自転車で夜間走行する際、ライトの明るさが気になりますね。
ライトが暗すぎると、夜道でスピードを出すのはかなり怖い。それ以前に走れない人も多いでしょう。
実はライトの明るさには、基準が決まっています。ただライトを取り付けているだけではNG。飾りではないのだから、しっかり役立てたいと思うもの。
明るさの単位は、よく「ルーメン(lm)」が使われている。しかし「ルーメンとは何?」「どのレベルが必要なのか分からない」と困っている人も少なくないと思います。
この明るさのレベルを把握していれば、ライトを購入する際、失敗は少ないですね。
本記事では、自転車用ライトに必要な明るさの目安を、シチュエーション別に解説します。
明るさの単位「ルーメン(lm)」とは
明るさの単位は、「ルーメン」「カンデラ」「ルクス」という単位を使っています。
「何が違うの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。そこで、それぞれの違いを以下にまとめました。
- ルーメン(lm) 光源からの光の強さ(光度)を表す単位
- カンデラ(cd) 光源からの光の量(照度)を表す単位
- ルクス(lux) 照らされた場所の光の量を表す単位
自転車用ライトの場合、ルーメンを用いることが多い。つまり「光度」とさえ覚えておけば分かりやすい。
この数値が高ければ高いほど、光源からの光が強くなるので、周辺を明るく照らすライトといえる。ライトは「明るい=正義」なので、できるだけ明るいものを選べば失敗しないですね。
自転車用ライトの明るさの基準
200ルーメン(lm)の懐中電灯を手に持って、暗くした部屋で照らしてみると、十分に明るく感じます。
では、この懐中電灯を自転車に取り付けて走りだすとどうでしょうか。思ったより明るくないと感じるでしょう。徒歩では気にならなかった明るさが、速度が加わることで明るさが足りなくなる。これ重要なポイントですよ。
また、ライトから出る光の強さは均一ではありません。必ず明るい部分と暗い部分が混在する。自転車用ライトは、中央部が明るく、それ以外のところは徐々に暗くなる製品が多いです。
光の中心を数メートル先の地面に点灯して使うのが基本で、そうすることで、夜間に段差や障害物、歩行者などを早期に発見できます。
道路交通法では、前方を照らすフロントライトには、「前方10m先の障害物を確認できる明るさが必要」と定められている。つまり、これが明るさの基準ですね。
走行中、最低でも10m先の路面状況がわかる明るさを、確保しましょう。
フロントライトの光が強すぎるしまうと、対向者を眩惑させてしまい事故を誘発する危険性があります。なので「自分の視界の確保」と「対向者への配慮」を両立させる使い方が重要となる。
走るシチュエーションによっては、ライトの明るさを調整するのが無難です。次にシチュエーション別にライトの明るさの目安を説明します。
上部の光をカットする防眩(ぼうげん)機能のついたライトならば、対向者が眩しく感じにくくなるので、明るいライトでも迷惑にならない可能性が高まりますね。
【自転車用ライトの紹介】
自転車用ライトのおすすめを、下記記事で紹介します。
ライトの明るさの目安をシチュエーション別に解説
ライトの明るさのレベル別に、自転車で走るシチュエーションを以下にまとめました。
- 200lm 市街地走行がメインで低速走行
- 400lm 街灯の少ない道を走る
- 800lm 街灯のない道を走る
- 1200lm 街灯のない道で高速走行
それぞれについて説明します。
200lm 市街地走行がメインで低速走行
市街地など街灯が多い場所では、自転車のスピードが低速(時速15km以下)であれば、200lmの明るさで十分に走行可能です。
スピードを出すのであれば、200lmでは正直不安すぎる。夜間は昼間以上に慎重に走るのが丁度よいので、安全のためにもスピードを抑えて走ろう。
市街地であれば、ある程度地面を照らして、対向者へ自分の存在をアピールできる明るさとして、200lm前後は最低限確保したい。
昔、180lmの懐中電灯をハンドルに取り付けて、自転車通勤していた時期がありましたが、十分に役立ちました。
200lm前後のライトは、コンパクトで軽量のものが多いので、ハンドルに取り付けスペースが少なくてすむケースが多いですね。
400lm 街灯の少ない道を走る
夜間に400lmの明るさがあれば、路面にコントラストを付けてくれるため、200lmと比較してより安心して走行できます。
路面の質感が浮かび上がり、10m先の路面も見えやすい。そのため、前方の歩行者や障害物をいち早く発見できる。
明るいだけでなく、照射範囲も広がるため、総じて扱いやすいですね。街灯の少ない道を時速20km台で走るのならば、このレベルは確保しておきましょう。
ちなみに、私が最もよく使う明るさが400lmですよ。この明るさをベースに、シチュエーションに合わせて明るさを調整して走っています。
400lm前後のライトは、明るさと本体の大きさや重量とのバランスが取れているものが多いですね。
800lm 街灯のない道を走る
800lmの明るさがあれば、ナイトライドなど夜間のサイクリングに十分使用できます。
街灯がない山道や峠、海岸線などを走るのであれば、800lm以上は絶対に確保しておきたい。前方を照らすだけでなく、その周辺も広範囲に照らしてくれるものが多いので、安心感が半端ないですよ。
街灯がない道は、月明かりがなければ本当に真っ暗なので、自転車のスピードを抑えるように。800lmの明るさでも、時速20km前半をおすすめしたい。
800lmの明るさは、とても正面から見ていられず、対向者の事故を誘発する可能性がある。そのため、使いどころを考えるのが大事です。
ようするに、車のハイビームとロービームの使い分けと同じですよ。市街地など人通りが多いところでは、使用しないのが無難でしょう。
また、このレベルのライトは、バッテリー容量が大きくなるので、重量が気になる人も出てくると思います。
1200lm 街灯のない道で高速走行
1200lm以上あれば、自転車のスピードを出していても、路面の状況がハッキリとわかります。まるで曇天の昼間のような明るさですね。
たとえば、見落としやすいアスファルトのひび割れを始め、マンホールの蓋や小石なども遠くから十分に認識できるので、安全なのはこの上ない。
ナイトライドを十全に楽しむならば、1200lmの明るさを欲しいところ。この明るさならば、時速30km前半のスピードを出しても十分走れます。
ちなみに、私は一時期1200lmのライトを使っていた時期がありますが、明るすぎて困ることもありました。その理由は、800lmのライトと同じで、対向者がかなり眩しく感じてしまうこと。
それに、時速30km以上を出して夜間走行するなんて、ほとんどありませんので、そういう意味では宝の持ち腐れでしたね。
また、このレベルのライトの重量は、バッテリーを含めて重く感じるので、気になる人も多いでしょう。
走行スピードに応じてライトを明るくしよう
ライトの明るさと自転車のスピードには、関係性があります。
それは、走行スピードに応じて、必要なライトの明るさは比例することです。スピードが上がるほど、1秒間に進む距離は長くなるので、前方を照らす距離も長くなければ、安全性を損ねてしまう。
このことから、スピードを出して走るのならば、基準となる10m以上の路面状況が分かるようマージンを取っておかなければ安全とはいえない。
安全マージンが少なければ、障害物に気付いた時には、スピードが速すぎて対処できずにぶつかった、なんて普通にありえる。これは怖いですよ。
あなたの走行スピードにあう、明るさのライトを使用するよう心がけましょう。
まとめ
本記事では、自転車用ライトに必要な明るさの目安を、シチュエーション別に説明しました。
最期にもう一度、説明した内容を以下にまとめます。
- 200lm 市街地走行がメインで低速走行
- 400lm 街灯の少ない道を走る
- 800lm 街灯のない道を走る
- 1200lm 街灯のない道で高速走行
夜間は昼間と違って、視野が狭くなりがちなので、走るシチュエーションによって必要なライトの明るさは違ってきます。
また、明るさは自転車のスピードに影響するので、スピードを出して走るならば、より明るいライトが必要です。