瀬戸内海には、いくつもの海道が存在します。
その中の1つには、「せとかぜ海道」があり、せとかぜ海道を構成する絶景ロードが「夕やけこやけライン」です。
今回の旅では、愛媛県大洲市から伊予市に向けて、夕やけこやけライン(せとかぜ海道)を走りながら瀬戸内海の絶景を堪能しました。
旅の道中では、伊予の小京都・大洲で臥龍山荘や大洲城を観光したりして、見聞を広めることも忘れません。
特に海道を走っていると見えてくる、海の中へ消えゆく線路や下灘駅・道の駅ふたみから見た夕景が印象的ですよ。
本記事では、大洲観光と「せとかぜ海道」を旅する様子をお届けします。
伊予大洲駅から旅立つ
今回の旅のスタートは、愛媛県大洲市にあるJR伊予大洲駅から始めます。
いつものように自転車を電車に載せる、いわゆる輪行で移動してきました。残念ながら天気は曇り。(雨の心配はなさそう)
晴れ男を自称する私にとっては、嬉しくない天気です。天気が回復するかどうかは運次第。私の運命力を信じます。(笑)
そう考えると、輪行袋から自転車を取り出し組立てる。もう15年以上も輪行して旅を続けているため、スムーズに作業ができますが、面倒な作業であることは間違いありません。
出来ればヨーロッパのように自転車を分解せず、自由に電車に持ち込めるようになって欲しいものですね。(日本でも少しづつですが、サイクルトレインが普及しています。)
準備が整った後は、大洲市の市街地へ向かうことに。まずは、大洲観光を楽しむとしましょう。
【輪行に関する話】
電車や飛行機などの公共交通機関に自転車を載せて運ぶ手段が「輪行」です。下記記事では、輪行について紹介します。
大洲市の市街地を見て回る
大洲市の市街地は、伊予大洲駅から約1kmほど離れています。
駅前から国道56号へ出て、南下していると肱川橋へ到着。
その橋の上からは、大洲市のシンボル「大洲城」が見えてきました。
清流・肱川を眼下におさめる大洲城では、いったいどんな景色が見えてくるのでしょうか。楽しみですね。
肱川橋を渡り終えると、すぐに市街地の中心部へ入ります。
昔、大洲市には自転車旅で何度か来たことがありますが、ただ通過するだけで、町中をしっかり観光したことがありません。
今回の旅では、様々な観光スポットへ足を運ぶことにしています。
大洲市は、大洲城を中心に発展した旧城下町。
肱川流域ごとに多様な文化が栄え、発展してきた歴史がある。
また、映画のロケ地として使われたこともあるとか。
例えばこちらの「おはなはん通り」は、1966年から1年間NHKで放映された連続テレビ小説「おはなはん」の舞台になったそうですよ。
また、1991年にフジテレビ系列でテレビ放送された「東京ラブストーリー」で、リカと完治が二人の思い出話を歩きながら話した通りだという。
東京ラブストーリーは、私も世代なので知っていますが、視聴していなかったので詳しくは知りません。
それぞれのドラマファンの人にとっては、聖地巡礼が楽しめますね。
町中をブラブラしていると、面白そうな場所を見つけました。
それが、こちらのポコペン横丁。
そこは、古き昭和30年代の世界が体験できるようです。
日曜には、地元商店による中華そばや焼き鳥などの飲食店や骨董品、雑貨などが販売される物販店が立ち並びます。
残念ながら訪れたのは平日だったため、ガランとしていました。(悲)
それでも昔ながらの看板や自転車などが見られ、古き日本を体験できて満足満足。
町中を見学しながら、今回の目的地の1つ「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」へ向かいました。
【古い町並みの紹介】
旅を続けていると、城下町や古い町並みが残っている場所へ訪れることは多いです。下記記事では、そんな町並みを紹介します。
臥龍山荘の見学
臥龍山荘は、清流・肱川流域の景勝地「臥龍渕」に建築された他に類を見ない匠の技を施した山荘です。
この臥龍渕は、歴代藩主の遊賞地として、厚く保護されていましたが明治維新後には補修されることなく荒廃することに。
その後、貿易商を営んでいた河内寅次郎がこの地を購入し、生涯を過ごす地として山荘を築きました。
その山荘が、臥龍山荘ですね。
臥龍山荘の母屋がこちらの臥龍院。
外観は、茅葺屋根の農家風の平屋ですが、周囲に調和した均整の美を取り入れており、周囲の景色と一体感を感じます。
外観だけでなく、建物の内部にも至るどころで、他より抜きんでて優れている着想をふんだんに取り入れ、わびさびの世界を表現していました。
離れにある不老庵からは、かつて藩主が眺めたであろう肱川(臥龍渕)の景色が広がります。
国指定の名勝になっている庭園を歩きながら、わびさびの世界を堪能。
大洲市へ訪れたら是非足を運んでもらいたい場所ですね。
尚、臥龍山荘については、下記関連記事でくわしく紹介します。
復元された木造天守の大洲城へ立ち寄る
臥龍山荘を後にして、向かう場所は大洲城。
大洲城は、伊予大洲藩の政治と経済の中心地になった場所ですね。
老朽化した天守は1度取り壊されましたが、地元住民の強い要望と寄付により復活することに。
江戸時代の資料が沢山残されていたため、忠実に復元することができました。
日本で初めて復元された木造天守ですよ。
天守内部は、2004年に復元されたこともあり真新しいですね。
最上階には、大洲城の屋根に取り付けている同じシャチホコが展示されています。
うん、近くで見ると凄い迫力を感じますね。
大洲城からは、大洲市の市街地を一望できたり、雄大な肱川を屋形船が運行している姿を見られたりする絶景スポット。
城主と同じ眺めで見るその景色は、まさに殿様気分です。
実はこの大洲城では、日本初となる「城泊(大洲城キャッスルステイ)」ができるという。その話を知ってビックリしました。(笑)
本当の殿様気分を味わえるように宿泊だけでなく、一生の思い出に残るイベントの数々も体験できる。
興味がある方は、是非参加してみては如何でしょうか。
ただし参加費用はそれなりにお高いですよ。
大洲城では、天守だけでなく周辺の櫓(やぐら)も見学できるのでお見逃しなく。
大洲城キャッスルステイの費用は、1泊2日の2名利用(朝食1回 夕食1回)で1,100,000円するよ。(参加は2名から)
長浜大橋の機銃掃射跡と伝説のショッパーズ看板
大洲城の観光を終えた後で、北上して瀬戸内海を目指します。
道中では、秋を感じさせるコスモスを見かけたりすると、自転車を止めてしまうため、中々先へ進めません。(笑)
これも私の旅のスタンスなので、しょうがないですね。
大洲城の観光をしている時から、天気が回復しており、青空を覗かせる頻度が高くなりました。(嬉)
やはり私は晴れ男。自分の運命力を信じて良かったです。
肱川沿いを走りながら気持ち良くサイクリングしていると、少し小腹が空いてきたので、道中でみかけたお店(伊集園)に立ち寄ることに。
伊集園では、八女茶を飲めるそうですが、飲み物は持参していたため食べ物を購入。
私が購入したのは、じゃこ天です。
じゃこ天は、地魚などのすり身を形を整え油で揚げた魚肉練り製品。
これが美味しくて、愛媛県へ来ると大抵は食べている。
まだ食べられたことが無い方は、愛媛県に来る機会があれば是非食べてみて下さい。お勧めですよ。
伊集園を後にして、北上し続けていると遠くに赤い橋(長浜大橋)が見えてきました。
この長浜大橋の特徴的な外観が、私の心をくすぐります。(笑)
橋好き人には、一見の価値がありますよ。
また、戦時中には米軍のグラマン機により機銃掃射がされたそうで、銃弾跡が残っていました。
鉄筋を貫通する銃弾が、人に向けられたと考えると、本当に恐ろしいですね。
尚、銃弾跡は至るどころにあるので、是非探してみて下さい。
この橋の近くには、長浜商店街があります。
この商店街の近くには、ショッパーズ長浜店があるのですが、そこには知る人ぞ知る伝説の看板があることをご存じですか。
その看板がこちら。
「ンョ〝ハー〝」と書いてあり、意味を成していません。
この看板を初めて知った時は、昔インターネットで読んでいた異世界に行った人たちの話を思い出したものです。
それは、現代日本と同じ風景で日本語を使っているのに、この看板のように意味が通じないと言った話。
都市伝説好きな人ならば、一度は聞いたことがあると思います。
なぜこのような看板が出来たのか、疑問に感じる人も多いでしょう。
もともとは「ショッパーズ」だった文字が経年劣化した結果、今の形で残りました。
今は新しい看板がありますが、この古い看板も残されている。
ショッパーズ長浜店の皆さんには感謝ですね。
せとかぜ海道から見える景色
国道378号を東へ向けて走っていると、伊予市へ入りました。
この国道378号は、夕やけこやけラインと呼ばれ、せとかぜ海道を構成する道の1つです。
ほぼ平坦の道であるため、自転車で非常に走りやすい。
どちらかと言うと、大洲方面から伊予市へ向かう道中は、ほぼ緩やかな下りなので、自転車のスピードが上がり、走っていてテンションが爆上がりします。(嬉)
道中で目撃したこちらの標識。
富貴と書いて「とみき」と呼ぶそう。
普通に読めば「ふうき」や「ふっき」ですね。
つまり、財産があって地位が高いという意味になる。
この周辺に住んでいる人たちと関係があるのかな。
そんなことを考えていると、突然の目の端にゼロ戦が横切りました。
「なぬっ!」の言葉と同時にブレーキをかけ振り返り、その模型があった場所へ近づくと、そこにはゼロ戦以外にも沢山の飛行機模型があります。
面白そうなので寄り道したのは、言うまでもありません。(昔に訪れた時も同じことをしたような記憶がありますね。)
後から調べて分かったのですが、この模型がある場所は、模型飛行機道路公園というそうです。
道路を走っていたら突然現れるのでビックリしますね。(笑)
飛行機模型だけでなく、なぜか宇宙人も・・・
あくまで我々がイメージする宇宙人ですが、我々のような生き物がいるのだから、広大な宇宙には絶対に知的生命体がいるに違いないと私は確信しています。
再び、せとかぜ海道を走っていると、海面には沢山のカモメが舞っている光景を目撃。
あまりのカモメの多さにビックリしましたが、良いものを見られました。
しばらく道なりに進んでいると、海の中へ続く線路を見かけビックリ!
思わず「何だ、あれ!」と声に出して驚いた次第です。(笑)
そとかぜ海道自体は、昔に何度かサイクリングしたことがあったのですが、その時には気が付かなかったため、新たな発見にテンションが急上昇!
これも後から調べて分かったのですが、しもなだ公園から30mほど離れたところにあるこの線路は、私有地にあるようです。
国道から見る分には問題ないようですが、私有地なので勝手に入るとダメですね。
私は知らなかったのですが、昔に「千と千尋の神隠し」に出てきた場面と似ていると話題になり、多くの観光客が訪れ、実際に住んでいる人にご迷惑をかけたみたいです。
この線路は仕事で使っているそうなので、立ち入らないようにしましょう。
しもなだ公園から1kmほど進むと、右手側に有名な絶景駅「下灘駅」が見えてきました。
【海道の紹介】
瀬戸内海には、サイクリストに知られている7つの海道がありますよ。(厳密に言うと、海道と呼ばれる道はもっとある)下記記事では、その海道を紹介します。
下灘駅でノスタルジックな雰囲気を味わう
下灘駅は、愛媛県のJR四国予讃(よさん)線にある無人駅です。
かつて「日本一海に近い駅」と呼ばれ、電車を降りて、いきなり目の前に美しい海の絶景が広がります。
また、多くのアニメやドラマ・映画にも登場しており、知名度抜群の駅ですよ。
更に「青春18きっぷポスター」にも度々登場している。そのため、私が訪れた日も多くの観光客がいました。
海とホームが織りなすシンプルな構図が素晴らしく、まるで良く出来た1枚の絵画のよう。
初めて訪れたのに「どこか懐かしい」と感じる景色は、多くの人を魅了するのでしょう。
特に日が沈む時間帯は美しい夕景が見られるので、時間に余裕がある方は絶対に見ておくことをお勧めします。
私は時間の都合上、完全に日が沈む前までいられませんでした。
尚、下灘駅については、下記関連記事でくわしく紹介します。
ふたみシーサイド公園から夕景を見よう
下灘駅同様、美しい夕景がゆっくり見られる絶景スポットが「ふたみシーサイド公園」です。
「道の駅ふたみ」が隣接しているので、この道の駅を目指すと分かりやすいですね。
下灘駅から東へ約5.5kmほど進めば到着します。
オレンジ色に染まる海岸を歩きながら、夕景を眺める。
まるで、新海誠監督の世界をリアル世界で堪能できます。
このような贅沢な時間の使い方ができるのは、大変素晴らしい。
旅人にとって、最高のご褒美と断言できますね。
個人的に考える一番のベストビュースポットはこちらの恋人岬からの景色。
恋人岬には、赤とんぼの石碑が立てられていますよ。(なぜ赤とんぼなのかは不明)
1人で見ても素晴らしいですが、カップルで訪れるとなお良いかも。
それに、この恋人岬は恋人の聖地になっているようです。
隣接する道の駅へ行けば、レストランや地元の特産品を販売しており、見て回るだけでも楽しいですよ。
旅人にとってゆっくり休憩できる場所であるため、せとかぜ海道を旅するならば、絶対に立ち寄ることをお勧めします。
伊予市の市街地へ
完全に日が落ちるまでには、宿泊先のホテルへ辿り着きたいので、後ろ髪を引かれる思いで「ふたみシーサイド公園」を後にしました。
その前に愛車(自転車)と夕日の記念撮影をすることに後から考えて、恋人岬で撮影した方がよかったと少し後悔。またの機会にチャレンジします。
オレンジ色に染まる町並みや瀬戸内海を眺めながら、伊予市の市街地を目指します。
市街地までは残り10km程度。
日中ならば「残りたった10kmか」と考えますが、日没が近づくと「まだ10kmもあるの」と思えてくる。
なんと手前勝手な考え方なのでしょうか。(苦笑)
空が赤く染まってきて、あと数十分もすれば夜が訪れます。
完全に日が落ちて、数分後に宿泊先へ到着。
やはり夕日を見る旅では、暗くなる前に宿泊先へ辿り着くのは中々難しいですね。
こうして今回の旅は終了しました。
まとめ
今回の旅では、大洲市内を見て回りながら臥龍山荘や大洲城へ訪れました。
どちらの観光スポットも大洲の歴史について学ぶことが多く素晴らしい。
また、単純に絶景が見られるのもGoodです。
せとかぜ海道は、ほとんど平地のため自転車で走りやすい絶景ロードなのですが、それなりに車の交通量は多いので気を付けましょう。
せとかぜ海道(夕やけこやけライン)を旅するのならば、ビュースポットのふたみシーサイド公園や下灘駅へ立ち寄ることをお勧めします。