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旅の体験談

別子銅山の観光で足を運びたい、マイントピア別子周辺の産業遺産

旧端出場水力発電所

あなたは産業遺産に興味がありますか。産業遺産とは、かつてその地域に根付いていた産業の姿を今に伝える遺物・遺構・遺跡ですね。

愛媛県新居浜市には、かつて日本三大銅山に数えられていた別子銅山の跡地があり、今もなお多くの産業遺産を残しています。

その跡地は大きく分けて端出場(はでば)地区と東平(とうなる)地区に分かれ、端出場地区の採掘場跡地には、テーマパーク「マイントピア別子」が整備されました。

マイントピア別子の徒歩圏内には、旧端出場水力発電所や第四通洞、四通橋など産業遺産が目白押し。見学しないなんてもったいないです。

また、マイントピア別子の本館へ入ると、別子銅山で採掘された鉱石などが展示されてます。展示された鉱石の中には、度肝を抜くものもありますよ。(後で紹介しますね。)

本記事では、マイントピア別子の周辺にある別子銅山の産業遺産を紹介します。

本記事は、以下に該当する人向けです。

  • 産業遺産に興味がある
  • 別子銅山に関係する産業遺産について知りたい

別子銅山・端出場地区にあるマイントピア別子と産業遺産の紹介

マイントピア別子
マイントピア別子

別子銅山(べっしどうざん)は、愛媛県新居浜市の山麓部にあった銅山です。

1690年に銅山が発見されてから一貫して住友系列が経営を行ないました。1973年の閉山までには、実に70万トンも産出したといわれています。

マイントピア別子の園内の様子
園内の様子

マイントピア別子の本館がある場所は、かつて東平地区にあった別子銅山の採鉱本部が移転された場所ですよ。1930年(昭和5年)から1973年(昭和48年)の閉山まで使用されました。

マイントピア別子では、観光坑道と呼ばれる場所で銅山の歴史を学んだり、当時の作業を体験できます。

砂金採り体験の案内

更に砂金採り体験ができたり、様々な年齢の子供が遊べる「あかがねキッズパーク」もありますね。また、別子鉱泉を利用した温泉があるので、温泉好きには堪らないでしょう。

ご当地メニューを味わえるレストランもあるため、1日中遊べる鉱山テーマパークとして、家族や友人同士、カップルで楽しめます。

芝生広場
芝生広場

そんなマイントピア別子ですが、園内や周辺には採鉱本部時代からの産業遺産が数多く残されている。

日本に限っていえば、幕末や明治以降の産業化・近代化に関係した遺産が産業遺産になっていますね。

産業遺産を通じて、私たちの今の生活が様々な技術や労働、暮らしの積み重ねの上にあり、脈々と受け継がれていることを強く感じ取れます。

そのため、今後の自分の人生に対して、何かしらのメッセージを受け取れることもあるでしょう。

銅山で働く人の像

そのような機会を得るためにも、マイントピア別子へ足を運んだからには、ぜひ産業遺産を見て回ってみてはいかがでしょうか。

そこで、主な産業遺産を以下にまとめました。

マイントピア別子から徒歩圏内にある産業遺産
  • 旧端出場水力発電所
  • 第四通洞と四通橋
  • 端出場鉄橋と端出場隧道
  • 泉寿亭

これらは、マイントピア別子から徒歩圏内で見て回れる無料の産業遺産ですよ。

こちらの地図を見れば、マイントピア別子を中心にこれらの産業遺産が点在していることが良く分かりますね。

マイントピア別子の地図

それぞれの産業遺産についてくわしく説明します。

上記に挙げた産業遺産の他にも「端出場貯鉱庫跡・レンガ水路跡・大斜坑跡・遠登志橋」など多くの産業遺産が点在しています。

【産業遺産①】旧端出場水力発電所

旧端出場水力発電所
旧端出場水力発電所

旧端出場水力発電所は、愛媛県を代表する西洋建築の1つであり、マイントピア別子・本館のモデルになった建物です。

1912年(明治45年)に完成し、596mもある落差を利用して発電が行なわれていました。当時としては東洋一の落差といわれています。

2018年から進めていた耐震補強工事や周辺整備を終え、2023年3月28日より一般公開されました。

旧端出場水力発電所

別子銅山の近代化に大きく貢献した水力発電所であり、操業開始時の出力は3,000kWもあったそうです。これは、当時の日本国内では最大級ですよ。

その後、設備を増強して1923年(大正12年)には、最大4,500kWの出力まで拡大しました。4,500kWといえば一般家庭の平均的な年間消費電力に匹敵しますので、その凄まじさがよく分かります。

赤レンガ造り

旧端出場水力発電所の外観は、イギリス積みの赤レンガ造り。今から100年以上も前に建てられたものなのですが、レンガの壁には傷やヒビなどがほとんど見られません。

当時建設や運用に関わった人たちが、どれだけ丁寧な仕事をしていたのか伺い知れますね。

エントランスは、大きな欠円アーチ窓が特徴的でレンガ造りの建物によく似合っている。

エントランス
旧端出場水力発電所

それにしても全体的に美しい。それでは中へ入って見学しますよ。

館内には、ドイツのシーメンス社製発電機、フォイト社製のペルトン水車などが当時の姿のまま残されていました。

旧端出場水力発電所の館内
発動機
設備

1階には、実際に使われていた様々な発電機や装置などが並べられており、このような機械類を見るのは個人的に大好きですね。なのでテンションが上がり、見学にも熱が入ります。(笑)

展示品の一部を紹介すると、こちらは回転変流機。

回転変流機
回転変流機

1929年(昭和4年)に製作されたもので、交流を直流に変換する機械です。坑内電車や削岩機などの直流電源として使用されました。

こちらは、第二水車発電機です。

第二水車発電機
第二水車発電機

発電機はドイツのシーメンス・シュッケルト社製で、水車はフォイト社で製造されたベントン式水車。

完成度が非常に高く、設立当初の物を補修しながら、今だに使われている発電所もあるそうですね。

この第二水車発電機も原形のまま1912年(明治45年)から1970年(昭和45年)までの59年間使用されました。

また、建屋上部にはクレーンが設置されてますよ。

クレーン
クレーン

別子鉱業所は1912年(明治45年)3月に最初の手動起重機を四阪島へ納入していることから、その頃から設置されているみたい。

床下にはガラス張りになっている箇所もあり、歯車が見て取れる。うん、こういう演出は好きですね。

床下に見える歯車

好きといえば、こちらのクリスタルにも注目して下さい。

でんきの礎
でんきの礎

なんでも電気学会から「でんきの礎」の1つとして功績を称え授与されたものなんだとか。

個人的にクリスタルと聞くと、FF(ファイナルファンタジー)を連想してしまいます。(笑)

2階は各資料の展示室や映像が流れていました。明治・大正・昭和と3つの時代で別子銅山事業の電気を生み続けてきた歴史を知ることができます。

資料の展示室

操業当時の資料も惜しみなく公開されているので、お見逃しなく。

日本の近代化を支え続けてきた自負がさせるものなのか、発動機など多くの設備から風格を感じますよ。ぜひ現地に足を運び、別子銅山の歴史を感じ取ってみてはいかがでしょうか。

旧端出場水力発電所

  • 開館時間 9:00~17:00
    • 冬季(12月~春休み中)は、10:00~17:00
  • 休館日 2月第3週の月曜日から5日間
  • 入館料 無料

【産業遺産②】第四通洞と四通橋

第四通洞
第四通洞

第四通洞は、1915年(大正4年)に完成した全高2.71m、幅3.7m、長さ約4,600mもある坑道です。

別子銅山が閉山されるまでの間、坑内運搬の大動脈でした。その後も何度か坑道の長さが延長され、第四通洞と探鉱通洞が連絡したことにより、全長約10,000mの大通洞になったそうです。

10,000mなんてイメージが難しい距離間ですね。確か東京・大阪間が約550kmだったはず。その2倍弱と考えれば分かりやすいですよ。

ちなみに通洞口に見える「第四通洞」の題字は、住友家15代家長友純(ともいと)の筆だそうです。

洞内は立入禁止のため、入ることはできませんが、鉄格子の隙間から中を見ることができます。

第四通洞の中の様子
第四通洞の中の様子

この第四通洞の手前には、足谷川が流れており、そこには第四通洞と接続していたトラス橋が架かっている。それが四通橋ですね。

四通橋
四通橋

こちらが説明板に掲載されていた当時の様子。なるほど、こんな風に使われていたのか。

第四通洞と接続していた四通橋

四通橋は1919年(大正12年)に開通しました。今は見るからに渡るのは危険なので、当然立入禁止です。

四通橋の様子

この橋の隣りには、歩行用の橋が架けられているので、そちらを渡って移動しましょう。

【産業遺産③】端出場鉄橋と端出場隧道

端出場鉄橋
端出場鉄橋

端出場鉄橋は、鉱山の運搬の近代化を図るため1893年(明治26年)に架けられました。

ドイツから輸入したピンを用いて組み立てられたプレファブ橋で、当時は九州鉄道などで大量に輸入されたそうです。

けれど、現在では国内に数基しか残っていない貴重な橋ですよ。真っ赤に塗装されたうえ、左右非対称の構造物なので、ともて目を引きます。

有料となりますが、本館2階の端出場駅から鉱山鉄道「別子1号」が運行している。当時実際に使用されていた鉱山鉄道を通過して、観光坑道へ向かいます。

別子1号
別子1号

道中は、レンガ造りのトンネルをくぐったり、渓谷を見渡せながら端出場鉄橋をゆったりと走っていく。このトンネルが端出場隧道です。

端出場隧道
端出場隧道

馬蹄形断面のレンガ積みのトンネルで全長92.55m、幅員は3m。鉄道開通時に建設されたものであり、今も現役で使用しています。

それにしても、端出場鉄橋を渡る「別子1号」の姿は実に絵になる風景ですよ。シャッターチャンスをお見逃しなく。

【カメラに関する話】

絶景スポットや珍しい景色を目の当たりにすると、自然にカメラで撮影したくなりますね。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。

【産業遺産④】泉寿亭

泉寿亭
泉寿亭

泉寿亭(せんじゅてい)は、1937年(昭和12年)に開坑250年記念に建てられた京風数寄屋造りの純和風の建物です。

そもそも泉寿亭という名前は、住友家の屋号である泉屋を寿ぐという意味が込められている。それだけでも特別な建物であったことが伺い知れますね。

入口には、今治市の高名な書家・織田子青の筆による「別館 泉寿亭」の看板が見て取れます。

住友各企業の迎賓館として市内北新町に建築されたのですが、1991年(平成3年)に図書館の建設計画が持ち上がると、取り壊す運命に。

そんなおり、賓客用玄関と特別室がマイントピア別子に移築され今に至ります。

泉寿亭の室内
泉寿亭の室内(その2)

特別室は、賓客のみが宿泊を許された部屋。けれど今は自由に中を見学できる。

落ち着きのある上品な雰囲気を感じる部屋であり、この部屋で接待を受けていた当時の様子が垣間見えるでしょう。

別子銅山で採掘された鉱石の展示品

別子銅山で採掘された鉱石

本館には、別子銅山で採掘された様々な鉱石などが展示されています。

銅山というくらいなので、銅ばかり採掘されると思いがちですが、実際はそうではなくて金・銀なども採掘されていました。

大小様々な鉱石が展示されていますが、その中には特大サイズの鉱石もあり、絶対に目を見張るでしょう。

それがこちらの金剛石。大きさだけでも驚きますが、特に驚いたのは時価ですね。

金剛石
金剛石

今はどの程度な時価なのかは分かりませんが、2012年(平成24年)時点で2,642万円という。

とてつもなく高価な鉱石が、机の上に無造作にドンと展示されているのは、本当にビックリ!

まぁ、重さは約2トンもあるので、盗まれる心配はないかな。

説明板によれば、金の含有量が6.1kg、銀の含有量が2.3kgもあるそうですよ。高額になるのも納得です。

国内で発見された金鉱山では、最大規模のものであり、世界でも類をみない高品位を誇っています。

合わせて訪れたい、別子銅山・東平地区

東洋のマチュピチュの景色
東洋のマチュピチュの風景

マイントピア別子からは、別子銅山・東平地区へ向けて観光バスが運行しています。

東平地区は「東洋のマチュピチュ」と呼ばれ、300年前の銅山の空気感が今もなお残っている。ガイドさんの案内の下、緑深い山中に佇む産業遺産の数々を見て回りましょう。

独特の雰囲気をまとった、まるで古代遺跡のような産業遺産は必見ですよ。

くわしくは、下記関連記事で紹介します。

マイントピア別子の基本情報とアクセス

住所新居浜市立川町707-3
電話番号0897-43-1801
営業時間9:00~22:00
鉱山観光や別子温泉、あかがねキッズパークなど施設により、営業時間は異なる
入館料入館自体は無料、観光施設は有料

【アクセス】

  • JR新居浜駅からバスに乗って「マイントピア」で下車して直ぐ(バスの乗車時間は約20分)
  • 松山自動車道「新居浜IC」から車で約15分

マイントピア別子の駐車場

マイントピア別子には、無料駐車場があります。(普通車383台)

まとめ

別子銅山のジオラマ

マイントピア別子の園内や周辺には、今もなお別子銅山の産業遺産が数多く残されています。

そんな産業遺産群は、かつて日本の近代化を支えてきたのは歴史の知るところですね。それは、今の私たちの生活に脈々とつながっており、感謝に堪えません。

今はもう可動することなく、自然の中にたたずむだけですが、その姿を通じて何からしらのメッセージを受け取れると思います。

マイントピア別子を拠点にして、足を運んでみてはいかがでしょうか。



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この記事を書いた人

年齢:40代。
職業:旅人兼ブロガー。

私にとって自転車旅が一番の楽しみであり、知らない土地、景色、一期一会の出会いなど様々な体験をしました。当ブログでは、自転車旅などを通じて体験した事や訪れた絶景・観光スポットについて紹介します。また、自転車全般に役立つ情報を発信しています。

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