鳥取県2泊3日の自転車旅。3日目となる最終日では、復路の八頭・若桜周遊サイクリングルートを走り、鳥取市用瀬(もちがせ)町を経由して、智頭町へ向かいます。
智頭町は、かつて宿場町(智頭宿)として栄え、今も古い町並みが色濃く残っている。そのため、登録有形文化財と歴史的建造物が多く見ごたえがありますね。
また、智頭町へ向かう道中では、船岡竹林公園や流しびなの館などへ足を運び、貴重な体験をしました。
本記事では、八頭町から智頭町までを、自転車で旅した様子をお届けします。
八東駅から旅立つ
前日(鳥取旅2日目)は、鳥取市から八頭・若桜周遊サイクリングルートを走り、若桜宿として栄えた若桜町へ訪れました。若桜鉄道の終着駅「若桜駅」や古い町並み、神社仏閣などを観光した次第です。
本日の旅のスタートは、八頭町にある八東駅。若桜鉄道若桜線の駅の1つから始めます。
この駅の1番線ホーム南側には、旧貨物ホームが残存していますので、少し見学していきました。
若桜線SL遺産保存会の活動により、ワフ35000形有蓋緩急車が搬入されている。かつては、宇都宮貨物ターミナル駅に放置されていたものだそうだ。
さらに富士重工業製TMC100BS形排雪モーターカーも搬入されています。
駅舎自体も国登録有形文化財なので、これは鉄道ファンは喜びそう。たとえ鉄道ファンでなくてもフォトスポットになるでしょう。個人的にはメカ好きなので、こういう物を見るとワクワクします。
若桜鉄道の駅舎は、歴史を感じるものが多く見て回るのが楽しいですよ。
しばらくホームで待っていましたが若桜鉄道のワンマン電車はなかなか到着せず。
ここで時刻表の存在を思い出し、確認してみると電車の到着までには時間がありそう。
仕方がないので、気を取り直して先へ進むことにしました。本日の天気は曇天。決して旅日和とはいきませんが、毎回晴天で旅を続けられるのは難しい。
個人的には、晴れ男を自称しており、旅の日に晴れる確率がけっこう高い方ですが、こういう日もたまにあります。天気予報では雨が降る心配はなさそうなので、それだけでもありがたい。
しばらく自転車で走行していると、「隼駅」の案内が現れました。その時、私の感が何かを訴えます。これは立ち寄るしかないでしょう。(笑)
こういうのは一人旅の醍醐味ともいえる。旅先で気になった所へ、ふらっと訪れてみると、思わぬ発見や出会いがあったりするもの。
なので、自分の直感を信じてみるのも大事ですよ。
【自転車旅の紹介】
本記事のような自転車旅の様子を、下記記事で紹介します。
隼ライダーの聖地
隼駅の駅舎も八東駅の駅舎同様、たいへん趣があります。この駅舎も国登録有形文化財ですね。それ以外にも注目すべきことがある。実はこの駅舎では、隼バイクの存在を激しく主張していました。
前日に立ち寄った「道の駅はっとう」では、隼バイクの実物があり、バイク乗りが集まる場所として知られている。すると、「隼」の名前をいただくこの駅には、何かあると思うじゃないですか。
駅舎の中へ入ると、その考えは当たっていたみたいで、隼関連のステッカーがズラリと見て取れます。こんなにも多くの隼愛好会があるとは凄い人気ですね。
また、隼バイクの写真も展示されていました。
後から知ったことですが、2009年より、毎年8月8日頃に「隼駅まつり」が毎年開催されており、多くのハヤブサ乗りのライダーが隼駅に集まるという。まさに隼ライダーの聖地といえますね。
「隼駅を守る会」が主催となり、隼駅まつりを通じて地域の活性化を図っています。バイクメーカーのスズキが毎回協賛しているそうで、当日は、グッズや地元の特産品の販売、伝統芸能のステージを楽しめるそうですよ。
ちなみに自転車乗りの聖地のといえば、しまなみ海道があげられる。世界が認めた絶景コースであり、私もよく走りに行く場所ですね。様々な楽しみ方できる場所なので、おすすめします。
【自転車のアイテム紹介(その1)】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
船岡竹林公園で竹林浴を楽しむ
しばらく隼駅前で、地元の人たちと世間話を興じた後に旅を再開。当初は、そのままJR郡家駅をめざす予定でしたが、本日の予定は智頭宿の観光だけで時間的にかなり余裕がある。
そこで、船岡竹林公園へ急遽立ち寄ることを思いつきます。隼駅からでは、約2kmほどしか離れていないので、あっという間に公園へ到着しました。
船岡竹林公園は、名前の通り竹林が楽しめる公園です。それだけじゃなく、園内には、炊事棟やバンガロー、テントサイトが整備されており、アウトドアも楽しめる。また、カフェもありますよ。
まずは管理棟へ訪れ、この竹林公園の情報を入手。なるほど、国内外の珍しい竹と笹が、約200品種も栽培されていることが分かりました。せっかく訪れたのだから、竹林浴を楽しんだのはいうまでもありません。(笑)
竹の種類でモウソウチク(孟宗竹)のことは、知っている方も多いでしょう。私たちが良く食べるタケノコは、ほとんどがモウソウチクですよ。竹林を眺めているうちに「竹=タケノコ=美味」の方程式が頭の中に思い浮かんできたのは、仕方がないかも。(笑)
この公園でもタケノコ堀を行っているので、興味がある方は参加(予約要)してみてはいかがですか。
竹を一つ一つじっくり見ていると、明らかに違いが分かるものが結構多く、見ていて面白い。それに薄緑色の淡い光に包まれる遊歩道は、気持ちが良いですね。これで晴れていれば、言うことなしかな。
また、船岡竹林公園へ訪れたならば、竹林浴だけでなく園内にある「やずミニSL博物館」へ足を運んでみよう。
ここでは、本物と同じように動くミニュチュアサイズの蒸気機関車が展示されていました。土日祝日では、展示されているSLに乗って1周120mのコースを乗車体験できるという。なので、大人も子供も楽しめます。
個人的にゆっくり竹林浴が楽しめたのは、思った以上にリフレッシュ効果があったみたいで、軽い足取りで船岡竹林公園を後にしました。
尚、船岡竹林公園については、下記関連記事でくわしく紹介します。
もうひとつの白兎神社
JR郡家駅へ向かっていると、趣のある建物を見つけます。それがJA鳥取いなば船岡支店。思わず写真を撮ってしまいました。
木造2階建ての建屋は、まるで昔の校舎のように見える。後から調べてみると、本当に学校だったことが分かりビックリしましたね。
そうこうしている内にJR郡家駅へ辿り着く。
駅前には前日見かけた「神うさぎ」がいますよ。
少し離れたところには、因幡の白兎にゆかりのある「白兎神社」があるので足を運んでみました。
白兎神社というと、鳥取市の白兎海岸近くにある神社を思い浮かべる方が多いと思います。
八頭町福本にある白兎神社では、神代の頃にこの地域に降臨なされた天照大神の案内役を務めたウサギを祀っているという。尚、創建はいつなのか分かりません。
五ヵ村の氏神として「白兎大明神」を祀っていましたが、明治時代に一度賀茂神社へ合祀されました。近年、地元住民の強い要望により、社を建てたことで戻され今に至ります。住民にとって、とても大切な場所だといことがうかがい知れるエピソードですね。
自然に囲まれた場所にポツンと建つこじんまりとした社ですが、そういう場所だからこそ自然のパワーが集まっているのを感じます。
ご祭神の素兎神、稲生神へ参拝し、少し境内を散策。目につくのは、狛犬あらず狛兎のお出迎えでしょう。
台座に描かれていた描写は「頭隠して尻隠さず」かな。何とも意味深な感じがする。
少し離れた場所から白兎神社の全景を撮影。
写真を見てわかるように、境内は小さいので、一通り見て回るだけならば3分もかかりません。白兎神社へ参拝をした後は、用瀬町へ向かいました。
【自転車のアイテム紹介(その2)】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
用瀬町へ向かう道中にて
快調に飛ばしていた自転車は、気づいたときには鳥取市へ。鳥取市のカントリーサインを見てみると「因幡の白兎」の舞台じゃないですか。
何気に鳥取砂丘だと思っていたので、ご縁を感じます。市町村別に様々なカントリーサインがあり、特徴的な図柄があったときは驚きますね。そんなことを考えていると、遠くにお城が見えてきた。あれは河原城跡。存在自体は知っていましたが、訪ねたことはありません。
立ち寄るかどうか迷いますが、展望台があるようなので、どうせなら天気が良い日に訪れたい。また今度の機会としました。
しばらくの間、千代川(せんだいがわ)沿いの道を淡々とペダルを回して走行していると、突然思い出したのが、用瀬(もちがせ)町の風習「流しびな」のこと。確か流しびなについて紹介している博物館があったはず。それも千代川沿いにあるのです。時間もあることだし、立ち寄っていきましょう。
そのように決断すると、空が少し明るくなってきた。これは天祐かも知れませんね。目の前を流れる千代川に桟俵にのせた男女一対の紙雛が流れていく「流しびな」の光景を想像すると風情を感じる。
用瀬町では、今でもその伝統を伝え守られており、毎年旧暦の3月3日には「流しびな行事」を行って無病息災を願います。もちろん観光客も参加できるので興味がある方は、参加してみよう。
千代川に架かった朱塗りの長い橋を見つけると、その橋には「流しびなの里用瀬」の文字が見て取れました。この橋を渡ると、流しびなの館へ到着。
博物館の外観は、京都の金閣寺をモチーフにした大型な木造建築物ですね。所どころに見える朱塗りのカラーリングが目を引きます。
近くには、流しびな博物館の説明板がある。それらを読んで、期待を膨らませ博物館へ向かいました。
流しびなの館では、全国から集められた流しびなや雛人形、竹田人形、御所人形など約1,000体を展示しています。雛が織りなす独特な美しさは、実に素晴らしい。江戸時代の珍しい雛人形もあり、一見の価値がありますね。
一通り見学を終えると、本日の旅の目的地である智頭町(智頭宿)までノンストップで向かいますよ。
尚、流しびなの館については、下記関連記事でくわしく紹介します。
智頭宿の観光
智頭町の市街地へ到着すると、まずはJR智頭駅前にある「智頭町総合案内所 暮らし屋」へ向かいます。ここで智頭町の観光マップを手に入れました。
また、館内で見つけた智頭町の森林セラピーイメージキャラクター「もりりん」。
「梨の妖精かな?」と思うのは私だけでしょうかね。個人的に「鳥取 = 鳥取砂丘 = 21世紀梨」のイメージがある。
町中には、もりりんが描かれたポストがありました。旅で様々な町へ訪れると、面白いポストや珍しいポストを見かける機会が多く面白いですね。
なので、ポスト探しがマイブームの1つになっています。(笑)
京橋を渡ると、桜並木が見られる場所があるので、桜シーズンに訪れたい。目の前の景色に心の目で桜が咲くさまを補完します。
そして、千代川をバックに愛車を撮影すると、智頭宿へ向かいました。
智頭宿は、江戸時代に参勤交代で江戸へと向かう鳥取藩の最初の宿として、藩主の宿泊や休憩の場になっていたそうです。
今でも当時の古い町並みや道標が残されており、散策を楽しめる。旧塩屋出店、諏訪酒造、智頭消防団本町分団屯所、諏訪神社など多くの見どころが集中しています。
町並みを楽しんでいると、面白い工芸品を発見。これはフクロウ?でしょうかね。
このようなものを発見するのも、町並み散策の楽しみといえます。
智頭宿を訪れた際に、絶対に訪れてほしいのは、国の重要文化財に指定されている「石谷家住宅」ですよ。
石谷家住宅は、江戸時代から昭和時代という長い歴史の重なりを表現した素晴らしい大邸宅。邸宅全体が良好な状態で保たれており、吹き抜けの「土間」やハートの意匠がある「江戸座敷」、国の名勝の石谷氏庭園など見どころが多い。
なので、じっくり見学しました。ぜひ智頭宿へ訪れる機会があれば、ぜひ足を運ぶのをおすすめします。智頭宿の観光を終えると、JR智頭駅へ向かい帰路へつく。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
尚、智頭宿の見どころは、下記関連記事でくわしく紹介します。
まとめ
天気は良くありませんでしたが、十分観光を楽しめた1日でした。
2023年の鳥取県の旅はこれにて終了ですが、来年以降また訪れるでしょう。今回の旅では、若桜宿や智頭宿といった古い町並みを十分堪能できて満足満足。興味がある人は、足を運んでみて下さい。色々見どころがあって面白いですよ。
また、智頭町には、智頭宿から離れたところに伝統的建造物群保存地区に指定されている「板井原集落」や恋愛成就のパワースポット「恋山形駅」などもあるので、またの機会に訪れたいですね。