岡山県北部の鏡野町には、西日本屈指の紅葉スポット「奥津渓(おくつけい)」があることを知っていますか。
また、この地は美作三湯の一つに数えられている「奥津温泉」が有名ですね。奥津温泉の温質より、随一の美人の湯として知られています。
絶景の紅葉と良質の温泉の両方を、ともに堪能できる観光地が奥津ですよ。
日本全国には、数多くの紅葉の名所がありますが、紅葉とともに自然の造形美を楽しもうとなると、おのずと場所が限られてきます。
奥津渓では、遊歩道を歩きながら色鮮やかな紅葉に目を輝かせたり、渓谷に流れる清らかな水流に、心地さを感じますね。
本記事では、岡山県を代表する紅葉スポット「奥津渓」の見どころを紹介します。
西日本屈指の紅葉スポット「奥津渓」とは
奥津渓(おくつけい)は、岡山県苫田郡鏡野町に位置しており、奥津温泉下流の3kmに渡り流れる吉井川沿いの渓谷です。
その3kmの間には、変化の富んだ素晴らしい渓谷美が見て取れますよ。
岡山県を代表する紅葉の名所として、毎年約10万人の観光客が訪れる人気の観光地となっています。
春にはシャクナゲ・コブシ、ツツジの花が咲き、夏には新緑を遊歩道を散策しながら楽しめますね。もちろん一番のハイシーズンは秋の紅葉でしょう。そして、冬には、樹氷と雪景色を楽しめます。
1年を通じて風情あふれる景観を漫喫できるが、実に素晴らしい。
今でこそ観光地として人気が高いですが、もともと奥津渓一帯は、アクセスが悪く、一般の人たちには、あまり知られていない場所でした。
1914年(大正3年)に陰陽連絡道(今の国道179号)が開通したことで、その存在が明るみになり、脚光を浴びるようになった次第です。
1932年(昭和7年)4月19日には、国の名勝に指定され、今に至ります。
【周辺の見所】
奥津渓の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
【見所①】遊歩道を歩きながら彩り豊かな紅葉を鑑賞
奥津渓の楽しみ方の1つには、川沿いに整備された遊歩道の散策があります。
紅葉はもちろんのこと、花崗岩の柱状節理と浸蝕によって形作られた自然の造形美が見事ですよ。
特に川床の岩盤にできた甌穴(おうけつ)群は、全国でも類を見ない希少なもの。その規模の大きさから「東洋一の甌穴」といわれています。
甌穴とは、水流などにより川底にできる丸い穴のことですよ。奥津渓では、約50万年前に形成されたとか。最大級のものでは、直径5m・深さ3mにもあるという。
うん、人がスッポリ入ってしまう大きさにビックリします。また、水辺を歩いていれば、紅葉の美しさが一際アップしている感じがするかも。
それに、自然にマイナスイオンを感じ取れるので、いつの間にかリラックスしていますよ。
「目の覚めるような絶景」が広がる奥津渓は、多くの人々を虜にしてしまう魅力にあふれています。
そんな景色をダイジェストで紹介しますね。
心奪われるような景色が広がります。緑から赤や黄色までのグラデーションがとても美しい。
遊歩道の中には、苔がよい味を出している場所がありますよ。
本当に「渓谷 + 紅葉」は最高のタッグではないでしょうか。
美しい奥津渓の写真を眺めていると、今まで以上に興味が深まるでしょう。
今年の紅葉シーズンには、奥津渓へ足を運んでみては如何でしょうか。
【紅葉スポットの紹介】
旅で訪れた紅葉スポットを、下記記事で紹介します。
【見所②】奥津渓八景
名勝・奥津渓には、「奥津渓八景」と呼ばれる鑑賞スポットが存在しています。
せっかく奥津渓へ訪れたならば、見て回らないのは実にもったいない。
尚、八景の中には、事前に般若寺温泉へ予約していないと見られないものがありますので、注意が必要ですよ。
私はそのことを当日に知って、肩を落としてしまいました。次回訪れる時の楽しみが増えたと思っているので、よしとしましょう。
それでは、奥津渓八景を以下にまとめます。
名称 | 予約要 | 概要 |
---|---|---|
奇岩の天狗岩 | 花崗岩が露出し、あたかも天狗を思わせるような奇岩 | |
女窟の断崖 | 天狗岩の下部にある一大奇観、洞窟に「大釣大明神」と「大師様」が祀られている | |
琴渕 | 赤松の武将・大河原将監が愛馬と共に身を投じた場所のこと、琴の音に似た音がする事から「琴渕」と呼ばれている | |
臼渕の甌穴群 | 全国的にも非常に珍らしい甌穴の浸蝕現象が見られる、日本を代表する甌穴として地質学上価値あり | |
鮎返しの滝 | 要 | 花崗岩の凹地を8~10mの瀑布となって流れ落ちている、水流の強さから鮎が上流へ登れない |
笠ケ滝(井字の滝) | 花崗岩の河床が割れ目に沿って、水の流れが右左曲折して流れ、なだらかに瀑布となって渕に落ちている | |
般若寺の太子岩 | 要 | 般若寺の前庭に自然の形造った花崗岩の大盤石があり、太子堂が建立されている |
石割桜 | 花崗岩の割れ目を押し広げるほどの成長力でしたが交通に支障を来たしたため伐採、現在2代目が植えられている |
鮎返しの滝と般若寺の太子岩については、般若寺温泉の私有地を通るため、予約しないと通過できません。
これらの八景の一部を紹介します。
こちらの階段が奇岩の天狗岩の入口です。入口前には、案内板があるので、直ぐに見つかるでしょう。
足元は決して良くありませんが、慎重に階段を上ること約2~3分程度で「奇岩の天狗岩」を発見。
うん、大きいですね。まさに天狗岩の異名に相応しい。五角形や六角形の柱状になっている規則的な地形(柱状節理)が見物です。
更に大岩の下部に見られるのが「女窟の断崖」ですね。
開放的な洞窟とはいえるほどの奥行きはありません。どちらかというと、天狗岩の一部のように思えます。
そこには、「大釣大明神」と「大師様」が祀られていますよ。
眼下の景色は、周りの木々に視界が遮られるため、いまいちかな。
こちらは、笠ケ滝です。
正直、パッと見た目では滝なのか直ぐに分かりませんでしたが、落差の割に轟音を立てているので滝に間違いないでしょう。
この滝がある場所を少し北上すれば、石割桜があります。
春ではないので、桜は咲いていませんでしたね。心の目で咲いている桜を想像すると、中々良い感じです。(笑)
【絶景スポットの紹介】
〇〇八景と呼ばれるところは、絶景スポットが多いですね。下記記事では、そんな絶景スポットを紹介します。
【見所③】奥津もみじ祭りとOKUTSO芸術祭
奥津渓が紅葉で彩られる頃になると、奥津一帯でお祭りが開催されます。
初日には、オープニングイベントが開催され、夜になるとライトアップが実施されますよ。昼間とは、また違った幻想的な渓谷美を堪能できます。
奥津渓沿いの道路には、地元の産品が味わえるテント村が出店していますので、美しい紅葉を眺めながらの食べ歩きが楽しめる。うん、これはいいですね。
例年ですと、10月下旬から11月上旬にかけて、もみじ祭りが開催されます。
毎年10万人もの観光客が訪れるため、混みあうことは必至。ただし、平日は比較的歩きやすいです。また、奥津渓から約1.5kmほど北上すると、「道の駅 奥津温泉」がありますね。
私が訪れた日は、OKUTSO芸術祭が開催されていました。
奥津温泉の芝生広場や施設の回廊には、色取り取りの手ぬぐいアートが展示されていて、見ていて面白かったです。
何でも岡山県北の小学生やアーティストの方が描いているそうですよ。
この道の駅には、鏡野町観光協会がありますので、ここで奥津渓について情報収集を図りましょう。
尚、鏡野町観光協会には、美作三湯の観光大使を務める3人の温泉むすめが勢ぞろい。
関連グッズも売っていますよ。気になる方はチェック!
館内には、謎の人形も。形からしてオオサンショウウオと思われます。
この道の駅で焼かれていた、ヒラメの香ばしい匂いに誘われて、気が付くと一尾購入。
個人的には、ヒラメの塩焼きが食べられて幸せ。
「花より団子」ならぬ「紅葉よりヒラメ」かな。(笑)
【見所④】美人の湯として知られる奥津温泉
奥津渓の景観と共にお勧めしたいのが、奥津温泉です。
奥津温泉は、江戸時代に津山藩の湯治場として親しまれており、戦後には国民保養温泉地に指定されました。
泉質は、アルカリ性の単純泉で漂白成分が含まれていることから、お肌がスベスベなめらかになります。そのため、「美人の湯」と知られており、特に女性に大人気です。
また、化粧品メーカーが、この温泉の成分をもとに化粧水を作ったといいますね。
湧出量も毎分1000Lと豊かであり、山間の温泉街の雰囲気も素晴らしい。是非、1泊して行かれたら如何でしょうか。
尚、宿泊だけでなく日帰りの温泉も営業している「花美人の里」もありますね。
個人的に気になったのは、こちらの「温泉スタンド」。
美人の湯を持ち帰れるという。面白いですね。(飲用はできません。)
奥津温泉の中心にある奥津橋には、足湯とかつての露天風呂があります。
この元露天風呂に使われていた場所は「洗濯場」とも呼ばれていますね。
かつて、付近の山々に生息していた熊や狼などを見張りながら、家事をこなす必要があったため、立った状態での「足踏み洗濯」が行なわれていた歴史があります。
今では期間限定ですが、洗濯場で足踏み洗濯が実演されますよ。
赤い腰巻姿の女性が、テンポよく足先で踏み洗う姿が見られる。観光名物になっていますね。
飛び入り参加が可能なので、旅の思い出にチャレンジしてみては如何ですか。
奥津温泉 名物「足踏み洗濯」
- 期間 3月上旬から12月上旬の奇数週の日曜日に開催(荒天中止)
- 時間 9:00~9:15
- 場所 奥津橋下足踏み洗濯場
奥津渓へ訪れる場合の注意事項
奥津渓は、自然観光スポットとして、1年を通じ多くの観光客が訪れます。
渓谷内を散策するに当たり、以下の注意事項を守りましょう。
- 火気厳禁(自然環境の保護及び災害防止のため)
- 河川での遊泳は禁止(水難事故が発生するなど危険な渕や渓流が多いため)
紅葉シーズンでは、もみじ祭りが開催されており、その期間は車やバイクの交通規制がかかります。
交通規制とは、平日では一方通行になりますが、土日曜日は通行禁止になるので、注意するように。また、車道にはコーンが設置されていますので、歩く場合は、コーンの内側を歩きましょう。
川沿いに整備された遊歩道を歩く場合は、濡れて滑りやすい箇所があるので、スニーカーや運動靴をお勧めします。
奥津渓の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県苫田郡鏡野町奥津川西 |
電話番号 | 0868-52-0711(鏡野町観光協会) |
【アクセス】
- JR津山駅から奥津温泉または石越行き中鉄バスに乗って、小畑停留所へ下車後、徒歩約10分(バスの乗車時間は約50分)
- 中国自動車道「院庄IC」から車で約25分
奥津渓の駐車場
もみじ祭りの期間中は、鏡野奥津振興センターに無料の臨時駐車場ができます。(普通車 250台)
そこから「もみじバス」(有料)を利用して、奥津渓を周遊するプランが無難ですね。
個人的には、「道の駅 奥津温泉」で駐車して、鏡野町観光協会でレンタサイクルをかりて奥津渓へ向かう方法をお勧めします。
まとめ
奥津渓は、1年を通じて風情あふれる景観を漫喫できる絶景スポットです。特に紅葉シーズンが素晴らしく、毎年多くの観光客が訪れます。
決してアクセスが良い場所ではありませんが、それでも奥津渓には、人々を魅了してやまない見所が多いですよ。
紅葉シーズンになると、もみじ祭りが開催され、夜間にはライトアップもされます。車やバイクの交通規制などがありますので、訪れる前には事前に情報収集を忘れないように。
紅葉シーズンには、奥津温泉に1泊して、奥津渓の紅葉を楽しんでみては如何でしょうか。