自転車通勤や通学を行なう方が、憂鬱になるのは「雨」ですね。もっとハッキリいえば「天敵」といっても差し支えないでしょう。
雨天時では、晴れているときと比べてリスクが跳ね上がります。雨の日は、自転車通勤・通学をしないのであれば、問題はありませんが、諸事情で自転車に乗らなければならない場合は、意外と多い。
そんな状況の中、何も対策を施さずに自転車を走らせていると、会社や学校へ向かう道中で危険な目にあう可能性は高まるものです。
本記事では、雨天時に自転車通勤や通学する際に想定されるリスクと、安全対策について説明します。
想定されるリスクと安全対策
雨天時に自転車通勤や通学する理由は人それぞれですが、危険性が高まる要因がたくさんあるので気を付けたいですね。
たとえば、目に降りかかる雨により前方が見えにくくなったり、路面が濡れて滑りやすくなっているため、転倒する危険性が晴れの日に比べ、大幅に高くなる。それに、自転車のブレーキ性能が落ちることもあります。
だからこそ、事故のリスクを避けるためには、晴れの日よりスピードをかなり落としたり、前方を走る自転車との車間距離を普段より十分にとるように努めよう。
特に最も危険なのは、雨天時の夜間走行です。激しく雨が降っていると、ライトの光が弱ければ前方を確認するのは難しい。さらに車のドライバーからしても、自転車の発見を遅れる可能性があり、追突されるリスクが高まります。
なので、日が落ちる前からテールライトを点けたり、目立つ場所にリフレクター(反射板)を付けたり、目立つ色のレインウェアを着るなど様々な工夫が大事です。
ここまで説明した内容から、雨天時に自転車通勤・通学する際、想定される主なリスクを以下にまとめました。
- 視界不良
- スリップ
- ブレーキがききにくい
それぞれについて、くわしく説明します。
視界不良
雨が強まるほど視界が悪くなります。これは、自転車だけでなく、傘を差して歩く歩行者やウインドウに水滴が付く車を運転するドライバーにもいえますね。
つまり、自分が見にくくなるだけでなく、自分が見られにくくなるわけですから、かなりリスクが高いですよ。
なので、自転車のスピードは、晴れの日よりかなり遅いスピードで運転するように。たとえば、普段時速20kmで走っているのならば、6割ほどの時速12kmで走ると余裕をもって運転できます。
また、レインウェアのフードをかぶると視界が狭くなりがちですが、フードをかぶらないと、目に雨が入ることがあり、より視界が悪くなる。
特に眼鏡をかけていれば、レンズに雨がつくと、レンズを拭くまで視界がずっと悪い。ここで注意して欲しいのは、運転中にレンズを拭く瞬間は、片手運転と一瞬視界が遮られるので、思わぬ事故にあう可能性があります。レンズを拭く時は、自転車を止めるのを心掛けましょう。
スリップ
濡れた路面は滑りやすくなるものですが、特に危険なのはマンホールや排水溝の金網など金属面を通過する時です。また、道路の白線の上を通過する時も滑りやすいですね。
これらは思った以上に滑りやすく、普通に歩くだけでもスリップすることも少なくありません。
そんな状態ですから、なるべく避けるように運転しよう。
どうしても避けれない場合は、自転車を傾けずに真っ直ぐ通過するように。その際、ペダルを漕いだり、ブレーキをかけるのは厳禁ですよ。
また、路面が濡れている状態で、急ブレーキをかけると、スリップしてしまう可能性がある。それにタイヤがグリップできなくなると、転倒リスクが高まります。
なんにせよ、急ブレーキをかけなくてよいように常にスピードを落として、マンホールや白線などを避けて運転しましょう。
ブレーキがききにくい
雨天時はブレーキの効きが悪くなります。これは、リムとブレーキシュー、タイヤと路面の間の摩擦が雨により減るからですね。
そのため、普段と同じ感覚でブレーキをかけていると、狙った場所に止まれません。感覚的には、制動距離は普段の2倍以上かかるイメージかな。
たとえ雨に強いといわれるディスクブレーキだとしても、雨天時にスピードを出さないのが無難です。それは、ブレーキが効いたとしても、タイヤのグリップを失えば転倒してしまうから。
安全走行するためにも、スピードを抑えて走るのが一番の解決策となります。
事前に準備しておきたい安全対策
通勤通学がバスや電車など自転車以外で代用できるのならば、雨天時は自転車に乗らない方法を考えてみるのもよいですね。
自転車しか手段が思いつかなければ、いつもより時間に余裕を持って自宅を出るなど対応しよう。また、ゲリラ豪雨など突発的な雨に対応できるよう、常に雨を想定した装備を整えておきたい。
そこで、雨を想定した安全対策を以下にまとめました。
- レインウエアを準備する
- 耐水性の高いバッグを使う
- 泥除けをつける
それぞれについて説明します。
レインウエアを準備する
レインウェアは、自転車向けのものを使うと便利です。普通の雨具ですと、背中やお尻が濡れやすかったり、通気性が良くないものであれば、蒸れてしまいます。
なので、自転車に乗ることを前提に作られている性能の高いウェアが安心。
自転車用のレインウェアは、大きく分けるとセパレートタイプとポンチョタイプに分かれる。どちらも一長一短があるため、自分のあったものを選ぼう。
また、レインウェアは、常に携帯できるコンパクトサイズがおすすめです。常に携帯することで、突然の雨でも心配ありません。バッグに入れて持ち運ぶようにしましょう。
耐水性の高いバッグを使う
雨天時に自転車で走るのならば、耐水性(防水性)の高いバッグを使うのがおすすめ。特に完全防水のバッグを使いたいですね。中に荷物を入れておけば、完璧に雨をブロックしてくれます。
たとえば、ロードバイクやクロスバイクで通勤通学するならば、オルトリーブのサドルバッグ2を使ってみてはいかがですか。
バッグの容量は4.1Lですが、完全防水のコンパクトサイズで使い勝手がよいですね。くわしくは、こちらの記事で紹介します。
また、リュックなどバッグを背負うのであれば、背負った状態でも雨からバッグを守ってくれるレインウェアを身に付けよう。ポンチョタイプのレインウェアには、そのようなものが多くあります。
ドロヨケをつける
ドロヨケ(フェンダーともいう)は、ママチャリには標準装備されているので特に気にしなくても良いです。しかし、ロードバイクやクロスバイクには、基本的についていません。
雨天で自転車を走らすと、路面の水や泥をはね上げるため、それを防ぐドロヨケは必須になります。雨の降り具合にもよりますが、雨が止んだ後でも、しばらくは路面が濡れていますので、普段から装備しておくのが望ましいですね。
ドロヨケの中には、脱着可能のものもあるので、必要に応じて使い分けるとよいでしょう。
帰宅後に自転車のメンテナンスを行う
雨に濡れて帰宅した後は、自分自身のケアを終えると、自転車のメンテナンスを行ないましょう。
何もせずに放っておくと、自転車の性能が悪くなることも。そこで、以下に示すメンテンナンスを行なって下さい。
- 自転車の清掃
- チェーンに注油する
雨天時に自転車で走行すると、水に濡れたり、泥や砂が付着することが多いです。
これらが原因で自転車の部品の性能を下げたり、消耗を早めたりします。特に水分が付着した状態ですと、錆が発生してしまう。
できれば一度、水で泥や砂などの汚れをしっかり流した後で、ウエスできれい水分を拭きとろう。フレームやハンドル、ホイール、タイヤ、ギアなど大きな部品だけでなく、ネジのような小さな金属部分にも水分を残さないよう、丁寧に作業を行なって下さい。
また、水分が付着した状態のチェーンは、とても錆びやすいので、チェーンの注油は必須です。チェーンを綺麗に洗浄した後、一コマずつ丁寧に注油します。
注油後は、余分な油分をしっかり拭きとることを忘れずに。そして、清掃と注油が終わった後は、自然に乾燥させましょう。
傘さし運転は絶対にやめよう
自転車を運転する際、やってはいけない行為が傘さし運転です。そもそも道路交通法では、傘さし運転は禁止されています。
傘をさしながら運転すると、片手でハンドルを握るしかないため、バランスがとりにくくなる。また、傘の影響で視界も非常に悪いです。
そんな状態で、急に歩行者や車などが飛び出した場合、とっさに急ブレーキをかけるのは難しい。歩行者に衝突したり、転倒してしまうことは十分に考えられます。
そうなると、傘をさして運転していたことが理由で、過失が重くなる可能性が高いですね。
まとめ
本記事では、雨天時に自転車通勤や通学する際に想定されるリスクと、安全対策について説明しました。
最期にもう一度、想定されるリスクと安全対策を以下にまとめます。
- 想定されるリスク
- 視界不良
- スリップ
- ブレーキがききにくい
- 安全対策
- 自転車のスピードは、晴れの日よりかなり遅いスピードで運転する。(普段の6割程度のスピードで走れば余裕をもって運転可能)
- 事前に準備しておきたい安全対策
- レインウエアを準備する
- 耐水性の高いバッグを使う
- 泥除けをつける
雨天時の自転車通勤や通学は、リスクが高くなるため、十分な備えをしてから行ないましょう。また、雨が強い日は、できるだけ公共交通機関を利用するのをおすすめします。