自転車のシートポストは、お尻をのせるサドルを支えるアイテムです。
シートピラーとも呼ばれており、サドルとともにこのアイテムがなければ、ずっと立ち漕ぎで走るはめに陥りますね。
サドルの高さを調節するためにもシートポストには、ある程度の長さが必要であり、自分にあった高さでポジション出しをしっかり行えば、スムーズなペダリングができるようになる。
また、軽量化や振動吸収性に役立つ効果があるので、自分にあったものを選びたい。それに比較的簡単に交換できるアイテムとして、自分好みにカスタムできるのも魅力的ですね。
本記事では、自転車のシートポストの効果と選び方について説明します。
シートポストの効果とは
ママチャリでは、壊れない限り自らシートポストを交換する機会は少ないでしょう。しかし、ロードバイクやクロスバイクでは、必要に応じてシートポストのカスタムを行います。
それは、シートポストの効果が、自転車で長時間走る際に影響がでてくるからですね。そこで、シートポストの主な効果を以下にまとめました。
- 軽量化
- 乗り心地の向上
- 見た目の変化
これらの効果は、サイクリストにとってどれも大事です。もともとロードバイクは、軽量化を重視して作られた自転車ですが、軽いシートポストを使えば、より軽量化ができる。
それは、急坂を上るヒルクライムに影響を与えます。また、シートポストは高い位置にあるため、軽くなることで自転車の重心が低くなり、ダンシング時に車体を振りやすくなる。
さらに、カーボンなど振動吸収性の高い素材のシートポストであれば、乗り心地の向上につながります。ただし、人によってはアルミとカーボンのシートポストを乗り比べた場合、乗り心地の違いがよく分からないと聞くこともあるので、過度な期待はしない方が良いかも知れません。
ちなみに私は、効果の違いを実感できました。これらの効果は、ロングライドや自転車旅で役立ちます。
さらにつけ加えると、自転車の見た目が変化することです。
シートポストは、むき出しの部分が長かったりするので、車体の雰囲気に与える影響は大きいですよ。なので、あえて色や形を変えたり、ロゴを見せるようにすることで、より自分好みにカスタマイズしよう。
デザイン性の良い自転車は、モチベーションを保つ秘訣になるでしょうし、所有欲を満たせます。そういう意味では、これも立派な効果ですね。
シートポストを選ぶポイント
各メーカーから様々なシートポストが販売されています。そのため、自分に合うシートポストはどのようなものが良いのか、見極めなければなりません。
なので、シートポストを選ぶときにポイントを押さえておきたい。そこで、選ぶポイントを以下にまとめました。
- シートポストの直径
- シートポストの長さ
- 素材の種類と重量
- 角度調節のしやすさ
- コスト
それぞれについて説明します。
【ポイント①】シートポストの直径
まず始めに確認すべきなのは、シートポストの直径です。所有する自転車のシートチューブの内径に合わなければ、使用できないのだから一番大事な確認ポイントですよ。
シートチューブの内径は、ノギスやメジャーで測れますが、ミリ単位の細かな計測はとても難しい。なので、メーカーの公式ホームページなどで仕様書を確認するのが確実ですね。その内径に合うシートポストを選ぶのが基本となります。
実は、自転車のシートポストの直径は基準が決まっていません。それでは、シートポストの直径は実際どのようなサイズがあるのでしょうか。
たとえば、25.4mm・27.2mm・28.6mm・30.8mm・30.9mm・31.6mmなどセンチ単位どころかミリ単位違いがあったりします。その中でも一般的に使われているのは、27.2mmと31.6mmが多いです。
ちなみに、直径が合わない時には、シムで隙間を埋めて使えるようにできますが、トラブルの原因になる箇所を増やしてしまうため、個人的にはおすすめしません。
自分の自転車にあうシートポストの直径がよく分からず不安を覚える方は、自転車ショップへ相談して対応しましょう。
【自転車のパーツ紹介】
自転車はシートポストを含め、数多くのパーツの集合体ですね。下記記事では、そのパーツの一部を紹介します。
【ポイント②】シートポストの長さ
シートポストの長さも直径と同じように最重要な確認箇所です。
長さは250~400mmの間でラインナップされていますが、最低でもシートチューブに入れなければならない長さ(最低挿入長)を確保していなければいけません。
これが短すぎると、フレームやシートポストが壊れる可能性があるので絶対に守りましょう。最低挿入長は、MINIMUM(ミニマム)又はMAX(マックス)などが表記されているので、一目で分かります。
たとえば、300mmのシートポストで、最低挿入長が100mmの場合、シートチューブからのはみ出しは200mmとなる。このことから、このシートポストを使用すると、サドルの高さは200mm以上の高さにはできなくなります。
実際、必要なシートポストの長さは、サドルの高さ合わせで決まってしまう。なので、サドルにまたがりポジション出しを行って下さい。ペダルの踏み具合などを確かめて決めるのが一番ですね。
もし軽量化目的でシートポストを交換するならば、不要な長さをカットする方法が使えます。シートポストの素材によって必要な工具が違ってくるので、工具がなかったり自分でカットする自信がなければ、自転車ショップに作業を依頼しましょう。
個人的には、今のサドル高さのポジション出しに不満を感じていないのであれば、同じ長さのシートポストを買うのをおすすめします。
【ポイント③】素材の種類と重量
シートポストに使わている素材は、主に以下のようなものがあります。
- クロモリ
- アルミ
- カーボン
- チタン
これらの中でよく使われるのが「アルミ」と「カーボン」の2つです。
アルミのシートポストは、300~400gほどのモデルが一般的で、安価なものが多いのがありがたい。材質の特性上、締め付けに強いのも魅力的ですね。そのため、頻繁にシートポストの高さ調整を行う方に向いています。実用性を重視して、気軽に自転車を使うのならばアルミ素材がよいですよ。
一方、カーボンのシートポストの重量は、一般的に100~200gと軽く、乗り心地がよい性質があります。ただし、アルミ素材と違って、締め付けすぎると壊れてしまう。扱いがデリケートなので、不用意に力が入らないようトルクレンチなど専用工具を使って締めましょう。自転車の軽量化を目指すならば、カーボン一択になります。
個人的には、クロモリのシートポストを使っている方を見かけたことがありませんが、アルミ以上に頑丈で重い性質。とくにこだわりがなければ、選択肢から外してもよいのではないでしょうかね。
チタンのシートポストは、高級感のあるデザインが実によい。素材の性質上、耐久性や耐食性に優れている。アルミやカーボンと比べると、重量が重くなるのがマイナスポイントですね。
実は私もチタンのシートポストを使用しようか色々検討していたので、いまだに憧れがあったりします。しかし、実用面を考えるとやはり「アルミ」か「カーボン」のどちらかを選ぶのが無難です。
【自転車のアイテム紹介】
シートポストには、テールライトやサドルバッグなどのアイテムを取り付ける人も多いでしょう。下記記事では、そんなアイテムを紹介します。
【ポイント④】角度調節のしやすさ
シートポストにサドルを取り付ける部分を「ヤグラ」と呼んでいます。このヤグラでは、サドルをボルト1本で止めるものと、2本で止めるものがある。サドルの前後の傾きを微調整するならば、2本のボルトを使用するものを選ぶのがおすすめですね。六角レンチで簡単に調整できます。
また、ヤグラとポスト両方に溝が刻まれているタイプがあり、溝の位置に合わせて角度調整ができますよ。尚、溝がないタイプもあり、この場合は無段階で調整できます。細かな角度調整により、お尻の痛みが解消されることもあるので、角度調節のしやすさは大切な要素ですね。
このヤグラの位置をよく確認してみると、シートポストの真上か、少し後ろにずれています。シートポストの軸に対して後ろにずれている後退幅を「オフセット」と呼んでいる。
オフセットが大きいほど、サドルを後ろへ取り付けられるため、ゆったりとした姿勢で乗りやすくなる。ロングライドで快適に楽しみたい方は、オフセットされたシートポストを選ぶのがよいでしょう。
反対に、シートポストの真上にヤグラがあるものは、オフセットがありません(ゼロオフセット)。自然にサドルが前方にセッティングされるため、ハンドルとの距離が縮まります。
前乗りして、スピードを重視するならばゼロオフセットがよいでしょう。また、ハンドルが少し遠くに感じている小柄な人にも向いていたりしますね。
【ポイント⑤】コスト
先ほど触れましたが、シートポストの素材はアルミかカーボンのモデルが主流です。
アルミ製であれば、1,000~3,000円ほどで手に入りますので、お財布に優しい。しかし、カーボン製のものは、アルミ製のものと比べて非常に高価。10,000~40,000円ほどかかります。
求める性能と予算に応じて選んでください。価格差がありすぎるので、リーズナブル志向の方は、アルミ製のシートポスト一択になります。
オフロードではサスペンション付きのシートポストも選択肢
シートポストの中には、スプリングが内蔵されているものがあります。
クッション性があるため、段差やオフロードでの衝撃を和らげるメリットがあるので、衝撃に悩んでいるならば、選択肢の一つにしたい。
通常のシートポストより、200gほど重量が重くなる。これはサスペンション付いているのだから仕方がありません。
それよりも、サドルが上下するため、踏み込む力が逃げてしまい、きれいなペダリングがしにくいのがデメリットです。メリットとデメリットを考えて上で選びましょう。
カーボンレールのサドルを使うときの注意事項
サドルのレールは、金属製とカーボン製のものがあります。カーボンレールを使うならば、シートポストはカーボンレールに対応しているものを選んでください。
カーボンレールは楕円形状が多いので、対応していなければ取り付けられません。(他の素材のレールは真円形状が多い。)
さらにサドルを挟む部分が狭く鋭いものは、カーボンレールに不向きですよ。なのでカーボンレールのサドルを取り付けるには、シートポスト側に色々な条件が発生します。無理に取り付けようとすると、レールの破断を引き起こす可能性がありますので、絶対にやめましょう。
まとめ
本記事では、自転車のシートポストの効果と選び方について説明しました。
最後にもう一度、シートポストを選ぶポイントを以下にまとめます。
- シートポストの直径
- シートポストの長さ
- 素材の種類と重量
- 角度調節のしやすさ
- コスト
これらのポイントを押さえて、自分にあったものを選びましょう。
シートポストは、自転車の乗り心地に影響を与えるアイテムです。素材によっては、価格の変動が大ききので、予算の範囲内においてよいものを選ぶと後悔が少ないですね。