世界的に知られているサイクリストの聖地「しまなみ海道」の周辺には、瀬戸内海の絶景を眺めながらライドできる海道が沢山あります。
「しおまち海道」は、その海道の内の一つであり、広島県福山市のサイクリングロードです。
しおまち海道の道中には、観光名所として名高い鞆の浦を始め、田尻町の菜の花畑や阿伏兎観音など見どころも盛り沢山。
平坦基調の道が続き、とても走りやすい「しおまち海道」をサイクリングしてみませんか。
本記事では、しおまち海道の見どころやサイクリング時の注意点について紹介します。
しおまち海道とは
しおまち海道とは、広島県福山市のJR福山駅から尾道市の戸崎港までの約33.7kmを走る海沿いの道です。
コースのほとんどは平坦路であるため、サイクリング初心者から中級者にお勧めできますね。
尚、サイクリングに欠かせない急坂が一箇所だけありますが、距離はそれほど長くはありませんのでご安心を。
また、ヒルクライムを漫喫したい場合は、海沿いを離れ、ハードな福山グリーンラインを走ると、眼下に瀬戸内海の絶景を眺めながらライドを楽しめます。
ゴールの戸崎港から渡し船を利用して、向島へ渡れば、世界的に有名なサイクリストの聖地「しまなみ海道」へ合流できますので、引き続き絶景ロードを楽しめるのも魅力ですね。
徒歩や車では味わうことが決してできない「根元の楽しさ」を見つけに、海道のサイクリングへ繰り出しませんか。
しおまち海道のコース紹介
しおまち海道のコースはこちらになります。
コースの簡単な説明をすると、福山駅から南下して海岸線を走り鞆の浦を目指します。
鞆の浦へ到着後は、海岸線を西に向けて走り、ゴールの戸崎港へ向かうシンプルなコースなため、分かりやすいですね。
実際に実走した感想として、サイクリングや自転車旅に慣れている人ならば、多少道に迷ったとしても方位さえ間違えなければ、ルートの修正はしやすいと感じました。
しおまち海道のコースは、福山市の公式ホームページからPDFファイルやGoogleマイマップでダウンロードできます。
【海道の紹介】
しおまち海道のような「海道」の名が付く絶景サイクリングコースを下記記事で紹介します。
しおまち海道を走る時の注意点
しおまち海道は、福山駅から鞆の浦までは、それなりに車道へブルーラインが引かれていたりして、道に迷うことは少ないです。
しかし、鞆の浦を過ぎたあたりから、ほとんどブルーラインは引かれていません。
そのため初めて走る人は「この道、本当に合っているのかな」と心配になるかもしれませんが、海沿いを西へ走っていれば問題なく戸崎港へ到着できます。
また、道中には「しおまち海道」を表す看板などは、ほとんど見かけないのも不安を煽りますが、気にしないようにしましょう。
ちなみに私が発見したのは、こちらの看板を含め「しおまち海道」と明記されている看板は道中2~3箇所でしか目撃しませんでした。(私が発見できなかっただけかも知れませんね。)
福山駅でサイクリングの準備
福山駅の地下には、CYCLE PITが用意されています。
福山駅南口を出た後で、エレベーター又は階段を下りて地下へ行くと、CYCLE PITがありますので、必要な準備はこちらで整えましょう。
サイクルスタンドやフロアポンプ、工具など整備に必要な物は、一通りそろっています。
マナーを守って、気持ち良く利用させて頂きましょう。
また、福山駅から約1kmほど南下すると、「サイクルベースあさひ 福山光南」があります。
店員へ相談することで、輪行中などで発生した突然のメカトラブルの早期解決が図れるかも知れません。
福山市のサイクリングロード「しおまち海道」の見所を実走しながら紹介
走りやすい、芦田川の河川敷
しおまち海道のスタートは、福山駅です。
南下しながら、芦田川に架かる草戸大橋を目指しましょう。
福山駅周りは、車の通行量が多いですが、こちらのような自転車レーンが整備されており、比較的走りやすいですね。
草戸大橋へ近づくと、こちらの看板を発見。
看板に表示されていた通り、芦田川の河川敷へ降りて行きましょう。
ブルーラインが引かれているため、分かりやすいですね。
河川敷では、歩道と自転車道が区別されています。
自転車道は、綺麗に整備されてブルーラインが引かれており、平坦路のため非常に走りやすいです。
尚、歩道と自転車道が分かれていたとしても、実際には自転車道を散歩している人やジョギングしている人も見かけましたので、スピードの出し過ぎには注意しましょう。
のんびり芦田川を眺めながら、南下していると多くの鴨を見かけたりしました。(嬉)
その他にもスケボーやローラースケートの練習場などを見かけたりしましたので、日曜などには多く人が集まりそうです。
個人的に、芦田川の河川敷から眺める一番のビュースポットはこちらの芦田川大橋です。
斜張橋特有の優美な景観は見事ですね。
河川敷の自転車道は、芦田川大橋の近くまで続いており、この橋を渡り鞆の浦を目指します。
田尻町の菜の花畑
街路樹として梅の木が植えられているルートを通過しましたが、綺麗な梅の花を眺めながら走ると気分が高揚しますね。
しばらく道なりに走っていると、海岸線へ出ました。
海岸線をひたすら南下すれば鞆の浦へ到着しますが、その道中で菜の花畑を発見。
沿岸にあった看板には「菜の花まつり会場」と書かれていました。
これは立ち寄らなければなりません。(笑)
会場までは、短い距離ですが、急坂を上ることになります。
こちらは、会場の入口付近から眼下の風景です。海へ向かって続く下り坂は、絵になりますね。
後日この菜の花畑について調べたところ、毎年3月には「田尻 菜の花祭り」が開催されていることが分かりました。
2022年は残念ながら、コロナの影響で祭は中止となりましたが、菜の花畑の見学はできます。
瀬戸内海をバックに綺麗に咲き誇る黄色の絨毯の景色は「素晴らしい!!」の一言です。
敷地一帯に広がる約30万本の菜の花を見ていると、心が優しくなってきますね。
菜の花だけでなく、本数は少ないですが、梅の花も綺麗に咲いていました。
敷地の奥の方には、展望台と休憩所が整備されています。
展望台にあった座席の近くには、ハートマークが見て取れましたのでカップルご用達にどうぞ。
天気が良ければ、空の青と海の碧、菜の花の黄色と梅の白色が織りなす、見事なコントラストに興奮するでしょう。
田尻町 菜の花畑
- 住所 広島県福山市田尻町甲4102
- 無料駐車場 約20台
【春の花畑を紹介】
田尻町の菜の花畑のように、春には綺麗な花が良く咲きますね。下記記事では、旅の道中で立ち寄った花畑スポットを紹介します。
ノスタルジックな港町「鞆の浦」
海岸線を南下し続けると、鞆の浦へ到着しました。
鞆の浦は、江戸時代に建てられた町家や湾口施設一体が、色濃く残る全国でも珍しい港町です。
2018年には日本遺産に選ばれており、江戸時代中期から後期の町絵図に描かれた街路が、現代にほぼすべて現存しています。
狭い街路を散策しながら、古い町並みを眺め、ノスタルジーに浸りましょう。
また、観光地らしく、沢山のお店がオープンしていますので、食事や休憩するのに適していますね。
高台にある医王寺は絶景スポットであり、鞆湾の全景が一望できます。
鞆の浦には、朝鮮通信使が日本一と称した絵画のような絶景が見られる福禅寺・対潮楼や、日本で唯一五色岩(ごしきいわ)が見られる仙酔島などたくさんの見どころがある。
時間が許すならば、是非、鞆の浦へ一泊して、様々な観光スポットへ足を運ぶことをお勧めします。
鞆の浦
- 住所 広島県福山市鞆町鞆
- 電話番号 084-982-3200(鞆の浦観光情報センター)
スリル満点の絶景スポット「阿伏兎観音」
鞆の浦を後にして、しばらくすると、しおまち海道最大の難所であるヒルクライムが始ります。
距離にして約2kmほどですが、勾配の大きな急坂が続きますので、初心者には少しキツイかも。
しかし、斜度10%越えが続く激坂と比べると心に余裕を持って走れます。
急坂を乗り切り、下り坂を下った後は、少し寄り道していきませんか。
しおまち海道のコースから少し離れますが、沼隈半島の最南端にある阿伏兎観音(あぶとかんのん)を目指すことをお勧めします。
阿伏兎観音の正式名称は磐台寺(ばんだいじ)であり、子宝や安産、子育てにご利益があることで知られていますね。
それに何と言っても断崖絶壁の上にそびえ立つ、朱塗りの観音堂と雄大な自然とのコントラストが非常に美しくインスタ映えします。
しおまち海道を走るならば、是非立ち寄ることをお勧めする絶景スポットです。
阿伏兎観音
- 住所 広島県福山市沼隈町1427-1
- 電話番号 084-987-3862
- 拝観時間 8:00~17:00
- 休観日 無休
- 拝観料 中学生以上:100円、小学生:50円、未就学児:無料
内海大橋とベラビスタマリーナ
海岸線を西へ進み戸崎港を目指します。
すると、曲線が美しい内海大橋が見えてきました。
全長832mもある内海大橋を渡れば、田島へ辿り着きます。
時間に余裕があれば、1周約15kmの田島を見て周るのも良いですね。
海岸線をずっと走っていると造船所で大型船が整備されていました。
個人的に大型船を見るのが好きなので、自転車を止めて少し見学するのは仕方がないことです。(笑)
また、ヤシの木が連なっている風景を目撃すれば、南国の雰囲気を味わえて嬉しくなってきますね。
この時、海側を見てみると、沢山のヨットが並んでいました。
どうやらここは、ベラビスタマリーナのようです。
ベラビスタマリーナと言えば、話題の豪華クルーズ船「guntû(ガンツウ)」の母港ですね。
また、水上飛行機の遊覧やしまなみのクルージングで知られています。
個人的には水上飛行機に興味津々。
機会があれば是非乗ってみたいですね。
尾道のモンサンミッシェル「沖の観音」
県道389号線を西へ走っていると、こちらの戸崎港フェリー乗り場の大きな案内板が目に留まりました。
案内板が指し示す方向へ方向転換し、道なりに進めば戸崎港へ辿り着けます。
戸崎港までの道中で海に浮かぶ社を発見。こちらは沖の観音と呼ばれています。
潮が引いた時に海の中から道が現れ、社へ歩いていけるようになるそうです。
所謂トンボロ現象ですね。
この社は、近年、尾道のモンサンミッシェルと呼ばれるようになってきました。
乗り越えたい試練を叶えてくれる有難い観音様です。
もし、サイクリングの最中に社まで偶然道が繋がっていたら参拝してみましょう。
きっと良い事があるかも知れません。
海に浮かぶ厳島神社の大鳥居
先ほど紹介した沖の観音から西へ約1.5kmほど進むと、海の中からそびえ立つ朱色の鳥居を目撃しました。
これは、尾道市浦崎にある厳島神社の大鳥居です。
本家は言わずと知れた日本三景の一つに数えられている宮島の厳島神社ですね。
この大鳥居の設立は1977年(昭和52年)7月だそうです。
本家同様、海に浮かんでいるだけで更に神秘性が高まる感じがしますね。
道を挟んで反対側には、厳島神社の社が祀っていましたので参拝しました。
本家と違って浦崎の厳島神社は、船に乗る必要がないので、自転車で訪れやすいですね。
渡し船(フェリー)でしまなみ海道へ合流
厳島神社から少し西へ進むと、分かれ道がありますので、左側へ進みましょう。
残念ながらこの分岐点には、戸崎港へ向かう案内板などはなく、ブルーラインも引いていません。
この分かれ道は、戸崎港へ向かうための最後の分岐点となりますので、できれば案内板が欲しいところです。
道なりへ走っていると戸崎港へ辿り着きました。
尚、フェリーが乗り場に停泊していない場合は、自分で呼び出さなくてはいけません。
こちらのボタンを押すと、向島からフェリーがやってきますので暫く待ちましょう。
向島からフェリーがやって来るのが見て取れますね。
ちなみにフェリーの呼び出し方法については、ボタンを押す以外にもあるようで、こちらの看板に表記されています。
フェリーに乗って、約3分程度で向島の歌港へ辿り着きました。
歌港からは、北側、南側どちらのルートでも因島へ繋がる因島大橋へ辿り着けますが、距離的には南側のルートの方が近いです。
しおまち海道を走り切った後は、連続してしまなみ海道を楽しむのも良いのではないでしょうか。
まとめ
しおまち海道は走行距離が33.7kmと短いですが、短い距離の中で鞆の浦や阿伏兎観音、沖の観音、厳島神社など見所が沢山あります。
また、しおまち海道を走り切った後は、しまなみ海道と続くのも魅力的です。
個人的には、サイクリングを重視するならば、しおまち海道を走りながら、鞆の浦など観光地を見て周り、しまなみ海道へ合流後にホテルや旅館などで一泊するのが良いと考えます。
翌日引き続き、しまなみ海道を漫喫しましょう。
また、観光を重視するならば鞆の浦で一泊して、鞆の浦を中心に様々な観光スポットへ立ち寄ることをお勧めします。