ベンガラ色で統一された日本遺産の町をご存じですか。
岡山県高梁市の山中には、かつてベンガラ生産やその原料であるローハで、巨万の富を築いた豪商たちが築いた町があります。それが今の「吹屋ふるさと村」ですね。
久しぶりに訪れたくなったので、輪行の準備を整え、吹屋ふるさと村に比較的間近にある備中川面駅へ向かった次第です。
今回の旅の舞台は、岡山県高梁市になります。ヒルクライムのはて、辿り着いた吹屋ふるさと村では、まさかのハプニングが発生。そのため、町並み観光ができませんでした。(シクシク)
けれど、旧吹屋小学校や夫婦岩など色々と見学できたため、充実した1日を過ごせたので、結果よければすべて良しですね。
本記事では、吹屋ふるさと村へ向かった、山岳サイクリングの様子をお伝えします。
備中川面駅から旅立つ
無人の備中川面駅に降り立ちました。朝が早いためか辺りは静かですね。
早速、テキパキと自転車を組立て旅の準備を整えます。せっかくなので、旅立つ前に愛車(自転車)と記念撮影。うん、良い感じですね。
今回の目的地である「吹屋ふるさと村」までは、この駅から約17kmほどなので、距離自体はたいしたことはありません。
吹屋ふるさと村は、山中にあるため、ほとんどがヒルクライムコースになりますよ。毎年秋になると、高梁市では「ヒルクラムチャレンジシリーズ高梁吹屋ふるさと村大会」が開催されており、本日走るコースがそれにあたります。
私は、この大会に参加したことはありませんが、コース自体は昔走ったことがあり、確かコース途中でしんどくなったので、記念碑がある場所で休憩していた記憶がありますね。
それでは、吹屋ふるさと村へ目指して自転車のペダルを回し始めました。
【ヒルクライムに関する話】
ヒルクライムは、自転車で坂道をずっと上るため、大変ですが、上りきった後に充実感や達成感を得やすいです。下記記事では、ヒルクライムに関する話を紹介します。
吹屋ふるさと村へ向けてヒルクライム
高梁川沿いの静かな住宅地を通り抜け、しばらくすると鉄橋が見えてきました。
その鉄橋の近くには、こちらの案内が。なるほど、列車撮影スポットでしたか。
どうりで、この鉄橋から少し離れたところで、報道陣ばりのカメラを設置していた集団に出くわした訳です。最初は、何事かと思いましたが納得です。
そんなことを考えていると、いつのまにか鉄橋の上を「特急やくも」が通り過ぎます。彼らのお目当ての列車かな。
列車を見送った後で、国道180号へ合流。約500mほど道なみに走れば、吹屋ふるさと村へ向かう道路標識を発見しました。
道路標識に従い、国道180号から進路を変えてしばらく走ると、沿岸には「全面通行止め」の看板を発見。思わず立ち止まります。
第一声が「嘘でしょう」ですね。これは、流石にショックですよ。看板をよく見てみれば、歩行者通行止と書いているのが分かりますが、なぜが私はこの時、歩行者通行可と解釈していたのです。
これが後の悲劇につながるとは。この時には思いもよりませんでした。
そんな風に間違った解釈をしていたため、「自転車で走れるところまで走って、途中から歩いて行けば大丈夫」と考え、そのまま走り始めます。
すると、ヒルクライムコースのスタートを表す案内板を発見。
よいよ、ここからヒルクライムが始ると意気込んだ次第です。
のどかな風景が広がりますね。前回訪れた時の記憶がよみがえり、前回と比べて快調に上れているかも。
本当に「あれ、こんなに楽だったかな」と思わずにいられないほど余裕で上れるのです。前回は、約50km以上走った後のヒルクライムであり、荷物も多かったので、きっとそれが影響しているのでしょう。
あっという間に、前回休憩した記念碑がある場所へ辿り着きます。ちなみに、ここまでくれば吹屋ふるさと村まで残り10kmですよ。
道中には、綺麗な梅の花が咲き誇り、花見を楽しみながら山中を上っていきました。
しばらくすると、御葉峠のバス停へ到着。このバス停の停留所には、お地蔵様が安置されていますよ。うん、面白い。
下り道を織り交ぜながら、緩やかな上り道が続き、気が付くと吹屋ふるさと村まで残り4kmです。
あまりの快調ぶりに意気揚々ですね。これは、このまま余裕で上りきれる予感がします。
なので、愛車と記念撮影を楽しみながら上りますよ。
そんな感じで上っていけば、吹屋ふるさと村まで残り3kmです。
ここまでくるにあたり、通行止めの雰囲気が全くありません。残り3kmならば、たとえ通行止めがあったとしても、十分歩いて吹屋ふるさと村へ行ける距離ですね。
残り3kmから急に本気を出してきたコースの斜度は、7~10%辺りを繰り返します。これまで、2~4%程度の緩い斜度だったので、少し油断していたかも。
それでも、ゆっくりペダルを回して上っていると、「ようこそ 吹屋ふるさと村へ」の看板を発見。
私はこの看板を見て突然思い出しました。ここで気を緩めてはいけないことを。実は、吹屋ふるさと村の入口は、ここから約1km先の上り道の先にありますよ。
看板を眺めて、私は騙されないぞとニヤリと笑いながら、先へ進んでいけば、吹屋ふるさと村まで残り1kmです。
ここまでくると、さすがに「あの通行止めの看板は何だったのだろう」と疑問に思い始めますね。そんなことを考えていると、吹屋ふるさと村へ到着しました。
【自転車旅の紹介(その1)】
本記事のような自転車旅の様子を、下記記事で紹介します。
完全に予想外!?吹屋ふるさと村を観光できない
自転車を降りて、徒歩で吹屋の町並み観光へ向かいます。町の中心通りへ近づくにつれて、ベンガラ色に統一された建屋が何件も見られました。
うん、実に素晴らしい。この景色を見るために訪れた訳ですから、テンションが上がらない訳がありません。
すると、非常に残念な物を見かけてしまい、呆然と立ち止まってしまった次第です。
ここにきて、道中に感じていた疑問が解けました。なんと、吹屋の町並みへ向かう道中が通行止めなのではなく、吹屋の町並み自体が通行止めだったことに。
しばらく、声も出せないとは、このような状況ですね。まさかこんな悲劇的な結末が待っていたとは。
いつまでも呆然としていも仕方がないので、作業現場の人と少し話をすると、町並み観光はできないけど、旧吹屋小学校の見学はできるということが分かりました。
それを聞いて、少しだけ活力が戻りますよ。もともと町並み見学の他に旧吹屋小学校へ立ち寄る予定でしたので、全くの無駄にならかったのは幸いです。こうして町並みを離れ、回り道で旧吹屋小学校へ向かいました。
その道中で見かけた、ふるさと村の外壁?
外壁の内側に見える町並みを眺めていると、悔しい気持ちが沸き上がりますよ。仕方がないかな。
【自転車旅の紹介(その2)】
本記事のような自転車旅の様子を、下記記事で紹介します。
旧吹屋小学校の見学
旧吹屋小学校は、2012年の閉校まで現役最古の木造校舎として利用されていました。
その後、2015年から7年間に渡り、大規模な保存修理が行なわれて、新たに吹屋の歴史や文化を発信する拠点に生まれ変わった次第です。
前回私が訪れた時は、保存修理中であったため、校舎内の見学ができなかったので楽しみですね。
まずは、ノスタルジーを感じる本館の外観が素晴らしい。規則的に並べられた瓦のグラデーションもGoodです。
中へ入れば、明治・平成時代の教室や講堂、三間廊下(さんげんろうか)など色々見所が多いですよ。
また、「日本遺産認定ジャパンレッド発祥の地 -弁柄と銅の町・備中吹屋-」の構成文化財として、日本遺産に選ばれていますので、様々な展示品がありました。
どうやら本日は、吹屋の町並み観光はできないけど、周辺にあるベンガラ館と広兼邸は観光できるという。
そのため、ベンガラ館と広兼邸へ訪ね、吹屋ふるさと村を楽しみました。
この頃には、町並みが観光できなかったショックは、いつの間にかなくなっていましたね。(単純な性格といえるかも)
尚、旧吹屋小学校については、下記記事でくわしく紹介します。
夫婦岩を見に行こう
吹屋ふるさと村を後にしても、まだまだ山岳サイクリングは続きます。
今度の目的地は、夫婦岩(めおといわ)ですよ。この岩の存在自体は、以前から知ってはいたのですが、何気に初めて訪れます。
その道中は、またしても全面通行止め。正直今一番見たくなかった看板です。
もちろん迂回路を通りますよ。(学習しました。)
迂回路を通過しながら、サイクルコンピュータで地図を確認すると、夫婦岩へ辿り着けるみたいなので問題なし。これで、また見学できないとなると静かに暴れるかも。(笑)
そうこうしている内に、夫婦岩の鑑賞スポットへ到着。自転車を東屋に立てかけて、徒歩で鑑賞スポットへ向かいます。
見て下さい。これが夫婦岩ですよ。うん、自然が生み出した見事な巨峰。見にきたかいがありました。
標高400mの石灰岩の台地にそびえ立ち、夫岩は高さ12m、妻岩は高さ16mもあるという。
夫婦岩の間には、愛児のような岩を抱えているように見えますよ。
頂上に生えている一本松も愛らしい。実に見応えがありますね。
夫婦岩といえば、三重県伊勢市が有名ですが、伊勢市にある物と比べて約2倍の大きさだといいます。日本国内では、比肩するものがない夫婦岩だそうです。
【巨石・奇岩・奇峰の紹介】
旅を続けてると、夫婦岩にような巨石などを見かけることがありますね。下記記事では、そんな巨石・奇岩・奇峰を紹介します。
神楽ロードを通過し、高梁市街へ向かう
帰路に付くため、山中を一気に下ります。決して見通しのよい道とはいえないため、結構神経を使いますね。けれど、ずっと下り道であるため、滑空感が堪らない。
ヒルクライム後のダウンヒルは、最高の御馳走ですね。まさに下り天国です。(笑)
あっという間に下界へ到着すると、そこは成羽川沿いの道。
頭を上げて、視線を山へ向けます。さっきまであの山の中を走っていたと思うと、何だか感慨深いですね。
さて、ここから約18kmほどの平坦路が始ります。今いるところは、高梁市成羽町ですよ。
成羽川沿いを東へ向けて走り、高梁市街へ向かいますね。この成羽川沿いの道は、通称「ロマンチック街道313」と呼ばれており、何だか新たな出会いを感じるかも。
そんなことを考えていると、かぐら橋に大きな神楽人形を発見。
成羽町は、備中神楽の発祥の地として知られており、町中の商店街には、道の沿岸にたくさんの神楽人形が置いてある「神楽ロード」がありますよ。
そんな訳で、神楽人形を探しながら、見学していました。(嬉)
このような出会いは大歓迎ですね。商店街を抜ければ、ゴールの備中高梁駅までは、もう残り約8kmほど。少し早いですが、ラストスパートをかけますよ。
自転車のペダルを回し続けていると、みるみるうちに自転車のスピードが上がります。先ほどまで山中でヒルクライムしていたので、このスピード感に心の中で拍手喝采。これぞロードバイク。これがロードバイク。これこそがロードバイクです。
高梁駅まで残り約2kmほどで、クールダウンを行なうため、スピードを落としゆっくり走行。
高梁川の川面を見ると、野鳥たちが羽を休めていました。癒されますね。
そして、ついに備中高梁駅へ到着です。
こうして、本日の旅が終わりを告げました。
まとめ
岡山県高梁市にある「吹屋ふるさと村」へ向かったのですが、一番のお目当てあった吹屋の町並みが見学できず残念でした。
しかし、旧吹屋小学校を始め、ベンガラ館や広兼邸、夫婦岩、神楽ロードを楽しめたので、結果的に満足度の高い1日を過ごせたので良しとします。
また、機会があれば「吹屋ふるさと村」へ訪れ、今度こそは町並み観光を行ないたいですね。