神話の里として知られる奥出雲。その奥出雲には、日本全国で唯一宿泊できる珍しい博物館があることをご存じですか。
それが「奥出雲多根自然博物館」です。この博物館では、約40億年におよぶ生命の歴史を体感できる。とたえば、実物大の恐竜(アロサウルス)の化石標本は、迫力満点でビックリしますね。
また、宿泊者限定サービス「ナイトミュージアム」は必見。ぜひ一泊して異世界の雰囲気を満喫してみよう。また、博物館の直ぐ近くには、佐白温泉「長者の湯」があるのも見逃せません。
本記事では、魅力的な恐竜体験を中心に「奥出雲多根自然博物館」について紹介します。
奥出雲多根自然博物館とは
奥出雲多根自然博物館は、「宇宙の進化と生命の歴史」をテーマとした地域密着型の博物館です。
ここでは、恐竜の骨格標本や様々な古代の化石を見学できます。展示物は3,000点、所蔵品は20,000点もあり、特に魚類化石の多さは国内では他に類をみないほど充実してますね。
眼鏡専門店として有名な「メガネの三城」の2代目・多根裕詞氏が生まれ育った町の発展のため、1997年にオープンしました。
冒頭で述べた通り、日本全国で唯一宿泊できる博物館であり、1~2階が展示室、3~5階は全19部屋の客室フロアになっています。恐竜フィギュアやパネルが飾られた2段ベットの恐竜ルームが、子供たちに大人気。スタンダードなシングルやツイン、トリプルルームもあり、落ちついた空間も提供しています。
また、エレベーターや通路には、恐竜のイラストが描かれていたり、パネルが飾られていたりするので、どのようなものがあるのか探してみるのも面白いですね。
最上階の展望レストランでは、奥出雲の緑豊かな景色を眺めながら、奥出雲の特産の「仁多米」や「きのこ鍋」などを召し上がれます。
【周辺の見所】
奥出雲多根自然博物館の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
迫力満点の恐竜たちを見学して恐竜博士になる
エントランスに足を踏み入れると、目の前に巨大な恐竜「アロサウルス」の骨格標本(レプリカ)が飛び込んできました。
いきなりのファーストコンタクトにビックリ。エントランスの吹き抜けいっぱいに立ち尽くす、全長9mもある恐竜を見上げ、かつてこの世界を駆け巡っていた生物に思いを馳せます。
アロサウルスといえば、ジュラ紀最大級の肉食恐竜。もし現代にクローン技術などで蘇って、その鋭い爪と大きな歯で襲いかかってきたと思うと、脅威意外の何ものでもありません。
展示室へ入ると、全長約6mほどの鎧竜・エウオプロケファルスがドーンと待ち構えていました。うん、どっしり構えたシルエットから、防御力が高そう。彼(彼女?)の顎(あご)や背中は、帯状の板とトゲで厳重に保護され、しっぽをハンマーのように振り回して肉食恐竜を撃退したそうですよ。
ちなみに、当館の入口前にいるマスコットキャラクターは、エウオプロケファルスをモチーフにしたものなので、実物のイメージがしやすいですね。
こちらは、ジュラ紀後期に活動していた大型草食恐竜「アパトサウルス」の上腕骨の化石。
アパトサウルスは、全長が23mもあるということなので、7~8階建てのビルと同等かと思うと、圧倒されそうです。実はこの化石はレプリカでなくて本物なんだとか。触ってもよいため、人気スポットになっています。
奥出雲多根自然博物館の特徴は、触れられる化石が多いこと。リアルな感触を確かめられる博物館は珍しいですね。もちろんNGな化石もありますので、注意して触りましょう。
こちらは、アロサウルスの頭部。
かなり間近で見られるので、じっくり観察しよう。下あごを大きく開いて、獲物を飲み込む様子が手に取るように分かりますね。また、ギザギザの歯は動物の肉を切り引きちぎって食べるのに適していそう。
目の上に角のような突起がありますが、これは防御やディスプレイに用いられたそうですよ。
こちらは何だか分かりますか。ノーヒントでは難しいと思うので、ヒントは空を飛ぶ動物です。
そう、この化石の主はアーケオプテリクスといって、世界最古の鳥ですよ。始祖鳥とも呼ばれているので、聞いたことはある人は多いと思います。
今の鳥には見られない歯や長い尾をもち、手には鋭い爪がありました。これらの特徴は、肉食恐竜と共通していることから、鳥は恐竜の仲間であることを示唆していますね。
うん、この石柱は一体なんだろう?
近付いてよく表面を見てみると、イチョウの化石だ。
実は、イチョウの歴史は古く、約2億7000万年前(ペルム紀前期)には既に出現されていました。そして、約1億7000万(ジュラ紀中期)以来、その形状がほぼ変わらず、現代に至っている植物なんだとか。
なので、植物界では「生きている化石」と呼ばれています。私たちの身近にそんな偉大の植物があると思うと、驚きますね。
周囲の壁面に目を向ければ、見やすいイラストと文章により、時代ごとの歴史を紹介している。
その時代で、どのような生物が活動していたのか、当時の地球の様子を学べます。
また、展示室の他にも恐竜関係の資料・書籍が集まるライブラリーコーナーがありますので、足を運んでみよう。
子供向けの絵本や漫画などもあり、恐竜について色々学べますね。さらに国内有数の古生物学者として知られる小畠郁生氏の自著本や自らが発掘した化石なども展示しています。
【古代のロマンを感じる博物館】
奥出雲多根自然博物館のような古代のロマンを感じる博物館を、下記記事で紹介します。
宿泊者限定のサービス「ナイトミュージアム」へようこそ!
宿泊者限定になりますが、当博物館の目玉といってもよい「ナイトミュージアム」は必見です。
昼間から雰囲気がガラリと変わり、薄暗い照明の中で恐竜たちが、観光客をお待ちしています。必要に応じて、受付から懐中電灯をかりよう。
展示室では、昼間おとなしく座していた鎧竜・エウオプロケファルスが、妖しく光っているじゃないですか。ライトアップされた恐竜は、さらに迫力アップ。すでに魔獣といっても良いでしょう。
それに、どこからか威圧的な鳴き声が聞こえてくる。まさに臨場感満載です。床には、恐竜のアニメーション映像が流れる手の凝りよう。
そのアニメには、恐竜に襲われて人の末路がありました。結果については、想像にお任せします。
こちらは、白亜紀後期に活動していたティラノサウルスの頭部。
ティラノサウルスといえば、最大にして最強の恐竜。ナイトミュージアム中に鑑賞すると、さらに恐ろしさが倍増して見える。(ガクガクブルブル)
個人的には、ジュラ紀最大級の肉食恐竜「アロサウルス」とどちらが強いのか興味がありますね。
夜は、私たち人類が古来より恐怖を感じる時間帯であるため、昼間とはまた違った恐竜体験を楽しめます。
ナイトミュージアムでは、展示品の鑑賞だけでなく「博物館のオリジナルクイズ」にチャレンジできる。クイズの答えは、全て展示物の中にあるので、目を皿のようにして観察しよう。
クイズは80点以上あれば記念品がもらえるので、ぜひ参加してみて下さい。ちなみに100点満点だとさらに特別賞がもらえます。
【カメラに関する話】
旅の思い出にカメラ撮影を楽しみましょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
色鮮やかな深海ブルー、悠久の歴史を語る海の生命たち
2階の展示室は、1階の展示室と打って変わって、深海を思わせるような雰囲気が漂っています。
波を表現した流線型と六角形のショーケースが並んでおり、淡く青く光る室内はとても目を引きますね。色鮮やかな貝殻や海の生物の化石などが展示されており、地球が誕生した後の悠久の海の歴史を感じ取れるでしょう。
こちらのアンモナイトの化石に注目。
直径65cmもある世界最大級のアンモナイトですが、長い時間が経過することで宝石化しました。虹のような光沢が凄くきれいなので、お見逃しなく。
こちらは、両生類の化石。デポン紀に魚類から進化して両生類が生まれました。
原始両生類の多くは、今のオタマジャクシ型の頭でっかちの体系だったとか。また、大きな鰓(えら)が外にまではみ出した呼吸系は、ウーパールーパーとそっくりな作りだそうですよ。
「うん、なんだこのクチバシの長い化石は?」いったいどんな生物なのか興味をひかれる方も多いはず。これは、イクチオサウルスという魚竜の仲間です。
体の形は現在の外洋魚にそっくりで、かなり高速で泳げたみたい。長く尖ったクチバシには、たくさんのギザギザの歯があり、オウムガイやアンモナイトなどを捕食していました。
華やかな展示物を魅入っているうちに、いつの間にか古代ロマンの世界に惹き込まれてしまいます。
また、大型ディスプレイが設置されており、そこでは海の様子を映像で楽しめる。映像や化石という生きた証を通して、海の生命の神秘に酔いしれよう。
【水族館の紹介】
古代に生きた海の生き物は興味深いですが、今を生きる魚たちも興味深いですね。下記記事では、そんな魚たちを見物できる水族館を紹介します。
鉱物・岩石・貝殻の展示室を隅々まで見学
展示室には、鉱物や岩石がまとめて展示されているエリアがあります。
長い時間をかけて自然が造り出した鉱物や岩石は、見る角度によって様々な顔が見えてくる。碧玉(めのう)を始め、花崗岩や玄武岩、水晶、デーサイトの柱状節理などラインナップも豊富ですよ。
数多くの鉱物や岩石からでも、地球の歴史を実感できます。
また、島根県で産出したものを特集しており、面白いものを発見しました。
たとえば、こちらの貝殻は何だと思いますか。
「シジミかな。でも少し大きいかも。」と思った方は、実にスルドイ!
実は、松江市西川津遺跡で発見された弥生時代のヤマトシジミです。今のものより一回り大きく、浅いところに密集して生息することから、採取しやすいため、古代でも貴重なタンパク源でした。
ちなみに今のヤマトシジミはこちら。見比べてみると、違いが分かります。
【双眼鏡に関する話】
旅の道中では、遠く離れた岩石を見かける機会が多いですね。そんな岩石を観察するには双眼鏡があれば便利です。下記記事では、双眼鏡に関する話を紹介します。
佐白温泉「長者の湯」で旅の疲れを流そう
館内には内風呂もありますが、おすすめするのは、当館から約1分ほど歩いたところにある佐白温泉「長者の湯」です。浴衣のままで移動しても大丈夫ですよ。
宿泊客は、この温泉施設の入館チケットを無料で頂けます。それに何度でも無料で入湯できるのは、ありがたいですね。
佐白温泉は「美肌の湯」ともいわれている癒しスポット。豊かな自然に囲まれた岩風呂・露天風呂が楽しめる。地下水層のミネラルをたっぷり含んでおり、肌に心地よく、まとわりつくような泉質が特徴です。湯舟にじっくり肩までつかり、旅の疲れを洗い落としましょう。
また、多目的利用のレストラン(お食事処「八重垣」)がありますので、奥出雲の旬の味覚、ふるさとの味をご賞味あれ。
- 住所 島根県仁多郡奥出雲町佐白223-5
- 電話番号 0854-54-0203
- 営業時間 10:00~21:00(最終受付は20:30)
- 定休日 毎月第2・第4火曜日
- お食事処「八重垣」
- ランチタイム 11:00~14:00
- 喫茶タイム 14:00~17:00
- ディナータイム 17:00~21:00(オーダーストップは20:30)
恐竜グッズが集結、お土産にいかがですか
奥出雲多根自然博物館では、お土産に約200種以上の豊富な恐竜グッズをそろえています。
恐竜のフィギュアやマグカップ、ぬいぐるみ、恐竜のゆで卵型など実用的なものからユニークなものまで色々ありますので、見ているだけでも楽しいですよ。
旅の記念や、家族や友人、お世話になっている人たちへのお土産にいかがですか。
奥出雲多根自然博物館の基本情報とアクセス
住所 | 島根県仁多郡奥出雲町佐白236-1 |
電話番号 | 0854-54-0003 |
開館時間 | 10:00~16:00 |
休館日 | 火曜日(祝祭日と重なる場合はその翌日) 年末年始(12/30~1/3) |
入館料 | 大人:500円(400円) 大学生・高校生:300円(240円) 小学生・中学生:200円(140円) ※20名以上で団体割引あり、( )内の金額は割引き後の料金 |
【アクセス】
- JR出雲八代駅から徒歩約20分
- 松江自動車道「高野IC」から車で約40分
奥出雲多根自然博物館の駐車場
奥出雲多根自然博物館には、無料駐車場があります。(普通車:約25台)
まとめ
奥出雲多根自然博物館では、恐竜の骨格標本を始め、様々な古代の化石を見学できます。
子供も大人も楽しめる本格的な博物館でありながら、アットホームな感じがしました。宿泊できる博物館は、全国でここだけですね。宿泊と合わせて、さくらおろち湖など周辺の景勝地へ足を延ばしてみよう。
また、宿泊者限定のナイトミュージアムは必見です。昼間とは違った雰囲気の違いを、ぜひ体験してみて下さい。
出雲神話の舞台となった、山奥に佇む奥出雲多根自然博物館で、特別な体験をしてみてはいかがですか。