「飛行機輪行」、この言葉を聞くと何だか夢が広がってきますね。
自転車旅で輪行する場合は、電車や新幹線だけでなく同じ公共交通機関である飛行機も利用できます。
飛行機を使えば、短時間で長距離を移動できるため、遠く離れた街や離島、日本国内だけに留まらず海外にも移動できる。
自転車旅の行動範囲が飛躍的に広がり、今まで経験した事のない体験を実現できる可能性が高まります。電車と比べて飛行機輪行は敷居が高いと思われがちですが、決してそんなことはありません。
本記事では、輪行時の航空会社の選び方と飛行機輪行の方法を説明します。
輪行ができる航空会社の選び方
何かと忙しく時間に追われる現代人にとって飛行機は、長距離を短時間で移動できる便利な乗り物です。
しっかり準備を整えれば、後は飛行機に自転車を載せて移動した後で、旅先で思いっきり楽しむだけ。旅の相棒(自転車)とともに大空を駆け抜けましょう。
飛行機を扱っている会社の区分は大きく分けて以下の3つ。
- 大手航空会社(ANA、JAL)
- LCC
- 中堅・地域航空会社
会社によってサービスや費用は異なりますので、自分に合った航空会社を利用しましょう。航空会社の選択により、飛行機輪行の難易度が変わってくる。
それぞれについて、くわしく説明しますので、自分にあった航空会社を選んで下さい。
飛行機輪行は電車と比較して、飛行機の搭乗に費用がかかるね。しかし、旅のトータルコストで考えた場合、費用を抑える事は可能だよ。
大手航空会社(ANA、JAL)
個人的にお勧めするのは、やはり国内大手航空会社のANA(全日空)とJAL(日本航空)の2つです。
係員のサービスは一貫して行き届いていますし、安心感が半端ないですね。
航空券には、以下の条件に該当していれば無料で手荷物を預けることができる。
- 手荷物の3辺(縦・横・高さ)の合計が203cm以下
- 手荷物の重量が20kg以下
JALでは、1辺が120cmを越えるとNG。ANAの規定には、1辺の最大値は特に記されていません。
また、737機材の場合では、1辺が100cmを越えるとアウトですね。
いずれにしても輪行を行なうために追加必要が発生しないのは、お得といえるでしょう。
【サイクルイベントへ参加】
宮古島や石垣島など離島でもサイクルイベントは開催されていますので、飛行機輪行で訪れて参加してみませんか。下記記事ではサイクルイベントについてお伝えします。
LCC
LCCはローコストキャリア(Low Cost Carrier)の略で、近年利用者が急増している航空会社です。LCCの魅力は何と言っても費用の安さにつきます。
しかし、渡航費と手荷物料金は別々であるため、輪行で自転車を運ぶ時は注意が必要かな。
自転車を預けると、大手航空会社と費用がほとんど変わらないケースもあるため、LCC会社の見極めは重要になります。
航空券を安く購入できる反面、他の部分でお金を稼いでいるところが多く、特に持ち込み荷物に関しては厳しい会社がほとんどです。
会社によっては、実際に荷物の重さを測りますので、各会社の規定を良く理解して利用しましょう。
中堅・地域航空会社
中堅・地域航空会社は、LCCのように徹底的なコスト削減をして渡航費を安くしているのではなくて、それほど渡航費は安くありません。
独自の視点からサービスを展開しており、サイクリストに優しいサービスを展開している会社もあります。
たとえば、フジドリームエアラインズ(FDA)では、「スポーツ用自転車搭載サービス」を行っている。自転車の梱包用のハードケースを無料で貸し出しています。
そのため、飛行機用の輪行袋を自分で購入する必要がありません。
また、大手航空会社と比べてサービス面の融通も劣るものではありませんので、安心できますね。
中堅・地域航空会社の一例を挙げると以下の航空会社があります。
- スカイマーク
- フジドリームエアラインズ(FDA)
- スターフライヤー
- ソラシドエア
大手航空会社とLCCの比較
大手航空会社とLCCの比較を下表にまとめました。それぞれの特徴を良く理解して航空会社を選んで下さい。
大手航空会社 | LCC | |
---|---|---|
費用(代金) | 高い | 驚くほど安い |
荷物 | 規定内なら無料 | 有料 |
路線 | 日本全国 | 地方は飛んでないケースが多い |
機内サービス | 飲み物やエンターテインメントが無料 | 飲み物は有料、エンターテインメントは無いところが多い |
座席の特徴 | 比較的広め | 狭い |
座席の選択 | 無料で選択可能 | 追加料金が発生 |
予約の変更・払い戻し | 予約確定後の変更・払い戻しは別途費用がかかる | 予約時に追加料金を払っていないと、予約の変更・払い戻しができない場合がある |
遅延率 | 低い | 高い |
飛行機輪行の準備
飛行機の輪行は、電車で輪行する時と同じく輪行袋に自転車を分解して入れるだけなので、基本的に同じ手順で行います。
ただし、電車輪行と違って以下の注意点に気を付けて下さい。
- タイヤの空気を抜いておく
- 緩衝材などでしっかり固定
一般的に飛行機(旅客機)の巡航高度は10,000mに定められています。
そのような高高度を移動するため、気圧の変化によりパンクしてしまう可能性があるので、事前にタイヤの空気を抜いておきましょう。
また、飛行機は上昇や下降、旋回などしながら空を移動します。
そのため、コンテナ内の自転車がぶつかったりした影響で、傷ができたり、変速機周りが曲がったり、いろいろなトラブルが発生する可能性があるため、しっかりと緩衝材で固定しましょう。
飛行機内に持ち込めない物
飛行機に持ち込めない物については、事前に航空会社の規則を確認して下さい。
基本的に機内へ持ち込みができない自転車用品は、以下になります。
- CO2ボンベ
- パンク修理材
- 充電式バッテリー
- 可燃性のある物(チェーンオイルなど)
- 凶器になる物(六角レンチなど)
CO2ボンベやパンク修理材の容量によっては、手荷物カウンターで預けられる。
JALでは、非引火性で1容器あたりの容量が「50mℓ」を越えない小型ガスシリンダーであれば、一人につき4個まで手荷物カウンターへ預けることが可能だ。
また、最近のEバイクは大型バッテリーを積んでいるため、飛行機輪行は難しいです。
リチウム電池の持ち込みは制限がかかっており、160Whを越える物に関しては、機内持ち込みや貨物室への預かりもできません。
当たり前ですが、可燃性のある物も機内持ち込みや貨物室への預かりはできないですね。
その他に六角レンチのように柄の長い物は凶器に該当する可能性があります。なので手荷物カウンターに預けてしまうのが無難です。
他に気になる物がある場合は、航空会社へ問い合わせてみよう。尚、法令により持ち込めない物は変わるよ。
飛行機輪行を行う当日の流れ(手順)
当日は、時間に余裕をもって空港へ訪れましょう。
預ける荷物は、保安員によるチェックが入るため、それなりに時間がかかります。休日は特に混雑するため、出発時間ギリギリではなくて、1時間以上余裕を持って行動したいですね。
当日の手順を簡単に表すと下記のようになります。
空港へ到着したら、まず始めに備え付けのカートを確保しましょう。カートが有ると無いでは快適さが異なるので。カートに輪行袋へ入れた自転車を載せてチェックインして下さい。
チェックイン完了後、手荷物カウンターで自転車を預けます。そして同意書にサイン。
尚、手荷物(自転車)を預けるコツは、「天地無用」と「手渡し希望」をしっかり伝えること。変速機が地面に干渉しないような置き方を指定しましょう。
目的地の空港へ着陸した後は、手荷物受取場へ出向いて手荷物(自転車)が運ばれてくるのを待って下さい。多くの場合は係員から直接手渡しされます。
その後、空港バスで最寄りの駅へ向かったり、自走したりして自転車旅を楽しみましょう。
自転車のボルトの緩みやどこか干渉していないか、変速機が曲がっていないか確かめてみよう。異音のチェックも重要だよ。
JALの輪行サービス「SBCN」の紹介
JALのパック等のツアーでは、「SBCN」と言うJAL独自のコンテナを利用できます。コンテナを利用する訳ですから、自分で輪行袋を用意する必要がありません。
SBCNは、「Smart Bicycle Container」の略。飛行機輪行専用に設計された大きな箱ですよ。
このサービスを利用するためには、SBCNに対応したパックツアーを事前に申し込む必要があります。
ツアーによっては、配送業者が自宅までSBCNを運び、その場で収納後、そのまま預けたりできることも。物凄く便利ですね。
SBCNの梱包手順はとても簡単。以下に手順を述べます。
- 前輪を外して自転車を箱に入れる。
- 必要に応じてサドル(シートポスト)を外す。
SBCNは、自転車とSBCNの接触部分に低反発素材のクッションを敷いています。
また、外装は複合プラスチック段ボールを使用しているため、極めて安全性が高い設計です。
更にSBCNの中には、ヘルメットやシューズ、サドルを専用に収納できるスペースがあり、自転車に必要な道具一式を収納できる。
飛行機輪行のために入りたり尽くせりのサービスであり、今後のサービス拡充に期待したいですね。
ツアーだけでなく、ツアー以外でも使えるようになれば、飛行機輪行に革命が起きるレベルのサービスかも。
飛行機用の輪行袋の紹介
各メーカーから飛行機専用の輪行袋が販売されています。
飛行機用の輪行袋には、ハードタイプやセミハードタイプの物がありますので、ソフトタイプの輪行袋に比べて頑丈であり、とても安心できる。
そこで、飛行機用の輪行袋のおすすめを紹介します。
オーストリッチ「OS500」
飛行機輪行で使用する定番の輪行袋です。
10mmの厚手ウレタンパッドが入っており、自転車を衝撃から守ります。
キャスターは付いていませんが、3つに折りたたむ事でコンパクトに収納できる優れ物です。
シーコン「エアロコンフォートプラス 3.0」
飛行機で移動の多い、プロご用達の輪行バックです。
バッグ表面には、高強度のナイロン素材と耐衝撃性の高い保護パッドで覆われている。また、ハンドルやサドルを保護するパッドも付属しています。
安全性が高く、キャスターが付いているため持ち運びが楽ですね。
KOWA(コーワ)「BTB輪行箱」
輪行袋ではなく海外や地方へ宅配便で送りたいといった声から作られた樹脂製の輪行箱です。
もちろん飛行機輪行もできますよ。プロチームからのノウハウがフィードバックされており、ハードケース並の強度があるため、安心感があります。
QBICLE (キュービクル)「バイクポーター PRO」
飛行機輪行や宅配輸送に利用できるハードタイプの輪行箱です。
折り畳み式なため、使用しないときはコンパクトに保管できる。耐久性に優れた丈夫なプラスティック段ボールを採用しているので、水濡れに強く何回でも使えます。
また、別売のキャスターを取り付けることが可能です。
まとめ
飛行機で輪行すると、旅の行動範囲が飛躍的に高まります。
航空会社によっては、自転車を手荷物として預けるルールが違っているので、事前によく確認するように。誰でも気軽に飛行機輪行はできますので、機会があれば是非試して下さい。
長距離を短時間で移動できる飛行機輪行の可能性は無限大であり、普段中々行けない離島や国外などがより身近な存在になる。
そうなれば、今までよりワンランク上の自転車旅を、漫喫できるようになれるでしょう。