自転車のホイールには、たくさんのスポークがありますね。
1つのホイールにあるスポークの数は16~36本もある。これだけ多くあるのならば、1本折れただけでも大丈夫と思う方もいるのではないでしょうか。
そもそもスポークが折れるようなトラブルは、パンクなどと比べるとほとんど起こりません。
しかし、このトラブルの恐ろしいところは、放置したままでも自転車に乗り続けることができることだ。
「えっ、それならばほとんど影響がないのでは?」と思う方も多いはず。実は放置していると、ある時ホイールのバランスが崩れてしまい、落車してしまう可能性が高いので大変危険ですよ。
本記事では、スポークの折れた自転車が危険な理由やスポークが折れたときの対処方法、スポークが折れる主な原因について説明します。
スポークの折れた自転車は何が起こるのか
自転車のホイール1つに対してスポークの数は、ママチャリで32本以上あります。
一方、ロードバイクのようなスポーツ向けの自転車になると20本以下も珍しくありません。一般的に16~32本ほどのスポークがあるといえます。
スポークの数が多いほど耐荷重に強くなるのですが、ホイール自体が重くなったり、風の抵抗を受けやすくなるため多すぎるのも考えものですね。
こういう話を知ると、「スポークの数が少ないと大丈夫かな?」と思う方も少なくないだろう。
そこはプロの技術を信じても大丈夫ですよ。ホイールを開発しているメーカーは、スポークの数が少なくても荷重に強くなるよう設計しているので安心して下さいね。
では、スポークが1本でも折れるとどうなるのだろうか。答えは、隣接するスポークに過度な負荷がかかるため、この状態で乗り続けているとスポークが次々と連鎖的に折れるのです。
こうなってくると、リムが部分的に歪んでしまい制御不能になる。つまり、走行中に落車する可能性が高くなります。
安全性を保つためには、スポークが1本でも折れたならば、放置しないで直ぐに修理しましょう。
スポークにかかる負荷を軽減する方法
ロードバイクやクロスバイクなどスポーツ向けの自転車は、スポークの本数が少ないため1本折れただけでも走行不能になると考えておこう。
一方、ママチャリであればホイール1つに対してスポークの数は、32本や36本と多いので1本折れた程度では何とか走れるものです。
けれど、そのまま走り続けていると、次第に被害が広がるので乗らないのが賢明ですよ。
体重が重かったり、自転車に荷物を載せているとスポークにかかる負荷は大きくなるので、折れやすくなる。特に後輪側には荷重がかかるため、スポークにかかる張力も増加しますね。
スポークにできるだけ負荷を減らせる簡単な方法として、タイヤの空気圧を適切に保つことが大事。
適正な空気圧であれば、タイヤがサスペンションの役割を果たしてくるので、スポークにかかる負荷を軽減してくれます。
また、スポークの強度を上げる方法もある。太め目のスポークや強度の高い素材を使うと効果的です。さらに手組ホイールを採用して、スポークの数そのものを増やすと良いですよ。
ちなみに、ステンレスのスポークは硬いのですが、必要以上の力が加わると鉄よりも折れやすくなる。
スチール(鉄)のスポークは、必要以上の引っ張りに対しても切れにくくタフですね。しかし、鉄なので錆びやすいのが欠点といえます。
スポークの素材は「スチール(鉄)、ステンレス、アルミ、チタン、ナイロン樹脂、カーボン」など色々ある。
スポークの折れた自転車に乗ってもよいのか
サイクリングの最中にスポークが折れたならば、乗るのをやめて近くの自転車ショップへ自転車を手押しして運ぶのが基本です。
市街地であれば、1時間以内に町の自転車屋を見つけることもそんなに難しくないと思う。手押しするのが面倒くさいと思いますが、そこはグッと我慢して自転車に乗るのは避けよう。
たとえ5分、10分のような短時間でも自転車に乗っていると、被害が大きくなる可能性があり、結果的に転倒リスクが高まります。また、被害が大きくなると、ダイレクトに修理費用が大きくなるぞ。
なので、素直に手押しするのが正しい判断ですね。
しかし、手押しができない状況というのは普通にあるものだ。たとえば、峠や山道を走っているのであれば、近くに自転車ショップなんて見つからないでしょう。
5km以上も市街地から離れていると、歩くのがとてもつらい。歩けなくはないけど歩きたくないと思う方が大半だと思う。これが10km以上ともなれば、絶望感を感じます。
自走できない場合に備えて、ロードサービス付きの自転車保険に入っていると心強いですね。
スポークが折れた時の応急処置
作業を行なう前に、まずは安全な場所へ自転車を移動させましょう。
そして、折れたスポークの左右に位置する折れていないスポークにテープや紐で固定する。これだけOK。どうですか、簡単でしょ。
折れたスポークがプラプラと遊ばせておくと、走行中に二次被害を起こす可能性があるのでそれを防ぐのが目的です。
もしスポークがグニャリと曲がるのであれば、折れてないスポークに直接巻き付けてもいいですよ。この状態で自転車ショップへ持ち込みましょう。
また、手押するのが難しい距離であれば、一時的ですが自転車に乗れるようにする方法があります。決しておすすめはしませんが、非常手段として覚えておこう。
その方法とは、折れたスポークに添え木を使うこと。添え木は道端に落ちている枝でも良いですが、割り箸が大きさ的に丁度良い。
添え木をして折れたスポークをテープでグルグル巻きにします。使うテープは、布テープ・ビニールテープ・セロハンテープなど重ねられるものを使用して下さいね。
重ねて巻くことで強度が強くなります。ちなみにガムテープは、重ね巻きに向いていません。
折れたスポークは最後に破棄するのですから、あとからテープを剥がす必要はないので割り箸が隠れるぐらいの量を使おう。そうすれば、強度がしっかりするので安心感があります。
この方法を使うならば、走行中は徐行すること。そうすれば、何か違和感を感じた時に直ぐに停車できます。あくまで非常手段なので自己責任で行って下さいね。
スポークの交換費用はどれくらい
スポークの値段そのものは安く、スチールやステンレス製であれば1本100円程度しかかかりません。
お店によって工賃は違ってくるので、スポーク代を含めて1,000~3,000円ほどみておこう。
ロードバイクなどスポーツ向けの自転車では、完組みホイールを使っている人が多いと思いますが、純正のスポ―クでなくても良ければ直ぐに修理ができる可能性が高いです。
お店の在庫にあるスポークを使って修理するため、30分もしない内に修理できるものだ。けれど「振れ」などが出ていると修理時間がかかり、料金も上乗せになるのは覚悟しておきたい。
スポーツ自転車は、ホイールの脱着が簡単なので、ホイールだけで持ち込んでもOK。
一方、ママチャリでは車輪を外すのが大変なので、スポーク交換はどうしても割高となる。なので、修理代が3,000円以上になるのも普通です。
スポークが折れる主な原因は金属疲労
スポークが折れてしまう原因は色々ありますが、主な原因は「金属疲労」が多いです。
自転車の走行中には、常に張力を受け続けているので、時間が経つと金属が徐々に劣化するのは避けれません。
そういう理由のため、すぐに影響が出てくるものではなく、数年間乗り続けていないと発生しないですね。
しかし、自転車を屋外に保管していたり、直射日光が当たる場所で保管したりしていると経年劣化の進行は早まるものだ。自転車に乗らないときの扱い方に気を付けよう。
また、体重や荷物が重いとスポークに負担がかかりやすいので、折れやすくなる。そのため、定期的なメンテナンスが大切ですよ。
材質により、以下の走行距離で寿命を迎えるといわれていますので、ぜひ参考にして下さいね。
- アルミ :10,000~15,000km
- カーボン ;20,000km
- ステンレス:30,000~40,000km
まとめ
自転車のスポークが折れる主な原因は、経年劣化によるものなので避けようがありません。
ある日突然に訪れるトラブルなので、気が付いたならば絶対に乗らないのが吉。そのまま乗り続けていると、落車してしまう可能性が高いです。
1本でも欠けると影響は大きいので、冷静に対処して下さいね。二次被害を防ぐためにも応急処置の方法はしっかりと覚えておきたい。その後は速やかに自転車ショップへ持ち込んで修理を依頼すること。
ちなみに、必要な工具と予備のスポークがあれば自分でも交換できますが、技術や経験が足りないと均等なテンションで締めるのが難しいですよ。
なので「餅は餅屋」という言葉があるように、プロに任せましょう。