岡山県岡山市足守地区は、かつて木下家2万5千石の陣屋町として栄えていたことを知っていますか。
足守地区では、現代においても当時の面影を色濃く残す町並みが残っています。
また、旧足守藩主の大名庭園「近水園」(おみずえん)も残っており、散策を楽しめる癒しスポットです。
本記事では、足守地区にある近水園と町並み保存地区を訪れて、古き時代の町並みをお伝えします。
近水園とは
近水園は、岡山県内で日本三大庭園の一つである後楽園や津山市にある衆楽園と並ぶ大名庭園です。
特に池泉回遊式庭園の好例として知られており、現在、公園として無料で一般公開されています。
近水園の池には、鶴島・亀島が配置されており、池面に乗り出すような形で数寄屋造りの吟風閣(ぎんぷうかく)が建っていますので、庭園を心ゆくまで眺められるようになっていますね。
また、紅葉の名所としても知られており、シーズンにはモミジやイチョウなど色彩りが美しいです。
島の名前には、「鶴・亀」が付いている事から想像できるように、長寿を象徴してるよ。
【公園の紹介】
近水園のように大名庭園から公園になって、誰もが訪れることができるのは素晴らしいことですね。旅を続けていると、様々な公園へ立ち寄りますので、下記記事で紹介します。
旧足守藩主の大名庭園「近水園」へ訪れる
足守地区の市街地へ入ったら、まずは近水園へ向かいましょう。
案内板に従い先へ進みます。
一本道なので、迷うことなく近水園の入口へ辿り着きました。
近水園の築庭時期は、18世紀初めと推定されています。
約5,500平方メートルの園地には、足守川から水を取り入れて池を設け、池の中には鶴島・亀島の2つの島を浮かせています。
足守川との境に竹薮をめぐらして、周囲との景観に調和をとっていますね。
1959年3月に岡山県指定名勝になりました。
池のほとりには、茶室風の建物「吟風閣」が建っています。
是非、吟風閣の中へ入って庭園を眺めて見て下さい。
かつて大名家が眺めた景色を堪能できます。
残念ながら、今はコロナの影響で吟風閣へ入れないよ。
切妻造りで作られた茅葺屋根が特徴的ですね。
吟風閣からの庭園の眺めは、宇野山の景色を庭園に取り入れ、周りの景観とマッチしています。
京都などの寺院の名園では、遠景を庭の構成要素としているものが多いですが、この近水園も同じ技法が使われているようです。
木下きん定が宝永5年(1708年)に幕府の命を受けて、京都へ赴いた際、持ち帰った残材をこの庭園に活用したそうなので、おそらく京都で訪れた庭園を参考にして作られたのではないでしょうか。
池に浮かぶ鶴島・亀島には石橋が架けられていて島へ渡ることができます。
そこから眺める吟風閣は品がありますね。
もう一つの島へ渡って見ましょう。
そこには、白樺派の歌人であった木下利玄の歌碑が立っていました。
旧足守藩主木下利恭の弟利永の二男であった木下利玄は、少年時代から和歌を習っていたそうです。
この歌碑には、「花ひらをひろけつかれしおとろへに牡丹おもたく萼(がく)をはなるる」と彫られています。
散策に疲れたら、周辺にあるベンチに座って休憩するか、吟風閣で一休みすると良いです。
近水園をゆっくりと散策して、かつて大名が過ごした光景に思いを馳せてみましょう。
足守の町並み保存地区を散策しよう
足守地区の街中は、陣屋町の面影を色濃く残す街並みです。
陣屋町とは城を持たない小藩の城下町のことを言います。
足守歴史ふれあい通りでは、当時の景色が見て取れますね。
閑静な通りを歩いていると、時間が止まったかのような感覚を味わえます。
旧足守藩木下家の藩祖は、豊臣秀吉の正室ねねの実兄だったそうです。
江戸時代の古い建物が残っており、千本格子や切子格子が好ましい状態で保存されているところが、足守の町並みの特徴ですね。
また、ナマコ壁の商家が多くあり、いまでも何軒かは商売を続けています。
文化的資料も多いため、岡山県の町並み保存地区に指定されました。
辺りを見渡しながら、街中の散策を続けます。
すると、「備中足守まちなみ館」がありました。
ここでは、観光ボランティアが在中するなど観光情報センターとしての役割を果たしています。
備中足守まちなみ館
- 住所 岡山県岡山市北区足守928
- 電話番号 086-295-2500
- 営業時間 9:00~16:30
- 定休日
- 月曜日(祝日の場合は直後の平日)
- 年末年始(12/29~1/3)
備中足守まちなみ館の近くには、「足守プラザ」がありますね。
このプラザでは、足守地区だけでなく吉備路観光や岡山観光の拠点としても親しまれています。
また、陶芸・木工芸などの体験ができる施設です。(有料で予約要)
足守プラザ
- 住所 岡山県岡山市北区足守979
- 電話番号 086-295-0001(足守プラザ)
- 営業時間 9:00~16:30(体験受付け時間=9:30~12:00、13:00~15:00)
- 定休日
- 月曜日(祝日の場合は翌日)
- 年末年始(12/29~1/3)
- 備考 レンタサイクルがあります。
こちらは駐在所です。町並みに合わせた外観がGoodですね。
足守プラザから少し南へ進むと街並み見学ができる通りが終わりました。
商家が建ち並ぶ、足守歴史ふれあい通りは、距離にして約550mぐらいです。
ゆっくり散策して見て周りましょう。
【古い町並みの紹介】
日本全国には、足守の町並み地区のように古い町並みを保存している地域が多々ありますので、下記記事で紹介します。
昔の醤油工場、藤田千年治邸を見学
町中を散策していると、旧足守商家の藤田千年治邸を発見しました。
この邸宅は江戸時代後期に建てられた後で、明治以降に今の豪壮な造りになったようです。
藤田千年治は、この辺りで醤油製造業を始めた創始者であり、代々の当主がその名を引き継いできた歴史があります。
邸宅内には、当時の醤油工場が再現されていました。
こちらは「搾り機(しぼりき)」と言います。槽(ふね)の中に搾り袋を重ね、テコの原理により醤油を搾り出す仕組みのようです。
それにしても大きな木の杭ですね。
天井には大きな歯車があり、ロープを巻き取って木の杭を動かすように見えました。
その他には様々な桶や樽などが並べられており、当時の足守商家の様子を伝える展示物が沢山あります。
中庭へ向かうと、米蔵を発見。
当時は、醤油製造を営むに当たり、米・麦・大豆など醤油の原料を収納していました。
尚、内部周囲を「とたん」張りにして、ねずみ対策を施しており、当時として非常に珍しい構造だったそうです。
米蔵の中へ入ってみると、当時使っていたと思われる様々な看板が保管されていました。
これらの看板に書かれている文字は残念ながら、私には達筆過ぎて一部読めない文字もありますね。
一体、一番右側の看板は何て書いてあるのでしょうか。
藤田千年治邸では、明治から昭和初期にかけての商家の雰囲気を味わえます。
藤田千年治邸
- 住所 岡山県岡山市北区足守916
- 電話番号 086-295-0005
- 営業時間 9:00~16:30
- 定休日 月曜日(祝日の場合翌日)、年末年始(12/29~1/3)
- 料金 無料
旧足守藩侍屋敷の見学
先ほど紹介しました近水園の近くには、旧足守藩の侍屋敷があります。
この侍屋敷は、白壁の長屋門と土塀に囲まれた、旧足守藩家老杉原家旧邸宅です。
当時の武家の生活様式を知る上でとても貴重な存在ですね。
侍屋敷の母屋は、伝統的な武家書院造の構造を持ち、今日の和風建築の原型とも言われているね。
屋敷の中を見て周りましょう。
個人的には、この部屋の雰囲気が非常に気に入りました。
部屋に飾られていた「鶴雲」額は、足守藩第10第藩主の木下利徳(きのしたとしのり)が直々に書かれたそうです。
この書から藩主の教養や学問の一端を知ることができる貴重な資料ですね。
また、鐘形の窓枠から覗く中庭の風景が印象に残りました。
こちらは「かまど」ですね。当時はこちらで調理していたことが見て取れます。
旧足守藩侍屋敷の雰囲気がとても素敵で、縁側でうたた寝をして過ごしてみたいですね。(笑)
旧足守藩侍屋敷
- 住所 岡山県岡山市北区足守752
- 電話番号 086-295-0983
- 営業時間 9:30~16:30
- 定休日 月曜日 (祝日の場合翌日)、年末年始(12/29~1/3)
- 料金 無料
近水園・足守の町並み保存地区の基本情報
近水園
住所 | 岡山県岡山市北区足守803 |
電話番号 | 086-295-0981(近水園) |
入園時間 | 9:30~16:30 |
定休日 | 月曜日(休日のときはその翌日)、祝日の翌日、年末年始(12/29~1/3) |
料金 | 無料 |
近水園や吟風閣などで研修会・会合などを催すことができます。
その場合は、管理事務所へお問い合わせ下さい。
足守の町並み保存地区
住所 | 岡山県岡山市北区足守979(足守プラザ) |
電話番号 | 086-295-1837(岡山市足守観光協会) 086-295-0001(足守プラザ) |
近水園・足守の町並み保存地区のアクセス
- JR足守駅から徒歩で約4km
- JR足守駅から大井行きバスに乗って「足守プラザ前」で下車してすぐ(乗車時間約8分)尚、近水園までは更に徒歩10分
- 総社ICから車で約12分
近水園・足守の町並み保存地区の駐車場
町並み保存地区内に観光用の無料駐車場があります。(普通車20台、バス3台)
まとめ
岡山県の観光地で大名庭園と言えば「後楽園」のイメージが強いですが、今回訪ねた近水園も負けてはいません。
後楽園から約20km離れた場所に近水園はありますので、両方の大名庭園を訪れてみるのも良いでしょう。
日本全国には、古い町並みを保存している地域がたくさんあり、いろいろと学ばさせて頂けます。
足守町並み保存地区では、当時の生活を垣間見ながら、かつての陣屋町をゆっくり見て周ってみては如何でしょうか。
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旅先で役立つ様々なアイテムやサービスを、下記記事で紹介します。