高知県東部に位置する室戸半島。その先端にある室戸岬は、ダイナミックな自然の景観や多彩な植物群落などが有名ですね。
この室戸半島を西から東へ向けて巡る「高知徳島旅」を3泊4日で行なう計画を立てると、電車で高知県の県庁所在地のある高知市へ向けてレッツゴー。
初日は、高知市を観光しながら香南市と安芸市を結ぶサイクリングロード「高知安芸自動車道」を駆け抜けました。
旅の道中では、定番の観光スポット「はりまや橋」や土佐一宮の「土佐神社」、迫力満点の手結港可動橋などへ足を運んだ次第です。
本記事では、自転車で高知市から安芸市へ向かった旅の様子をお届けします。
高知駅から旅立ち、からくり時計とはりまや橋を見物する
本日の旅のスタートは高知駅から始まります。いつものように電車輪行でやってきました。
輪行袋からロードバイクを取り出し、テキパキと組み立てを終えると急いで「はりまや橋」のもとへ向かいます。
はりまや橋といえば、高知県で定番の観光スポットですね。実は、この橋の近くには、からくり時計があり、9:00~21:00までの1時間おきに仕掛けが動き出す。
できれば見物していきたいですが、時計を見ると時刻は9時55分頃。う~む、これは微妙かも。信号待ち次第では、10時を過ぎてしまいかねません。
焦燥にかられましたが人通りの多い駅周辺では、自転車のスピードを出すことはできず、徐行しながら進みます。
はりまや通りを約800mほど南下すると、はりまや橋公園へ到着。そのタイミングで、隣接するビルにあるかくり時計が動き出しました。いや~、危なかった、何とか間に合いましたね。
このからくり時計では、高知の観光スポットを紹介する仕組みが組み込まれており、メロディーを奏でながら高知城や坂本龍馬が佇む桂浜、はりまや橋が登場します。
また、踊り子人形たちが、よさこいを躍るのもGood。実に面白いものを見れました。
その後、公園内にある「はりまや橋」をじっくり見物した次第です。
よく日本三大がっかりスポットとして揶揄される「はりまや橋」ですが、その移り変わりの歴史やこの橋に関わるエピソードを知ると面白いですよ。
朱塗りの小さな橋の前には、私以外にも約10人ほどの観光客がポーズを決めながら楽しそうに撮影しているのが印象的でしたね。
実は、この朱塗りの小さな橋は観光用であり、はりまや橋は4つ実在しているのです。全て見て回らなければもったいないので、4つのはりまや橋のもとへ足を運びました。
さて、はりまや橋の観光を終えると、高知市内には、一度見てみたかった沢田マンションがあるので、そちらへ向かいましょう。
尚、はりまや橋については、下記関連記事でくわしく紹介します。
沢田マンションを見てから土佐神社を目指す
国道55号線を東へ走り、途中から江の口川へ向けて北上。
江の口川の中には、東経133度33分33秒、北緯33度33分33秒という同じ数字が12個もならぶユニークな地点があり、その通りには「地球33番地」という愛称がつけられています。
このように「経度・緯度の度、分、秒」の同じ数字が12個も並ぶ地点は、世界中にある陸上を見渡しても10ヶ所しかないほど珍しい。
地球33番地通りを駆け抜け、一文橋を渡った後もそのまま北上を続けると薊野北町へ到着。
そして、ついに沢田マンションとご対面。日本の九龍城とも軍艦島とも評されているほど有名なマンションですね。
専門職でない一般人の夫婦が、独力独学で建設した5階建ての鉄筋コンクリート製のマンションというのですから驚きです。
昔、その話を知った時に一度見てみたいと思っていました。実際に目の当たりすると、思ったものと違って、普通のマンションに見えます。
しかし、これを独学で建てたかと思うと、たしかに凄いかも。一般の方も見学できるそうですが、時間との兼ね合いで今回は外観を見るだけにとどめました。
その後は、土佐北街道(県道249号)を東へ進み、北本町領石線(県道384号)へ合流。そのまま道なりに進むと、「土佐國一ノ宮」と記された社号標の大きな岩を発見。
その北側には、修復工事中の桜門が見て取れます。今しばらく工事は続きそう。これはこれで貴重な場面に出くわしたと、工事中の桜門をしばらく見学した後で、土佐神社へ向かいました。
土佐神社は、高知県を代表する神社であり、パワースポットとしても有名。
日本書紀や土佐国風土記にも記述が残り、古くから土佐国の総鎮守として崇敬されてきた土佐国一宮です。歴代の土佐国を治めた領主からの信仰が篤かったそうな。
現在の社殿は、戦国武将の長宗我部元親(ちょうそかべ もとちか)が寄進して再建されたもので、拝殿・幣殿・本殿が十字に配置されている「入りトンボ様式」という珍しい配置が特徴的です。
境内には、自然豊かな森があり、「志那祢(しなね)の森」と呼ばれている。土佐神社の中でも、特に大自然のパワーを感じ取れる場所なので、ゆっくり歩こう。
背の高い木々に囲まれており、幽玄のような雰囲気を感じるぞ。
この森の中には、御神木を始め、古代に祭祀が行われていた「礫石(つぶていし)」や祓いの神様を祀っている「禊岩(みそぎいわ)」など見どころが多く楽しめました。
土佐神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
海浜緑地「ヤ・シィパーク」へ向かう道中にて
高知市街地から離れると、田畑や山を見渡せるのどかな風景が広がります。
やはり、こういう景色の中を走ると心が落ち着きますね。
県道251号線を南下して国分川を渡ると、東にある高知空港の方角へ向けて方向転換を行なう。すると、いつしか南国市へ入っていました。
田村高須線(県道243号)をひたすら東へ向けて進んでいると、住宅の中には、鯉のぼりと共に桃太郎を描いた大きな旗を見かけるぞ。
この辺りでは、桃太郎と何かゆかりがあるのだろうか。
気になったので後日調べてみると、どうやら子供の健やかな成長を願って、鯉のぼりと一緒にフラフと呼ばれる大きな旗を飾るのが、高知県で古くから伝わる風習なんだそうだ。
なるほど、だから桃太郎なのか。たしかに青空に下、風に舞う桃太郎の姿は勇壮で、その姿を見ていると、不思議と力が湧いてきますね。
ちなみに、フラフの絵柄には、桃太郎以外にも金太郎、那須与一など色々あるそうですよ。
高知空港線(県道13号)へ合流して南下すると、直ぐに高知空港前へ到着。特に用事がある訳ではないですが、空港は飛行機が離着陸する場所なので、ワクワクしますね。
飛行機が見られるかなと思いながら、高知空港線をゆっくり走っていると、左手側にたくさんの牛がいるのを見かけビックリ。思わず「うぉ~!」と声が出てしまいました。(笑)
どうやらこの牛(土佐あか牛)たちは、高知大学農学部のキャンパス内で放牧されているようです。まさか、空港前に放牧地があったとは知らなかったので、嬉しいサプライズでしたね。
ということで、しらばくの間、牛たちがのんびり散策しながら草を食べる様子を眺めて過ごす。
その後、物部川に架かる物部川大橋を渡り、香南市へ突入。
春野赤岡線(県道14号)を進み、南国ムード漂う公園「ヤ・シィパーク」まで一気に駆け抜けようと思っている最中、とあるお地蔵様の横を横切ると・・・
「何だ今のお地蔵様は?」と気になり、ブレーキをかけて自転車を停めることに。
そして、お地蔵様を観察に向かいました。
これは、白粉をしたお地蔵様ですね。案内板によると、旅人の幸せと子供の安全を願って建てられた「化粧地蔵」というのだそうな。
このお地蔵様を見て、島根の玉造温泉街にある清巌寺のおしろい地蔵様を思い出しましたね。(おしろい地蔵様については、こちらの記事で紹介。)
土佐東街道(国道55号)へ合流すると、あっという間にヤ・シィパークへ到着しました。
【カメラに関する話】
自転車旅では、カメラ撮影する機会が多いです。そこで下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
手結港可動橋のもとへ急げ!
ヤ・シィパークは、高知県内で一番の規模の海水浴場を持つ複合施設です。
「道の駅やす」が隣接しており、地元の特産品やレストラン、カフェなどがあります。また、ヤシィパークへ直結の夜須駅があるので、電車輪行するのに便利といえる。
おっ、駐車場に坂本龍馬の像を発見。やはり、彼は高知の英雄なので、高知県では見かける頻度が多いですね。
芝生広場には、遊具や津波避難タワーが見て取れる。また、太平洋を眺めながら、海岸沿いの遊歩道を歩くのは、気持ちが良い。
お腹も減っていたので、園内にあるお店でランチを食べながらまったりとくつろいでいると、突然頭の中で手結港可動橋のことを思い出す。
慌ててタブレットを取り出して、次に橋が開閉する時刻を調べると14:30ではないですか。今の時刻は14:22。今なら橋が開く瞬間にギリギリ間に合うかも知れない。
ということで、自転車を駐輪しておいた場所へ向かった後、自転車に乗って急いで手結港可動橋へ向かいました。
自転車のペダルを回しグングンとスピードを上げる。橋のかかる手結港(ていこう)までは約750mほど。
手結港可動橋前へ到着するとほぼ同時に「カン、カン、カン!」と警音が鳴り響く。
あっ、これは橋が開くんだなと思い、急いで隣接する展望台を駆け上ると、ちょうど橋が持ち上がる瞬間に間に合いましたね。
いや~、ギリギリでしたが結果オーライでしょう。良かった、良かった。
手結港可動橋が完全に開いた状態がこちら。
全長約32mの橋が天高くそびえ立つ姿は、まるで道路に突き刺さっているように見える。迫力満点なその姿は、一見の価値ありですね。これは、良いものが見れました。
手結港可動橋は、船の通航のために決まった時刻に1日6回だけ開閉されます。
また、この可動橋の奥には、古い石積みが残る美しい手結港(手結内港)の景観も素晴らしい。実は、手結内港は、日本最古の堀込港といわれています。
手結港可動橋ともどもじっくり見物すると、来た道を引き返し、「道の駅やす」へ戻りました。
【珍しい橋の紹介】
旅先で訪れた珍しい橋を、下記記事で紹介します。
サイクリングロードを走り安芸市へ向かう
「道の駅やす」からは、高知安芸自転車道を進み安芸市へ向かいます。
高知安芸自動車道は、土佐電気鉄道・安芸線の廃線跡の一部を整備して造られたサイクリングロードですね。
土佐東街道(国道55号)を走った方が、早く安芸市へ辿り付きますが、別に急ぐ必要はないので、サイクリングロードでのんびりと走るぞ。
「道の駅やす」の東端にて、自転車道の入口を発見。そのまま道なりに進みます。
高知安芸自転車道は、ほぼ平坦路のため、初心者にも走りやすいコースですね。
また、国道55号線と並行して走る区間もある。国道の沿岸にはコンビニがあったので、必要に応じて立ち寄るのに便利だろう。
おっ、これはお遍路さんの休憩所ではないですか。高知安芸自動車道は、お遍路さんが使うコースでもあるので、こういう施設があっても不思議ではありません。
そういえば、本日はお遍路さんを一人も見かけなかったかな。珍しいことだ。この時はそう思っていたのですが、明日以降、結構な頻度でお遍路さんと出会うことになります。
道中には、ごめん・なはり線と併設する区間があるので、駅へ向かえば、途中から電車でエスケープできる。もちろん、そんなことはしないけど。
「道の駅やす」から約6kmほど進むと、琴ヶ浜へ到着。美しい松林と砂浜が約4kmほど広がっているため、高知安芸自動車道の中でも爽快感が抜群だ。
トイレや自販機が完備しているので、休憩スポットとしておすすめ。展望台もあるので、そこから太平洋の景色を眺めて過ごしました。
その後、先へ進むと通行止め。ナンテコッタイ、仕方がない迂回路へ向かうよ~。
迂回路を使い自転車道に戻りしばらくすると、またしても通行止めではないですか。いったいどういうことなの?
どうやら工事の終わる令和7年3月末まで通行できないみたいです。
結局、約1kmほど迂回したかな。迂回路の至るどころには、案内があったのはとても親切だと思いました。
実際、案内がなくても国道55号線へ出れば安芸市へ向かえるので、個人的には大した問題でありませんが、ここまで自転車道を走ってきたのだから、最後まで走りたい。
ということで、迂回路の案内に従い道を進むと、国道55号線へ合流。どうやら横断歩道を渡って、奥に見える赤野休憩所へ向かうようです。
赤野休憩所では、地中海で見られるような建物が太平洋をバックにして建っているのが印象的。また、琴ヶ浜を一望できるので、フォトスポットとしても素晴らしいですよ。
敷地内には、高知安芸自動車道へ降りるスロープがある。道幅が狭くなっているので、自転車は降りて通行するのが安全ですね。
高知安芸自動車道へ戻り、海岸線を道なり走っていると、お洒落な建物が見えてきた。周辺には、ベンチや椅子が海に向かって並べられています。
一目見て、夕日の鑑賞に適した場所というのが分かるぞ。調べてみると、「夕日見の丘」という一棟貸し切りの天然温泉付きプライベートヴィラでした。
Googleマップで確認すると、位置的に御殿ノ鼻ですよ。大小様々な岩礁が群集となっている景勝地ですね。
しばらくその景色を堪能した後で、先へ進むとまたしても通行止めへ遭遇。今度は工事現場を数メートルよけた程度だったので、迂回した感覚なし。
その後、道なりに進むと、右手側に安芸漁港が見えてきました。ここまで来たならば自転車道の終点まで後少しです。
そして、ついてにゴールのカリヨン広場へ到着。お疲れさまでした。自分自身を褒めて労います。(笑)
さて、本日のお宿のある安芸市街へ向かいましょう。
尚、高知安芸自動車道の見どころについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
安芸市のシンボル「野良時計」を見物
カリヨン広場から北へ約150m進むと、安芸ドームが見えてきました。
ドーム前には、球場ボール君という、しましまのユニホームを着たボール頭の人形を掲げている。それを見て、阪神タイガースのキャンプ地であることを思い出しましたね。
2023年に阪神タイガースが日本一となりましたが、安芸市内でも市民が大いに興奮して、タイガースの勝利に酔いしれたそうです。
そんな阪神タイガースと縁のある安芸市のシンボルといえば、野良時計でしょう。
早速、野良時計のある場所へ向かうことに。安芸ドームから北東へ進み、チクタク通り(県道213号)へ合流。
そのまま道なりに進むと、野良時計が見えてきました。擬洋風の時計台がある独特の外観が実に見栄えがありますね。
野良時計は、家ごとに時計のなかった明治20年頃、農作業をする人のために畠中源馬氏が時計を組み立てる技術を身につけて、歯車から分銅まで全て手づくりで作り上げた時計台です。
この建物の周辺で農作業をしていると、遠くからでも時間を知ることできるため、昔から多くの人々に親しまれてきました。
今は技術者不在のため、常時動いているわけではないという。なるほど、だから時計の針が今の時刻と合っていなかったのですね。
最後に野良時計をバックに愛車と記念撮影した後で、宿泊予定のホテルへ向かい、本日の旅は終わりを告げました。
【自転車旅に役立つアイテムの紹介】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
まとめ
1日中、晴天に恵まれたので、自転車のペダルを回す足取りも軽やかに感じましたね。それにタイミングに恵まれた1日だったともいえます。
はりまや橋近くにある「からくり時計」が動き出した瞬間に立ち会えたり、手結港可動橋が開閉する瞬間に到着するなどラッキーな展開が多くて自分でもびっくりです。
また、サイクリングロード「高知安芸自動車道」をゆっくり走り、風景を楽しみながらのんびりと安芸市へ向かえたのも良かったですね。
明日はよいよ室戸岬へ向かうので楽しみ。しかし、夜に宿泊先のホテルで見たテレビの天気予報では、室戸半島に雨雲が近づくそうだ。
さて、一体どんな旅になることやら・・・・。