ある日突然、「〇〇〇ヘ行きたいな」と思うことは、誰しも一度は経験したことがあるだろう。
ある日の昼下がりにのんびりくつろいでいると、突如「久しぶりに前島へ行きたい」と思った次第です。これはもう、神様からの啓示ではなかろうか。
そうなると、いつの間にか具体的なサイクリングの計画を立てている自分の姿に苦笑い。旅行とかもそうですが、この計画を立てている時間がとても楽しく感じるものですね。今回は前島を一周するサイクリングだけなので、綿密な計画は必要なし。
ということで、岡山市から前島へ渡る船が出航している瀬戸内市牛窓町へ向けてレッツゴー。さて、どんな景色が見られるのか乞うご期待!
本記事では、岡山市街から牛窓町や前島を巡るサイクリングの様子をお届けします。
沖田神社より出発
本日のサイクリングのスタート地点は、沖田神社から始めます。まずは、鳥居をくぐり抜けて、真っすぐ拝殿へ向かう。
珍しく私以外に一人しか参拝客が見当たりませんでしたが、こういう日もあるでしょう。神様に挨拶をすますと、早々に沖田神社を後にすることに。さて、それでは牛窓町へ向かいますかね。
自転車のペダルを軽やかに回し、百間川に架かる橋を渡る。そのまま東へ向けて突き進み、岡山三大河川の一つに数えられる吉井川沿いの道へ合流を目指します。
その道中で金岡東町の住宅街を通過していると、宝琳寺の山門前にあった立札に面白い文言を見つけ、思わず「なるほど!」と思った次第です。その文言がこちら。
「日々私たちが過ごしている日常は、実は奇跡の連続かもしれない。」という。う~む、実に深いお言葉ですね。
出典は、アニメ「日常」からみたい。確か笹原先輩の言葉だったかな。(後で調べてみると、そうでした。)
現代日本でぬくぬくと平和に過ごしていると、気が付きにくいのかも知れませんが、本来生き続けるということは、弱肉強食が当たり前の世界では難しい。
現代では「力」が「権力」や「法」にとって代わり、社会の一員として概ね平和に生きていたとしても、自由を拘束され生きづらく感じる時もありますが、それでも生命を脅かされるのは稀です。
そういう意味では、今長生きできるのは奇跡なのかもしれないですね。
そんなことを考えていると吉井川へ合流。そして北上していると、遠くには吉井川に架かる永安橋が見えてきた。この橋を渡り対岸へ移動。
神崎町へ入ってからは鹿忍片岡神崎線(県道232号)を疾走し、水門湾へ向けて南下を続ける。すると、前方には、大きな水門に囲まれたお屋敷が見えてきました。
【神社詣りに役立つ話】
神社詣りに役立つ話を、下記記事で紹介します。
千町川大水門に囲まれたお屋敷の景観
東西に建てられた水門の間を仕切る堤防には、旧家と思われるお屋敷と蔵が立ち並ぶ。
その独特の景観は、目を引きます。
この水門は「千町川大水門」といって、岡山が誇る土木の天才・津田永忠(つだ ながただ)が江戸時代に千町川の両岸の干拓を行なった地に造られている。
そもそもこの水門のある場所は水門町であり、その干拓の際に造られていた水門にルーツがあるのだろう。このお屋敷の正体は、分かりませんが、私はかつて水門を管理していた一族なのではないかと推測しています。
水門に築かれた道路を渡る。どこにでもある普通の道路だ。反対岸へ抜けて、周辺をぐるりと見て回るが、何も変哲のない普通の住宅地です。やはり、この水路のある一角だけが世界感が違っている。
私のように古い町並みを見るのが好きな人は、一見の価値があるだろう。
自家用船もあるように見えるので、実に羨ましい限りだ。船に自転車を載せて、クルージングとサイクリングを組み合わせるのは面白そうですね。
そんな風に想像しながら、道幅の狭い鹿忍片岡神崎線を南下する。しばらくすると、小さなお社とその奥には、海に浮か建物が見えてきた。
そうです、この場所が亀石神社(かめいわじんじゃ)です。ここでは面白い亀石が見られる不思議な場所ですよ。
【サイクリングに役立つアイテムやサービス】
サイクリングに役立つアイテムやサービスを、下記記事で紹介します。
亀石神社にて海を望む「亀石」の姿を見よ
亀石神社には、水門湾の入り口に亀の形をした大きな岩があるのが目に留まる。
ただ岩がポツンとあるのではなく、岩の周りには約3.5m角の玉垣で囲われていて、いかにも特別感を感じさせられますね。
亀石様を様々な角度で見てみよう。長年、潮の満ち引きにより、岩肌が磨かれているためか、表面上は凹凸が無くのっぺりしている。
玉垣の前には、小さな賽銭箱もあるので参拝していこう。境内は海に面しており、小さいながらも風情のある場所ですよ。
個人的には、そんな神社が大好きだ。地元住民の間では「亀石様」と呼ばれ親しまれています。
毎年、旧暦6月15日になると、亀石まつりが執り行われているんだとか。
聞くところによると、船の帆柱に提灯を山形に飾り付けたシャギリ船が湾内を巡行し、その際には笛や太鼓をにぎやかに奏しているという。うん、これは確かに楽しそうだ。
まだ一度も見たことはないので、機会を作って足を運びたい。
伝説によれば神武天皇の東征のおり、吉備の速吸門(はやすいのと)に来た時に、亀に乗った神様が水先案内をしたといいます。
その亀が石となったのが、亀石というわけ。神武東征神話を現代まで伝えているという意味でも大変貴重な存在ですね。まさに歴史ロマンを感じるじゃないですか。
奥の建物(亀岩宮)の中へ入り、水門湾を望む。至って普通の景色かな。
亀岩宮には、特にベンチや椅子などがないので休憩には不向きです。
ちなみに、境内には邑久南巡り八十八箇所霊場第60番札所の小さなお社があります。せっかくなので参拝し、亀石神社を後にしました。
【神社仏閣の紹介】
岡山市内にある神社仏閣を、下記記事で紹介します。
西脇海岸と水没ペンション村の景観
鹿忍片岡神崎線(県道232号)を道なりに走る。周辺には、邑久南巡り八十八箇所霊場が点在しているので、興味がある方は足を運んでみるとよいですね。
平坦路が続いていたり、アップダウンが大きかったりしますが、自転車のギアを軽くしクルクル回せば急坂を楽勝でクリア。勾配が10%以上の劇坂でなければ、私にかなう道なんてないよ。・・・といいたいところですが、急坂でも距離が長いとやはりしんどい。
鹿忍片岡神崎線程度の坂道であれば、それほど大したものでありませんね。けれど、初心者ならばしんどいだろうと思う。
宝伝地区の住宅地が見えてきた。港からは、アートの島として知られる犬島行きの船が出航していますが、本日向かうのは前島なのでスルーして、鹿忍片岡神崎線を突き進む。
道なりに進んでいると、ついに岡山市を離れ瀬戸内市へ入りました。
しばらくすると、綺麗な海岸線が見えてきた。それが西脇海岸こと矢寄ヶ浜です。牛窓新八景の一つに数えられる風光明媚な海岸として知られています。
遠浅の砂浜では、SUPやウインドサーフィンを楽しめますが、まだ時期が早すぎるのか、この日は誰も見かけません。
その代わり、面白いこちらの自動販売機を発見。商品が凄くないですか。
ホルモンやもつ鍋セット、牛タンなどがある。肉・肉・肉が目白押し。ちょっと興味があるかも。(笑)
おっ、浜辺に立てられた掲示板には、ペットボトルのユニークな姿が描かれている。
まさに「ごみを捨てるな!!」と訴えかけていますね。なので、気を付けて行動しよう。
西脇海岸と通り抜け、ひと山越えると、そこにはインパクト抜群の水没ペンション村が現れました。
何度見ても驚きを隠せないその景観は、マジマジと見てしまう。建物や車などが水没している姿は、恐ろしい!
先ほどの矢寄ヶ浜の景観と比べると雲泥の差ですよ。わずか約2.5kmしか離れていない場所に、これほどの違いがあるとは・・・・。
不快な水辺には、数多くのカモが叫び声をあげて泳いでおり、時折「ギャーッ!」と聞こえる鳥の声が不気味すぎる。絶対に夜は通過したくないかな。
危ないので近づくことはしませんが、廃墟マニアには垂涎の的でしょうね。
前島一周サイクリング
水没ペンション村を後にして、道なりに進めば鹿忍交差点へ辿り着き、岡山牛窓線(県道28号)と合流。ここを東へ曲がり牛窓市街へ向かう。
しばらくすると、ヨットハーバーが目を引く牛窓らしい町の景観が見えてきました。牛窓港へ到着すると、何と丁度前島行きのフェリーが出ているじゃないですか。
ここでどうしようか悩みます。お腹がすいていたので、牛窓市街で昼飯を食べた後で、前島へ行く予定でしたが、フェリーの出航時刻とかちあうとは。
5秒ほど考えて、前島行きを優先。これを逃しても1時間待てばまたフェリーが出航するのですが、これも何かの縁。先に前島へ行きますよ。
ということで、約5分ほどの短いクルージングを楽しみ前島へ上陸。そして、前島一周サイクリングの始まりだ。
前島の外周は、約8kmしかないのでお手軽にサイクリングできますが、アップダウンが結構あるので走りごたえがあります。
前島の特産といえばキャベツなので、島内にはたくさんのキャベツ畑が見て取れる。それが実に良い風景ですよ。
ますは島内の東側へ向かうと、そこは人里離れた自然の宝庫。島の中央へ向かえば、牛窓新八景の1つであり、夕日の名所として知られる前島展望台があります。また、その周辺には大坂城築城残石群があり、展望台ともども前島の見どころですね。
残念ながら、前島展望台は老朽化のため、今は登れないのでパス。ということで、島の中央へは向かわずに、そのまま外周を走る。
時折見かける売地の案内。景色は良いので、別荘を建てるのに良いかも。ただ周辺にコンビニやスーパーなどお店がないのがネックかな。なので牛前町へ買い出しへ行くことになるけど、フェリーは1時間に1,2本しかない。中々難しい話だと思う。
しばらくすると、カリヨンハウスが見えてきた。屋根に注目しよう。このカラフルなカラーは印象深い。なので、自転車を停車してつい眺めてしまいました。
それにこちらの猫耳窓が可愛いですね。個人的に気に入っています。
前島の東側を回り終え、西側へ入ると多くの住宅が見えてきました。もちろんキャベツ畑もたくさんあるのが良い感じ。
ギアをゆっくり回し、徐行しながら周囲の風景を楽しむ。そして海岸方面へ向けて自転車を走らせます。
アップダウンの道を突き進む。しばらくして、私が前島で一番好きな場所ともいえる夕陽公園へ到着。
夕陽公園は、「ここにベンチがあったらいいよね」の一言から整備された公園ですよ。園内に並べられたベンチに座り、目の前の瀬戸内に浮かぶ多島美の景色を楽しみました。
一番手前に見える大きな島が黒島。この黒島と中ノ小島、端ノ小島は干潮で潮が満ちている時間帯ならば歩いて渡れます。黒島ヴィーナスロードと呼ばれ、恋人たちのパワースポットとして有名ですね。
夕陽公園は、夕日の時間帯でなくても心地よい潮風が楽しめる。フォトスポットとしても良好ですよ。
前島の西側には、広大なキャベツ畑と瀬戸内海が織りなす景色を堪能できるところが多い。そんな普段中々お目にかかることができない、素晴らしい景色に拍手喝采を贈りたい。
その後、フェリー乗り場へ戻り、しばらくして牛窓町へフェリーで戻りました。
ロゴオブジェで記念撮影をしよう
牛窓町の古い町並みを楽しめる「しおまち唐琴通り」を進み、牛窓灯籠堂跡へ到着。その場所には、復元された牛窓灯籠堂が目を引きます。
近くにある牛窓新八景の1つ「唐琴の瀬戸」からは、前島の様子が良く見えるし、潮流が速いのもよく分かるというものだ。それに前島にそびえ立つ城ヶ鼻灯台の景観が素晴らしい。
周辺には猫が集まる癒しスポットがあり、本日もいましたね。
五香宮(ごこうぐう)へ向かう階段の上に猫が佇んでいるじゃないですか。サッとカメラを構えて写真を1枚撮りました。満足満足♪
しおまち唐琴通りを通り抜け、牛窓邑久西大寺線(県道226号)を経由しオリーブロードへ。距離こそ短いけれど、一部劇坂があるので侮れないかな。
そして、坂道を上っていくと、ミティリニ広場へ到着。
まるでギリシャ神殿跡を彷彿させる場所だ。少し歩いた場所からは、眼下に先ほど前島の夕陽公園で眺めた黒島を含む他の2つ島(中ノ小島、端ノ小島)が良く見えます。
ミティリニ広場を過ぎると、下り坂となり一気に自転車のスピードが加速し、備前牛窓線(県道39号)へ合流。道なりへ北上していると、「USHIMODO」のロゴオブジェが見えてきました。
サイクリストの多くは、このようなオブジェを見つけると、つい愛車と記念撮影してしまうものですね。個人的には、サイクリストの嗜みともいえる。
けれど、時間的余裕がなければ、スルーしてしまうかも知れませんね。
バックには、風車の形をしたお洒落なトイレがあるのも見逃せない。まるで地中海やエーゲ海の雰囲気を漂わす場所であり、フォトスポットとして良好ですよ。
ということで、写真を撮った後は帰路へついた次第です。こうして本日のサイクリングは終了しました。
【牛窓町の見どころ紹介】
牛窓町の観光に役立つ見どころを、下記記事で紹介します。
まとめ
沖田神社から始まった本日のサイクリングは、独特な景色を見る機会が多く実に良かったですね。
前島一周もアップダウンが結構ありましたが、キャベツ畑の景色や島旅を堪能できました。これも神様からの啓示のおかげかな。
欲をいえば、雲一つない晴天であれば、さらに瀬戸内海の景色が良かったかも。
牛窓町は、電車が通っておらずアクセスが決して良い場所とはいえませんが、自転車ならば関係ありませんね。また時間を作って牛窓サイクリングへ出かけるぞ。