
古くは聖徳太子や斉明天皇などの朝廷人が、道後温泉へ向かう際に船で上陸した港町・三津浜。かつては「三津」の名前で呼ばれていました。
その愛媛県松山市の三津浜地区に鎮座するのが、1400年以上の歴史を誇る「三津厳島神社(みついつくしまじんじゃ)」です。
流れるような書体が美しい通常の御朱印だけでも魅力的ですが、地域のアーティストと連携したアート御朱印を月替わりで授与できるという。また、境内には注連石や表忠碑など歴史的な石碑や、写真映えする花手水などもあり、見どころが多いです。
本記事では、古墳時代から三津を見守ってきた由緒ある古社・三津厳島神社を紹介します。
目次
三津厳島神社のご祭神・ご利益・所要時間

三津厳島神社の創建は古く、大和朝廷が栄えた600年代の崇峻天皇(すしゅんてんのう)の時代までさかのぼります。
九州に鎮座する宗像大社から宗像三女神を勧請したことで始まり、724年(神亀元年)に世界遺産で有名な安芸・厳島神社の神様を迎え入れ厳島神社となりました。
室町幕府の初代将軍・足利尊氏や伊予水軍の河野氏など数多くの時の権力者が参拝に訪れています。また、江戸時代には松山藩の庇護を受けて、参勤交代の際に藩内平和や道中安全、武運長久をお祈りしたそうです。
今では、金運や事業の成功を祈願する経営者やビジネスマンが多く参拝しており、人生の転機を迎える人々から篤い信仰を集めています。

ご祭神は宗像三女神なので、以下の通り。
- 市杵島姫命(いつきしまひめのみこと)
- 湍津姫命(たぎつひめのみこと)
- 田心姫命(たごりひめのみこと)
交通安全や厄除け、勝負事、子育て、家庭の安寧など様々なご利益を期待できます。厄年の方は、前厄・本厄・後厄の3年間続けて厄祓いを行う「厄除け三年祈祷」の受付けが可能ですよ。
所要時間は、ゆったりとした広さのある境内なので、ゆっくりと歩いて写真撮影を楽しむならば約30~40分ほど。拝殿での参拝だけならば、5分もあれば十分です。
【周辺の見どころ】
三津厳島神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
月ごとに変わる色鮮やかな御朱印

三津厳島神社では、通年いただける御朱印以外にも毎月変わるアート御朱印があります。基本的にその年限定デザインとなるため、毎年同じ月でもデザインが新しくなるとのこと。
つまり、その月に入手できなければ、過去のアート御朱印の入手は難しいですね。しかし、毎月新しいデザインになるので、御朱印集めをしている人にとっては、大変魅力的に映るでしょう。
その季節に合わせて作られるので、楽しみにして下さい。2026年5月のアート御朱印は、色彩豊かな魚が描かれていました。
mayutamagoさんによる作品だそうで、水の中をのびやかに泳ぐ魚たちを見ていると、ほっこりするかな。また、海から生命が誕生したということで、未来へつなげていく命のつながりを感じました。

こちらは、2026年4月のアート御朱印。4月といえば桜の季節です。桜色の空間に生き生きと自由に過ごす蝶々がいい感じ。見ているだけで、気持ちが前向きになりそう。こちらの作品は、松下侑生さんが手掛けました。

個人的に一番気に入ったのは、こちらの2026年3月のアート御朱印。どうですか、女性のミツと猫のハマが仲良く一緒にお詣りする姿が微笑ましいでしょ。陽光が降り注ぐ中、三津浜歩きを楽しむ様子が描かれています。
このような素敵な御朱印をコンプリートしたい人も多いだろうな。毎月どのようなデザインになるのか、公式ホームページなどでチェックしてみよう。

また、一粒万倍日限定の御朱印もあるのでお見逃しなく。一粒万倍日は、一粒の籾(もみ)が万倍にも実るとされる吉日。新しく何かを始めるのに最適な日ですよ。
気になる方は、ぜひ当日にゲットして下さいね。ちなみに、一粒万倍日限はおよそ6日に1回のペースで訪れます。(年間約56~64日)
アート御朱印や切り絵御朱印は、どう考えても手間暇がかかっているのが分かります。そのため、数量限定で書置きのみなのも納得です。
期間中でも人気のデザインは早期に終了するかも知れないので、確実に授与したのであれば、月初めに参拝するのをおすすめします。
「注連石」や「表忠碑」など歴史的な石碑にご注目

三津厳島神社へ訪れると、まず最初に目につくのが「注連石(しめいし)」です。
注連石とは、神社のような神聖な場所の入口に建てられた一対の石柱のこと。石柱間には、注連縄が張られていることが多いですね。
こちらの注連石は、神主であり書家であった松山出身の三輪田米山(みわだ べいざん)氏が揮毫しました。多数ある米山氏の石碑の中でも最大級の注連石なんだそうですよ。
表面には「年豊人楽(ねんぽうじんらく)」の文言が刻まれています。私のように初見では、達筆すぎる行書体で読めない人も多いのでは。(汗)
意味するところは、「実りが豊かで人々が楽しく暮らせますように」なんですって。実にいい言葉ですね。

裏面を目にすると「大日本帝国」の文言を発見。このような注連石は、かなり珍しい。神社へよくお詣りしている人であれば、注連石を見る機会はそれなりに多いと思うで、物珍しさがよく分かると思います。
また、1950年に昭和天皇が御行幸の際に、この注連石を目撃すると、思わず車を停めさせた逸話があるみたい。そして「年豊人楽」の文字を堪能したそうですよ。
美しい文字や丁寧な手書きの文字は、知性や上品さを感じさせるので、まじまじと見とれてしまうものですね。

境内にあるこちらの「表忠碑(ひょうちゅうひ)」にもご注目。こちらは、陸軍大将・秋山好古(あきやま よしふる)氏が揮毫しました。
好古氏といえば、近代騎兵制度を創設した功労者。日露戦争では、当時世界最強といわれたロシアのコサック騎兵を打ち破った指揮官として知られています。
石碑に使われているのは、上質な高級石材「庵治石(あじいし)」です。これほどの大きさともなると、どれくらいの値段になるのだろうか、ちょっと想像がつきません。ちなみに今の相場では、一般的な墓石の大きさで約130〜500万円以上ですよ。
その大きさから松山の海の玄関口として、経済的に栄えていた当時の三津の勢いと活気を感じました。
亀甲のデザインや銅製の屋根瓦・注連縄が目を引く拝殿・神門

拝殿にてお詣りしたあとで、じっくりと様々な社殿を見物してみよう。
三津厳島神社の拝殿を正面からみると、千鳥破風・唐破風付き入母屋造りであり、鳳凰や麒麟などの美しい彫刻がいい感じ。特に少し赤茶けた銅瓦葺と黄金色に輝く亀甲花菱にあしらった神紋が印象的です。
今の拝殿は1902年に建立したもので、もともとは本瓦葺だったのですが、2015年に本瓦風の形状で銅板の本葺きに改修しました。このような屋根というのは、全国的にみても珍しいと言えます。

こちらは神紋のデザイン。亀甲に花菱を3つ組み合わせるのは、宗像三女神を表しているとのこと。本家・安芸の厳島神社と同じように見えるのですが、よく見ると少し違っているのに気が付きました。
本家は、三つ盛り二重亀甲に「剣花菱」に対して、三津厳島神社の方は剣がなく「花菱」のみ。う~む、これは細かい。どちらにしても規則正しく並んだ亀甲花菱の神紋は、華やかな印象があります。

亀甲のデザインといえば、本殿の塀も亀甲積みの石垣です。パッと見た感じだと新しいものに見えますが、1902年に改修したものなんですって。100年以上の物とはとても思えません。

こちらは神門です。拝殿同様に銅板葺ですよ。私が訪れた時期は、丁度端午の節句頃だったこともあり、色鮮やかな鯉のぼりが飾られていました。
こういう演出は個人的に大好き。風に揺られて泳ぐ鯉のぼりは、まさに春の風物詩の一つでしょう。鯉のぼりには、子供の健やかな成長を願う意味が込められています。
さて、こちらの神門を正面からみて一番驚く要素はなんだと思いますか。おそらく10人中7~9人は、同じ反応になるだろう。

なんと注連縄が「銅」で出来ているのです。一般的な藁(わら)製とは違い、独特の重厚感と輝きに目を奪われます。このような注連縄は、とても珍しいですね。
風雨や紫外線による腐食を防ぎ、半永久的な耐久性があるみたい。藁であれば、毎年新しいものに交換するのが基本ですが、手間と交換費用を考えると銅製の方が、圧倒的にコストパフォーマンスが良いですね。
個人的には、やはり藁の方が自然素材ならではの素朴さと温もりのある厳かさを感じますが、これはこれでアリだと思いました。ちなみに、拝殿の注連縄は藁です。

話は変わりますが、社殿以外にも狛犬に注目する人は多いと思います。鳥居前に建つ石造りの狛犬は、天に向かってピーンと真っ直ぐに伸びた尻尾が特徴的。躍動感のあるユニークなお姿ですが、お顔は凛々しくて愛嬌があるかな。
1858年(安政5年)に奉納されたもので、それなりに長い間この神社をお守りしています。そして、これからもお守りしていくでしょう。
拝殿や神門などの社殿や狛犬は、細部までこだわりを感じられますので、じっくりと見物して下さいね。
【神社仏閣の紹介(その1)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
美しい花手水は写真映えするビュースポット

鳥居をくぐり抜けて境内へ入り、正面にみえる拝殿へ向かって歩いて行く途中に手水舎があります。その手水舎には、美しい花が活けられているので、参拝者の心を優しく和ませてくれますね。
こちらの花は、定期的に奉納・更新されるそうですよ。私が訪れたタイミングは、丁度地元のフラワーショップさんが花を活けている最中でした。ということで、しばらく見学していた次第です。
涼やかな紫色の花々は、バックの和傘と相まってより写真映えします。なので、カメラを構えてパチリと1枚撮りました。

実は花手水は2階所あり、西側にある末社・天満宮の手水舎にもあるのでお見逃しなく。先ほどの涼やかな印象と違って、温かみのある色どりがいい感じ。
どちらも甲乙つけがたいですね。花手水は、季節や行事にあわせた趣向を凝らしたデザインになるそうなので、参拝する楽しみが一つ増えるというものです。
「なで牛・なで寿老神・なで恵美須神」を撫でてみよう

三津厳島神社は、伊予七福神霊場の一つであり、境内社には「寿老神(寿老人)」をお祀りする恵美須宮と菅原道真公をお祀りする天満宮があります。
恵美須宮なので、もちろん恵比須神も祀られていますが、「なぜ寿老人が!?」と思うかも。同じ七福神なので、一緒に勧請・合祀されたのだろうな。
社の前には、二人仲良く並ぶ寿老人と恵比寿さまの像があるので、そっと撫でて下さいね。長寿や無病息災、商売繁昌のご利益を一気に頂けるチャンスですよ。
隣にあるのは、天満宮でお馴染みの「なで牛」です。道真公といえば、学問の神様として超有名。なで牛も一緒に撫でて、賢く生きる良い知恵を授かろう。
ちなみに伊予七福神参りとは、愛媛県の中予地方(松山市・東温市・伊予市)にある7つの神社仏閣を巡り、心願成就を祈願します。個人的には、伊予路のパワースポット巡りの旅に興味津々ですね。
絵馬殿に飾られた干支の絵馬は見応えあり

絵馬殿には、生き生きとした干支の動物が描かれている大きな絵馬がたくさん飾られています。
この絵馬は、地元中学の美術部の皆さんが制作したそうで、毎年奉納されているみたい。絵馬を一つ一つじっくり見ていると、若く瑞々しい感性で心を込めて描いているのを感じました。

2026年の干支は、丙午(ひのえうま)です。十干の「丙(ひのえ)」と十二支の「午(うま)」が組み合わさり、60年に一度やってくる特別な干支ですね。
私が訪れた日は、こちらの絵馬を拝殿に飾られていました。火の馬ということで、力強く駆ける馬の足元には炎が描かているのが印象的。あらゆる困難に立ち向かい、前へ前へと突き進むその姿には、未来への希望を感じます。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
夏詣にて「みかん風鈴」が登場
三津厳島神社では、毎年7月から8月の終わりまで「夏詣」が開催されます。本格的に始まったのは、2023年ということで比較的新しいイベントですね。
2026年から参道に風鈴のトンネルが設置され、たくさんの風鈴が飾られているとのこと。私はそのことを後で知ったのですが、オレンジ色のみかん風鈴が並ぶのは、実に愛媛らしいです。
風鈴が奏でる涼やかな音色に耳を傾けながら、参拝するのも良いですね。
三津厳島神社の基本情報とアクセス
| 住所 | 愛媛県松山市神田町1-7 |
| 電話番号 | 089-951-1471 |
【アクセス】
- 伊予鉄道高浜線・三津駅から徒歩約5分
- 伊予鉄バス・三津厳島神社前駅から徒歩約1分
- 松山自動車道「松山IC」から車で約25分
三津厳島神社の駐車場
三津厳島神社には、境内入口付近に無料駐車場があります。(普通車30台)
まとめ

三津厳島神社は、1400年以上の歴史を誇る由緒ある古社です。
室町幕府の初代将軍・足利尊氏や伊予水軍の河野氏、江戸時代に参勤交代を行う歴代の松山藩主など数多くの時の権力者が参拝に訪れました。交通安全や厄除け、勝負事、子育ての神様として今日まで篤い信仰を集めています。
また、風鈴が飾られた参道が整備されたり、地域のアーティストと連携したアート御朱印を月替わりで授与できたりとユニークな催しが多いですね。
愛媛県松山市へ訪れた際には、レトロな町並みと新しいお店が共存する港町・三津浜散策を楽しんでみよう。そして、ふらっと三津厳島神社へ足を運んではいかがですか。

