岡山県のサイクリングロードの一つには「片鉄ロマン街道」と呼ばれている道があります。
この片鉄ロマン街道は、ノスタルジックな雰囲気に懐かしさを感じる事ができる人気抜群の名コースです。
特に桜や紅葉の季節に走ると大きな感動を得るでしょう。
本記事では、サイクリングしながら片鉄ロマン街道の雰囲気とその魅力を紹介します。
片鉄ロマン街道の成り立ち
かつて岡山県備前市の片上駅から久米郡柵原町（現美咲町）の柵原駅にかけて1本の鉄道が運行していました。
その鉄道の名は「片上鉄道」と言います。
この鉄道は、柵原鉱山で産出される硫化鉄鉱を瀬戸内海に面した片上港まで輸送する目的で建設されたそうです。
片上鉄道の路線距離は約34kmあり、駅数は全部で17駅ありました。
鉱石の産出量が減少したことにより、1987年に鉱石の輸送が廃止された後、1991年7月に全線廃止となった歴史があります。
その後、旧片上鉄道跡を利用して全長34kmのサイクリングロードが整備され、2003年11月に開通しました。
そのサイクリングロードは「岡山県道703号備前柵原自転車道線」という正式名称がありますが、通称の「片鉄ロマン街道」の方が広く広まっており、今や知る人ぞ知るサイクリングの名コースです。
片鉄ロマン街道は、サイクリング、ジョギング、ウォーキングなどの人気が高いスポットになっているね。
片鉄ロマン街道には、駅舎、プラットフォームなど当時の面影が残っており、ノスタルジックな風景を楽しめるため、多くの人に親しまれています。
片鉄ロマン街道のアクセス
電車を利用して片鉄ロマン街道へ向かわれる場合は、JR西片上駅かJR和気駅で下車しましょう。
JR西片上駅からスタートすると、片鉄ロマン街道の起点からスタートできますが、約9km先にある和気駅からスタートしても、素晴らしい景観を楽しめます。
ちなみに、私は片鉄ロマン街道をサイクリングする時は、和気町からスタートすることが多いですね。
車で片鉄ロマン街道の起点がある備前市へ向かわれる場合は、備前市のサイクリングターミナルにある無料駐車場へ車を止めると便利。
このサイクリングターミナルは、片鉄ロマン街道に隣接しているため、サイクリングの起点にするのに持って来いですよ。
また、サイクリングターミナルでは、片鉄ロマン街道を走るにかぎり、無料でレンタサイクルを貸し出ししています。 （レンタサイクルは大人用18台、子供用9台）
サイクリングターミナルから南に約1kmぐらい行くと片鉄ロマン街道の起点があるよ。起点からこのターミナルまでは特に見どころがないため、起点によらず、このターミナルからそのまま片鉄ロマン街道を北上した方が良いかも。
備前市サイクリングターミナル
- 住所 岡山県備前市西片上1011-3
- 電話番号 0869-63-0271（サイクリングターミナル事務室）
- 定休日 月曜日、祝日の翌日
- 営業時間 9:00～17:00
- 【補足】ターミナルへ連絡が付かない場合は、0869-63-3813（備前市役所スポーツ振興係）へ電話して下さい。
古き良き鉄道の景色「片鉄ロマン街道」をゆく
和気町からスタート
岡山県和気郡和気町から片鉄ロマン街道をスタートします。
和気町からスタートする場合は、JR和気駅を起点にすれば、直ぐ近くに片鉄ロマン街道がつながっているため迷わないですね。
和気駅からスタートした場合、約1kmぐらい進むと片鉄ロマン街道の中でも特徴的な橋が見えてきます。
外観がオレンジ色に塗られており、白抜き文字で大きく「片鉄ロマン街道」と書かれていますね。
毎回この橋を見る度に「片鉄ロマン街道にやって来た！」と言う感じがしてテンションが跳ねあがります。（笑）
ここは抑えておきたいポイントですね。
気持ちの良い天気で、新緑がまぶしく、まさにサイクリング日和です。
桜の季節へ片鉄ロマン街道へ訪れれば、綺麗な桜を至るどころで眺めながら走ることができます。
ちなみに去年（2020年）に撮った写真がこちら。綺麗な桜並木ですね。
道なりに進んで行くと、木製の駅名標「ほんわけ」が見えてきました。
片鉄ロマン街道を走ると、昔使われていた駅名標が次から次へと表れてきますね。
この駅名標を探しながら進むのも楽しいかも知れません。
片上鉄道の全ての駅名標は、残っていないよ。
片鉄ロマン街道は、昔鉄道が走っていた面影が至るどころに残っているので、当時を知る人には懐かしいでしょう。
春に片鉄ロマン街道を走ると、自然にいろいろな花を発見してしまいます。
藤の花が綺麗ですね。
藤の香りの余韻に浸りながら道を進んで行くと、大きなドーム状の建物が見えてきました。
この建物は「和気ドーム」と呼ばれており、和気鵜飼谷交通公園内にある屋根付きの多目的グラウンドです。
和気ドームのグラウンド面積は4,200平方メートルあり、サッカー、フットサル、グラウンドゴルフなどを楽しめるよ。また、和気鵜飼谷交通公園にはゴーカート、電動カート、ミニSLなど子どもが喜ぶ乗り物が目白押しだね。
和気ドーム周辺には、日帰り入浴が出来る和気鵜飼谷温泉があり、スポーツを楽しんだ後、温泉でのんびりと過ごせます。
和気鵜飼谷温泉は宿泊もできるよ。ここで宿泊して片鉄ロマン街道の起点としてサイクリングを行なうのも楽しいかも。
この和気ドームの近くにも木製の駅名標があり、旧益原駅の名残りがありました。
また、片鉄ロマン街道のコースが分かる地図が大きな看板に掲載されており、片鉄ロマン街道を大々的にアピールしています。
吉井川を眺めながら旧天瀬駅、旧苦木駅へ向かう
和気ドームの前を通り過ぎてしばらく進むと、吉井川が見えてきました。
眼下から吉井川を眺めて見ると、巨大な建造物をお目にします。
この建造物は「新田原井堰」と呼ばれていて、個人的には巨大建築物を見ると気分が高揚しますね。（笑）
吉井川は、川の水量の変化が大きいため、用水不足や洪水被害を繰り返してきた歴史があるよ。そこで、かんばつや渇水被害の解消を図るため新田原井堰が建築されたね。
片鉄ロマン街道の周りの風景を眺めながら道を進んでいると、ノスタルジックな雰囲気に懐かしさを感じます。
私は一度も旧片上鉄道を利用したことはありませんが、それでもなぜか昔からこの道を知っていると感じるのです。
日本人のDNAがそうさせるのでしょうか。不思議な感覚ですね。
そのような感傷を抱いて進んでいると、木造の駅舎「旧天瀬駅」が見えてきました。
既に廃駅となっており、当時はこの駅で朝に客車列車と気動車の交換が行われていたそうです。
レトロな駅舎が周りの景色にマッチしており、今は休憩所として保存されています。
この駅の周りにも桜の木が植えられており、桜の季節には、綺麗な花を咲かせますね。
去年（2020年）撮った旧天瀬駅付近の桜の写真です。レトロな駅舎と桜の組合せが凄く良い雰囲気を醸し出しています。（喜）
旧天瀬駅前で少し休憩した後で、道なりに進んで行くと、大きな招き猫がお出迎えしてくれました。
招き猫だけでなく、亀の親子の石像もあります。（笑）
それにしても新緑が眩しく、気持ちの良いコースです。
片鉄ロマン街道を少し離れ、高台へ上りましょう。
高台を進んで行くと、ワンちゃんたちが気持ち良さそうに眠っている光景に思わず癒されます。
高台を下り、再び片鉄ロマン街道へ合流しました。
道なりに進んで行くと、「工事中」の看板が立てられており、通り抜けができません。
確か去年（2020年）の11月頃に紅葉の片鉄ロマン街道を走った時にも工事中だった記憶があります。
仕方がないので、迂回路を進みましょう。
個人的には、迂回路を進んで行くと、吉井川沿いを走ることになるため景色は非常にいいね。片鉄ロマン街道が離れて常に迂回路を走るのも有りだよ。
迂回路を使わずに真っすぐ片鉄ロマン街道を少し進めば駅名標「びぜんやた」があります。
去年（2020年）の春は通過できていたため、その時に写真を撮った 「びぜんやた」の駅名標がこちらです。
迂回路を進むと綺麗な吉井川へ合流します。この風景の切り替わりは大正解！
吉井川沿いを北上すると、再び片鉄ロマン街道へ合流したため、道なりに進みました。
すると、道の沿岸にある「にがき」と書かれた駅名標が見えてきたのです。
「にがき」と書かれた駅名標がある所から少し進むと、「旧苦木駅」の駅舎がありました。
先ほど小休止を入れた「旧天瀬駅」と同じく、当時の面影を残しています。
今の「旧苦木駅」は休憩所として保存されているよ。
この「旧苦木駅」も桜の時期には、周辺に綺麗な桜を見ることができますね。
去年（2020年）撮った旧苦木駅と桜の写真です。旧天瀬駅同様、レトロな駅舎と桜の組合せが凄く合っていますね。（喜）
【面白いオブジェや展示品の紹介】
片鉄ロマン街道で発見した招き猫や亀の像のように、サイクリングの道中には、道端に面白いオブジェや展示品を見かけたりしますね。下記記事では、そんなオブジェなどを紹介します。
綺麗な花を眺めながら旧備前福田駅へ
旧苦木駅まで到着すると、片鉄ロマン街道の起点からすでに約21kmぐらい進んでいることになり、ゴールまで残り13kmです。ゴールまで素晴らしい景観を楽しめます。
周辺に広がる山を見渡すと、新緑の季節らしく、緑のグラデーションに感嘆しました。
道の沿岸には、八重桜が咲いています。
綺麗ですね。
今度は藤棚を発見。
思わず見惚れてしまいます。
周りの風景を眺めながら進んでいると、いつの間にか「旧備前福田駅」へ到着しました。
備前福田駅は、片鉄ロマン街道の沿岸にある駅舎を模した休憩所です。
木の香りを感じられ、穏やかに過ごせますね。
私はここに来るたびに毎回思うのですが、休憩所の外観より近くにあるトイレの外観の方が立派に見えます。
初めて来たときは、トイレの方を備前福田駅だと勘違いする始末です。（笑）
【植物あれこれ】
サイクリングの道中に綺麗な花を眺めているとテンションが上がりますね。下記記事では、旅先で見かけた綺麗な花畑や珍しい巨木などを紹介します。
終点「柵原ふれあい鉱山公園」へ
再び吉井川沿いを走りましょう。
美咲町へ入ります。
片鉄ロマン街道では、至るどころに道順を示す標識が立てられていますね。
また、街道の上には「片鉄ロマン街道」を示すマークが描かれています。
サイクリストにとっては、美しい自然の中のサイクリングは至福の一時です。
後半戦は、吉井川沿いを進むことが多いですね。（個人的には、このコースを考えた人に感謝！）
道案内板は小さいので見逃さずに。
そろそろ終点が見えてきました。
柵原鉱山資料館の建物が見えてきたら終点です。
柵原鉱山資料館は、片鉄ロマン街道の終点である「柵原ふれあい鉱山公園」の敷地内に建っています。
柵原ふれあい鉱山公園は、旧片上鉄道の吉ケ原駅舎と操車場のあった場所に作られた公園だよ。
柵原ふれあい鉱山公園へ到着して無事ゴールを果たし、喜びもひとしおです。
尚、この公園の入口付近にある特徴的なとんがり屋根の駅舎がとても目立ちますね。
片鉄ロマン街道は、全てのサイクリストやサイクリスト以外の人にも十分に満喫できる素晴らしいサイクリングコースです。
【補足説明】西片上駅からスタートして和気駅まで
JR西片上駅から片鉄ロマン街道へ向かう場合は、約750mぐらい北上する必要があります。
片鉄ロマン街道の起点へ到着すると、道の沿岸には「起点」と書かれた看板がありますね。
ブルーラインが引かれている道を進みましょう。
起点から約1kmほど進むと、備前市のサイクリングターミナルへ到着します。
サイクリングターミナルでは、トイレ休憩もできますので、必要に応じて立ち寄ると良いですね。
しばらく道なりに進んでいると、「峠清水トンネル」が表れます。
トンネルをくぐり抜けて、北上を続けて行けば、JR和気駅へ到着します。
まとめ
片鉄ロマン街道は、かつて運行していた片上鉄道の景色を堪能しながら走れる名コースです。
ノスタルジックな雰囲気に懐かしさを感じる感覚が堪りません。
アップダウンもそれほどないため、とても走りやすいです。
サイクリングの初心者からベテランまで、全ての人を包み込む懐の広さも魅力の一つです。
是非、岡山県備前市又は和気町へ訪ねる機会がありましたら、片鉄ロマン街道のサイクリングをおすすめします。
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自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
