陸のサンゴと呼ばれているアッケシソウ(サンゴ草)は、日本では希少な塩性植物です。
そのため、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧種類に指定されていますね。
そんなアッケシソウを本州で唯一見られる自生地が、岡山県の寄島アッケシランドです。
毎年見頃になると、辺り一面は深紅の絨毯が広がり多くの観光客が訪れますね。
本記事では、寄島アッケシランドで自生するアッケシソウについて紹介します。
アッケシソウとは
アッケシソウ(厚岸草)は、ヒユ科アッケシソウ属の一年草であり、海岸の入り江などにできる塩湿地や塩分の多い湿った土地に自生する塩性植物です。
1891年に北海道厚岸町の牡蠣島で発見された経緯があり、その町名をとって「アッケシソウ」と命名されました。
草丈は10cm~40cm程度であり、秋になると赤く紅葉する特性から、「サンゴ草(珊瑚草)」という別名で呼ばれています。
ヨーロッパや北米など地球の北半球に分布し、海外では日常的に野菜として食べられていたりしますね。
日本では、生息数や分布、群生地が限られており、環境省のレッドリストで絶滅危惧種類に指定されています。
そのため、採取することは禁止です。
主なアッケシソウの自生地(日本国内)
- 北海道の卯原内サンゴ草群生地
- 北海道のサロマ湖周辺(キムアネップ崎、ワッカ原生花園、計呂地サンゴ草群生地、鶴沼原生花園)
- 岡山県の寄島アッケシランド(見頃は10月中旬)
【花畑の紹介】
アッケシソウのような珍しい植物や綺麗な花畑を見ていると癒されますね。下記記事では、旅先で立ち寄った綺麗な花畑などを紹介します。
寄島アッケシランドのアクセス
本州で唯一アッケシソウが見られるスポットが、岡山県浅口市寄島町の寄島アッケシランドです。
寄島町は瀬戸内海に面し、周辺には穴ジャコ釣りができる浜として知られている青佐鼻(おおさばな)海岸や日本の渚百選に選ばれている沙美海岸がある風光明媚なところですね。
県道47号を進み、浅口市三ツ山スポーツ公園方面へ進みましょう。
すると、アッケシソウ自生地の案内を発見。
この案内標識から1kmも進まない内に、アッケシソウ自生地へ辿り着きました。
車で訪れた場合は、この自生地入口前に駐車場があり、スペースはそれほど広くありませんが、見頃の時期には臨時駐車場が整備されるため、駐車場の心配をする必要はそれほどないでしょう。
また、直ぐ近くには浅口市三ツ山スポーツ公園の広い駐車場がありますので、そこで駐車して歩いて向かうこともできます。
この駐車場から歩いて向かったとしても500m程度の距離のため、大したことはありません。
更に青佐鼻海岸の駐車場も利用できますね。(十分徒歩圏内です。)
ちなみに私は自転車で訪れましたので、アッケシソウ自生地の直ぐ近くまで乗り入れることができました。
寄島アッケシランド周辺で利用できる駐車場
- 寄島アッケシランドの入口前にある駐車場
- 浅口市三ツ山スポーツ公園
- 青佐鼻海岸 観光駐車場
【アクセス】
- JR里庄駅、JR鴨方駅からタクシーで約20分
- 鴨方ICから車で約20分
【周辺の見どころ】
寄島アッケシランドから海岸線を西へ進めば、岡山の最も西にある笠岡市へ辿り着きますね。この笠岡市の絶景・観光スポットを下記記事で紹介します。
本州で唯一のアッケシソウ自生地を楽しむ
日本では、中々お目にかかることができないアッケシソウ(サンゴ草)は、本州で唯一「寄島アッケシランド」で見学できます。
寄島アッケシランドのアッケシソウは、近年の研究から朝鮮半島から伝播した可能性が高いそうです。
大変希少な植物なため、ルールーを守ってじっくりと見学しましょう。(ルールについては後述します。)
寄島アッケシランドの入口から1分程度進めば、湿地帯が見え始め、そこには赤く染まったアッケシソウが見て取れました。
尚、自生地の周辺は柵で覆われており、立入禁止になっていますので柵を飛び越えないように。
近くには展望台もありますので、そこから深紅の絨毯の景色を眺めましょう。
寄島町では「アッケシソウを守る会」が結成されており、主にアッケシソウの保護活動を行なっています。
アッケシソウの見頃には、例年アッケシソウ祭が開催されて、期間中はガイドを行なっていますね。
2021年はコロナの影響で、アッケシソウ祭は中止となり、ガイドもなく一般公開されるエリア(地区)も縮小されて公開されました。
浅口市教育委員会が発行する寄島アッケシランドのパンフレットを見てみると、アッケシソウの自生地はA~E地区に分かれており、最も眺めが良いのがA・B地区になります。
A地区には先ほど触れた展望台が設置されているため、湿地一体を見渡すことができますね。
A・B地区から湿地全体を眺めた後は、C地区へ向かいましょう。
C地区では、柵はなく木道が敷かれていますので、木道の上を歩いて間近でアッケシソウを見学できます。
アッカシソウの草丈は10cm~40cm程度であり、多くの節を持った多肉植物に似た少しぷくぷくした独特な姿がユニークですね。
この何とも形状しがたい不思議な植物を見ていると、何だか和みます。(笑)
アッケシソウ自生地の背景には、美しい形状の青佐山が見て取れました。
その時撮った写真がこちらです。う~ん、やっぱり絵になりますね。(嬉)
この希少で不思議なアッケシソウは一見の価値ありです。
深紅の絨毯が敷き詰められた見事なアッケシソウの景色を堪能しましょう。
【紅葉の紹介】
深紅のアッケシソウのように紅葉の色鮮やかさは実に見応えがありますね。そこで、旅の道中で訪れた紅葉スポットを下記記事で紹介します。
アッケシソウの一年
寄島アッケシランドのアッケシソウは、2006年に浅口市指定天然記念物に指定されています。
更に2009年には岡山景観百選にも選ばれました。
こちらは寄島アッケシランド内にあったアッケシソウの説明板です。
この説明板によると、アッケシソウは一年生の植物で茎は枝別れし、葉は肉質で鱗片状に退化しており、全体的に棒状であると記載されていました。
こちらはアッケシソウの発芽期を表しています。小さくて可愛らしい発芽ですね。
こちらは生育期の緑色のアッケシソウ。深紅のアッケシソウと比べるとインパクトに欠けますが、不思議な面構えは健在です。
アッケシソウの花は、夏から秋にかけて、一節に3花ずつ両側につき、各花の中央部に白い雌しべと雄しべが見られます。
秋になると、緑色だった茎は赤色に変色し、自生地一面に色鮮やかな紅葉が広がりますね。
そして、最後に結実期を迎え茶色へ変色していきます。
一年を通して、様々な姿へ変化していくアッケシソウ。
機会があれば是非、全ての時期のアッケシソウを見てみたいですね。
浅口市寄島町アッケシソウを守る会の活動
2003年11月に寄島町の干拓地内でアッケシソウの群生地が発見されました。
翌年の2004年には、地域住民が中心となって「アッケシソウを守る会」を結成し、保護活動を推進しています。
本会では、アッケシソウの保護育成を行なっており、育成を阻害する葦や雑草など草刈活動を年に3回(5月・6月・9月)、地元の小中高校生や浅口清掃センターの人たちなど多くのボランティアに支えられながら行なっているそうです。
また、美しく彩るアッケシソウの景観を鑑賞してもらうため「アッケシソウ祭」を開催し、岡山県内外から多くの観光客が訪れます。
アッケシソウを守る会の尽力により、アッケシソウ自生地の生育環境は年々整っていますね。
2021年11月には、長年の「アッケシソウを守る会」の活動内容が認められ、「公益社団法人 環境生活文化機構」の持続可能な社会づくり活動表彰・生物多様性保全活動賞を受賞しました。
今後も活動を通じ、貴重な文化財として次世代へ伝えていって貰いたいです。
アッケシソウ自生地の見学ルール
アッケシソウは希少な植物です。
そのため、見学するには以下のルールがあります。
- 絶対にアッケシソウの自生地へ立ち入らない
- アッケシソウの採取をしてはいけない
- 外部の植物を持ち込まない
一人一人がルールをしっかり守って、楽しく見学しましょう。
寄島アッケシランドの基本情報
住所 | 岡山県浅口市寄島町 |
電話番号 | 0865-54-3110(浅口市教育委員会 寄島分室) |
まとめ
陸のサンゴと呼ばれているアッケシソウは、希少な塩性植物です。
本州では、岡山県の寄島アッケシランドだけでしか目撃することができません。
毎年10月中頃になると、自生地一体は色鮮やかな景色が広がります。
その姿は一見の価値がありますので、機会があれば是非訪れてみませんか。
【サイクリストの管理人の一言】
寄島アッケシランドの周辺には、沙美海岸や青佐鼻(おおさばな)海岸があり、綺麗な瀬戸内海を横目で眺めながら走るサイクリングは楽しい物です。そんなサイクリングを趣味にしてみませんか。下記記事では、サイクリングを趣味にすることについて紹介します。