日本には「猫島」と呼ばれる島が数件ありますが、瀬戸内海に浮かぶ男木島(おぎじま)もその一つです。
近年、瀬戸内国際芸術祭の会場となってからは、アートの島としても知られるようになりました。
猫と戯れながらアート作品を見て周りましょう。
のどかな雰囲気が漂う島で、気ままに暮らす猫たちと戯れていると、自然に癒されますね。
また、豊玉姫神社からの眺めや独得なアート作品「歩く方舟」は必見です。
本記事では、猫が自由気ままに暮らす男木島の見どころを紹介します。
男木島とは
男木島(おぎじま)は、香川県高松市の高松港から北方約10kmに位置する小さな島です。
加茂ヶ瀬戸(かもがせと)と呼ばれる瀬戸を挟んで女木島(めぎじま)と接しています。
この女木島と男木島を合わせて夫婦島や雌雄島とも呼ばれていますね。
島内は平坦部が少なく、急勾配の傾斜地に堅牢な石垣を積むことで、家屋が造られています。
その目を引く外観や路地空間へ足を踏み入れると、独特の風情に新鮮な驚きを感じられるでしょう。
著名な動物写真家である岩合光昭(いわごう みつあき)さんが、男木島へ訪れた際、同島の猫たちを紹介したことがきっかけで、全国に「猫島」として知られるようになりました。
【瀬戸内海の島を紹介】
瀬戸内海には、男木島のような魅力溢れる島が沢山ありますので、下記記事で紹介します。
男木島のアクセス
男木島(おぎじま)の行き方は、JR高松駅から約10分ほど歩くと高松港がありますので、そこからフェリーに乗って向えます。
尚、フェリーの時刻表はこちら。
海路は「高松港⇔女木港⇔男木港」となっており、高松港を出航し、女木島へ数分停泊した後で、男木島へ向かいます。
特に女木島と男木島の両方を観光する場合は、高松までの往復切符をまとめて購入できないため注意しましょう。
つまり、最低でも以下のように3回の乗船券を購入することになります。
- 高松港で女木島行きの乗船券を購入
- 女木島で男木島行きの乗船券を購入
- 男木島で高松行きの乗船券を購入
尚、高松港から男木島までは、40分程度で到着します。
男木島の移動方法
基本的に男木島の観光は、徒歩がメインです。
島の面積は、1.34キロ平方メートル、周囲4.7kmしかないため、徒歩でもそれほど不便を感じません。
フェリーで車を運ぶことはできますが、残念ながら島内を見て周るには、道が狭いため、車は役に立たないでしょう。
ちなみに私は、自転車を持ち込みましたが、余り役に立ちませんでした。(灯台へ向かうならば自転車が便利みたいです。)
特に集落の中は、車が通れない狭い路地ばかりで、坂道や階段が多いため、徒歩以外ではスムーズな移動が困難です。
しかし、猫たちと戯れることを考えると、断然徒歩の方が都合が良いですね。
住宅地の路地は、島民以外の自転車の乗り入れは禁止になっています。
まず始めに「夕陽と猫の家」に足を運び猫の情報を集めよう
男木島の猫について知るためには、まず島内にある「夕陽と猫の家」へ向かいましょう。
男木港の近くには、こちらの「夕陽と猫の家」の案内板があり、家までの道順も示していました。
男木港から徒歩3分ぐらいなので、余り歩かなくても良いのは正直有難いです。
こちらが地図になります。シンプルな地図ですが、路地裏で迷うことがないよう、分かりやすく作られていますね。
案内板があった奥の方には、豊玉姫(とよたまひめ)神社の鳥居がありますので、この鳥居をくぐり抜け、狭い路地を上っていきます。
しばらくすると、家屋の一部にペイントしている建屋を発見。
この建屋が「夕陽と猫の家」です。中へ入って猫の集まる場所を聞いてみましょう。
「夕陽と猫の家」は男木島の無料休憩所です。
尚、店内では、簡単な食事やドリンクを提供しています。
男木名物「タコ飯」がイチオシですね。(私も美味しく頂きました。)
店内でも飲食できますが、出来れば屋外の席での食事をお勧めします。
男木港一帯の眺めが良いですね。
「夕陽と猫の家」には、多くの猫たちが遊びに来るそうですが、私が訪れた時間帯は不在でした。
しかし、しばらく店内にいると、猫が遊びに来てくれて嬉しかったな。(嬉)
店のマスターに猫についてお話を伺ったところ、マスターが数年かけて作られた男木島の猫たちが集まる「キャットロード」の情報を教えてもらいました。
尚、キャットロードの詳細については、ブログやSNSなどへの公開はNGなので、男木島へ訪れた際に直接マスターへ訪ねてみて下さい。
店内には、男木島の猫たちの写真集が飾られており、猫たちには名前もついています。
また、猫グッズ(缶バッチやバックなど)も販売されていますので、お土産に一つ如何でしょうか。
キャットロードの情報を入手して、猫が集まる場所を散策しましょう。
夕陽と猫の家
- 住所 香川県高松市男木町1909
- 電話番号 090-3622-8486
- 営業時間 9:00~17:00
- 定休日 無休
- 料金 無料(飲食は有料)
- ※宿泊可能です。詳細は電話で確認願います。
【見所①】猫たちの楽園、キャットロード
男木島が「猫島」として一大ブームを巻き起こしたのは、世界的に有名な動物写真家である岩合光昭さんが、2013年にNHK・BSプレミアムの人気番組で男木島が取り上げられたのが始まりです。
それまでは、現代アートを見に訪れる観光客が多かったのですが、猫目当てに多くの観光客が訪れるようになりました。
猫が集まる場所を歩き、猫との触れ合いを楽しみましょう。
キャットロードを歩いていると、早速三毛猫と遭遇。
可愛いですね。人に慣れているようで、近づいても逃げたりしません。
こちらは道の中央で立ち止まっている黒猫。
どこへ行こうか迷っているのでしょうか。
仲良し二人組の猫です。野良猫とは思えないほど人懐っこいですね。
道端で寝転ぶ猫。少し無防備過ぎないかな。
元々、男木島で暮らしていた猫たちは、ほとんどが野良猫であったため、人慣れしておらず、近づいても直ぐに逃げてしまっていたそうです。
しかし、猫目当ての観光客が訪れるようになると、猫の好物を持ってくる人たちが現れ始め、徐々に猫たちが観光客へすり寄るようになりました。
人懐っこくなった猫たちがネット上で評判になり、更に男木島へ訪れる観光客が増加した次第です。
200人も満たない小さな島が、猫のおかげで瀬戸内国際芸術祭の期間外でも大変賑やかになりました。
猫たちは、男木島の人々にとって救世主だったのでしょう。
しかし、いつの間にか島民より多くの野良猫が住み着くようになってしまい、猫に関する様々な苦情が島民や観光客から相次ぎます。
具体的には、猫たちが農作物を食い荒らしたり、漁網を破ったりと言った被害が増え続け、猫たちの糞尿で嫌な思いをする人も多かったそうです。
このようなトラブルを解決するために、2016年6月に野良猫の保護活動をしているNPO法人などと協力しながら、一斉に200匹ほどの野良猫の不妊手術が行われました。
不妊手術の影響かどうかはわかりませんが、しばらくの間、猫たちは島のどこかへ隠れてしまい姿を見せない時期があったそうです。
猫からしてみれば、人間の勝手な都合で生殖器を除去された訳ですから、猫が怯えるのも仕方がありません。
しばらくすると、徐々に愛くるしい猫の姿が見られるようになり、今に至ります。
男木島には、絵になる風景が沢山ありますので、道行く猫たちと男木島の風情を感じる写真を一緒に撮ってみましょう。
旅の良い思い出になりますよ。
【動物園の紹介】
旅の道中に出会った動物たちを下記記事で紹介します。
【見所②】イチオシの絶景スポット「豊玉姫神社」
個人的に男木島へ訪れたら、是非立ち寄って欲しいスポットが「豊玉姫神社(とよたまひめじんじゃ)」です。
集落の路地を歩いていると、豊玉姫神社へ向かう長い階段が見て取れます。
この階段を上り、鳥居が立てられている比較的足元が安定しているところで、振り返って見て下さい。
男木島の町並みと瀬戸内海の絶景が同時に一望できます。
階段を上りきった先にある本殿へお詣りしましょう。
豊玉姫神社では、豊玉姫を祀っており、安産の神様として広く信仰を集めています。
尚、豊玉姫神社へ猫も良く遊びに来るそうなので、もし猫がいない場合は、しばらく待ってみては如何でしょうか。
豊玉姫神社は、猫と戯れるだけでも楽しいですが、男木島を一望できる景色を楽しめ、春には桜の景色も楽しめるイチオシの絶景スポットです。
豊玉姫神社
- 住所 香川県高松市男木町1903
- 電話番号 087-873-0001(高松市男木出張所)
【神社仏閣の紹介】
旅の道中では、良く神社仏閣へ訪れ参拝しますので、下記記事で紹介します。
【見所③】映える独得なアート作品「歩く方舟」
男木島には、瀬戸内国際芸術祭で展示された多くのアート作品がありますが、その中で個人的にとても印象に残った作品が「歩く方舟(あるくはこぶね)」です。
海岸沿いを歩いていると、不思議な形をしたオブジェが見えてくるではありませんか。
このオブジェが「歩く方舟」ですね。
旧約聖書に登場する「ノアの方舟」をモチーフにし、海や空に溶け込むような青と白の模様が目立つ立体作品となっています。
この方舟は、山口啓介さんが作ったアート作品であり、海へ向かって歩いている姿が特徴的ですね。
一度見たら決して忘れることがない、その独特の外観は、他に類を見ないのではないでしょうか。
欲を言えば、この方舟の足元にじゃれついた猫を見て見たかったですね。(本当にじゃれつくことがあるのかは疑問ですが・・・)
【アート作品の紹介】
旅の道中で目撃したアート作品の数々を下記記事で紹介します。
【見所④】町並みと数々のアート作品
男木島の男木港へフェリーで辿り着くと、変わった形をした白い建物の「男木交流館」が目に付きます。
この特徴的な形をした屋根を持つ建物は、瀬戸内国際芸術祭の「男木島の魂」と言う作品であり、ジャウメ・プレンサ氏によってデザインされました。
太陽の光が差し込むと、周りを囲んでいる池の水面に反射するため、とても絵になりますね。
また、少し離れたところには、巨大なタコが住めそうな大きなタコツボもありました。
この作品は「タコツボル」と呼ばれています。
このタコツボの隣りには、男木島観光協会物販所がありました。
この物販所では、男木島グッズの販売や島民による出店販売、手荷物の預かりをしていますので、手荷物が多い方は、観光前に預けてみては如何でしょうか。
男木島の集落は、急勾配の傾斜地に石垣を積み上げ、家屋が建てられているため、その独特な景観は実に見応えがあります。
集落内の路地は狭く、坂道や階段ばかりが続きますね。
路地の至るどころで、こちらのような案内板がありますので、注意しましょう。
尚、アート作品の展示先についても案内板でお知らせしています。
しかし、瀬戸内国際芸術祭の開催期間中でないと、展示されない作品もありますので、事前に調べて訪れると良いでしょう。
瀬戸内国際芸術祭は、3年に1度、瀬戸内海の島々を舞台にした現代アートの国際芸術祭です。
開催期間は春・夏・秋に分かれており、2022年の春開催の日程は4/14~5/18、夏開催は8/5~9/4、秋開催は9/29~11/6でした。
集落の開けたところでは、瀬戸内海と多島美の景色を楽しめますので、周辺を歩いてビュースポットを探してみましょう。楽しいですよ。
集落から離れた場所にある海岸沿いには、美しい白浜が続いていました。
泳ぐと気持ち良さそうですね。
そんな海岸沿いを歩いていると、壁面がカラフルな倉庫を発見。
様々な色に塗られたアクリル板を重ねて貼っているようで、「漣の家」と呼ばれる作品です。
島内には、至るどころで猫が歩いていますので、驚かせないように注意しましょう。
こっそり猫の後を追っていけば、素敵な場所へ巡り合うかも。
例えば、こんな素敵な建物に出会えたりします。
学校の体育館のようですが、全体的にブルーの色彩で刺繍のように見える雲が見て取れて、インパクトは抜群ですね。
この作品は「青空を夢見て」と言います。
島で見つけたこちらの建屋。周辺の壁には、沢山の猫の写真が飾られていました。
小さな島なので、集落を散策していると、きっと見つけることができます。
また違う建屋では、塀の上にキリンのぬいぐるみや猫・アヒルのおもちゃが一列に整列されており、ビックリしましたね。
また、キャットフードを自由に持って行っても良いようで、猫たちにご飯をあげてみましょう。
更に壁には、子供が手書きしたと思われる猫の絵などが描かれており、こうゆうのを見ると微笑ましいですね。
その他にも、まるでダンサーのように見える木を見つけ、面白かったです。
この木は自然にできた物なのか、人手が加わっているのかは不明ですが、この場所に立てた人に感謝。
こちらは「神井戸(しんど)」と呼ばれる井戸で、男木島に伝わる伝説に登場します。
この井戸は、先ほど触れた豊玉姫が、島内の加茂神社で祀られている山幸彦と始めて出会った場所と言われていますね。
今回は時間の都合で訪れることができませんでしたが、男木島の最北端には、珍しい石造りの男木島灯台がありますので、またの機会に訪れてみたいと思います。(再び男木島を訪れる理由ができました。)
まとめ
男木島は「猫島」として知られており、猫へ会いに訪れる観光客が多いです。
また、瀬戸内国際芸術祭の会場となっていることから、島の至るどころに現代アートの作品が展示されています。
一日に数本しかフェリーは出航していないので、時間に余裕をもって行動しましょう。
尚、民宿など宿泊施設はありますので、一泊して猫と触れ合いながら、男木島の隅々まで見て周る旅も良いですね。