山口広島自転車旅の最終日となる3日目は、安芸灘諸島を巡ります。
安芸灘諸島といえば、絶景ロードと名高い「とびしま海道」でしょう。知名度は、隣の「しまなみ海道」に一歩及びませんが、海の原風景を楽しめる。とびしま海道を走り、フェリーで大崎上島へ上陸後、大崎上島を巡り、最終的には本州の竹原市へ向かう予定です。
2日目と違って観光メインでなく、ライド中心となりますが、急ぐ旅路でもないので、のんびり行きますよ。ちなみに、2日目の自転車旅の様子はこちらの記事で紹介しますね。
本記事では、広島県呉市の市街地から旅立ち、安芸灘諸島を巡る自転車旅の様子をお届けします。
呉市から旅立ち、とびしま海道へ向かう
私が今いる場所は、巨大なスクリュー前です。ここは、どこなのか分かりますか。
このスクリューのモニュメントがあるのは、JR呉駅前ですよ。呉駅のある呉市といえば、戦艦大和が誕生した造船所の町として超有名。そして、今も多くの船舶が作られています。
また、海上自衛隊の呉地方隊があり、呉湾には多くの護衛艦や潜水艦が停泊していますね。
そんな呉駅前から本日の旅がはじまります。本日も昨日と同じく快晴でまさに旅日和。安芸灘諸島へ向けて、早速自転車のペダルを回し始めました。
大通りへ辿り着くと、沿岸にそびえ立つ大きなイチョウ並木は実に壮観だ。そして、実に絵になる景色といえる。そのまま国道185号線を道なりに進むと、目の前に現れたのが休山トンネルです。
個人的には、今まで出会ったトンネルの中で一番リスペクトしています。
というのも、中へ入ると歩道は幅が広く、歩道と車道に間にはクリア板を挟み完全防御ができている。これがトンネル内全長約1.7kmも続くので、安心感が半端ないですね。
トンネルを抜けた後も、ひたすら国道185号線を突き進む。いつしか右手側には、穏やかな瀬戸内海が見えてきた。
昔から旅を続けていて、もう何度も見ている瀬戸内の風景ですが、不思議と見飽きることはありませんね。個人的には、海の景色が大好きなことが飽きない要因の1つだろうと思っている。
そもそも島国である日本では、海に親しみを感じている人は多いのだろう。特に穏やかな瀬戸内海の凪は、眺めているだけでも心が落ち着くものだ。
そうこうしている内に、安芸灘諸島を構成する第1の島「下蒲刈島」へ向かう分岐点へ到着。
真っすぐ国道185号を進むと、本日の最終目的地である竹原市へ辿り着く最短ルートになるのですが、旅のコースは必ずしも最短が良いとは限らない。色々な場所へ寄り道しながら進み、様々な発見や出会いがあるのが旅の醍醐味の1つですね。
ということで、左手側から大きく右側へ回り込み、安芸灘大橋へ向けて県道74号線を駆け抜けました。
しばらくすると、見えてきたのが安芸灘大橋の入口前にある料金所です。
有料道路なので車やバイクは料金が発生しますが、歩行者と自転車は無料となる。ありがたりですね。なので、料金所前で立ち止まることなく通過し、安芸灘大橋を渡れます。
安芸灘大橋を渡り下蒲刈島を駆け抜ける
一般県道の吊り橋では、日本最長となる安芸灘大橋。とびしま海道のランドマーク的な存在だ。
そういえば、とびしま海道を走るのは2年ぶりとなる。まぁ、昔から何度も訪れているので、勝手知ったるなんとやらかな。島特有のゆっくり流れる時間は、個人的に大好き。なので、急ぐ旅路でもないので、のんびり行きますよ。
時折、安芸灘大橋上で自転車を停めては、瀬戸内海の絶景を眺める。これも自転車旅ならでは楽しみ方といえる。
大橋を渡り終えると、近くには白崎園があります。絶対に立ち寄りたい絶景スポット。この公園で特に目立つのは、多くの陶板を張り巡らせて作られた2柱のモニュメントだろう。
インパクト抜群なフォットスポットですよ。ということで、白崎園へ立ち寄り、しばし休憩していました。
その後、三之瀬地区へ踏み入ると、石畳で整備された道が続きます。周辺には、蘭島閣美術館や松濤園など目を引く建築物が多く、観光スポットになっている。
本日は明るい内に大崎上島をのんびり走りたいので、観光は少なめにする予定。いつも通りに観光に時間を費やしていると、大崎上島へ辿り着いたときに、夕方になっているパターンが多かったので。ということでスルーして先へ進みます。
おっ、蒲刈大橋が見えてきた。短め目の急坂を上りこの橋を渡っていると、眼下に貨物船が見えました。
そういえば、真上から貨物船を見たのは初めてかな。このような予想外の体験は嬉しいものですね。
橋を渡り終えると、ついに上蒲刈島へ入ります。ちなみにこちらは、蒲刈大橋の全景。
三角形に組まれた水色の蒲刈大橋が、周囲に溶け込んており、実に良い景観ですね。
【補給食に関する話】
とびしま海道では、コンビニなど補給できるお店があまりないので、事前に補給食を多め目に用意しておこう。下記記事では、補給食に関する話を紹介します。
上蒲刈島で海を望む鳥居に出会う
とびしま海道は、海を近くに感じるシーサイドラインが続く絶景ロードです。基本的に平坦路で車の交通量も少なめ。潮風が心地よいですよ。
上蒲刈島を北回りで海岸線を走り続けていると、潮騒の館へ到着。少し休憩していこう。
建物裏で地面に腰を下ろし、ボーと海辺を見る。ある意味贅沢な時間の使い方だ。何もしない時間というのは、やはり人には必要だと思う。
その後、再び道なりに自転車を走らせていると、海に浮かぶ小さな島に立つ灯台が見えてきました。可愛く感じるのは私だけでしょうかね。
そんな余韻に浸っていると、突然目の前に現れたのが、海を望む鳥居だ。
実はこの鳥居は、少し離れたところにある日高神社の鳥居ですよ。鳥居の向こう側には、瀬戸内の島々が絵画のような景観で見えてしまうフォトスポット。なので上蒲刈島の北側ルートを走るのならば、おすすめしたい。
ちなみに、この道路を挟んだ向こう側には、春日神社があります。なので、参拝していきました。また、春日神社の奥の方へ登っていくと、日高神社がありますね。
しばらくの間、鳥居前で撮影会の開催です。(笑)
その後、豊浜大橋に向けて上り坂を駆け抜ける。その道中では、大浦地区を一望できる。ずっと良い景色が続くため、遅々として先へ進めないのは仕方がないでしょうね。
【自転車のアイテム紹介】
自転車旅に役立つ便利なアイテムを、下記記事で紹介します。
豊浜大橋を渡り、豊島・大崎下島を巡る
豊浜大橋を渡り豊島へ入りました。豊島は、1周約10kmほどの小さな島ですね。
南側には、十文字山展望台というローマのコロッセオを思わせる円形デザインの展望台があります。絶景スポットなのですが、道中が劇坂なのでパス。本日はヒルクライムはしないですよ。
豊浜大橋は高台にあるので、ここからの眺めも素晴らしい。決してヒルクライムを回避した負け惜しみではないので悪しからず。
約5kmほど北側ルートを走ると豊浜町の市街地へ入る。商店や飲食店があるので、補給や休憩していくのにおすすめ。港町からは、大崎下島へ渡る豊浜大橋が見て取れます。
これまで散々休憩しながら進んできたので、どこにも立ち寄ることもなく豊島を離れました。
豊浜大橋を渡ると下り坂になるのですが、直ぐに見えてくるのが日本一大きなジャングルジムです。豊浜大橋を渡った直後は、気持ちの良い下り坂なので、スピードにかまけて颯爽と下っていると、見逃してしまうので気を付けたい。
ちなみに、今はジャングルジムで遊べないのですよ。安全基準を満たしていないという理由なので、いつ再開されるのかは不明です。
シーサイドラインを疾風のように駆け抜ける。本日はほぼ無風状態なので、とにもかくにも走りやすい。いつもこんな感じであれば嬉しいのですが、何も遮るもののない海岸線では、向かい風に当たると、著しく前進が困難になる。
しばらくすると、野坂地区海岸へ辿り着きました。夏になると、海水浴場になりそうな白浜の美しい場所です。ということで、浜辺を少し散策していこう。波の音が心地よく、癒されるな。
ここまでくれば、古い町並みが残る御手洗地区までは約3kmほどしかないため、あっという間に到着。さ~て、町並み見物としゃれ込みますよ。
江戸時代の香りが色濃く御手洗地区を歩いていると、ノスタルジーを感じますね。とびしま海道でも一押しの観光スポットです。
食事処やカフェなど休憩できるところも充実しており、この場所で数時間滞在したい。また、宿泊施設もあるので1泊して、のんびり過ごすのも良いですね。歴史の見える丘公園から瀬戸内海の多島美を眺めたり、ハイカラな乙女座などを見学してみよう。
レトロな町並みを見物していると、こちらのような面白い標識を発見できる。個人的にデザインが秀逸だと感じました。
ランドセルを背負った小学生が飛び跳ねているデザインは、私はここでしか見たことがないかな。町並み見物を終えると、大崎上島へ渡るフェリーが運航している小長港へ向かった次第です。
大崎上島の白亜の灯台へ行こう
フェリーに自転車を載せて、約15分ほどの短めのクルージングを楽しみました。
平羅島と中ノ島に架かる「中の瀬戸大橋」の真下が定期航路となっており、船上から橋を見上げる体験ができるのは珍しい。また、船上から瀬戸内海の風景を楽しもう。
そんな風に過ごしていれば、15分なんて本当に短いですね。私なんて気付いた時には、大崎上島の明石港へ到着していました。
明石港は大崎上島の南側にあるので、ここから北上して、最終的には島の北側にある白水港か垂水港へ向かいます。
大崎上島循環線(県道65号)を走っていると、青看板を見つけ、木江(きのえ)地区の方向を確認。そして、自転車のスピードを上げる。
東海岸沿いを進んでいると「弓張岩」と呼ばれる先端がとがった岩を発見しました。
説明板によると、1400年頃に木江(きのえ)周辺の海域では海賊が暴れていたそうで、小早川冬平という弓の名人が、弓の弦を岩に固定して海賊船へめがけて矢を放ち、撃退したという。
今でいう、固定砲台のようなものだろう。おそらく命中率と破壊力がとてつもなく高かったのではないでしょうかね。
弓張岩があった所から約500mほど北上すると、お目当ての「中ノ鼻灯台」が現れた。この灯台は、1894年(明治27年)に設置され、今も現役で使われている灯台だ。
瀬戸内海と青空の「青」が共演する中で、真っ白な石造りの灯台のコントラストは眼福ものですよ。大崎上島をサイクリングするならば、ぜひおすすめします。
ということで、ここでもしばらくの間、撮影会を行っていました。
大崎上島の怒涛の見物スポットが面白い
灯台を後にして、5分も立たない内に面白い外観の建物を見つけます。
それが、木江ふれあい郷土資料館ですよ。大崎上島が造船と共に歩んだ歴史があることを体現した建物ではないでしょうか。
残念ながら本日はパスして、先へ進むこと約5分。遠くからでも迫力あるアート作品が見えてきた。
それが「天の鳥船」です。高さが18mもある鉄のモニュメントですが、私が初めてこれを見た時の感想が「鉄人28号の胴体?」だったかな。
道なりに約2kmほど進むと、今度は竜宮城をイメージした建物「かもめ館」の登場だ。大崎上島、面白すぎでしょう。
塔の先端近くからは、渡り廊下がつながっており、神峰山登山道へ通じるという。興味がある方は、立ち寄ってみよう。そして、木江港近くにある木江の古い町並みへ足を運びました。
木江の古い町並みは、明治・大正時代にかけて、潮待ち・風待ちの港町として大変栄えた歴史があります。今の景観を見てみると、とてもそのようには思えないかな。
レトロな建物に興味がある方は、ぜひ足を運んでみて下さいね。町並みの見物を終えて、木江地区の集落へ入る。
そこでは、とても目を引く建物に遭遇。なんと5階建ての建物があるではないですか。周囲が2階建ての建物の中で、ポツンと建っている。どうしてここだけが5階建てなのか「私、気になります」。
さて、ここから海岸線をぐるりと回れば垂水港へ辿り着きますが、まだ明るいので内陸部の山側の道を突き進みショートカットといこう。
ということで大田木江線(県道358号)へレッツゴー。アップダウンがありますが、大したことはありません。しばらく道なりに進むと、西海岸へ合流。ここから北上すれば、あっという間に白水港へ辿り着きました。
フェリーの出航時刻を確認すると、まだしばらく時間があるみたい。なので、ここから約2kmほど北上したところにある垂水港へ向かった次第です。
ここでは、ほとんど待ち時間なしでフェリーに乗れましたが、あと1分遅れて到着していたら危なかったかも。乗り場からフェリーの後姿を見送る羽目に陥るのなんて御免だ。そうなれば、気分はドナドナですよ。
こうして、大崎上島に別れを告げたのです。
【自転車旅に役立つ話】
自転車旅に役立つ様々な話を、下記記事で紹介します。
旅の終焉、竹原市へ上陸
フェリーが竹原港へ到着すると、本日のゴールとなる竹原駅へ向かうのですが、その前に一ヶ所だけ寄り道します。
それが駅前の商店街にある「ももねこ神社」ですね。アニメ「たまゆら」がヒットしたことで、町おこしの一環として、ももねこ様の石像が祀られています。
ハロウィン仕様のももねこ様もGood。トンガリ帽子がお似合いです。時間に余裕があれば、風情ある「たけはら町並み保存地区」を訪ねたかったのですが本日はパスしました。竹原市は何かと訪れる機会が多いので、また今度ということなので。
商店街を通っていると、2023年4月に開催された「たまゆら同窓会」のパネルを発見。大人になった、ぽって達も可愛いですね。
その後、竹原駅へ到着し帰路へつき、本日の旅は終わりを告げました。
まとめ
安芸灘諸島を巡る旅は、満足度の高いものでした。2年ぶりに「とびしま海道」をサイクリングしましたが、やはり何度訪れても良い場所ですね。
全体的に海を間近に感じるシーサイドラインは気持ちがよい。また、御手洗地区など歴史や情緒ある町並みは、ノスタルジーを感じます。2年前訪れた時は、大崎上島はただ駆け抜けた記憶しかありませんでしたが、今回は色々見て回ることができたので、面白かったですね。
今後も安芸灘諸島をライドする機会はあると思うので、常に新鮮な気持ちでライドに挑みますよ。