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旅の体験談

滋賀県の石山寺へ観光、源氏物語が誕生した紫式部ゆかりの景勝地

石山寺の東大門

源氏物語のくわしい話は知らなくても、名前を聞いたことがある方は多いでしょう。

源氏物語は、平安時代中期に紫式部により書かれた世界最古の長編小説です。この小説を書き始めた場所が、滋賀県にある「石山寺」ですね。

石山寺には、天然記念物「硅灰石(けいかいせき)」を始め、国宝の本堂や多宝塔、くぐり岩など見どころが盛り沢山。近江八景の1つ「石山の秋月」に描かれる月見亭もあります。

また、花の寺とも呼ばれており、四季折々の花を観賞できる豊かな自然も素晴らしい。

本記事では、古くから人々に親しまれている「石山寺」の見どころを紹介します。

本記事は、以下に該当する人向けです。

  • 石山寺の見どころを知りたい
  • 神社仏閣巡りに興味がある

湖国の古刹「石山寺」とは

石山寺の参道
石山寺の参道

石山寺(いしやまでら)は、747年(天平19年)に良弁僧正(ろうべんそうじょう)が聖武天皇の命により創建したお寺です。

琵琶湖から流れ出る瀬田川のほとりに位置し、昔も今も多くの人々に親しまれており、奈良時代から観音の聖地とされていました。

平安時代には、三観音として京都の清水寺、奈良の長谷寺と共に、多くの貴族の信仰を集めたそうです。山号は石光山。宗派は東寺真言宗。ご本尊は如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)ですね。

西国三十三所第十三番札所にもなっており、天下の名勝として知られています。

こちらが、境内のマップです。

石山寺のマップ
石山寺のマップ

広々とした境内は、散策するだけでも楽しい。所要時間は、1時間から1時間30分ほどかかりますね。

境内には、春になると約600本もの桜が伽藍山(がらんやま)を彩り、その他にも梅・ツツジ・花菖蒲・紅葉など四季折々の綺麗な花が咲き誇ります。

特に3つの梅園では、約40種類400本の梅を楽しめるという。紅葉の名所として知られており、秋にはライトアップが行われる。

私が訪れた日は、ちょうど桜シーズンでしたので、多くの参拝客が花見を楽しみながら、思い思いの一時を過ごされていました。

それでは、境内の様子をダイジェストで紹介。

石山寺の風景(その1)
石山寺の風景(その2)
石山寺の風景(その3)

美しい庭園や滝、苔などの風景が見て取れます。

庭園
庭園
滝
苔

境内の様子から見て分かるように、昔から都(京都)から近い景勝地として「石山詣(いしやまもうで)」が盛んだったそうです。

そのため、紫式部を始め、多くの文人たちがインスピレーションを受けたのも納得ですね。俳聖・松尾芭蕉も度々訪れ数多くの俳句を残したとか。更に島崎藤村も逗留しており、ここでの暮らしぶりを「茶丈記」に記しています。

石山寺を見て回りながら、文人たちの足跡を追う楽しみ方ができますね。

2015年(平成27年)に日本夜景遺産に認定されており、2015年(平成27年)4月24日には、「琵琶湖とその水辺景観 祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財として日本遺産に認定されています。

【見所①】石山の由来にもなっている天然記念物「硅灰石」

硅灰石
硅灰石

参道を歩き、本堂を目指して歩いていくと、波しぶきを思わせるような不思議な形をした巨石群が突如現れました。

実は、この巨石群は、石山の由来にもなっている天然記念物「硅灰石(けいかいせき)」です。聞くところによると、石灰岩が地中から突出した花崗岩に接触した際、その熱作用により変質したものなんだとか。

これほどの規模のものは、大変珍しく貴重なもの。天然記念物に指定されるのも頷けます。硅灰石が織りなす鮮やかなコントラストは、実に素晴らしい。まさにここでしか見られない景色でしょう。

硅灰石の眺め
硅灰石の眺め 奥に見えるのは多宝等

目線を硅灰石の奥へ向けると、小高い丘の上には、国宝・多宝塔が見えますよ。その景色は、まるで水墨画の世界に入ったかのような感覚に捕らわれることも。この風景こそが、石山寺の象徴です。

ちなみに石山寺は、標高239mの伽藍山(がらんやま)の一部を境内にしています。なので、硅灰石が突出した「石の山」に創建されたお寺だから「石山寺」なんですね。

多宝塔の近くから、眼下から眺めた硅灰石の景色がこちら。

硅灰石の眺め

うん、このアングルも見応えがある。また、階段を下りながら硅灰石に触れる程度まで近づいてみて下さい。

硅灰石の眺め

至るどころでお賽銭が見て取れますよ。たしかに、これだけの珍しい巨石群ならば、パワーを授かりたい気持ちが良くわかります。

【巨石・奇岩・奇峰の紹介】

硅灰石のような巨石をみると、その迫力に驚きますね。下記記事では、そんな巨石・奇岩・奇峰を紹介します。

【見所②】国宝の本堂と源氏の間

本堂
本堂

石山寺の本堂は、内陣は平安時代中期の建立し、外陣(礼堂)は桃山時代に淀殿の寄進により増築されました。

礼堂は、硅灰石の岩盤にせり出して建つ、京都の清水寺の本堂と同じ「懸造り(かけづくり)」ですね。1つの本堂に、2つの時代の様式が混在しているのは、非常に珍しい。

本堂
本堂
懸造り
懸造り

滋賀県最古の木造建築物であり、本堂内陣には、如意輪観世音菩薩が祀られています。この菩薩様は、日本で唯一の勅封(ちょくふう)秘仏ですよ。勅封とは勅命(天皇の命令)によって封印された状態のことをいい、仏像としては石山寺のご本尊のみなんだとか。

33年に1度と天皇即位の翌年にのみ御開帳されるので、機会があれば是非、ご尊顔を見てみたい。人生100年時代と言われますが、長い人生でもチャンスは2~3回しかありません。次回の御開帳は2047年ですよ。

開封式の法要では、勅使(天皇からの使い)立ち会いのもと厳粛に扉が開かれるそうです。尚、如意輪観世音菩薩は、安産・福徳・縁結びの観音様として信仰を集めています。

源氏の間
源氏の間

本堂相の間の東端には、紫式部が源氏物語を書き始めたと伝わる「源氏の間」がありますね。彼女は、1004年に中宮から「新しい物語を読みたい」との要望を受けたそうで、物語を作るために7日間の参籠(さんろう)を行ないました。

参籠とは

お堂に籠もり夜通し祈願すること。

石山寺から琵琶湖の湖面に映える月を眺めると、その日は中秋の名月。すると、失意のうちに都を離れた貴公子が、宮中での遊びを恋しく思う場面が思い浮かんだという。それに着想を得て、「須磨」の巻の「今夜は十五夜なりけり」と書き始めたといわれています。

「源氏の間」には、紫式部の人形が置かれており、ブロガーである私は一心に紫式部の文才パワーを授かるよう願った次第です。(必死!)

また、境内には、紫式部の像がありますので、是非足を運んでみて下さい。

紫式部の像
紫式部の像

紫式部以外にも、「蜻蛉日記」で知られる藤原道綱母や、「更級日記」の菅原孝標女など名だたる女流文学者が石山詣をしています。

【見所③】源頼朝によって寄進された東大門と多宝塔

東大門
東大門

石山寺の入口には、源頼朝により寄進されて建てられた重要文化財「東大門(ひがしだいもん)」があります。けれど、この山門は焼失しており、桃山時代に淀殿によって修理されたそうです。

東大門の眺め

厳かな立派な山門は、フォトスポットとしても素晴らしく、多くの参拝客が記念撮影を取っていましたね。私も御多分に漏れず、バシバシ写真を撮りますよ。ちなみに私が使っているカメラ(SONYのRX100M7)のレビューはここをクリックしてね。

山門の両脇には、迫力ある仁王像が見て取れます。

仁王像(その1)
仁王像(その1)
仁王像(その2)
仁王像(その2)

これらの仁王像は、鎌倉時代を代表する仏師運慶、湛慶の作なんだとか。仁王像へ挨拶をして、山門をくぐり抜けましょう。

参道を歩き、本堂へ向かう階段を上りきると御神木がありました。また、先ほど紹介した「硅灰石」が突如現れ、驚きますよ。

御神木
御神木

硅灰石の奥に見えるのは、1194年(建久5年)に建立された日本最古の多宝塔です。こちらも東大門と同じく源頼朝によって寄進されたという。国の重要文化財にして国宝になっています。

多宝塔
多宝塔

うん、均整のとれた優美な佇まいが素晴らしい。実は、この多宝塔は、和歌山・金剛三昧院と大阪・慈眼院にある多宝塔とともに日本三名塔に数えられているのです。

上層は、下層の半分以下に細められており、美しく広がる屋根の景観が良く似合っている。日本一美しい多宝塔と呼ばれるのも納得です。過去には、4円切手のデザインにもなりました。

【見所④】パワースポット「くぐり岩」と比良明神影向石

くぐり岩
くぐり岩

参道には、「くぐり岩」と呼ばれるパワースポットがありますよ。

このくぐり岩は、奈良時代からある聖域なんだとか。天然の胎内くぐりができるものであり、自然の大理石でできている。岩の前にある池には、大きな鯉が優雅に泳いでいますね。

大理石といえば、白亜の輝きを放っている石を思い描く方が多いでしょう。けれど、このくぐり岩は、見た目からお世辞にも大理石には見えないかも。

しかし、このくぐり岩をくぐり抜けると、願い事が叶うといわれています。そうとなれば、私がチャレンジしない訳がありません。(笑)

立入禁止

しかし、この日は「立入禁止」。大理石じゃないと思ってしまった罰でしょうか。(シクシク)

くぐり岩の直ぐ近くには、比良明神影向石(ひらみょうじんようごうせき)があります。

比良明神影向石
比良明神影向石

ここが、良弁僧正(ろうべんそうじょう)が近江の地主・比良明神に出会った場所だそうですね。良弁僧正は、岩に座って釣りをして最中の老人(姿を変えた比良明神)と出会い、この地が蔵王権現のお告げの場所と知らされました。

老人が座っていた石は、今でも神様が降臨する場所として、大切に守られています。

【見所⑤】近江八景の1つ「石山の秋月」に描かれた月見亭と芭蕉庵

月見亭
月見亭

先ほど紹介した多宝塔から東へ歩くと、近江八景の1つ「石山の秋月」の図に描かれた月見亭へ辿り着きます。残念ながら、月見亭の中へは入れません。

月見亭の内部
月見亭の内部

きっと紫式部を始め、多くの文人たちが、この月見亭から名月を楽しんだのでしょう。

石山寺では、毎年中秋の名月に「秋月祭」が開催されており、多くの人々が訪れるという。眼下に見える瀬田川には、きっと綺麗に輝く月が映し出されると思います。

尚、月見亭の近くから眺めた瀬田川がこちら。

月見亭付近からの眺め
月見亭付近からの眺め

桜シーズンには、桜並木が見て取れますよ。

月見亭の隣りには、松尾芭蕉が仮住まいしたという茶室「芭蕉庵」がありました。多くの句を残しており、その中には「石山の石にたばしるあられかな」の句がありますね。

芭蕉庵
芭蕉庵

ただし、現在の茶室は、1883年に建立したものなので、松尾芭蕉が実際に滞在していたものとは違います。けれど、芭蕉ゆかりの地には違いありませんので、俳句ファンならば必見ですね。

腰掛石に座って、安産を祈願してみませんか

腰掛石
腰掛石

境内には、県下最古の校倉造(あぜくらづくり)の経蔵があります。

この経蔵の足元をよく見て下さい。すると、岩盤の上に座布団が置かれているのが目に留まりますね。実は、この場所は「安産の腰掛石」と呼ばれており、そこに座れば安産になるといわれています。

合わせて「朗澄大徳ゆかりの庭園」と「紫式部の泉」へ訪れてみよう

朗澄大徳ゆかりの庭園
朗澄大徳ゆかりの庭園

石山寺の隣りには、石山寺の経典や聖教の収集と整備などに尽力した朗澄(ろうちょく)大師を記念して造られた「朗澄大徳ゆかりの庭園」があります。

この庭園の中央には、鬼の彫刻がある。うん、目力が凄く強い。小さな子供が夜に見れば泣きだすかも。

鬼の彫刻
鬼の彫刻

この鬼の彫刻は、朗澄大師の死後、鬼となって石山寺の経典や聖教を守っているという。その強い意思が伺い知れますね。

また、石山寺から北へ約10分ほど歩けば、蛍谷公園へ辿り着きます。園内には、「紫式部の泉」と呼ばれるモニュメントがある。

紫式部の泉
紫式部の泉

このモニュメントは、6面のレリーフがはめ込まれており、3つの絵が「源氏物語絵巻」の場面を描いています。

モニュメント 源氏物語絵巻
モニュメント 源氏物語絵巻

石山寺へ訪れる際、合わせて訪れてみると面白いですよ。

石山寺の基本情報とアクセス

住所滋賀県大津市石山寺1-1-1
電話番号077-537-0013
拝観時間8:00~16:30 (入山16:00まで)

本堂内陣の拝観時間 9:00~16:00
拝観料一般(中学生以上)600円(500円)
中学生 600円(350円)
小学生 250円(200円)
※30名以上で団体割引きあり、( )内の料金は割引き後の金額
本堂内陣の拝観料一般(中学生以上)500円(400円)
小学生 250円
※30名以上で団体割引きあり、( )内の料金は割引き後の金額

【アクセス】

  • JR石山駅から徒歩約13分
  • JR石山駅の京阪バス1番乗り場から2、4、50、52、53、54、55系統に乗り、「石山寺山門前」で下車後、徒歩約2分
  • 名神高速道路「京都南IC」から車で約25分

石山寺の駐車場

石山寺から徒歩約1分のところに有料(乗用車1回600円)の「石山寺観光駐車場」があります。

また、意外と知られていませんが、石山寺境内の参道沿いには、無料駐車場(車 約27台)がありますね。利用してみては如何でしょうか。

まとめ

かえるの置物

石山寺は、古くから多くの人々に親しまれてきた名勝です。季節ごとの花が咲き誇る「花の寺」であり、広々とした境内には、桜や梅、紅葉などが見て取れます。

また、紫式部により源氏物語が誕生した地でもあり、紫式部以外にも数多くの文人がインスピレーションを受けてきました。

天然記念物「硅灰石」や国宝の本堂・多宝塔など多くの見所がありますので、時間の許す限り、ゆっくり見て回りましょう。



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この記事を書いた人

年齢:40代。
職業:旅人兼ブロガー。

私にとって自転車旅が一番の楽しみであり、知らない土地、景色、一期一会の出会いなど様々な体験をしました。当ブログでは、自転車旅などを通じて体験した事や訪れた絶景・観光スポットについて紹介します。また、自転車全般に役立つ情報を発信しています。

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