-552-0056
- 営業時間 9:00~17:00(最終受付は16:30)
- 休館日 月曜日、年末年始(12/25~1/1)祝日は開館、翌日休館
- 料金 大人300円、高校・大学生200円、小中学生100円
- 30名以上で団体割引有り
武家屋敷安間家史料館
武家屋敷安間家史料館では、1830年(天保元年)に建てられた武家屋敷を活用して、当時の武家の暮らしを伝えています。
安間家は、篠山藩主青山家の家臣で下級武士の一家でした。
館内には、安間家に伝来した古文書や日常に用いられた食器類や家具、篠山藩ゆかりの武具や史料を展示しています。
武家屋敷安間家史料館
- 住所 兵庫県丹波篠山市西新町95
- 電話番号 079-552-6933
- 営業時間 9:00~17:00(最終受付は16:30)
- 休館日 月曜日、年末年始(12/25~1/1)祝日は開館、翌日休館
- 料金 大人200円、高校・大学生100円、小中学生50円
篠山城跡と篠山城大書院の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県丹波篠山市北新町2-3 |
電話番号 | 079-552-4500(篠山城大書院) |
営業時間(篠山城跡) | 5月~10月 8:30~20:00 11月~4月 8:30~19:00 |
営業時間(篠山城大書院) | 9:00~17:00(最終受付は16:30) |
定休日(篠山城大書院) | 月曜日、年末年始(12/25~1/1) |
入館料(篠山城大書院) | 大人400円、高校・大学生200円、小・中学生100円 30名以上で団体割引き有り |
【アクセス】
- JR篠山口駅からタクシーで約15分
- JR篠山口駅から神姫グリーンバス篠山営業所行に乗って、二階町バス停で下車後、徒歩約5分
- 舞鶴若狭自動車道「丹南篠山口IC」から車で約10分
篠山城跡と篠山城大書院の駐車場
篠山城跡の最寄りの駐車場は、有料の三の丸西駐車場。(台数350台)
普通車は1回200円、大型車は1,000円で駐車できます。
営業時間は7:00~16:00です。(16:00~翌日7:00までは無料)
ちなみにオートバイや自転車ならば、篠山城跡入口前のお掘り近くにある小さな駐車場に駐輪できます。
まとめ
篠山城は、徳川家康の肝いりで築城されました。
堅牢な石垣を見て分かるように、大阪の豊臣家を始めとする西日本の諸大名を抑え、江戸を守る砦だったのでしょう。
また、復元された大書院の威風堂々とした姿が素晴らしい。
城下町へ向かえば、当時の面影を残す風情が広がり、江戸時代の営みを感じるでしょう。
丹波篠山市へ訪れる機会があれば、今回紹介した観光スポットへ是非足を運ぶことをお勧めします。