「阿波の土柱」をご存じでしょうか。
土柱の言葉から土できた柱ということは何となく想像は付くでしょう。
自然が造り上げる土柱は、世界でも大変珍しく貴重な物であり、その数は世界中でたった3箇所にしか存在しません。
そこで、約120万年の悠久の時をかけて形成されていった日本にある唯一の土柱を訪れて散策してみました。
本記事では、世界三大土柱の一つである「阿波の土柱」について紹介します。
そもそも「土柱」とは何なのか
土柱とは、一言でいうと「雨や風の影響で浸食されてできた土の柱」です。
そのため、今もなお一刻一刻その姿を変えていると言っても良いでしょう。
そもそも土柱は、直立している面が砂礫層(されきそう)になっているか頂部に侵食抵抗性のある地層がなければ生成されることはありません。
砂礫とは、粒の径が2mm以下で、かつ0.1mm以上でできた岩石のかけらの事だね。
階段のような形状をした礫層が、風や雨で浸食されていく時に、砂が浸食され硬い礫の部分が残って柱のような形で固まった物を土柱と呼んでいます。
土柱ができる条件は、このように極めて珍しく、そんな土柱の一つが日本国内で観光できるのは、とてもありがたい事です。
阿波の土柱の過去、邪魔物から観光スポットへ大躍進
阿波の土柱が世間に紹介され注目を集めたのは、1903年(明治36年)以降になります。
それまでは、山林の荒廃や治水の問題を引き起こす邪魔物として扱われていました。
今では全く信じられないですね。
その後、多くの人がこの珍しい地形を保護するため様々な活動を行ない、1955年(昭和30年)に「阿波の土柱」の名前が正式に付けられ、観光スポットとして一躍名が広がっていきました。
世界三大土柱の一つ「阿波の土柱」を散策
展望台から阿波の土柱を眺めよう
徳島県阿波市には、断崖に沿って多数の土柱が林立する不思議な光景を目の当たりにできるスポットがあります。
それが「阿波の土柱」であり、付近一帯は県立自然公園に指定されていますね。
この周辺には6つの土柱が点在しており、その中でも最も大きな土柱が波濤嶽(はとうがだけ)です。
この波濤嶽を目指して入口から散策を始めました。
入口から少し歩くと「ハイキングコース」と「土柱展望台」へ向かうコースに分かれています。
ハイキングコースへ向かっても遠回りで展望台へ向かえますが、入口から約3分もあれば到着する展望台へ向かう事にしました。
立札に設置されていた地図で確認してみると、展望台から頂上へ向かって一周すると入口へ戻れることがわかります。
展望台及び頂上を目指して上り坂を歩いて行きましょう。(上り坂は余りきつくはありません)
しばらく歩いていると、右手に展望台が見えてきました。
展望台からは、波濤嶽の姿が良く見えます。
海の大波のようなダイナミックな景観が印象的でビックリです。
波濤嶽の大きさは、高さ90m、幅50mほどであり、20本以上もある大きな土柱が連なって見えますね。
世界にたった3カ所しか存在しない土柱の光景に、しばらくの間釘付けでした。
日本以外にある土柱は、米国ユタ州のブライス・キャニオン国立公園内にある土柱とイタリアの北部の南チロル地方にある土柱だけだね。
尚、展望台の直ぐ近くには東屋があり、そこで休憩することができます。(私が訪れた時は、数人の観光客がくつろいでいました)
【展望台の紹介】
旅の道中では、様々な展望台へ立ち寄り、そこから見える絶景を堪能しましょう。下記記事では、絶景スポットを紹介します。
遊歩道を歩いて土柱を見上げる
展望台から眺める波濤嶽も良いですが、波濤嶽へもっと近づいて見ることができます。
展望台から頂上へ向けて歩いていると、下へ降りるための階段がありました。
約5分ほどで階段を下りると開けた場所へ到着します。
その開けた場所からでは、波濤嶽が間近で見られて大興奮。
個人的には、展望台から眺めた波濤嶽よりこちらの方がGoodです。
特に土柱の高さがよりはっきりと分かります。また、波濤嶽の全体が見渡せるアングルが非常に良いです。
土柱と記念撮影をするならば、ベストポジョンと言えますね。
正面から波濤嶽を見渡せる展望台が直ぐ近くにあります。
展望台へ上って波濤嶽を眺めてみましょう。
「うん、ビーティフル!」なぜか英語でその美しさを讃えました。(笑)
また、カメラを操作して土柱の作画作りをしながら撮影をすると、その出来栄えに思わずニヤニヤが止まりません。
こちらの写真は、少し暗めに撮影しました。土柱の存在感が一際際立っていますね。
こちらは白黒で撮影した結果です。こちらの写真も立体感が良いですね。
セピア色で撮った土柱も似合っています。
カメラを操作して撮影するのは楽しく、旅との相性は抜群ですね。
自然が生み出した不思議な景観を心ゆくまで堪能しました。
スリル満点、頂上からの眺望
来た道を戻り、再び頂上を目指しましょう。
しばらく歩いているとトイレを発見。ここから先、頂上までトイレはありませんので、必要に応じて立ち寄っておく方が無難です。
石畳でできた階段を上って行くと、開けた場所へ到着しました。
ここまでくれば頂上まであと少しです。
昔はお土産屋があったと思われる建物がありました。
見るからに老朽化が進んでいるのがわかりますが、まだ幾何は大丈夫そうです。
せっかくなので、慎重に階段を上って屋上へ行ってみました。
屋上から眼下を見下ろすと、阿波市が一望できます。中々良い景色にご満悦ですね。(嬉)
その後、慎重に階段を下りて少し歩くと頂上の看板を発見。
恐らく土柱の入口から真っすぐに頂上を目指していれば、15分程度で到着するのではないかと思います。
頂上から土柱を見下ろしてみると、そのスリルと迫力に大興奮!!
とても凄い体験をしました。しかし、高所恐怖所の人には、ともて耐えられないと思うのでおすすめはしません。
尚、頂上の周りには特に柵などの安全防止が図られていないため、滑り落ちないよう足元には十分注意を払って下さい。また、風が強い場合は、大変危険ですので崖の方へは近づかないようにしましょう。
私が訪れた日は、それなりに風が吹いていたため、身をかがめながら近づき、安全には十分注意したよ。
やはり何と言っても阿波の土柱の一番の見どころは、こちらの頂上からの景色ですね。
こんな景色を見れるのは世界を探してもここだけです。
遠くには一番初めに訪れた展望台が小さく見えますね。結構上ってきた証拠です。
それにしても圧巻の景色であり、太古から蓄えられた土柱のパワーがヒシヒシと伝わってくるのを感じました。
帰路は、来た道を戻るのではなく、階段で下る道があるのでそちらを進みましょう。
階段の傍には、ところどころで土柱を見下ろせる場所があります。
ほぼ一本道であるため、道に迷う事はありません。分かれ道には立札が立てられていますので、方向を間違う危険性は少ないですね。
頂上から約15分ぐらい歩くと、土柱の入口へ辿り着きます。
阿波の土柱を眼下から見下ろす体験は、とてもスリリングで得難い体験をしました。
阿波の土柱のライトアップ
阿波の土柱では、波濤嶽を中心に夜間のライトアップを行なっています。
ライトアップにより、また昼間とは違った土柱の姿を楽しめますね。
ライトアップがされている所までは、暗い道を歩くため懐中電灯やヘッドライトを忘れずに用意しておきましょう。
尚、ライトアップを行なう時間帯を以下にまとめました。
- 5月~8月は日没から22時まで
- 9月~4月は日没から21時まで
【ライトアップあれこれ】
阿波の土柱のように観光地では、ライトアップをしているところが多いですね。下記記事では、ライトアップをしている観光スポットを紹介します。
旅の記念にお土産をどうぞ
阿波の土柱の入口へ辿り着くルートは、「土柱ランド新温泉」の前を通り抜けます。
土柱ランド新温泉では、宿泊や食事、ラドン温泉を楽しめますね。
また、店内には所狭しと土産物が並んでいました。
徳島と言えばやなり「スダチ」でしょう。全国シェアほぼ100%を誇る徳島を代表する柑橘系果実ですね。
阿波の新名物として、土柱麺が売られていました。
阿波の土柱へ訪れた記念に知人・友人へお土産を買って帰るのも良いでしょう。
ちなみに私は、阿波の土柱には自転車で訪れましたので、土柱ランド新温泉の駐車場へ許可を頂いて駐輪した後で、土柱の見学へ向かったよ。
裸の大将「山下清画伯」と阿波の土柱
1956年(昭和31年)に「裸の大将」として有名な放浪画家の山下清画伯が阿波の土柱を訪れて、土柱の写生をしたそうです。
阿波の土柱を訪れて、そのことを知った私の頭の中では、昔テレビで見ていた芦屋雁之助さんが主演の「裸の大将放浪記」の主題歌「野に咲く花のように」が流れてきました。(笑)
山下清画伯は阿波の土柱について「ここの景色は兵隊の位にしたら将校かな。おなじ将校でも、まえにみた鳴門にくらべるとちょっと下だな。鳴門は「左官」で、土柱は「尉官」というところだろうな。」と感想を述べたそうです。
個人的には「なるほど」と頷けるところが少しはありますが、感想は人それぞれですからね。
【絵になる景色の紹介】
阿波の土柱のような絵になる景色は、旅を続けていると良く見かけたりしますので、下記記事で紹介します。
阿波の土柱の基本情報とアクセス
住所 | 徳島県阿波市阿波町北山540 |
電話番号 | 0883-35-4211(阿波市観光協会) |
料金 | 無料 |
「土柱ボランティアガイドの会」で阿波の土柱のガイドを頼めます。詳しい説明を聞きながら土柱を見学してみましょう。
コースは以下の3つに分かれており、所要時間やガイドの料金が異なります。
コース | 所与時間 | ガイドの料金 |
---|---|---|
正面展望台コース | 40分 | 1団体につきガイド1名で500円 (1団体40名程度まで) |
ハイキングコース | 70~120分 | 1団体につきガイド1名で1,000円 (1団体10名程度まで) |
波濤嶽頂上コース | 60分 | 1団体につきガイド1名で700円 (1団体40名程度まで) |
ガイドの予約や問い合わせについては、阿波市観光協会へご連絡願います。
【アクセス】
- JR川田駅からタクシーで約10分
- 脇町ICから車で約13分
阿波の土柱の駐車場
土柱そよ風広場の無料駐車場を利用しましょう。(普通車50台)
駐車場から阿波の土柱までは、徒歩10分程度で辿り着けます。
まとめ
世界でも珍しい土柱を徳島県阿波市では見学することができます。
土柱の中で最も大きい波濤嶽の幅でも50mほどなので、それほど広さは感じませんが、正面から眺める土柱のダイナミックな景観は一見の価値ありです。
特に頂上からの景観は、スリル満載すぎますね。
阿波の土柱は、ここでしか体験できない貴重な経験を得ることができます。
【サイクリストの管理人からの一言】
阿波の土柱のようにライトアップをしている観光地を自転車で訪れる場合は、帰路は暗い中を走ることになりますね。下記記事では、ナイトライドなどについて紹介します。