天気は昔から多くの人の関心事でした。現代でもその傾向は変わりません。
天気予報のない時代では、先人たちの経験則に基づき天気のことわざがたくさん産まれました。
動物の行動や生態、空や山などの移り変わりを細かく観察していると、その後の天気が分かり、それがことわざや慣用句、言い伝えとなって現代まで伝わっているのです。
そのような経緯で産まれたことわざなどは、現代でも通用するものも多く、旅の道中で助かることがしばしばありますね。
本記事では、旅の道中で役立つ天気のことわざを紹介します。ことわざの意味を知れば「なるほど!」と納得するでしょう。
ちなみに動物が関わる天気のことわざは、こちらで紹介します。
天気のことわざは旅先でも役に立つ
日々の天気は、昔から私たちの暮らしに強く影響しますね。それは旅先でも言えることです。
現代の気象予報は、19世紀のヨーロッパで始まりました。こう聞くと、気象予報の歴史はそれほど長くないと感じます。
20世紀に入るとコンピュータが発達し、データ分析に基づいた天気の予想が可能となりました。
科学が進んだ今でも、天気の移り変わりを予想するのは、非常に難しいです。けれど天気予報がなかった時代では、自分で天気を判断していたのも事実ですね。
冒頭でも触れましたが、動物の行動や生態、空や山などの移り変わりを細かく観察して、毎日の生活の経験のもとに予想していた訳ですから、その知見はバカにできるものではありません。
予想ができたとしても半日くらい先までですが、それでも天気が予め分かるというのは、大きなメリットといえるでしょう。
先人の知見が、天気のことわざとして現在まで伝わっています。中には気象学に通用するものもあり、結構使える。
必ずしも天気予報がいつも100%的中する訳でないので、旅の道中で空や山、動物の行動から先の天気が予見できるのは武器になります。
刻々と流れる時間の中で、天気が大きく崩れる前兆が分かれば、いち早く旅の一時中断の判断を下せるようになれる。つまり、安全に旅を続けることにつながります。
【ことわざ1】朝虹は雨、夕虹は晴れ
虹が見えるのが朝か夕方なのかによって、その後の天気を予想できます。
このことわざは、日本の天気が西から東に変化していくことを利用した気象学に基づく根拠にもピタリ当てはまるのです。
朝は太陽が東にあるので、虹が出たら西側に雨雲があり、天気が下り坂だということ。
また、夕方は太陽は西に沈むので、虹が出たら東側に雨雲がある訳ですね。つまり、その雨雲はそのまま東へ進んでいくので天気が回復することを示唆しています。
【ことわざ2】夕焼けは晴れ、朝焼けは雨
朝焼けと夕焼けは、空が赤く見える現象ですね。
そもそも朝焼けは、東の空に雲がないときに見られます。東側に雲がないときは、西から雲が近づいてくる確率が高いですよ。
昼から夕方にかけて雨が降るので、旅先であれば移動距離の短縮や旅の一時中断を判断するのに役立ちます。
また、夕焼けが見える場合で西側の空が晴れていれば、それ以降は晴れが続きますよ。
日本の天気が西から東に変化していくため、気象学の根拠も十分です。
【夕日スポットの紹介】
旅先では様々な夕日スポットへ足を運びますので、下記記事で紹介します。
【ことわざ3】飛行機雲が広がると雨
空に飛行機雲が残っていたり、広がっていたりすると雨になります。
そもそも飛行機雲とは、飛行機から排出された排気ガスに含まれる水分が、気温の低い上空で冷やされた水滴や氷の粒ですね。
上空が乾燥していれば、飛行機雲の水分が拡散されやすいので、すぐに消えます。反対に湿った状態であれば、飛行機雲はいつまでも残りますよ。
つまり、雲ができやすい大気の状態は、天気が崩れやすいのです。
旅の道中で、飛行機雲が30分以上残っているのを見かけたならば、もうすぐ雨が降るかも知れないので、雨宿りができる場所を急いで探した方がよいかも知れません。
【ことわざ4】星が瞬いていると雨が降る
低気圧が近づいてくると、暖かい空気が流れてきますね。そういう日には、星が瞬(またた)いて見えるようになります。
低気圧の前面の温暖前線付近では、温かい空気が上空に流れ、地表面付近との空気の性質が異なってくることから起きる現象ですね。
つまり、暖かい層と冷たい層それぞれ違った空気層による光の屈折によってそう見える。
星がキラキラ瞬いたら雨が降るといわれるのも納得です。
【ことわざ5】朝露がおりると晴れる
天気の良い朝には、草の葉に露がつきやすいですね。露とは、空気中の水分が凝結して出てきた水滴のこと。
この露が作られるメカニズムは、高気圧圏内で良く晴れて、風のない夜に放射冷却がおきるときに地表面が冷やされて朝に発生します。そのため、地表面付近にある草の葉に露がつきやすいのです。
芝生広場などでキャンプをしている時に、朝露を見かけたら、その日は晴れると予想できるので嬉しくなりますね。
【キャンプに関する話】
旅先ではキャンプ場で宿泊することもありますね。そこで下記記事では、キャンプに関係する話を紹介します。
【ことわざ6】梅雨明け十日
梅雨の間は、梅雨前線が日本付近を停滞してるのは、誰もが知っているでしょう。
梅雨が明ける時には、太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨前線は北に押し上げられて消滅に至るわけですね。
その後、10日間は安定した夏空が続くことが多いので「梅雨明け十日」といわれています。
この10日間は、旅や登山をする期間としてねらい目ですよ。ただし、暑さにまだ体が慣れていないこともあるので、無理はしないように。
【夏場のサイクリング】
夏場のサイクリングは、気温が高く熱中症にかかりやすいため、色々準備が必要です。下記記事では、夏場のサイクリングに役立つ話を紹介します。
【ことわざ7】太陽・月に笠がかかると雨
太陽や月に薄い雲がかかっている状態は、低気圧本体の雨雲が近づいている証拠です。日かさ・月かさが作られるメカニズムを知ると納得できますよ。
低気圧からは、温暖前線と寒冷前線が伸びており、この温暖前線の影響で暖かい空気が上空に昇っていきます。
すると、低気圧付近には空全体を厚く覆う暗灰色の乱層雲が広がり、そこから離れたところには、どんよりとした曇りによくみられる高層雲が作られます。
更に離れたところには、遠く白いベール状で薄く陰影のない巻層雲ができますね。
この巻層雲が出るところに日かさ・月かさが作られるのです。
調べたところ約70%の確率で雨になるそうなので、旅の道中で見かけたら雨宿りができる場所へ急いで退避しましょう。
【ことわざ8】暑さ寒さも彼岸まで
普段から「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざはよく耳にしますね。
意味するところは、冬の寒さも春の彼岸までにはやわらぎ、夏の暑さも彼岸までにはしのぎやすいことを表しています。
彼岸とは、春は春分の日、秋は秋分の日の前後3日の1週間の期間です。
近年、桜が咲いても肌寒かったり、10月前後まで厳しい残暑が続いたりするので、昔と比べて明らかに季節感がズレている。
そう思っている人は、私だけではないでしょう。これも地球温暖化の影響ですね。
【ことわざ9】煙が東になびくと晴れ
旅の道中で煙突が見える町へ訪れたら、煙突から立ち上る煙の向きに注目して下さい。
煙が東に流れていれば、西側から風が吹いており、西に流れるときには東側から風が吹いています。高気圧と低気圧が近くにある場所では、高気圧の方から低気圧の方へ向けて風が吹きますよ。
つまり西側から風が吹く場合は、観測地点よりも西の方向に高気圧があるといえる。やがて高気圧がやってくるため、今後は晴れるということです。
反対に東の風が吹く場合は、低気圧が近づいているといえるでしょう。
【ことわざ10】鐘の音がよく聞こえたら雨
お寺などで鐘の音がいつもより良く聞こえてきたら、雨が降る前兆かも知れません。
上空には、温暖な空気の層がある可能性があり、温暖な空気は音を反射する性質があります。
つまり遠くの音がよく聞こえるというのは、上空に向かってきた音を地上に向けて跳ね返しているのです。これは空が曇っていても同様ですよ。
旅の道中で鐘の音だけでなく、電車の走行音や船の汽笛など遠くの音がよく聞こえてきたら、用心しましょう。
まとめ
日常生活や旅に出かける際には、天気予報を信用してその日の行動を考える人も多いでしょう。
現代の気象予測には、常に最新テクノロジーが反映されるので、予報の精度は年々向上しています。
それでも近年世界規模での気候変動の影響で、ゲリラ豪雨といった局地的な雨まで100%の確率で事前に分かるのは困難ですね。
天気予報だけでなく、本記事で紹介した天気のことわざも取り入れると、更に精度が増しますよ。天気のことわざが、現代まで残っているのは、それだけ信頼性が高いからです。
旅の道中では、空や山などの移り変わりの変化を感じ取り、その後の行動の判断材料に役立てましょう。