
讃岐国一宮として、1,300年以上にわたり、高松の地を守り続けている鎮守の神様がお住みになる「田村神社」があります。
この神社は、香川県を代表するパワースポットの一つであり、見どころ盛りだくさん。たとえば、境内には大小の小判を掴んだ金運上昇の龍神様を始め、桃太郎やさぬき獅子などがある。
それに御祭神の一柱が、邪馬台国の女王「卑弥呼」と言われているのだから、たいへん興味深いですね。また、御神体の淵には、龍が住むと伝わる龍神伝説も見逃せません。
至るどころに様々な神様のお力を感じ取れるほど賑やかしい。なので、「神様のテーマパーク」といっても差し支えないだろう。
本記事では、古くから由緒正しい神社として、多くの参拝者に崇められてきた田村神社の魅力を紹介します。
讃岐国一宮「田村神社」とは

田村神社は、香川県高松市の市街地から南に約7kmの地点に鎮座する香川県内で最も格式の高い神社です。
社伝によると、古くは「定水井(さだみずのい)」と呼ばれた井戸にいかだを浮かべ、その上に神様を祀っていました。
709年(和銅2年)には、仏教僧である行基(ぎょうき)により社殿が設けられ創建した次第です。この「定水井」は現在も奥殿の下にあり、龍が住んでいると言われています。
創建当時から時の権力者や地元住民から信仰が篤く、平安時代には度々神階の授与が行なわれていたという。1871年(明治4年)には、近代社格制度により国幣中社に列しました。

田村神社の「田村」の社名は、鎮座した地名によるものだよ。なので、他の田村神社のような坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)との関係はないので悪しからず。
御祭神は邪馬台国の女王「卑弥呼」なのか?

田村神社の御祭神は、田村大神(たむらのおおかみ)です。この田村大神という名は、五柱の神様の総称でそれぞれの神様は以下になります。
- 倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)
- 五十狭芹彦命(いさせりひこのみこと)
- 猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)
- 天隠山命(あめのかふやまのみこと)
- 天五田根命(あめのいたねのみこと)
どの神様も多くの功績を上げており、これらの神様の中でも特に倭迹迹日百襲姫命と五十狭芹彦命について注目したい。
倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)は、讃岐国の開祖伸と言われている女神様です。
巨大な呪術的な力を持ち、一説によると邪馬台国の女王であった「卑弥呼」と伝わっています。
第7代孝霊(こうれい)天皇の皇女で、予知能力で謀反者を見破り、未然に謀反を防いだり、疫病に苦しむ人々を救ったりしました。
多くの勲功を挙げたため、その功績から「百襲(ももそ)」と言う名前を貰ったそうです。

五十狭芹彦命は、別名を吉備津彦命(きびつひこのみこと)と言われています。吉備津彦命と言えば昔話で誰もが知っている「桃太郎」のモデルになった人物ですね。
岡山県に鎮座する吉備津神社の神様と同一神であり、倭迹迹日百襲姫命の弟にあたります。

田村神社では、桃太郎一行と一緒に倭迹迹日百襲姫命の銅像が立てられている。姉弟が指差す方向には、一体何があるのだろうか。
香川県は、岡山県と共に謎多い桃太郎伝説が残る土地。桃太郎ゆかりの地を巡ってみるのも楽しそうですね。
深淵に棲むと言われる龍神伝説

田村神社には、実に興味深い龍神伝説が残されています。
それは奥殿の地下10m程にある「深い淵」に龍神様が棲んでいると言われている。残念ながら誰もその深い淵を見ることはできません。
なぜならば、その淵を見た物は、恐ろしい祟りが起きるからだ。
「祟り?そんなの迷信では」と思っているならば気を付けて下さいね。
実際に見てしまった人の話をすると、江戸時代に田村神社の改築工事をしていた武村斉庵(たけむらさいあん)という人が、「淵を見たい」と当時の宮司に何度も頼み込み、最終的に淵を見せることになったそうです。
すると、淵の中から龍が赤い舌を巻きながら頭を出して斉庵を人睨み、斉庵は気分が悪くなりその日の晩に亡くなりました。
他にも逸話はありますが、今では、龍神様が棲む淵に近付けるのは宮司のみであり、掃除や神事の際に入るだけになっています。
間違っても近づくことがないよう注意しましょう。
金運上昇のパワースポット、巨大な龍神様へ小判を奉納

田村神社の境内を歩いていると、色々ビックリするような銅像などに出会いますが、特に一番目立つのは、高さ5.7mもある巨大な龍神様だろう。
今にも天上へ昇るような雰囲気を感じられる。特にこの龍神様の手や足元に注目して見ると、大小様々な小判があふれているではないですか。
私なんて見ているだけで、何だか金運が上昇してしまうお姿に思わず「ありがたや、ありがたや」と呟いてしまいました。(笑)


一説では「小判を龍神様に奉納する者、必ず長者になる」と言われています。
そのため多くの参拝者は、龍神様に小判を奉納し、金運・運気アップを祈願していました。天高く昇って行く龍神様に願いを叶えてもらいませんか。

初穂料は小判600円、大判1,000円です。裏に名前を書いて、龍神様へ奉納しよう。
【パワースポットの紹介】
旅を続けていると、様々なパワースポットを訪れますので、下記記事で紹介します。
境内には水神様がいっぱい、龍神パワーで癒されよう

先ほど紹介した巨大な龍神様以外にも境内には、たくさんの龍神様が見て取れます。そもそも田村神社で信仰が始ったのは、土地柄の問題に深く根差しているという。
ほぼ毎年ニュースに流れていますが、香川県では雨が少なく、降ったとしてもすぐ海に流れてしまうため、昔から水不足に悩まされてきました。
田村神社周辺は、比較的地下水が豊富であり、稲作の中心となった土地柄。そのため、「水神様」を祀る自然崇拝が始ったと言われています。

それでは、どのような龍神様と出会えるのか、その一部を紹介。こちらの龍神様は、口を大きく開けており、雄叫びをあげているのだろうな。それでも怒気のような雰囲気は感じられないぞ。
近くで龍神様の造形をじっくりと見物してみよう。


また、井戸へ進入して別の井戸から現れる龍神様がいるぞ。このような芸の細かさは面白い。
それに周囲を豊かな自然に囲まれた境内には、マイナスイオンがいっぱい。まさに水神様のパワーが満ちている。
そのような境内だからこそ、ゆっくりと散策して下さいね。そして龍神探しに勤しんでいると、いつの間にか心身の癒しを図れます。
家庭円満・夫婦和合のご利益がある「さぬき七福神」

田村神社では「さぬき七福神」を祀っています。その中でもこちらの黄金に輝く大きな布袋様はインパクト抜群だ。
見るからにご利益を感じられるぞ。夫婦そろってお参りすると、末永く良い夫婦でいられるという言い伝えがあるそうな。
この大きな布袋様の前には、「福」の文字を記した大きな袋の像があるではないですか。

実は、この袋は一般的に「堪忍袋」といわれているぞ。度量の大きさや広さを表しているそうです。
まさに夫婦生活に必要な心の余裕を与えてくれるのではないだろうか。
布袋様のご利益は、「家庭円満」「夫婦和合」「子宝」「良縁」「財運金運向上」など幅広いのも嬉しい限り。たとえおひとり様でも大丈夫なので、参拝して良縁などをお願いしよう。
恋愛パワーを感じる縁結びの神様「姫の宮」

先ほどご紹介した倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)と言う女神様。その女神さまのパワーを感じられるスポットがこちらの「姫の宮(ひめのみや)」です。
小さなお社ですが、知る人ぞ知る強力な恋愛パワーを放っています。
心を込めて祈願すれば、そのパワーにあやかり恋愛に関する願いを叶えてくれるだろう。恋愛成就したい人は、ぜひ参拝するのを忘れずに。
また、お社の裏には鍵をかけて願いと一緒に奉納する「鍵箱」を見つけました。決して解けることの無い恋愛を祈願してみませんか。
【恋愛スポットの紹介】
「姫の宮」のような恋愛スポットを下記記事で紹介します。
安産の象徴「安産子宝犬」

犬は、子供を多く産むことから安産を象徴する動物です。その安産のシンボルとして境内には「安産子宝犬」がいます。
そもそも犬は、約2~5万年ほど前から人間と共同生活するようになったそうな。それだけ、私たちにとっては身近な存在ですね。
それに私たちの暮らしを守る役目を担っている。なので、福犬は安産の願いだけでなく、生まれてくる子供たちの健やかな成長を願う意味もあります。
こちらの安産子宝犬の周りを囲っている石には、干支が刻まれている。なので、自分の干支を撫でて、子宝や安産、子供の無事成長をお祈りしましょう。
子授け・安産のご利益がある「はらみ石」

境内には、安産子宝犬以外にも子授け・安産のご利益がある「はらみ石」があります。子宝に恵まれようと、男女の性器を型取った石像ですね。
昔は、夫婦に子宝が授からないのは一家の大問題であり、特に武家社会において世継ぎが出来なければ、お家取潰しに陥ることもあったそうですよ。
そのため、自然と「性器」への信仰も篤かったのではないでしょうかね。
尚、ご利益の効果は高いそうで、参拝者の中には子宝に恵まれた人もいると言われています。
千本鳥居には、興味を引くものがいっぱい

朱色の鳥居がトンネル状に連なる光景は、神秘的で美しいですね。
いわゆる「千本鳥居」といわれるもので、この千本鳥居をお目当てに神社へ参拝に訪れる人も少なくないと思います。
田村神社にも美しい千本鳥居があり、中を歩いていると、突然道の真ん中に大きな獅子の頭が現れるので驚くだろう。
その獅子の頭は、参道を歩くいてくる参拝者に対して睨みつけているように感じるぞ。なので、インパクト抜群だ。
この獅子は「さぬき獅子」と呼ばれており、香川県の伝統芸能である讃岐獅子舞に用います。見た目とは裏腹に乾漆で作っているため軽くて丈夫なんだとか。
面白いのは、激しく舞い踊るさぬき獅子独特の力強さを表現するために、耳の中に小石を入れ、首を振ると音が鳴る仕組みですよ。
実際に舞っている姿を想像すると、テンションが上がってきました。(笑)

こちらは「祓への輪」にも注目。石柱の中に回せる輪があるのを見て取れる。
この輪を回すと悪いことを祓ってくれるそうな。


更に鳥居の奥へ歩いて行くと、三本足のカラスを発見。
これは、神武天皇が熊野から大和へ向かう道中で道に迷ってしまった時、突然天上から現れ、道案内をしたと言われる「八咫烏(ヤタガラス)」ですね。
都市伝説好きの人であれば「八咫烏」と聞いて、真っ先に世界を裏で牛耳っていると噂される組織「イルミナティ」の日本版を思い浮かべるかも。
そうでなくても、日本サッカー協会のシンボルマークとして良く知られています。

その他にも「干支の組曲」と記された石を見つけました。
表面には「干支には干支の音がり、あなたの干支の音を鳴らし下さい。」と書かれています。
実は、境内には干支の像が散らばっているぞ。自分の干支を探し出して音を鳴らしてみよう。どんな音色を奏でるのかお楽しみに。

千本鳥居を抜けた先で見つけたのは、こちらの昇り龍の鳥居です。見た目からしてカッコイイ!
左右対称に昇っていく二匹の龍神様を見ていると、何だか運気も上昇する気分になるから不思議です。
まるでテーマパークのような境内巡り

これまで紹介した見どころだけでもお腹いっぱいなのですが、まだまだ沢山あります。こちらの弁財天様には、人によってはのどから手に入れたいお願いを叶えてくれるという。
そもそも弁財天様といえば七福神の紅一点であり、水に関わる神様ですね。財運や芸事達、学業に関わるご利益を授けてくれる女神様ということで人気が高い。
こちら弁財天様は、別名で「顔洗い弁天」と呼ばれているそうな。その名の通り、水をかけてお参りすれば、より美しさを得られるといいます。

また、弁財天様の隣りに積み重なっているカエルの像にも注目しよう。このカエルは「六福かえる」と呼ばれています。
このカエルたちには、以下のような福を呼び込む力があるのだから、カエルだからといって侮れないぞ。
六福かえる
- 幸福かえる(しあわせ祈願)
- 円福かえる(家内円満祈願)
- 金福かえる(金運招福祈願)
- 寿福かえる(健康長寿祈願)
- 開福かえる(開運厄除祈願)
- 安福かえる(交通安全祈願)
どうですか、凄いでしょう。良く見てみると、愛嬌を感じるかな。


また、大きなシャモジや樹木の化石(木化石)がありました。木化石は、古代の樹木が何かしらの原因で土砂などに埋もれ、化石化したものです。
遠くから見たら化石化しているとは、全く気が付がつきませんね。

おっ、何やら石が吊るされているではないですか。こちらの石は「一打万福」と呼ばれており、その名の通り、一回叩けば万回の福が訪れるという。
だからといって、叩き過ぎにないように。一回たたけば十分ですよ。大きくて多すぎる福は、かえって身をほろぼす危険性をはらんでいます。それが人の世の理ですね。

おや、今度は耳の大きな子供の像を発見。どうやら「ぐち聞きわらべ」というみたい。
頭をなでると大きなお耳で愚痴を聞いてくれるそうな。
王様の耳はロバの耳ではありませんが、ちょっとした愚痴をこぼしてみてはいかがかな。ストレスが溜まっている人は、少しはすっきりするかも。

子供たちに囲まれた布袋様もいます。実に幸せそうだ。
色々な事情で生まれてくることが出来なかった水子達が、布袋様に育てられたそうな。まるで様々な境遇の女性の心身に寄り添っているように感じるぞ。そんな布袋様の眼差しが素敵です。

境内には、布袋様が多いような気がしますが、きちんと七福神はそろっているのでご安心して下さいね。


また境内には、「海軍少年飛行兵の碑」が建てられており、その隣りには、日本の戦闘機「零戦」のプロペラがあるぞ。
祖国を守るために戦った予科練海軍飛行兵たちのご冥福をお祈りします。
それにしても境内には、見どころが沢山あるため、時間が経つのを忘れてしまう。なぜこのような多くの見どころがあるのか不思議ですね。
おそらくただ神社にお詣りするだけでなく、神社をより身近に感じて欲しいと言う思いが込められているのだと思いました。
【神社仏閣の紹介】
旅先で訪れた神社仏閣の境内を歩いていると、興味深い物や珍しい物を発見したりしますね。下記記事では、そんな神社仏閣を紹介します。
日曜のみ営業しているうどん屋

香川県といえば、まず始めに「うどん」を思い浮かべる人も多いでしょう。
香川県で暮らす人々にとっては、うどんを日常的な食べ物であり、うどん文化が深く根づいています。うどんの消費量や生産量は全国で1位というのだから、うどん県の名は伊達ではありません。
田村神社の敷地内には、日曜日だけ営業している「日曜市うどん」があります。
私が訪れた日は平日だったため、営業しておらず残念。
聞くところによると、自家製のイリコ風味の出汁が、シコシコ麺と絶妙にマッチしているとか。食べてみたかったな。仕方がないので、次回訪れた時の楽しみに取っておきます。
それにしても神社で食べられるうどん屋とは、ご利益がありそうですね。
日曜市うどん
営業時間 日曜6:00~13:00(麺がなくなり次第終了)
メニュー かけうどん200円(サイドメニュー:天ぷら100円~)
田村神社の基本情報とアクセス
住所 | 香川県高松市一宮町286 |
電話番号 | 087-885-1541 |
【アクセス】
- 琴平線一宮駅より徒歩で約10分
- ことでんバスに乗って「一宮」バス停で下車後、徒歩で約1分
- JR高松駅よりタクシーで約20分
- 高松西ICより車で約10分
- 高松中央ICより車で約15分
田村神社の駐車場
田村神社の表参道と裏参道の両方には、大型駐車場があり、参拝者は無料で利用できます。
まとめ

田村神社は、まるで「神様のテーマパーク」といって差し支えないほど楽しい時間を過ごせます。
しかし、余りにも見どころが多いため、ついつい足が止まってしまい、境内散策が遅々として進まないかも。そのため、参拝時間に余裕を持っておきたいですね。
天高く昇って行く龍神様を始め、境内には多くの龍神様がいます。また、さぬき七福神や姫の宮、安産子宝犬、はらみ石、千本鳥居など足を運びたい場所は目白押し。
香川県高松市へ訪れた際には、ぜひ田村神社へ参拝してみてはいかがですか。