
岡山県の久米南町には、失くしたものが見つかるという話題の「時切稲荷神社(とききりいなりじんじゃ)」が鎮座します。
「〇年○月○日までに△△△△を見つけて下さい」と期限を決めてお詣りすると、不思議なことにその期日までに失くしたものが見つかるという。
失くしたものは「物」「縁」「恋」など何でも良いというのだから凄くないですか。それに、失恋や失くし物で落ち込んでいる時に、心機一転を図るためにお詣りしてみるのも良いですね。
また、境内はこじんまりしていますが、狐塚や古墳遺跡などがあり、見て回るのも楽しいです。
本記事では、全国的に見ても珍しい願いを叶えてくれる「時切稲荷神社」について紹介します。
目次
時切稲荷神社のご祭神・ご利益・所要時間

時切稲荷神社は、岡山県のほぼ中央に位置する自然豊かな久米南町に鎮座する、全国で唯一の時を切って思いを託す神社です。地元では昔から「とっきりさま」と呼ばれ親しまれています。
ご祭神は「宇賀魂命(うかのみたまのみこと)」、神使はもちろん狐(きつね)ですよ。京都市の伏見稲荷大社から分霊されたのこと。1586年(天正15年)に原田三河守の本丸城跡に祭司され、大正頃に今の場所へ移されました。
ご利益には「失くし物の発見」「縁結び・恋愛成就」「願望成就」などがあります。こじんまりとした境内のため、境内をゆっくりと一通り見て回ったとしても所要時間は20~30分ほどです。
【周辺の見どころ】
時切稲荷神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
朱塗りの鳥居が続く参道を歩き拝殿へ

JR誕生寺駅から、田んぼと住宅地を抜けて約10分ほど歩いた先にある小さな山の中には、時切稲荷神社が鎮座しています。
その山の入口前には、「稲荷大明神」と記された赤いのぼり旗がたくさん立てているので、分かりやすいですね。
入口前には普通車が1台駐車できるスペースがあるのですが、空いていない場合は約350mほど離れた場所にある誕生寺の無料駐車場を利用しよう。
ちなみに誕生寺は、浄土宗の開祖・法然上人の誕生の地に建つお寺です。国の指定重要文化財である「御影堂」や「山門」、町指定天然記念物の「逆木のイチョウ」などの見どころがあり、時切稲荷神社とあわせて参拝するのをおすすめします。

こちらが参道です。狭いだけならまだしも、この先は山の中となり薄暗い中で石段を上るので日中に訪れよう。周囲は暗くなると、足元が良く見えなくなるので危険度が高まります。

参道入口から社殿までは約50mほど。歩くのに大した距離ではないですが、足腰に不安を覚えるのであれば、石段前に置かれている杖を借りて下さいね。
個人的には、石段の距離が長い場合に杖を使うことが多いので、杖の効果の高さを身に染みて知っています。
私は春と秋にしか訪れたことがないのですが、聞くところによると夏は蚊が凄いみたい。薄着で来ると、えらい目に合うだろうな。(注意が必要!)


お稲荷さんといえば、やはり千本鳥居でしょう。江戸時代以降に、願い事が「通る」または「通った」結果から感謝のしるしとして鳥居が奉納されてきました。
鬱蒼とした森の中で朱塗りの鳥居が連なる様は、より神秘的な雰囲気を醸し出しています。
時を決めて「とっきりさま」へお願いを託そう

生きていたら「失くしたもの」は誰もが一つはあると思います。それは「物」だったり、「人との縁」だったり様々ですね。
冒頭でも触れた通り、とっきりさまへ「〇年○月○日までに△△△△を見つけて下さい」と期限を決めてお詣りすると、失くしたものが戻ってくるご利益があるという。
もし自分が決めた期限までに叶わなかったとしても、心機一転を図るのに良いかも知れません。たとえば失恋したのであれば、復縁が叶えば万々歳。叶わなかったとしても、傷を癒やし新たな良縁を結ぶために行動を起こすきっかけにできます。
つまり、時を区切りことで停滞した状況を好転させて、気持ちを切り替えることで前向きに再スタートを図れるのではないでしょうか。

とっきりさまへお詣りする際には、油揚げをお供え物にすると効果的。賽銭箱の前に赤い箱が設置されていて、この中に油揚げをお供えします。
神社内で油揚げを手に入れることはできないので、事前にスーパーなどで購入して持参して下さいね。
少し調べたところ、昭和初期から太平洋戦争頃までは、近郷近在だけでなく遠く阪神からの参詣が続いたそうです。門前の豆腐店では、毎日500枚以上の油揚げが作られ、そのほとんどがお供え物になりました。


今は無人の神社ですが、お守りの授与や神事が行われる大祭のみ宮司さんがいらっしゃいます。大祭の日は、多くの参拝者が訪れ、行列が発生することも。
近年では、再び県内外から参拝者が増えているそうですね。時を決めて失くしたものを見つけて下さる「とっくりさま」へ願いを託してみてはいかがですか。
神社仏閣の紹介(その1)
旅先で訪れた稲荷神社を、下記記事で紹介します。
境内には狐塚や古墳遺跡などがある

本殿の裏側に回ると、数多くの見どころがあります。こちらは「狐塚(きつねづか)」です。まるでミニチュアのように小さな鳥居が並んでいて、写真映えがしますね。思わずカメラのシャッターを切ってしまいました。
狐塚といえば、狐の生息する丘や穴のこと。古くから日本の民俗信仰や稲荷信仰と結びついており、今でも日本各地の地名に登場するので知っている人も多いだろう。
また、小さな古墳が狐が住む場所と畏れられ、狐塚と呼ばれていたりします。

古墳遺跡もありますが、特に案内板がなかったので、どのような古墳なのか不明です。私の勝手な想像ですが、狐塚と何かしらの関係があるのではないかしら。
古墳は集落の近くにありながら、手つかずの森として残されていることが多いです。そのため、かつて野生の狐の棲家として格好の的だったのでしょう。夜な夜な古墳の周辺では、狐を見かけたり、鳴き声が響いていたといいます。
そういう話を知ると、「狐の嫁入り」や「狐の恩返し」など狐にまつわる様々な民話が生まれるのも分かりますね。



古くから日本では、私たちが住む「現世(うつしよ)」と神仏や精霊が住む「異界(かくりよ)」があると信じてきました。山や森というのは、その両者を隔てる境界です。
狐は神仏の使いとして、今もその境界を守り続けているのだろうな。科学文明が発達した現代でも、まだ未知なことはかなり多い。なので、一概にそのような境界はないと断ずるのは早計ではないでしょうかね。
和風ファンタジー作品などでは、現世と異界の話を見かける機会が多く、個人的に日常から非日常へ移行する舞台の流れは、非常にドラマチックな展開にワクワクしています。

こちらの小さな祠は、伏見稲荷大社の遙拝所です。時切稲荷神社は、京都市の伏見稲荷大社から分霊されたので遙拝所があっても不思議ではありません。
せっかくなので、こちらでも参拝して感謝を伝えてみてはいかがですか。
本殿裏には龍神様がいらっしゃる

本殿のすぐ裏手には、小さな鳥居の奥に佇む龍神様の像が設置されています。
よく見ると手には水晶のようなものを持っているぞ。この水晶に触れてお祈りすれば、より強力なご利益や浄化のパワーを得られると、参拝者の間で話題です。

正面からだけでなく、横から龍神像を眺めてみよう。そのリアルな造形がいい感じ。
龍神様といえば、水や雨、天候を司る神様。天に昇るダイナミックな姿は、物事の飛躍的な発展や強い運気をもたらしてくるとして、古くから信仰を集めている存在ですね。
「金運上昇・商売繁盛・仕事運・立身出世」といったご利益が期待できます。
神社仏閣の紹介(その2)
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
お守りの入手は年に3回だけ

時切稲荷神社で貴重なお守りを入手できるのは、以下の日時のみです。
- 初午祭 3月第2日曜日 13:00~15:00
- 輪くぐり 7月第4日曜日 15:00~16:30
- 献穀祭 11月第3日曜日 11:00~13:00
近年、密かに有名になってきているので、これらの日にはお守りを求めて県内外から多くの参拝者が訪れます。もし行かれる方は余裕を持って行動するのが吉。そうでないのであれば、これらの日を避けて参拝すると良いでしょう。
普段は訪れる人が少ないようなので、静かな雰囲気の中でじっくりとお願いできます。
神社仏閣の紹介(その3)
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
御朱印は「誕生時」でゲット

時切稲荷神社の御朱印は、徒歩で約5分ほど離れた場所にある誕生寺で授与されます。
朱塗りの鳥居をくぐり抜ける狐様が描かれており、可愛らしさと不思議さを感じました。時切稲荷神社の御朱印は、書き置きのみで対応しています。
時切稲荷神社の基本情報とアクセス
| 住所 | 岡山県久米郡久米南町里方 |
| 電話番号 | 086-728-4412(久米南町役場 産業振興課) |
【アクセス】
- JR誕生寺駅から徒歩約10分
- 中国自動車道「院庄IC」から車で約30分
時切稲荷神社の駐車場
時切稲荷神社の入口前には、小さな駐車スペースがあります。(普通車1台)
駐車スペースが空いていない場合は、近くにある誕生寺の無料駐車場を利用すると便利です。誕生時から徒歩で約10分ほどかかります。
まとめ

時切稲荷神社は、昔から地元の人たちに親しまれてきました。期限を決めて失ったものを見つけるというご利益は、全国的にみても珍しいですね。
大事な物や人との縁を見つかったり、失恋に区切りをつけて良縁を結んでくれるご利益を期待できます。また、辛い出来事にあい、止まってしまった自分の時間を再び動かしたい時にお詣りするのも良いでしょう。
とっきりさまの大好きな油揚げを一緒にお供えして、心を込めてお詣りして下さいね。


