日本三名橋に数えられている、あの有名な錦帯橋から城山山頂にそびえ立つお城が見えてきます。
そのお城が「岩国城」ですね。岩国城は、天下分け目の決戦であった関ヶ原の戦いの後に、吉川氏が山陽道の要衝に築いた山城ですよ。
標高約200mの城山(横山)山頂へは、ロープウェイで移動しよう。その後、軽い登山を楽しみながら岩国城へ。天守閣では刀剣や書画などを見学できる。
本記事では、ロープウェイを利用した岩国城のアクセス方法を中心に、岩国城の見どころを紹介します。
岩国城とは
岩国城は、山口県岩国市の城山山頂に位置し、蛇行した錦川を天然の外堀にしている山城です。
1608年(慶長13年)に初代岩国藩主・吉川広家(きっかわ ひろいえ)により築城されました。地の利を最大限に生かした天然の要塞でしたが、完成からわずか7年で、一国一城令を受けて廃城となった悲運の城といえます。
今の岩国城は、1962年(昭和37年)に再建されたコンクリート製のお城ですよ。ただし、その外観は南蛮造りという珍しい様式なので、日本の一般的なお城を見慣れた方は驚くかも知れませんね。
2006年(平成18年)4月には、「日本100名城」に選ばれました。
【周辺の見どころ】
岩国城周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
岩国城のアクセス方法は「ロープウェイ+登山」がおすすめ
岩国城には、吉香公園(きっかこうえん)内にあるロープウェイを利用して城山山頂へ移動し、徒歩約8分ほどの登山で辿り着きます。
錦帯橋のバス停からですと、ロープウェイ乗り場まで徒歩約15分、ロープウェイでの移動に約3分ほどかかるので、岩国城までの移動時間はトータルで約25分ほどはみておこう。
ロープウェイ乗り場までのおすすめの行き方は、錦帯橋を渡って吉香公園(きっかこうえん)へ入ることですね。
錦帯橋の入口前にある料金所では、「錦帯橋+ロープウェイ(往復)+岩国城」がセットとなったチケットを販売しているので、ここでお求めになるのが便利ですよ。
- 大人 セット券 970円(760円)
- 小学生 セット券 460円(350円)
- 小学生未満は無料
- 15名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金
吉香公園内は、飲食店やお土産屋が建ち並び、岩国シロヘビの館や柏原美術館など多くの見どころがありますので、岩国城の見学と合わせて訪れてみよう。
また、吉香公園の東側には吉香神社があり、かつてその周辺には、居館が建てられた生活の場でした。それでは、ロープウェイに乗るところから岩国城までの行き方を説明します。
吉香公園内のロープウェイで城山山頂へ移動
岩国城ロープウェイ山麓駅から出発します。15分間隔で運行しているため、たとえ乗り遅れても、それほど待たされることがないですね。
ロープウェイの運行スケジュールや料金は、以下の通りです。
- 運行時間 9:00~17:00(毎時0分・15分・30分・45分に発車)
- 運休日 ロープウェイ点検日
- 料金
- 大人 片道 330円、往復 560円
- 小学生 片道 150円、往復 260円
- 小学生未満は無料
- お問い合わせ 0827-41-1477(錦川鉄道株式会社 岩国管理所)
こちらは、ロープウェイの待機場所。目の前には、山頂駅がよく見える。見た目通り「結構のぼるな」という感想を持ちました。
ロープウェイを使わなくても、アスファルトの城山登山道が整備されているので、普通に歩いて登れます。
約1時間のハイキングコースなので、時間や体力に余裕がある方は、麓からの登山も悪くないですね。
ロープウェイの乗車時間は約3分ほど。そのため、あっという間に山頂駅へ到着しました。
つかの間の空中散歩を楽しみましょう。
【旅の移動手段】
旅先では車やバス、飛行機など移動手段の確保が大事になるので、関連する話を下記記事で紹介します。
山頂駅周辺の広場から錦帯橋を含む岩国市街の景色を楽しむ
山頂駅の周辺には、城山イベント広場があり、展望台が整備されています。
この展望台からは、岩国市街が一望できる。蛇行して流れる錦川が、瀬戸内海まで流れているのが分かります。
それに錦帯橋の五連アーチを上側から確認できますが、肉眼では小さいすぎるかな。
こちらは、カメラのズーム機能を使って撮影した写真。バッチリ錦帯橋の存在感が引き立ち、いい感じ。
周囲には、双眼鏡が設置されているので覗いてみよう。
また、広場には城山からくり時計があります。
15分間隔で作動し鵜飼音頭を見せてくれるので、見物してから岩国城へ向かってみてはいかがですか。
【カメラと双眼鏡に関する話】
旅の道中では、カメラと双眼鏡があれば色々便利です。下記記事では、カメラと双眼鏡に関する話を紹介します。
岩国城へ向かう2つの道、山道と広い道どちらを選ぶ?
岩国城へ目指して歩くと、分かれ道があり、入口前には「岩国城まで約300m 徒歩8分」と書かれた看板がありました。
この看板から「左側が広い道、右側が山道」ということ。どちらを選んでも岩国城へ辿り着きますが、道中の歩きやすさが全然違いますね。
広い道は、終始アスファルトで整備された歩きやすい道が続き、道幅も広く歩きやすい。なので、気軽に歩きたい方におすすめ。
一方、山道は道幅が狭かったり、路面は段差があったりするので、動きやすい服装で歩こう。ハイヒールは危ないので、運動靴やスニーカーを履いておくように。
山道は、本丸の大手門経由で天守を目指すルートとなるため、当時をしのばせる石垣があったりして、いかにも山城の雰囲気を存分に楽しめます。
足元に注意しながら歩かなければ、木の根っこにつまずき、転倒するかも知れないので気をつけよう。
ほぼ一本道を歩いていくと、「北の丸」へ向かう案内板がありました。右側へ向かえば北の丸へ辿りつきますが、これといって見るところがない広場でしたね。興味がある方は、足を運んでみて下さい。この北の丸をぐるっと回れば、広い道へつながります。
先ほどの「北の丸」へ向かう案内板を左側へ進めば、出丸跡へ辿り着く。そして、出丸跡を通過して階段を登ると冠木門を発見。ここが大手門跡ですね。
門をくぐり抜け、二の丸へ。そして本丸へ向かうと南蛮造りの天守が見えてきました。
広い道と山道は、それぞれのコースだけでしか見られない見どころがあるので、行き帰りに別々の道を歩くのをおすすめします。
ちなみに、私は山道を歩いて岩国城ヘ向かい、帰路は広い道を使いました。
【見所①】珍しい桃山風南蛮造りの「天守閣」
岩国城の天守閣は、4重6階の造りですが、他のお城ではあまり見かけない外観に驚きます。
それは、3重目の階が2重目より大きく張り出ており、第1印象はスマートさに欠けるように感じるかも知れません。けれど、この構造は「桃山風南蛮造り」という世界的にも珍しい造りですよ。
城マニアであれば、カメラのシャッターを切る指が止まらないと思います。ずっと眺めていると、この南蛮造りのお城はカッコよく見えてくる。白壁が美しく、その威風堂々とした佇まいが素晴らしいですね。
現在の天守閣は、鉄筋コンクリートで再建されており、中へ入るとそのことがよく分かりました。
天守閣では、刀剣や甲冑、武具などを展示しています。「防州岩国藩青龍軒盛俊」や「陸奥守藤原包保」など名刀をじっくり観察しよう。
その他にも、錦帯橋の模型や琵琶なども展示されていました。
個人的に面白いと思ったのは、絵が描かれた石を展示していること。デザインには、雷神・風神やスヌーピーなどバラエティーに富んでいます。
一通り展示品を見て回った後は、最上階へ向かおう。
最上階は、展望室となっており、錦川に架かる錦帯橋や岩国市街を一望できるのでお見逃しなく。
【お城の紹介】
旅先で訪れた様々なお城を、下記記事で紹介します。
【見所②】迫力ある「旧天守台」
天守閣から約50mほど離れたところには、ポツンと建っている石垣があります。それが旧天守台ですね。かつて天守閣は、この旧天守台に建てられていました。
下層は当時から現存する石垣であり、中間層を修復し、上部層は復元したものです。
ここで疑問に思いませんか。この天守台に天守閣を復元せず、わざわざ今の位置で復元したのは、なぜだろうと。
答えは、天守閣の最上階からの眺めで「あっ、なるほど!」と納得できました。
それは、眼下の景色をよく見渡せる位置に建てることで、私たち観光客を楽しませてくれるためですね。もはや戦乱の時代のような見張りのために城を築く必要はないので、平和な時代だからこそ、できることなのでしょう。
【見所③】荒々しさが感じれる「空堀」
天守閣の北側には、空堀が残っています。岩国城のように山頂に城郭を築き、防御を主体とした空堀を造るのは、全国的に見ても極めて珍しい。
幅は約19.6m、深さは約10mもあり本丸と北の丸を隔てていました。この空堀は、敵の鉄砲による攻撃を意識して造られた日本最大の箱堀構造なので、ぜひ注目してみよう。
この空堀を眺めていると、山城の荒々しさを感じ取れますね。
【見所④】脱出路をそなえた「大釣井」
本丸の西側には、水の手と呼ばれる城の水を確保する重要な場所がありました。その場所に「大釣井(おおつるい)」という井戸の跡地が残っています。
この井戸は、1609年に築城と同時に造られたもので、ただの井戸ではありません。非常時には、武器弾薬などを収納したり、敵に包囲され落城の危機にさらされた場合は、非常脱出路として使わるものであったという。
そのような側面を持った井戸を造るということは、関ケ原の戦いが終わった後でも、まだまだ戦国の世が続くと思われていたのでしょうかね。
岩国城の基本情報
住所 | 山口県岩国市横山3 |
電話番号 | 0827-29-5116(岩国市観光振興課) |
営業時間 | 9:00~16:45(入館は16:30まで) |
定休日 | ロープウェイ点検日 |
天守入城料 | 中学生以上 270円(200円) 小学生 120円(90円) ※15名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金 |
【ロープウェイ乗り場までのアクセス】
- JR岩国駅から錦帯橋方面行きのバスへ乗って「錦帯橋」のバス停へ下車後、徒歩約15分(バスの乗車時間は約20分)
- 山陽自動車道「岩国IC」から車で約10分で駐車場へ到着後、徒歩約13分
岩国城の駐車場
錦帯橋下河原駐車場を利用しましょう。普通車は平日に無料で利用できますが、バスは1日1,000円の料金がかかります。(普通車 300台)
ただし、普通車でも3月~5月、9月~11月の土日祝日や、花見シーズンの平日は有料です。(普通車 300円/台)
また、横山河川敷運動広場にも無料駐車場があります。(普通車 30台)
まとめ
岩国城へ向かうには、錦帯橋を渡り、吉香公園内にあるロープウェイにのって城山山頂へ移動後に登山するのが一般的なコースです。
登山道は、綺麗に整備された「広い道」と山道の2つがありますが、個人的には、岩国城への行き帰りにそれぞれ別々の道を歩くのをおすすめします。
天守をはじめ、旧天守台や空堀、大釣井など様々な見どころがありますので、じっくり見学していきましょう。